ブラック企業にすり減らされた社畜が主人公になれるアプリを手にしたらどうなるか→ 作:ぱちぱち
時事ネタ系配信者のオットセイ55さんとのコラボが決まった。そしてコラボが決まった瞬間からいきなりSNS上で俺のVVVやVSでの女性関係だとか派手な女遊びなどが万バズし始め、相手のオットセイ55さんも「疑惑の人とのコラボ決定! 今回は限界まで全部聞いてしまうかも!」という論調で注目を集めている。
特にホログライブ出身のVS社員は俺と寝てるとかそういう誹謗中傷が起きていて、クマコーはホログライブの女が好きとかそういう下世話な話題が繰り返し擦られてる感じだね。
『やっぱり面白いことになったなぁ』
「面白くないわい。アキコさんから「一也くん、元風俗嬢の私が言うのもなんだけど、もうちょっと他の事にお金使おう?」って優しく諭されちゃったんだぞ」
『いや、それはお前以外の全員が思ってるから改善しろよ』
俺の愚痴めいた言葉に『かすが』は真顔でそう返した。その点はね、趣味というかさ。いや趣味がアニメ視聴と風俗通いだから言われてるのは分かってるんだけど、普通に遊ぶとかだと相手の嬢が潰れちゃうから人数用意してるんだけどね。ナンパしたセフレとかも基本的に初回以外は二人以上じゃないと無理って言ってくるし、流石にそれをアキコさんに伝えるのは男としてどうかと思うから黙って怒られたけども。
まぁ、自分でも分かってるんだ。風俗嬢を何人も侍らせて一晩豪遊するというのがあんまり健全な趣味じゃないって事は。でも青春のリビドーというか、若い情熱をぶつけるのって大事じゃん?
『まぁ、お前の体力と付き合うのは常人じゃ無理か』
「頑張って加減してるんだけどなぁ」
『なら常人じゃなければ良いんじゃないか? うちの賞金ランキングには女性ファイターも何人か居るぞ。結構上の方に』
「その子の詳細くれる? 写真は? 交際関係とか抑えてないかな? 連絡先分かるならこっちから行くけど」
『ぐいぐい来るなばかもん。後で顔位は教えてやるから今はコラボに集中しろ』
余りにも聞き捨てならない事を口にした『かすが』メモ帳を片手に詰め寄ると、『かすが』はモデルガンを取り出して俺のこめかみに銃口を当ててそう口にした。これ、アニメで『かすが』が使ってた相棒制裁用のカスタムモデルガンだ。鉛弾は出ないけど鋼鉄の球を高速で打ち出すから普通に痛い奴である。というか一般人だと下手したら死ぬかもしれない武器だ。流石にこんなもの向けられる謂れはないから抗議すると、『かすが』はまったく悪びれもせずに『これで傷一つつかない奴だから向けてんだよ。お前の勢いを私の素の力じゃ止められんぞ』と口にする。
まぁ、それは確かにそうではある。戦闘系よりのプレミアムレンタル権者だと『雨宮かすが』の身体能力は良く鍛えられた普通の少女ってくらいだから、仮に俺が暴走したらCQCとか使っての全力で抵抗しないとほぼ何もさせずに組み伏せる事も出来るだろう。銃口を向けられてちょっと冷静になった点もあるため、ここは見逃しておこうか。だから銃口でこめかみぐりぐりするの止めてくれない? 流石にそれ撃たれたら痛いと思うんだ、多分。
さて、『かすが』との打ち合わせ()も終了し、コラボへの準備は万全。SNSでは今日も元気に「クマコーは女狂い」だとか「会社の金を使って女遊び」だとか「じつは試合は影武者がやってた」などあることないこと騒ぎ立てられている。失礼だな、会社の金なんて使ってないぞ。女遊びにはファイトマネーの残金か『まみ』とナーガに賭けた競馬の配当金しか使ってないというのに。
ケンタッキーダービーは儲かったなぁ。俺もね、勝てるとは言い切れないからって聞いてたから1万ドルくらい突っ込んでたんだけどまさか勝っちゃうしね。後で聞いたらアキコさんもあれで10万ドルが12倍くらいになって返ってきたらしいし一発ミリオネアである。ナーガと『まみ』のコンビは話題性はあったけど実績はそれほどでもなかったしね。7番人気くらいだったから馬券はそこそこ美味しかったのだ。
まぁ競馬の話はどうでもいい。次のベルモントステークスの馬券ももう購入する予定だし、そこは良いとしてコラボの件だ。細かい反論はいくらでもあるがこういうのは印象が全てになるから、全部まとめて注目度が高いコラボの時に出すのが一番だというのが『かすが』の戦略である。あと、女遊びは実際にしてることだからこの点はAmamiya NEWSでも報道せざるを得ないと言われているため、ここは隠せないとも。
いや、隠す気はないから全然かまわないんだけどね。ただ、今後は他社の出入りとかコラボとかがやりにくくなるし、特にホログライブさんなんかは視聴者へのイメージが大事な会社だから俺と同じ画面にホログライブさんのVタレが居るのは炎上に繋がってしまうだろう。そう思って、以後の交流に関しては表立ってのものは行わないようにする旨を両社に通知したら、その日のうちにカダー社とアニカラ者の代表が二人そろってやってきた。
「山里さん、多少の炎上程度で貴方のブランドには傷つかないんで。というかVVVのイベントから締め出されるのはちょっと勘弁してくださいよ」
「今のVタレ界隈でうちとカダーさんとこの最大の強みは直でVVVとやり取りできるって所なんですからそれを取り上げられると、その。経営戦略を見直さなければいけないんです。ぶ、VSのメンバーとか追加はいかがでしょう? そろそろ前メンバーから1周年ですよね?」
「いえ、その。まぁ、映画関係の事務が欲しいと思ってたんで多少なら社員としては余地があるかな……? まんしぃさんレベルだとちょっと困るけど……でも今、VSに来るのは流石に来る人もこっちも炎上しちゃうんで時期をもう少し待ってほしいです。今回のコラボ後とかにもう一回話し合いましょうか」
顔を青くした両代表の勢いに負けて、お付き合いの見直しは一旦白紙という事になった。そこまで言うならアニカラさんの会社の株も買おうか? と尋ねると一番最初の段階で結構色んな所に株を買われたため、そういった関係でVVVにお金を出してもらうのは厳しいそうだ。そっち関係からVSへの口出しが起きないようにするので手いっぱいとも。
そしてこの両代表の駆け込みの次の日には女性のVS社員、特に根暗まんしぃさんや竜ヶ坂りんりんさんのホログライブ出向組と熱愛関係にあるといったデマの鎮火が何故かSNS上で行われ、自分の会社の社員を食い物にする社長というレッテルだけは何故かあっさりと剥がされる事になる。
ああ、うん。そうか、そうなるのか。その流れをAmamiya NEWSで追っていると、頭の中で『かすが』が『な? 面白いだろ』と言ってきたので同意しておく。
この気持ち悪い流れはコラボ当日まで続き、付き合いのある人たちには「このコラボが終わるまで擁護とかはいりません」と言ってあるため、すっかりクマコーは「風俗遊びに会社の金を大量に使い込んでる」「実際はただの会社員で映画や試合は別人が行っている」という風にレッテル張りをされている状況だった。
つまり準備は整ったというわけだ。じゃ、遊ぼうかオットセイ55さん。
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