ブラック企業にすり減らされた社畜が主人公になれるアプリを手にしたらどうなるか→   作:ぱちぱち

192 / 192
第192話 第三回VVVエキスポ 初日

 第三回VVVエキスポ 初日

 

 

「はい、こちらが大型クレーン車をモデルにした10m級作業用可変重機ツリスト君です。車両から人型への変形は10分後になります。あ、線の中に入らないでください! 線の中に入らないでください!」

 

「立体投射機体験場はあちらでーす! 今年の品目はCAPCAM社協力のもと生物兵器災害シリーズの1シーンを再現するホラースペースに路上格闘戦士シリーズのリアル体験コーナー等盛りだくさんになってまーす!」

 

「え、どうやって許可取ったの?」

 

「わかんない。雨宮社長が急に許可取ったって持ち込んだらしいよ?」

 

『hmm......私は今回、警備員も兼ねている。だから周りを囲むのは止めて欲しい』

 

 

 例年通りVVVの開発した技術は非常に人気があるようで、今年の目玉である巨大可変重機の周囲は元より警備員として場内の整理を行っているヴァーイIN小型重機にも常に人だかりができている状況だ。やはりロボットが好きな奴は世界中に居るんだなぁ。

 

 そしてVVVを象徴する技術である立体投射機のコーナーも今年は新たな試みがされており、“鈴の音”とかいう闇のカルト組織経由で『かすが』がゲーム会社に話を付け、立体投射機で人気ゲームを再現するというのをやってみた所これがかなり面白い。いや、まぁ人気のあるゲームをリアル空間に投射してるんだからそりゃ面白いのは分かり切った事なんだが、予想以上にハマるというかだね。

 

 実際に俺もテストプレイでやってみたんだが、ゲームとかにはそれほど詳しくない俺でも十分に楽しめたし原作のファンなら倍率ドン! って感じなんだろう。実際にプレイしたことがあるという不動くさりなんかは「これ7はやっちゃダメ絶対ですわ」と余りの出来栄えに放心してたしね。VRとかと違ってヘッドギアも無いため臨場感が凄いらしく、ホラーはリアルすぎて本気で体調を壊す人が出るかもしれない、との事。一昨年のホラーコーナーも怖さを調節したし、やり過ぎるのは良くないって事だな。

 

 そのため今回、ホラーコーナーは不動くさりがオススメしたあんまり怖くないけど名シーンだというシーンを幾つかチョイスしてそれを投影する形でお茶を濁し、今回はそれ以外のゲームを。例えば格闘ゲームの立体化をして格闘シーンを体験したりとかね。

 

 この格闘ゲーム体験コーナーはテストプレイをしたVVVのVタレにも好評で、フィットネスゲームに近い感覚で遊べるとの事。こちらの動きは立体投射機が読み取って攻撃やガード判定を行ってくれるため実際にやってる感じがかなりあるそうだ。

 

 この格闘ゲーム体験は初心者向けから心得がある人向けと難易度も幅広く設定されているため子供が入っても問題なく楽しめる仕様になっており、中に入った瞬間プレイヤーの外観は3Dにデフォルメされた自分になり、その状態で人気格闘ゲームのキャラクターと殴り合う事が出来る。そういう格闘ゲームだとよくある飛び道具はオミットしてあるためまぁ純粋な殴り合いになるため男の子ばっかりがやるかなぁと思っていたら、これが老若男女問わず中々の人気を博しているようだ。

 

 

「老の方はちょっとハッスルしすぎて大変なことになりそうなんですがねぇ」

 

「このために外部からお医者さん(『めぐみ』)を呼んでるから大丈夫大丈夫」

 

 

 見回りの際に立体投射機コーナーの担当スタッフである不動くさりからそういった苦言とも言いづらい報告が入ってくるが、どうやら初代や2世代の初老くらいの方々が結構な割合でこの格ゲー体験コーナーに入り浸り、腰とか膝とかに深刻なダメージを負っているらしい。まぁ、そうなるだろうなと予測していたので医療系の切り札である『めぐみ』に頼みこんで彼女を隣接した救護所に配置してるし、ゲームコーナーのプログラム管理を行っているAIアキコにはプレイヤーの調子がおかしければ立体投射機を止めて救助を入れるよう命令もしてある。

 

 

「事故が起きないのはいいんスけどねぇ。私、今回はのんびりとゲームファンと語らう役目だと思ったのにぃ」

 

「ちゃんと働けって事だろうな」

 

 

 お陰で担当スタッフである不動くさりは午前中ですでに3回、腰をいわしたおじさんを警備員と一緒に救護所へ運ぶことになったらしく、今回のエキスポは楽が出来ると皮算用を叩いていたらしいくさりは随分とブーたれていた。まぁ、こんな事を言ってるけどくさりはVVVガールズバンドの5人の中でも特に立体投射機などの技術を理解しており、それらの調整を含めて一番忙しく働いてくれるんだけどね。

 

 まぁ働いた分はボーナスで返してるから彼女もやる気を失わずに頑張ってくれているし。将来的にVタレを辞めたいとかいうタイミングが来たら技術者として雇おうか考えるくらいには彼女はデキる女である。

 

 

 

 

 

 さて、例年通り盛況なVVVエキスポだが問題が全くないという事は決してない。人数を二日に分けているとはいえやはり何万人も会場に詰めかける訳だからどうしたってトラブルは起きるし、警備を務めている雨宮セキュリティー警備でも判断できないような事態というのは往々にして存在する。

 

 たとえば、そう。何故か明日が出番の、ライブに出演する予定のVタレさんが関係者パスを使って「おはよーございまーす。今日はよろしくお願いしまーす」とかいって関係者以外立ち入り禁止なスタッフルームに入ってきたりとかね。それも一人じゃなくて複数人がまとまって。

 

 

「どういうことです???」

 

「え、あ、いや。ええと、お世話になります、じゃなかった。ええ?」

 

「ええと、ええとぉ……」

 

 

 警備員さんから館内放送で呼び出されて控室に行ってみれば、立体投射機の範囲内の為見知った顔が5人ほど居たため、困惑を隠しきれずにそう尋ねると向こうも何故かおろおろと周囲を見渡した。

 

 一応補足しておくとホログライブに所属するもち子さんを筆頭にしたVタレさん達には一応フリーパスのチケットを渡しているためこの会場に居る事は全く問題ない。が、彼女たちが警備員に呼び止められて控室に連れてこられた理由はスタッフルームに普通に入ろうとしていたからである。

 

 

「ごめんなさい、一也くん。私の連絡ミスだわ」

 

「あ、いえ。大丈夫です。特に大きな問題もないですし」

 

 

 警備員さんからの連絡でかけつけたアキコさんが頭を下げようとするが、アキコさんが頭を下げる姿なんて絶対に見たくない光景第3位くらいに入る姿だ。全力で宥めすかして事情を聴いてみると、どうも簡単な意識の食い違いが幾つか連続した結果いまの状況になっているのが見えてきた。

 

 簡単に状況を整理するともち子さん達はフリーパスがあるため今日は遊びに来ていたのだが、「明日はお世話になるしちょっとした手伝いとかやろうぜ!」と誰かが言い出し、それをアキコさんに連絡。アキコさんはまぁフリーパスで会場入りするんだしちょっとした手伝い程度ならまぁ構わないと判断したらしい。その場でOKを出し、合流しようとした所でちょっとしたトラブルが。アキコさん側で来場者同士のトラブルが起きたため、その仲裁の為にアキコさんが一旦対応できなくなったのだ。

 

 合流場所の指定前だったため彼女たちはその場に留まるのがベストだったんだが、この会場は立体投射機の範囲であり3Dモデルを持っているものはAIによって自動的に3Dのガワが適用される。ホログライブの大人気Vタレが一か所に留まり続けると、ちょっと周囲の視線が危なくなるというか人が集まり始める事になり、これは不味いという事で彼女たちは一旦落ち着ける場所を求めて昨日のリハーサルで場所を知っていたスタッフルーム入ろうとした、と。

 

 

「タイミングが悪すぎてちょっと笑えますね」

 

「ですよねぇ。私もどう説明すれば良いか悩んじゃって」

 

 

 ホログライブ側の代表者であるもち子さんは、仕事の時以外だと俺との会話が非常に困難らしい。めちゃめちゃ怖がってしまうため、ちょっと今は会話できずにというかアキコさんの胸に顔を埋めて慰められているため、めっちゃ羨ましい。じゃなくて、会話が出来ない状態だ。

 

 というわけで代わりに大地むつらさんというVタレさんと会話して状況を確認したんだが、まぁなんだ。流石にここまで玉突き事故みたいな状況だとは思ってなくて思わず笑ってしまったのも仕方ないだろう。

 

 話を聞いてもやっぱりアキコさんが悪いわけじゃないし、ホログライブさん側も最初にアキコさんに許可を貰ってるわけだし。まあ、スタッフルームへの出入りはちょっと軽率に感じるけど状況的に逃げ場が少なかったと考えれば仕方ないの範囲か。まあ、目くじら立てるような内容でもないしね。

 

 

「分かりました。じゃあ、皆さんには臨時スタッフとして会場内の案内とかをお願いします。お給料を出すといろいろ面倒が起きるんで、報酬はアキコさんが今夜の夕食を奢るって事でどうか」

 

「一也くん??? いえ、まあそれくらいなら良いけど」

 

「やった! ただめしだ!」

 

「ただめしただめし! ……あの、本当にそれでいいんです? 私ら、たんにちょっと手伝うだけのつもりで……」

 

「構いませんよ。アキコ社長、会社からってなると向こうのファンにどうしても私の関与が疑われるんで、アキコ社長名義で彼女たちにご飯を奢ってください。経費にするんで領収書はとっておいてくださいね?」

 

「分かったわ。じゃあ、今夜は前祝にパァーっといっちゃいましょう!」

 

 

 こういった細かい、けれども俺やアキコさんじゃないと対処できないようなトラブルに対処しながら全体の進捗を見ている鹿谷くんをフォローしたり、人員が足りない場所に応援に行ったり、追加で参加した賑やかしげふんげふん。ホログライブのVタレさんたちがスタッフと書かれたワッペンを付けた3Dモデルでどや顔で会場内の案内をしたり、それを見た同じく明日ライブに出演予定で、今日は遊びに来ていたはちじくじのVタレさんがやいのやいのと騒いだりと……やっぱり他所様の人員使うとトラブル多いな? いや、まぁアキコさんが楽しそうだから良いんだけどね、後でホログライブのマネージャーさんをつついてストレス解消くらいはやらないとな(鬼畜クマ成分)

 




更新の励みになるのでお気に入り・評価よろしくお願いします!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

チートハッキング能力を手に入れた浪人生、善性ゼロのまま世界を幸せにして復讐する~東大理三落ちの欠陥品は、政府と気まぐれ性格最悪女AIを使って現代社会の神になる~(作者:tinko1129)(オリジナル:現代/冒険・バトル)

東京大学理科三類へ落ちた平尾龍は、自分を人間失格と判定し、首を吊ろうとした。▼その瞬間、あらゆる電脳と機械へ絶対命令を下す【電脳神の右手】を獲得する。▼善性なし。社会性なし。コミュ力なし。▼人が人であるための三要素の無い自分は人ではないし生きる価値等無い▼それでも今度こそ理三へ合格し、人間だと証明する。▼そして受験勉強のストレス解消として、正規品の善人共より…


総合評価:4083/評価:8.49/連載:28話/更新日時:2026年09月14日(月) 20:00 小説情報

ドールマスターヒロシ(作者:我島甲太郎)(オリジナル:SF/冒険・バトル)

人形使いは木製のマネキン人形を召喚して戦わせる職業だ。▼ゴーレムより脆く、精霊よりも火力がない木偶人形にも一つだけ利点があった。▼それはレベルを上げていけば、人間並みの知能を得られるということ。▼――なら、人工声帯とオナホ仕込んで嫁にするしかないよね。▼そんな性欲に脳を犯された猿どものせいで風評被害に塗れたとある人形使いの少年は、ある日に飛び降り自殺を図って…


総合評価:2675/評価:7.93/連載:125話/更新日時:2026年09月20日(日) 18:00 小説情報

転生してイージーモード!(作者:ハニラビ)(オリジナル:現代/日常)

普通に生きて普通に死んだ男がチートを得て現代日本にTS転生したお話。作者はバカだからよぉ、難しい話は無しにしねーか?(ただのバカ)


総合評価:5392/評価:8.71/連載:25話/更新日時:2026年11月01日(日) 11:29 小説情報

俺の異能が中華ゲーだった ~34歳無職、ガチャで引いたキャラに変身して働きます~(作者:パラレル・ゲーマー)(オリジナル:現代/冒険・バトル)

YouTubeでも朗読動画を公開中!▼YouTubeで「俺の異能が中華ゲーだった」と検索してみてください。▼ ブラック企業を辞めて十一ヶ月。実家で無職生活を送っていた34歳の森川直哉の前に、ある朝突然、ゲームのような画面が現れた。▼ その名も《因果集結クロニクル》。▼ キャラクターガチャ、武器ガチャ、レベル、スキル、限定バナーに天井――どう見ても現代の中華系…


総合評価:8633/評価:8.42/連載:76話/更新日時:2026年10月28日(水) 22:59 小説情報

転生したら異世界の宇宙最強の龍でした!〜0から星と生命を作り出して一大文明の支配者になったので現代日本へ帰還します。自分は日本が一番暮らしやすい。〜(作者:電動ガン)(オリジナル:現代/コメディ)

目覚めたら無だった。何も無い。宇宙さえも。自分の身体を見る。銀色の甲殻、長い尻尾これモンスターだ!?よく見ると俺の他にも二頭のモンスターが。ドラゴンだこれ!!▼俺たち三頭の女神龍は宇宙創成の前の世界にいる。俺たちを生み出した主神の指示で世界を作り生命を繁栄させることとなったけど・・・・・・それ何年掛かるの?▼何億年も掛けて生命が宿れる星を何個も作り、失敗し、…


総合評価:2986/評価:7.61/連載:147話/更新日時:2026年10月22日(木) 10:01 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>