ブラック企業にすり減らされた社畜が主人公になれるアプリを手にしたらどうなるか→ 作:ぱちぱち
第三回VVVエキスポの初日が無事に終了した。
無事……まぁ大きな事故もなかったし無事と言って良いだろう。スタッフが途中でいきなり増えたりそのスタッフ目当てに客が居残るとか起きたり、また警備の方でも明らかに外国の諜報員かなって連中が何名か入り込もうとしたのをこっそりと捕縛したりと大変だったけれども終わり良ければ全て良し。恐らくマックス氏を狙っていただろう外国関連の諜報員は全てクラウザーさんに引き渡し、彼経由で米軍基地に連れていかれるそうだ。
なんで米軍基地? と思ったんだが、今回のこいつらは間違いなくヴァーイか可変型重機狙いの某国諜報員だからだとか。大使館よりも米軍基地の方がそういう連中向けの施設が揃ってるらしいんだけどどんな施設なんだろうね()
『明日はライブね! ライブよライブ! 私待ちきれなくて、皆と一緒に歌ったり踊ったりできるのが嬉しいわ!』
「あはは。楽しそうだねケイトさん。私、明日このケイトさんと一緒の舞台に立つのかぁ……全米オリコンチャート1位の化け物と……?」
「VSを取り巻く状況が去年と今年で激変してる……してない……?」
さて、初日の展示会が終わったとはいえまだまだ俺たちの仕事は終わらない。まぁ一般スタッフのケイトたちは近くに借りてあるホテルに帰らせて明日に備えさせてあるけど、俺の仕事はむしろここからが本番だ。明日の展示会はライブと同時開催となるため来場者数を絞っているが、スタッフもほぼ半減の状態で管理しないといけないからね。準備を今からしないといけない。
特にテコ入れしないといけないのは全体の進行だろう。今日、これを管理していた鹿谷くんことキチシカも明日の午後には舞台に立つため、午後の展示会場はVS社員の梟くんが見る事になる。彼は今日一日鹿谷くんの補助を行っていたから仕事の流れは理解しているだろうが、半減したスタッフで会場を回すのは大変だからね。
そのため今日の反省を踏まえて進行係を補助するためのシステム、ヴァーイを使った全体監視システムをくみ上げてなにか問題が起きた場所を即座に発見、先行してヴァーイが対処を行い、それでも対応できないときは進行係か近くのスタッフが駆け付けられるようにし、明日は進行係が全体の進捗に出来るだけ集中できるようにしたんだ。スタッフが対応できない場合は、まぁそれはもう仕方ないからね。進行係か俺かアキコさんが出張らないと解決できない話になる。あ、後は『ひばり』もか。あいつVVVアメリカの代表(笑)だしな。
その『ひばり』は普段の怠け癖がどこへ行ったのか、今回のVVVエキスポでは随分と働き者になって会場内を駆け回っている。どういう心境の変化かと思って聞いてみた所『祭りを楽しまないのは江戸っ娘の名折れですぅ!』と腕まくりして言っていた。VVVエキスポは仕事じゃなくてお祭りという枠組みのため精力的に働いているらしい。こっちとしては助かるのでそのままにしてあるんだが、普段全然絡む事が無いVVV日本やVSの社員が『ひばり』に対して「配信だと怠け者キャラなのに実際はこんなに真面目な人なんだなぁ」「流石はVVVアメリカの代表」と間違った印象を抱いている事にはちょっともやもやしてしまう。普段の『ひばり』をよく知ってるアメリカ側の二人は苦笑いを浮かべていたけどね。
第三回VVVエキスポ 最終日
今日も今日とて会場に入らなくても良いので、と何故か働きに来た「第五の男女たち」という謎のファングループが交通整理を行う中、来場者たちが会場に誘導されてやってきた。流石に何もなしには出来ないから彼らには全員分の交通費と飲食代を第五って彼らが呼んでいるVタレに預けて対応させてあるんだけど、いきなり黒ミサみたいな事が起きた時はちょっとビビった。他のお客さんの迷惑になるから止めろといったらピタリと止まったけど、どういう集団なんだろうね、あれは。
まあ朝一からトラブルこそあったが展示会場側は昨日より来場者数が減っている事もありなんとかうまく回りそうな状況だ。まぁ今日はライブ会場側が本番的な位置づけだしなぁ。なにか起こるとしたらこっちだろうかね。
今日のライブは前半が朝10時から昼1時、そして後半が昼2時から夕方の5時までとなっている。前半の構成はVS社員とVVVアメリカの3、じゃなくて4名。それにはちじくじからのゲストとなっている。VSの社長である俺にも出番はあるけどちょい役程度の予定だ。
そして午後。こちらはVVV日本とホログライブからのゲストが回す予定だ。前後にゲストが入っているのはVVV・VSの人員はどっちも出番がない時はスタッフやってるからだね。ゲストの枠でその辺の休憩とかを調整していたりするんだ。あと、純粋に持ち歌が足りないという事情もある。音楽メインのVVVガールズバンドやケイト&グランマは流石に大丈夫なんだけど、この2組に頼り過ぎると内容が偏っちゃうからね。
「はいじゃあ皆さんいっせーのーで。アキコさんサイコー!!!」
「いや急に何言いだすんですかシャチョー」
「「「「アキコさんサイコーーーーーー!!!!」」」」
「君らも乗るんかーい!!」
『クマコーくんはほんとうにおばかですぅ』
VSの社長であり前半組を率いる立場になる俺と前半の進行係である梟くん、そしてVVVアメリカの代表である『ひばり』の3名でライブ開幕の挨拶を執り行い、VVV初めてのライブイベントは始まった。
わいわいがやがやと騒ぐ観客たちに手を振って応えながら梟くんと『ひばり』が舞台袖に消えていき、舞台の上には俺だけが残される。その事に観客側からざわめきのような声が上がった。観客に配った今日のスケジュール表には開幕の挨拶の後はオープニングプログラムと書かれているため、俺一人が残った事に首をかしげているのだろう。
そんな観客のざわめきは、すぐさま歓喜の声に切り替わる。舞台袖から血まみれの受付嬢のコスチュームに身を包んだケイトが、血まみれなのにニコニコした表情でギターを持って現れたのだ。
そのまま何も言わずにギターを俺に手渡し、軽くハグをしてケイトは舞台袖に消えていく。と同時に、舞台袖から殺戮人形の立体映像が舞台に現れて向かって飛び跳ねて襲い掛かってくる。
その様子を横目で見ながら、俺はギターに手を添える。
「クマコー!」
「クマコー! クマコーだ!」
「クマコー・THE・MOVIEぃぃ!!!」
観客席から何度も何度も呼びかけられる声。クマコーと叫ぶ声。それらに思わず口角を釣り上げ、ギターをかき鳴らす。
お祭りは派手に行かないとな!
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