ブラック労働で過労死数歩前だった俺の心の癒しだった動画アプリがマジモンの神アプリだった   作:ぱちぱち

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第26話 ストーカー?

 最近アキコさんの機嫌がすこぶるいい。理由はまぁ幾つかあるが、一番は前よりも『メンチ』で居る事が多いからだろう。

 

 

「今日もね、彼ピと一緒に競輪を見に行ったんだけど南関ラインが良い仕事してくれたのよぉ! 勝ったお金で牛筋煮込みを一緒に食べてね!」

 

 

コメ:削除されました

コメ:元風俗のババアがよぉ(血涙)

コメ:削除されました

コメ:買い目教えてくれてサンクス。5万儲かった

コメ:そこらの予想屋より的中率が高いVタレがいるらしい

コメ:(英語)日本人はギャンブルが好きだって本当なんだな

コメ:削除されました

 

 

 とはいえこうやって配信中に彼ピ発言とかバンバンしまくって自分に着いた固定ファンの脳みそを破壊するのはもうちょっと低頻度にやってほしい所だが、こういうあけすけな配信スタイルがアキコさんとしては性に合っているらしい。鬼畜クマ野郎のプロデュース戦略としてもアキコさんには恋愛もギャンブルも酒もガンガンやってVVVという箱の風通しを良くしていってほしいようなので、これで良いそうだ。ユニコーンとか言われる厄介ファン対策になるらしい。

 

 これはVVV全体の数字も絶好調だから出来る所業でもある。アキコさん+『九十九あきら』によって運営されるVVV公式チャンネルは登録者数も50万人を突破しているし、この二人を1期生とするなら二期生に当たる後輩系女子高生Vタレの『雛まつり』と見習い占い師系Vタレの『揚羽みらい』、その師匠役である『リリーベル』。この2名+1の登録者数もそろそろ10万人を超えるほどに伸びている。

 

 急激に伸びたため間に合っていなかった収益化の申請も無事に通ったから、これまで無収益だった配信事業もようやく利益を出す事が出来るようになった。

 

 更に、この躍進の原動力となったVVVオリジナルの技術。立体映像投射機関連の特許が異例の速さで認可されたため、来月には特許利用料が会社に入ってくることになる。日本だけでなく米国などに本拠を構える大企業も立体映像投射機には強い関心を示しており、この特許利用料はかなりの額になる事が予想されている。

 

 こういう感じで仕事が順調なのもアキコさんの機嫌がいい理由の一つだろうな。

 

 だが、好事魔多し。

 

 物事が順調に進んでる時にこそ、トラブルというものは起きたりするもののようだ。

 

 

「ストーカー? それはネットストーカーとかその類の?」

「はい。あ、でもリアルでも知り合いだからちょっと違うのかな……?」

「顔見知りかぁ。それは、少し面倒ねぇ」

 

 

 配信を終えた後、ひなちゃんから「少し相談がある」と言われたため、配信部屋にある控室でアキコさんと一緒に聞き取りを行った所。どうも最近、彼女は同じ学校の同級生に付き纏われているらしい。

 

 

「練間くんっていう男の子なんですけど。高一の時に同じクラスで、図書委員で一緒だった子なんです。クラスが分かれてからはたまに喋るくらいの間柄だったんですけど最近、急にうちの店に来て……スマホで『雛まつり』の動画を見せてきて、声が同じだ。お前が『雛まつり』なんだろって言って、その……バラされたくなければ、僕と付き合えって」

「脅してきたと」

「……はい。私、違うって言って、嫌だよって言ったんです。そしたら彼、いきなり怒鳴り始めて。お父さんがつまみ出してくれたんですけど、それからずっと学校でも外でも付き纏ってきて。学校ではある事ない事言い始めたんです。あいつは色んな男に媚を売る売女だとか、そんな事言ってきて。友達が助けてくれるんで……だいじょうぶ、なんですけど」

「大丈夫じゃない。それは、大丈夫じゃないのよ、ひなちゃん」

 

 

 話している内に少しずつ涙声になっていくひなちゃんを、アキコさんが抱きしめる。抱きしめられた瞬間、ひなちゃんの瞳から大粒の涙が零れ落ちていく。そんなひなちゃんを、アキコさんは「怖かったね。辛かったね。私たちが守ってあげるからね」と言いながら、優しくあやすように背中を摩った。

 

 そんな二人の様子を眺めながら、小さくため息を吐く。

 

 認知度が上がっていけばこういうトラブルも当然考えられる。これらの対策のためにひなちゃん達には身バレに繋がる情報は言わないように厳重に言い含めていたし、うちの生配信は5秒ほど配信時間をずらして不適切な発言や身バレのリスクがある発言が出た場合は自動でピー音などが被せられるように機械的な処理もしている。ちなみにこのピー音処理のシステムを組んだのは『九十九あきら』で、このピー音処理を一番喰らってるのも『九十九あきら』であるが、まぁそんな事は置いといて。

 

 目の前で涙するひなちゃんを眺めながら、もう一度ため息を吐く。

 

 ――そのクソガキ、邪魔だな。

 

 そんな事を考えていると、頭の中に『じゃあ処理するか。沈めなくていいならすぐできるが』と若干幼い声が響いてきたため慌ててそんな気はないと言うと、『そうか。手っ取り早い手ではあるがリスクもあるからな』と若干そうじゃない発言が再び響いてくる。危ない、もう少しで高校生男子が一名行方不明になる所だった。

 

 今日は『セシル』が休みでよかった。もし仮に『雨宮かすが』をレンタルしてたら、この話を耳にした瞬間意識が飛んで気付いたら海辺でドラム缶を押していたかもしれない。いや、作中だと『雨宮かすが』はそういうことをやってないんだけどね? やった方が効率的なら本当にやりそうって凄みが彼女にはあるんだよ。

 

 レンタルしてないのになんで会話してるのかというと、この間『赤神さやか』が俺のベッドを破壊した時(恨み節)あたりから、レンタルしてない相手とも心の中で会話が出来るようになったからだ。

 

 『九十九あきら』曰く多分システムアップデートに伴って俺たちのリンク周りが強化されたとかなんとからしい。その影響かは知らないが、レンタルした相手の能力を若干扱う事が出来るようになった。いや、元々『坂東メンチ』をレンタルした時に霊感を覚えたりとかしてたし、他のレンタル相手の能力というか特技もちょっとだけ使える気はしたんだけどね。

 

 どのくらいのものかというと、強化前はレンタル元が100としたら1くらいの感覚。本当に気休め程度に、ちょっとその分野は触ったことあるなって位のものだったのが、今は10くらい扱えるって言えばいいのかな。霊とかもくっきり見えるようになったし、『九十九あきら』の助言があれば機械の開発や整備も出来る。『赤神さやか』のアレはどうなのかって? 試すために刺されるのは嫌だ。あ、でも身体強化はちょっと使えるか。

 

 

「一度、蛯名さんとも話をした方が良いですね。社長」

「そうね。今後についても話をしないと」

 

 

 ひなちゃんが落ち着いた頃合いを見計らってアキコさんに声をかけると、若干潤んだ瞳でアキコさんがそう返した。もらい泣きか。感受性が高い彼女らしい。

 

 アキコさん泣かせやがってクソガキがぁ。心の中の怒りのボルテージがググーンと上がってくる。『やっぱりやるか』って? やらないです。

 

 とりあえず、『雨宮セキュリティー』の人員でひなちゃん家周りの警備をお願いしないといけないかもしれんな。ストーカー犯罪はいきつくところまでいかないと警察も動かないことが多い。ひなちゃんが刺されたりすれば、アキコさんはきっと自分を責めるだろう。そんなアキコさんを見たくない。

 

 あとは……このクソガキの周りを少し洗ってみるか。『セシル』が戻って来たら一度相談してみよう。あいつの原作を考えれば良い助言をしてくれるはずだ。

 

 




山里一也(男)25歳


視聴履歴
『ドキドキ! 魔女っ子大戦争』(レンタル終了)
プレミアムレンタル権『不死鳥の魔女』(運営に怒られたので値上げしました。料金10円)
『煉獄列島』(レンタル終了)
プレミアムレンタル権『閻魔の地上代行人』(料金1000円)
『電脳歌姫ろっくんろー!』(レンタル終了)
プレミアムレンタル権『鬼畜クマネージャー』(料金30000円)
『九十九あきらは終末世界を諦めない』(レンタル終了)
プレミアムレンタル権『天災科学者』(料金:ひなちゃん家のご飯)
『安楽椅子の占い師』(レンタル終了)
プレミアムレンタル権『未来を知る者』(料金:1億円or生徒とのランチ権1回分)
『ドッペルゲンガー』(レンタル終了)
プレミアムレンタル権『もう一人の俺』(料金:週休2日三食昼寝付き週6万)
『世界最強の傭兵隊長だった俺が女子高生になった件について』(レンタル終了)
プレミアムレンタル権『生真面目系殺伐女子高生』のレンタル権を獲得しました(料金:組織)

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