最安10円レンタルチート ブラック労働で過労死数歩前だった俺の心の癒しだった動画アプリがマジモンの神アプリだった   作:ぱちぱち

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第34話 霊能者が怨霊になるとシャレにならない事になる

「なんでこんな詐欺師みたいな人たちにお金を払わないといけないの! あんた達の責任なんだからあんた達がなんとかしなさいよ! この人たちに払うお金がどこから出てるか分かってるの!? 平和のために今も毎日懸命に頑張ってる活動家への予算から削ってるのよ!?」

 

「ですから、知事。前回もお話しした通り、その活動家の皆さんからのクレームでして。彼らへの予算については道路補修予算からの付け替えで対応するとお話しした筈です」

 

『バリバリ聞いちゃいけない話が目の前で展開されてない?』

 

「これが沖縄なんで……」

 

 

 表に出したら間違いなく大問題になるような不毛な会話を繰り広げる県庁の担当者となぜか居た沖縄県初の女性県知事という事でちょっとテレビで見たことがある人とのやり取りを見た後、公務の時間だと秘書らしき人に連れていかれる県知事を見送る。

 

 

「大変ですねぇ」

 

「なんくるないさー(なんとかなる)で解決する問題じゃないのにねぇ。田井中さん、坂東さん、御見苦しいところお見せして申し訳ない」

 

 

 上原という名前の担当者さんはそう言って深々と頭を下げてくる。ブラック企業に勤めてた時代をほうふつとさせる、堂に入った頭の下げ方だ。邪魔もののせいで少し遅くなってしまったがようやく仕事の話に入れそうだな。

 

 

「今回お願いしたいのは南部にあるガマの一つでして。ガマは第二次大戦中に防空壕として使われていたものなんですが、そこで集団自決した人たちの中に複数人のユタが居たらしく」

 

『ああ……霊能者が怨霊になるとシャレにならない事になるからなぁ』

 

「はい。日本人は兎も角、外国人が近づくとそのまま衰弱死するなんて事が二次大戦中もあったみたいで。米軍統治下の時代は“悪魔の穴”として恐れられていた場所です。近隣のユタがなんとか被害を抑えて、日本返還後に内地から来た霊能者と一緒になんとか慰霊碑を作る事で力を弱めたんですが」

 

「その慰霊碑をお隣の国からのお客様が壊したみたいなんですよねぇ。二次大戦中の日本人を祭るなんてけしからん、とかなんとかいう理由で」

 

『それ、壊した連中どうなったんだ?』

 

「今も病院に居ますよ」

 

 

 あっけらかんとした口調で担当者さんはそう言って、この日はじめて見せる笑顔を浮かべた。この人もこの人で大分ストレス貯めてるみたいだなぁ。宮仕えは大変だ。

 

 さて、とりあえずの状況は確認できた。じゃあ、次は現地に向かいながら今回の仕事の本題。“どこまで出来るか、やってほしいか”の確認に入る。

 

 

「我々としてはせめて被害が周りに広がらない所まで霊障を抑えたいんです。知り合いのユタに話を聞いた所、封じるだけなら田井中さんなら出来る筈だと紹介を受けまして」

 

「あの知事が現職のうちは、ユタの皆さん、仕事受けてくれないみたいですねぇ」

 

「はい…………県民に死傷者が出れば皆さん、動かれるでしょうが。現在の被害者は悪く言えば平和学習できた他所の学生に活動家と、ないちゃー(内地の人)ばっかりですからねぇ」

 

『あ、あの活動家って沖縄の人じゃないんだ』

 

「8割くらいは選挙の時と抗議の時だけ県外から住民票を移してくる人たちですねぇ」

 

 

 そんな会話を交わしながら、上原さんが運転する車はサトウキビ畑の中を走り、やがて舗装された道路が途切れる所までくると、上原さんはそこで車を停めた。ここから先は舗装されていない獣道になるようだ。

 

 

「ここからは歩きになります。足元悪いんで注意してくださいね」

 

『はいよ』

 

「上原さん、ここから先は我々だけでも」

 

「大丈夫です。私も若いころはインドに行ったり色々経験しまして、自衛だけなら。それに今のところ、うちなーんちゅ(沖縄の人間)で倒れた人はいないんで」

 

 

 そう上原さんは笑うが、流石に先頭に立たせるわけにもいかないため『メンチ』と田井中さんの後ろに付いてくる形で道案内を頼む。まぁ、道案内も必要ないくらいに、ビンビンに気配を感じてるんだけどな。

 

 もしかしたら地獄とどこか繋がっているのでは、という位に強い霊力を孕んだ空気に、田井中さんが印を切って周囲に結界を張る。平気平気と言っていたが、こんな空気に直接晒され続けてたら普通の人は気分が悪くなるからな。

 

 けもの道を抜けると、そこには岩と岩の間に奥深く続く洞窟の入り口と、そのすぐ横に壊れた慰霊碑が見えた。慰霊碑の周りには補修用の建材や道具が無造作に置かれており、なんとかこれを修理しようとした痕跡が見受けられる。だが、まぁ。周辺を覆う空気を見るに、これはたまらんと逃げ出したんだろうな。

 

 

『あの知事さん。ここに連れてきたら考えが変わると思いますよ』

 

「あれでも県政のトップなんで。倒れられたら困るんです」

 

 

 ため息をつく上原さんの肩を叩いて励まし、一旦帰路に就く。今日はあくまでも下見であり、本番は明日になるからだ。

 

 上原さん側としては、怨霊を祓ってもらって成仏させられれば最上の結果であり、それが出来なくてもなんとか力を弱めたり封じたりして慰霊碑を再建し、元の状態に戻したいとの事。そのための用意は現場を見た通りだから、明日は俺たちがお祓いに入った後、許可が下りたらすぐに建築業者が入って慰霊碑を再建するのだという。

 

 もちろんそれは除霊が成功した後でも同じで、予備日の2日はこの工事期間にあてられる。要は明日で終わらなければ3日間俺と田井中さんは付きっ切りで建築業者を守らないといけないわけだ。

 

 

「それで、メンチくんの見立てではどうです? 私は明日からの3連勤を覚悟してますが」

 

『いや。まぁ、結構大変そうだけど多分なんとかなりますよ』

 

「その言葉、信じますからね? 私、“うみ♪ものがたり”のいこちゃんともう一度遊ぶって約束してあるんです! 明日は頑張って援護しますんで!」

 

『田井中さん……』

 

 

 アキコさんからは俺もこんな感じに見られてるんだろうか。ちょっと気になるが、絶対に聞きたくないな……

 

 

 




山里一也(男)25歳


視聴履歴
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