ブラック労働で過労死数歩前だった俺の心の癒しだった動画アプリがマジモンの神アプリだった   作:ぱちぱち

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第40話 一発当たれば短時間で億万長者だって夢じゃない!

 『NEET NOW』の新システムを調べてみると、どうやら同時に二つの作品を視聴する事が出来るようになるらしい。事情を知らなければスマホで二作品見るとか馬鹿じゃねーのと思うんだが、どう考えても俺の部屋に火柱立てて水浸しにしやがった女郎の仕業だろう。

 

 たしかにさ。そーいうの欲しいと思ってたし、もしそれが出来るなら俺もスッゲー楽になるんだけどさ。ありがたいんだけどさ。だがそれはそれとして俺の部屋を水浸しにした件については絶対に許さないからな?

 

 

『ごめんて。いやーイケると思ったんだけどさ! 依り代なしだとやっぱ秒で限界になっちゃうわ』

 

――絶対に許さねーからな??? 俺のお気に入りのベッドもマットからなにから全とっかえだからな???

 

 

 犯人はこのような供述をしており、この発言の後に他のプレミアムレンタル権者に総口撃を喰らっていたが自業自得なので割愛するとして、だ。

 

 

「実際に他の面々は出れそうなん?」

 

『無理。霊力を媒介に、とも思ったけどそもそも実体を持つことがムズすぎる。さやかの言葉じゃないが、依り代がないと数秒も現界出来ないだろーな』

 

「つまり俺って体がないと一瞬出てくるだけになるって事かぁ」

 

 

 頭の中で尋ねると、実際に試そうとしたらしい『メンチ』からそういった返答がくる。要は現実に体がないと複数レンタルしたって意味がないってことだ。

 

 

『ま、一般ピーポーの一也には分からないだろうけどね? この超知的魔女であるさやかちゃんには当然解決策があるわけですよ』

 

――うぜ

 

 

 あれ? じゃあこの機能追加マジで意味がないんじゃね? と素朴な疑問が頭をよぎるが、今回の新機能追加の立役者()である『さやか』にはどうやら腹案があるようだ。顔が見えないのに間違いなくどや顔を浮かべているんだろうな、というのが分かる声音で『さやか』は腹案を語り始めた。

 

 ろくな案じゃないのはもうこの時点で分かっているが、聞かなきゃ聞かないで面倒そうだからね。

 

 

『ようは一也の代わりの身体があればいいんでしょ? それなら話は簡単、人形を用意すればいいのよ! 意思のないホムンクルスがあれば一発解決! さやかちゃんアッタマ良い!』

 

――ホムンクルスなんて不思議存在は現世にはないんだけどね?

 

 

 そうして尋ねてみた案は案の定というべきだった。ホムンクルス? 生きた人形? 残念なことに俺のいる世界はハイファンタジー世界とは無縁なんだよ。ローファンタジーは、まあ、霊能者とか居るからあり得るけど。

 

 あ、いや、そうか。霊能者関係でそういうのがあれば聞いてみるって手もあるのか。呪いの人形とかそういうのがあるかもだし。

 

 

 

 

「人形、ですか。ええと、どんな感じの?」

 

「出来るだけ生きた人間に近いものが望ましいみたいなんですけど」

 

「うち、呪法は取り扱ってませんよ?」

 

 

 という事で田井中さんに色々オブラートに包んで相談してみたのだが、かなり変な勘違いをされたような気がする。まぁいきなり生きた人形なんて探してるって言われたらこういう反応にもなる、かな?

 

 

『別に本当に生きてるのが必要なわけじゃないわよ。出来るだけ元の形に近いものなら、関連付けて世界に自分を定義できるから』

 

――なるほど分からん。それ、サイズとかの指定もある?

 

『出来れば自分と同じくらいの大きさが望ましいわね。後は式神を作る時みたいに自分と関連付けるもの。そうね、例えば私の髪の毛の一部を人形の中に入れたりすればオッケーよ』

 

 

 田井中さんになんと説明するか窮していると、見かねたように『さやか』がそう頭の中で語り掛けてくる。自分を定義とかよくわからない単語が多いが、つまりは原寸大の『赤神さやか』のフィギュアなら良いって事かな。というか生きた人形とか人間サイズの呪いの人形とか用意しろって言われても絶対無理だからそれしか出来ないんだけども。

 

 

「あ。生きた人形てそういう。もー、一也くん。変な言い回しをしちゃいけませんよ。私、君が邪法に手を出して生贄用の人を探してるのかと思っちゃいました」

 

「……その誤解がとけてすごく、すごく安心してます」

 

「もしマジだったら私も流石にね。メンチくんと敵対する事になってでも止めないといけなかったんで。それで、用意したい実物大美少女人形のモデルを教えてもらえます? 私、良い職人知ってるんでお力になれますよぉ。抱き心地まで本物そっくりですから期待してください。ただしお高いですけどね?」

 

『あら、そんな人形が用意できるなんてこっちの世界もなかなかやるじゃない! 一也、金に糸目はつけるんじゃないわよ!』

 

 

 いつものニチャアっとした笑顔を浮かべて田井中さんは親指を立ててそう口にする。その笑顔になんとなくその人形の用途を察するが、まぁ。うん。どういう用途のものか言わなきゃ皆が幸せになりそうだしいっか。『さやか』も満足そうだしね。

 

 という訳で即金で田井中さん経由で“人形”を注文する事になった。モデルとして『さやか』の写真と全身のサイズを図って職人さんに渡した所、大体ひと月ほどで俺の家に『赤神さやか』モデルの“ラブドール”が俺の部屋に鎮座することになる。

 

 外観に至ってはほとんど手直しが必要ないくらいに細部まで作り込まれた逸品で、『さやか』曰くこの人形なら一日数時間は動くことも可能だ、との事である。ただ長時間動かし続けると人形が耐えられなくなるから制限時間はあるそうだ。

 

 そしてもちろんこの人形は完全に『さやか』用だから他のレンタル権者はミリも動けなかった。大体300万くらいする『さやか』のお散歩用の身体ってわけだな。

 

 ……よし。

 

 

「さやか、お前、小遣い抜き。自力で稼げ」

 

『はぁ!? ちょ、私のジャンボパフェは!!?』

 

「自分で働いた金で買え! 体あるだろうが!」

 

『セーフティ考えても1,2時間しか動かせないわよ!』

 

 

 獅子は我が子を谷から突き落として登ってこようとするたびに蹴落とすスパルタ式の教育をするという。俺もそれにならい、この無駄飯ぐらいげふんげふん。ただ飯ぐらいを働かせることにしようと思う。

 

 短時間で稼げるバイト? 良いのあるよ、配信業っていうんだけど一発当たれば短時間で億万長者だって夢じゃない!(鬼畜クマ成分)

 




山里一也(男)25歳


視聴履歴
『ドキドキ! 魔女っ子大戦争』(レンタル終了)
プレミアムレンタル権『不死鳥の魔女』(運営に怒られたので値上げしました。料金10円)
『煉獄列島』(レンタル終了)
プレミアムレンタル権『閻魔の地上代行人』(料金1000円)
『電脳歌姫ろっくんろー!』(レンタル終了)
プレミアムレンタル権『鬼畜クマネージャー』(料金30000円)
『九十九あきらは終末世界を諦めない』(レンタル終了)
プレミアムレンタル権『天災科学者』(料金:ひなちゃん家のご飯)
『安楽椅子の占い師』(レンタル終了)
プレミアムレンタル権『未来を知る者』(料金:1億円or生徒とのランチ権1回分)
『ドッペルゲンガー』(レンタル終了)
プレミアムレンタル権『もう一人の俺』(料金:週休2日三食昼寝付き週6万)
『世界最強の傭兵隊長だった俺が女子高生になった件について』(レンタル終了)
プレミアムレンタル権『生真面目系殺伐女子高生』(料金:組織)

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