最安10円レンタルチート ブラック労働で過労死数歩前だった俺の心の癒しだった動画アプリがマジモンの神アプリだった   作:ぱちぱち

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第41話 さっさと働けクマ公

 『さやか』の前でダッチ○イフだとかラ○ドールだとかが禁止用語になってから1月。

 

 

「予想以上だったわ」

 

『ふっふーん! 当たり前じゃない。可愛さが天元突破してるさやかちゃんとお話しできるんだから男なら誰だって喜び勇んでぱそこんにかじりつくわよ!』

 

「調子に乗るなって言いたい所だけどこれは乗ってもしょうがない」

 

 

 鼻高々といった具合に調子に乗りまくる『さやか』に一言いいたいところだが、うん。まさか配信初めて1週間で登録者が5万人を超えてくるとは。鬼畜クマ野郎が押してきたときはなに考えてんだこいつと思ってたんだが、『赤神さやか』が実際にVVVの機材を使って配信を始めたら鬼畜クマ野郎の考えが分かった。

 

 『赤神さやか』の配信は、アキコさんやひなちゃんとはまた違った意味で耳が離せない配信になる。これは、Vタレとしてやっていくうえで強い武器になるものだ。

 

 基本的に『さやか』は明るくて、自分勝手で、わがままな所がある女の子だ。魔女っ娘という概念を無視するなら、もしかしたらVVVに居る全Vタレを含めても一番女の子らしい女の子と言えるかもしれない。ひなちゃんは少し良い子過ぎる所もあるからな。

 

 そんな『さやか』の配信は、まぁ大体が破天荒だ。基本的に自分の興味がある事しか喋らないし、気に入らないコメントには噛みつくし、一度へそを曲げたら中々機嫌を直さない。

 

 だが、そんな極一般的な女の子らしい女の子の配信が、アキコさんの大人(意味浅)な配信や『九十九あきら』の専門知識マシマシ配信、それに全力で視聴者を煽り散らかす『リリーベル』みたいな問題児たちの中で、ひなちゃんと共に光り輝くことになる。

 

 ひなちゃんが手のかからない優等生な娘だとしたら、『さやか』は手がかかるわがままな娘といった具合だろうか。他の事務所に比べてVVV所属のVタレにつくファンは年齢層がかなり高めなため、そんな箱推しのファン層に『さやか』の配信はぶっ刺さったわけだ。

 

 さて、そんな『さやか』の成功を受けて、アキコさんは次の一手に乗り出した。

 

 

「鉄は熱いうちに打てって言うしね! この勢いには乗らなきゃ損でしょ! というわけでさやかちゃんに続く2期生をデビューさせたいんだけど!」

 

 

 と、いかにも軽い感じで2期生のデビューを言い出したアキコさんに、バイト兼運営補佐の鹿谷くんが問題点を指摘する。

 

 

「勢いに関しては同意しますが、デビューさせるにもタレント候補がおりませんしまずは募集から始めないと。それにモデルの用意……はあきらさんが居るから問題ないとしても、コンプラの研修なども行わないといけないのですぐにデビューというのは難しいですよ」

 

「あ、それは大丈夫。2期生はVタレ以外の社員全員だから」

 

「なるほど、2期生は……はい?」

 

 

 鹿谷くんの指摘にアキコさんは端的に答える。その内容に思わず呆けた鹿谷くんに向かって、アキコさんは自信満々といった様子で自身の草案、VVV事務所丸ごとVタレ計画について語り始めた。

 

 

 

 

 

「は、はいさーい。皆見えてるー? VVV2期生兼スタッフのマジカル☆ミキティーだよー……あ、あの。この名前変えたいんだけど」

 

 

コメ:駄目です

コメ:初配信でアンケートなんて取るから……

コメ:(英語)巫女も魔女も似たようなものじゃないのか?

コメ:流石に全然違うよ。シスターと魔女くらい違う

コメ:(ドイツ)その例えもどうかと思うが彼女は可愛い

 

 

「か、かわいいって照れるさー。じゃなくて、今日は社長がお出かけであきらちゃんも行方不明だから、通常配信はありません。ただこっちの常時配信は開いてるからねー」

 

 

コメ:仕事してるVタレを見る事務所、か……

コメ:立体映像投射機の無駄遣いここに極まる

コメ:(イタリア)可愛い女の子と可愛い動物を見れるから良いだろ

コメ:(英語)可愛い女の子はその通りだが可愛い動物とは。二足歩行の猪と鹿だぞ?

コメ:鹿が発狂して語り始めるのが面白くてずっと再生してるわ

 

 

 そしてその結果がこのマジカル☆ミキティーことみきちゃんが照れながらマイクに向かって語り掛ける姿に繋がっているわけだ。これだけだと何が起きているか分からないかもしれないが、要はVVVの事務所内を常に配信しているのだ。スタッフ全員にモデルを被せて。

 

 アキコさんがこの発想に至った理由は二つ。一つは常に監視カメラの映像を全世界に配信しているお店の動画を配信サイトで見かけた事だ。これを見てアキコさんはVタレ事務所には透明性が必要だと考えたらしい。

 

 他の事務所での話だが、Vタレ事務所はどうしても表に出てこない部分が多い。演者にパワハラをして崩壊したVタレ事務所もままあるし、演者と揉めて引退させたなどという話はそれこそ星の数ほど存在するのだ。事務所の内部が何をしているか分からないというのは、トラブルや視聴者からの不信を買う原因になる、かもしれない。

 

 あくまでもかもしれない、だ。だが、カメラに映る人間全てにモデルを被せるという他の事務所には絶対に出来ない技術があるからこそ、こういった試みをやってみるべきではないか、というのが一つ目の理由。

 

 二つ目の理由は、もっと単純だ。VVVは全てのスタッフがVタレとしての顔を持っている。つまりVタレオンリー、Vタレ最優先の事務所であるという他との差別化を図っているのだ。

 

 一つ目の理由にも被る部分があるが、視聴者はVタレのファンであってその所属する箱にはそれほど思い入れはない。箱推しなんて連中も箱自体ではなくその箱に所属しているタレントが目当てで箱全体を応援しているわけだが、その箱。つまり事務所が何かをしでかしてVタレに不利益が起きるのを、視聴者は非常に嫌がる。

 

 そのため、箱自体は応援するが運営する事務所は嫌いという人物も割と居るのだが、VVVの場合はそもそもスタッフ全員Vタレで常に働いてる姿も配信しているというオープン過ぎるほどにオープンな体勢を取っているため、不安に思う部分が存在しない。

 

 あ、いちおうそんな体制でやっててまともに運営できるのかって不安の声はあるか。ただ、基本的にVVVの経営は配信業の利益じゃなくてアキコさん(+メンチ)の資金力と『九十九あきら』の特許料でやりくりしてるから超安定してるんだよね。

 

 その辺の営業利益とか月別の会計なんかも公開すれば話題になるんじゃないか。一度メンバーシップとかそういうのでやってみるかアキコさんに提案してみるか。

 

 まぁ、そういう訳でアキコさんが提案し、音頭を取って実施した『VVV事務所丸ごとVタレ計画』は1月ほどの準備期間を置いて無事に完遂する事が出来た。先にデビューした『さやか』とスタッフ兼Vタレになった『マジカル☆ミキティー』ことみきちゃん、それに『しか』こと鹿谷くんと『シシ』こと猪上くんの“4名”がVVVの二期生という事になるわけだ。そう、4名。4名……

 

 

「一人足りねっすよ」

 

「大事な人が抜けてますねぇ」

 

「先輩、往生際が悪いさー」

 

「ええい、やかましい! 分かったよ! 5人だよ畜生!」

 

 

 他のスタッフに突っ込まれ、嫌々ながらも、自分の現状を、認めざるを得ない事態に追い込まれる。そうだよ、ちくしょう。全員Vタレって事は、つまり、俺もVタレにさせられた。

 

 Vタレのアバターはセンスの悪いクマのぬいぐるみ。つまり鬼畜クマ野郎のぬいぐるみだ。このモデルになった理由は、主にアキコさんとひなちゃんの断固とした主張によるものである。Vタレとしての名前は『きちクマ』。全ての悪意が詰まった名称だ。

 

 おかしい、こんな事は許されない。俺はただ『さやか』が二―トになるのが許せず、額に汗して働いてもらおうと配信業を勧めただけだったのに!

 

 

コメ:さっさと働けクマ公

コメ:(英語)さやかの新衣装についての意見申し込みが出来ないんだが

コメ:アキコさんに脳破壊されすぎてるんでそろそろASMRをだね?

 

 

 あ、はい。ご意見と報告ありがとうございます。対応した件についてはHPで発表しますのでそちらをご覧くださいね。

 

 

 




山里一也(男)25歳


視聴履歴
『ドキドキ! 魔女っ子大戦争』(レンタル終了)
プレミアムレンタル権『不死鳥の魔女』(運営に怒られたので値上げしました。料金10円)
『煉獄列島』(レンタル終了)
プレミアムレンタル権『閻魔の地上代行人』(料金1000円)
『電脳歌姫ろっくんろー!』(レンタル終了)
プレミアムレンタル権『鬼畜クマネージャー』(料金30000円)
『九十九あきらは終末世界を諦めない』(レンタル終了)
プレミアムレンタル権『天災科学者』(料金:ひなちゃん家のご飯)
『安楽椅子の占い師』(レンタル終了)
プレミアムレンタル権『未来を知る者』(料金:1億円or生徒とのランチ権1回分)
『ドッペルゲンガー』(レンタル終了)
プレミアムレンタル権『もう一人の俺』(料金:週休2日三食昼寝付き週6万)
『世界最強の傭兵隊長だった俺が女子高生になった件について』(レンタル終了)
プレミアムレンタル権『生真面目系殺伐女子高生』(料金:組織)

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