ブラック企業にすり減らされた社畜が主人公になれるアプリを手にしたらどうなるか→   作:ぱちぱち

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第69話 避ける、受ける、弾き返す

 銃は強い。高速で金属の塊をぶつけるわけだからそれは当然の話だ。もし無防備に銃弾を受けたりしたら達人である日華だってダメージを受けるだろう。では、このように複数の銃に囲まれた場合はどうすれば良いのか。

 

 答えは三つ。避ける、受ける、弾き返すである。

 

 一つ目の避けるは簡単だ。

 

 

『よっはっほっ』

 

「(トルコ語)駄目だ! 弾がすり抜けてる!」

 

「(英語)人間じゃねぇ! やっぱり、この女は悪魔なんだ!」

 

 

 射線という言葉があるように、銃というのは基本的に散弾でもなければ銃口が向いている方向に飛んでいくものだ。つまり、人が居て、構えている銃があるとしたらその銃口を避ければ球は当たらない。

 

 この場に居るのはたったの12名。そいつらが四方八方から狙っているといっても、所詮は母国を追い出され平和な日本じゃないと粋がれない程度の連中だ。連携すらまともに取れていない連中の銃撃は、日華ではなく自分たちの仲間に当たったりしている有様である。

 

 次に受ける。どうしたって避けきれない、そんな銃弾は指で受け止めればいい。達人の拳撃に比べればたかが鉛の礫なんて子供が投げる石ころにも等しい。優しく指で受け止めてぽろぽろと地面に零したら、最も近くにいた男が失禁したのが目に入る。バッチいな。

 

 そして最後の弾き返す。丁度今、失禁したバッチいのが居るからこいつにそれを使おう。日華が扱う拳法、空拳は空手と中国拳法を足して魔改造したような武術であり、多種多様な技が存在する。その中でも作中で最も使われた技の一つが“空回し受け”である。

 

 日華に向けて放たれる銃弾。それを正面から捉えて手のひらを向ける。銃弾が手のひらに当たる瞬間に円運動を加えて勢いを逸らしながら手のひらを回転させ、運動エネルギーの方向を変えると銃弾は日華ではなく失禁した男の方に向かって弾き返されていく。

 

 本来は撃った本人に弾き返すもので、まるで矢玉が空転していくような受けという事で空回し受けと名付けられたこの技によって、じょぼじょぼと小便をまき散らしていた男の右手が味方の銃弾に撃ち抜かれる。その光景に、それまでなんとか士気を保っていた連中の戦意は崩壊した。

 

 

『不味いなぁ』

 

――え。今の虐殺劇でなにか不満が?

 

『いやぁ、あーしは一也のきょーいく係だからねぃ。銃は本当は恐ろしいもんだって教えるつもりだったのに、これじゃあねぇ』

 

――全然怖くないしむしろ怖がられる方では?

 

『銃はねぇ、誰でも達人を殺せるおっそろしい武器なんだよ。こいつらは雑魚すぎたけど、使い手が使うとモー大変。あーしもマルコのガンブレイドアーツ(銃刀技)で死にかけたしなぁ』

 

――ああ。あのキザな奴。両肩射抜かれたんだっけ

 

 

 『日華』が主役を務める『拳創成期』というアニメには多種多様な武術を扱うライバルが登場し、その中には当然武器を扱う流派も存在する。マルコというのはそんな武器を扱う流派の中でも銃を主体とした技で構成された武術を扱う人物で、日華が一度敗れて再戦して倒した相手でもある。こんなチンピラとそんな達人を同一に語るのはイカンでしょ。齟齬が出まくる。

 

 日華の基準だとそれこそアメリカ軍にでも襲われないと銃の恐怖なんて感じないんじゃないだろうか。だからってアメリカ軍に突撃するのはよしてくれよ。流石に肝試しで喧嘩売る相手じゃないぞ?

 

 

 

 

 

 

 

「アキコと~」

 

「もち子の~」

 

「「ケミカルクッキングー! わぁ~!」」

 

「さぁ今日も始まりましたね! VVVの文句は私に言え! VVV代表のオーイシアキコと」

 

「え、じゃあホログライブにもっと立体投射機を売ってほしいなぁ! ホログライブ0期生、桜もちもちもち子です!」

 

「……もち子さん。そういうのは、ちょっと事務所通して欲しいかなって」

 

 

コメ:草

コメ:(ドイツ)本当はアキコに枕しに来たんだろう? 俺は日本の文化に詳しいんだ

コメ:(英語)ナチ公はむっつりしかいない

コメ:いきなり事務所案件。これは不味いですよ!

 

 

 さて、最近は暴力漬けの日々を送っていると思われてるかもしれないが、俺はれっきとした社会人。ちゃんと勤務時間は仕事に勤しんでいるため、今日も今日とて事務所で働いている……嘘です。ドッペルゲンガーのセシルに事務所に詰めて貰ってる間に暴力行為に励んでます。

 

 まぁ、そんな事はどうでもいいとしてVVVでは最近、アキコさんを筆頭にホログライブさんとのコラボ配信が増え始めている。きっかけはやっぱり立体投射機の提供とかすがを紹介した件だが、あれでホログライブ運営のカダー社はVVV、そしてVVVの背後にチラチラと見え隠れする『雨宮かすが』との繋がりを強めたいと考えているようだ。まぁ敵に回すと怖すぎるから敵対しないように動くのは頷ける。

 

 ただ、一つだけ疑問なのはなぜかカダー社さんから連絡がある時は大体俺を経由して話を通そうとする点だろうか。俺、あくまでも一社員であって決定権はアキコさんが握ってるんだけどね。結局話を纏めて要点をアキコさんに伝えるだけの伝書鳩だから俺を経由する意味はあんまりないんだけども何故か先方は俺を通して話を動かしたがるんだ。

 

 

『いや。どう考えても実務はオーイシアキコではなくお前が受け持ってると思うだろう、普段のアキコの配信を見ていれば。話を纏めて要点を伝えるというのはれっきとした技術だからな?』

 

――いやぁ、前職だと同じ部署の奴は全員この程度は出来てたからなぁ

 

『そんな人材を抱えて無駄にしていたんだから潰れるのも当たり前だな、前の会社は』

 

――確かに

 

 

 頭の中で語り掛けてくる『かすが』の言葉に、思わず納得してしまった。前に勤めていた会社はつい先月、経営陣の必死の努力も虚しく倒産することになった。同じ部署で苦楽を共にした仲間たちは会社都合の失職だとハローワークに駆け込んで失業手当で上手い飯を食べているらしい。働いてる時よりも金銭的に余裕があると連絡が来た時はちょっと笑ってしまった。

 

 ああ、そうだった。前職の話題のせいであんまり考えたくない事を思い出してしまった。

 

 前務めていたブラック企業で隣の席で一緒に仕事をしていた竹永が、何故かSNS上で自衛団(ヴィジランテ)を名乗って活動してるんだよ。どう扱えばいいんだ、これ。




山里一也(男)26歳


視聴履歴
『ドキドキ! 魔女っ子大戦争』(レンタル終了)
プレミアムレンタル権『不死鳥の魔女』(運営に怒られたので値上げしました。料金10円)
『煉獄列島』(レンタル終了)
プレミアムレンタル権『閻魔の地上代行人』(料金1000円)
『電脳歌姫ろっくんろー!』(レンタル終了)
プレミアムレンタル権『鬼畜クマネージャー』(料金30000円)
『九十九あきらは終末世界を諦めない』(レンタル終了)
プレミアムレンタル権『天災科学者』(料金:ひなちゃん家のご飯)
『安楽椅子の占い師』(レンタル終了)
プレミアムレンタル権『未来を知る者』(料金:1億円or生徒とのランチ権1回分)
『ドッペルゲンガー』(レンタル終了)
プレミアムレンタル権『もう一人の俺』(料金:週休2日三食昼寝付き週6万)
『世界最強の傭兵隊長だった俺が女子高生になった件について』(レンタル終了)
プレミアムレンタル権『生真面目系殺伐女子高生』(料金:組織)
『魂羽織』(レンタル終了)
プレミアムレンタル権『至高の人形師』(料金:人形作成・開発費)
『拳創成期』(レンタル終了)
プレミアムレンタル権『無双女帝』(料金:気持ちよく昼寝できる環境)

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