ブラック企業にすり減らされた社畜が主人公になれるアプリを手にしたらどうなるか→   作:ぱちぱち

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第72話 他人の財布なんて最高の娯楽だしな

「これほどの国士を一人孤独に戦わせていて良いのか!? 彼女は戦いをすべて自分で行い、他の者には一切手を出させていないんだぞ!? テレビを見ている貴方! これがどういうことか分かりますか!? 銃を持った凶悪な犯罪者を相手に素手で、相手を殺さずに無力化している女性が国に殺されようとしているのだぞ!!」

 

「なるほど。国愛さんは自衛団(ヴィジランテ)の活動を支持するという事ですね」

 

「支持ではありません! 暴力は犯罪、この前提は踏まえた上で彼女の活動に理解を示しているだけです! そして彼女の活動を見て、国民の皆さんに気付いてほしいだけなんです!」

 

「そもそも彼女が襲撃しているのは現行の警察が手出しできない相手ばかりであるのが問題です。自力救済しか手がない国民の代わりに、警察の、国の代わりに彼女が動いている。これは紛れもない事実で、国会が無視している部分です」

 

「愛国無罪ではありませんが、彼女の事をとやかく言うのなら早く無法状態の外国人対応を何とかしてほしい。それが国民の願いの筈です。そして神国日本の未来を――」

 

「なるほどですねぇ。国愛さん、右波さん、本日はありがとうございました。それではまた来週」

 

 

 

 

 月曜朝の名物、偏向報道ステーションの右側の方を見終わったアキコさんがピッとリモコンをオフにする。前の時間にある左側の方の番組を見てこちらの番組を見るのが、毎週月曜日の彼女のルーティンだ。

 

 

「やっぱりこの番組、おかしいわよね」

 

「おかしいですよねぇ」

 

 

 そしてそれを見終わったアキコさんと俺は毎回こういう感想を言い合っている。何回見てもおかしいって思うんだから仕方ないよね。俺が子供の頃のテレビはもっとこう真面目に……真面目……あれ。あんまり変わってないかもしれない。

 

 

「この、ええと。自衛団(ヴィジランテ)だっけ? このグループの事をかすがちゃんが言ってたから聞き覚えがあるなぁって見てたんだけど、これってリーダーの女の人が暴行で指名手配されてるのよね? その人を捕まえるってだけの話しじゃないの?」

 

「本当はそれで済む話なんですけどね。殴ってる相手も犯罪者だからややこしく感じるだけで両方捕まえろって話しですよ」

 

 

 まぁ、『日華』の方はまず捕まらないんだけどな。立体投射機で毎回違う顔にして、その上ハンカチで顔も隠してあるから体格くらいしか警察にも情報がないだろうし。いや、あの高身長爆乳体系はそれだけでもちょっとそこらじゃお目に掛かれない感じだけども。『あきら』も結構デカいと思ってたけど日華は本当に足元が全然見えないくらいデカいんだよな。視界がこれだけ遮られると日常生活も難しいはずなのに、逆に気配に敏感になって見なくても動けるようになったそうだ。

 

 それが格闘技にも役立って、『日華』をレンタルしてる時は半径5m以内にはどこに何があるか見なくても理解できるし、遠距離からこっちを狙っている際も殺気というか見ている感覚でそれを察する事が出来たりする。活動中に2回狙撃されたけど全部撃たれる前に察して避ける事が出来たんだ。まぁ、同じ感じの事は『メンチ』でも出来るんだけどね。あっちは霊感だから悪い事が起きる前に悪寒が背中を走るんだ。

 

 

『やめてくれない? 怖い話やめてくれない???』

 

『いや、まぁ。なんか危ない霊障と遭遇したら俺か一也が何とかするから、怖がらないで良いぞ?』

 

『そう言う問題じゃないんだよぉ……』

 

 

 『日華』と『メンチ』がじゃれ合っているのを脳内で聞きながら週末に届いていたメールを裁いていく。去年から作ってる自社ビルの計画も進んでいる。まあ、土地関連のトラブルもほとんどなかったし、近隣の家には事業協力費として毎月包んであるから住民トラブルもほとんどなしというのは大きいだろう。

 

 ただ、当初の予定よりも予算が増大するという普通では考えられない事情が起きたため、当初は10階建てくらいで考えていたのが50階建ての大型ビル計画になり、一旦計画の段階から練り直した分少し時間は経ってしまったが。

 

 大型ビル計画になってしまった理由はVVVの税金対策である。『あきら』が作った特許の利用料だけでこの大規模ビルの建設費用は余裕で賄えてしまうため、毎月近隣住民に事業協力費を配ったり、工事に従事してくれている建設作業員のために宿や食事を提供したり臨時ボーナスとして働く作業員さんに幾らか包んだりして出費を大きくしても焼け石に水レベル。

 

 しょうがなく『リリーベル』の助言に従って紹介された税理士さんに相談し、真っ当な活動をしているNPO法人に寄付したり、財政難だという児童養護施設に食料等を支援したりして税金の額を調整する。

 

 そしてこれらの様子が面白そうだからという理由で動画化され、「クマ公の今日のお仕事」というコーナーがオーイシアキコ&VVVチャンネル(最近改名した)で始まったのだが、始まってすぐに色んなNPOを名乗る団体や非営利活動法人となのる団体や宗教法人などから寄付の申し入れが入ってきたのはちょっと笑ってしまった。

 

 

「えー。様々な団体から寄付の申し込みがありましたが、過去の実績と細部まで会計を公表している事を確認した団体のみに弊社では寄付を行うようにしています。わが社もお金を配っているわけではありませんのでその点はご了承お願いします」

 

 

 

 

コメ:乞食多いな

コメ:(英語)人が困っているのに理由を付けて助けないのは人の道に反するのでは? http~なら安心して募金できるよ

コメ:(ロシア)VVVの財務状況とかがあれば判断がしやすいんだが

コメ:必要あるか? そもそも株式公開してない会社だろ

コメ:(英語)VVVは特殊な収益体制みたいだから興味はある

コメ:他人の財布なんて最高の娯楽だしな

 

 

 まぁ放置するのもアレだなと思ったので配信でこう宣言したのだが、寄付の良し悪しじゃなくてVVVの会計が見たいという声が結構多くて少し驚く。まぁ、普通の会社なら自社の会計状況なんて株主相手くらいじゃなきゃ出さないだろうしな。うち、株式非公開だし。

 

 とはいえ、それは普通の会社の話。この配信を見たアキコさんがにんまり笑っていたので、多分そのうち何かが起きるんだろう。決算の頃とかかな? 年度末はクソ忙しいから余計な仕事は増やさないで欲しいところだ。

 




山里一也(男)26歳


視聴履歴
『ドキドキ! 魔女っ子大戦争』(レンタル終了)
プレミアムレンタル権『不死鳥の魔女』(運営に怒られたので値上げしました。料金10円)
『煉獄列島』(レンタル終了)
プレミアムレンタル権『閻魔の地上代行人』(料金1000円)
『電脳歌姫ろっくんろー!』(レンタル終了)
プレミアムレンタル権『鬼畜クマネージャー』(料金30000円)
『九十九あきらは終末世界を諦めない』(レンタル終了)
プレミアムレンタル権『天災科学者』(料金:ひなちゃん家のご飯)
『安楽椅子の占い師』(レンタル終了)
プレミアムレンタル権『未来を知る者』(料金:1億円or生徒とのランチ権1回分)
『ドッペルゲンガー』(レンタル終了)
プレミアムレンタル権『もう一人の俺』(料金:週休2日三食昼寝付き週6万)
『世界最強の傭兵隊長だった俺が女子高生になった件について』(レンタル終了)
プレミアムレンタル権『生真面目系殺伐女子高生』(料金:組織)
『魂羽織』(レンタル終了)
プレミアムレンタル権『至高の人形師』(料金:人形作成・開発費)
『拳創成期』(レンタル終了)
プレミアムレンタル権『無双女帝』(料金:気持ちよく昼寝できる環境)

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