ブラック企業にすり減らされた社畜が主人公になれるアプリを手にしたらどうなるか→   作:ぱちぱち

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第77話 やっぱ良い事務所だよ、VVV

『なぁ一也! ちょっと米国いかない?』

 

「どうした、急に」

 

 

 季節は過ぎ、VVVに二度目の冬がやってくる。暴力漬けの日々から解放された俺は仕事仕事の忙しい日々を送っていた。嘘だ。実は結構暇である。なんせ俺には頼りになる『ドッペルゲンガー』が居るからな。一人でやる作業を二人で行っている分、楽になるのは当たり前のことだ。

 

 その『ドッペルゲンガー』こと『セシル』が急に国外へ行きたいと言い出したのは、そろそろクリスマスシーズンになるかという時期だった。

 

 アニメ『ドッペルゲンガー』の主人公である『セシル・ファラウェイ』は自身と全く同じもう一人の自分を創り出す超能力『ドッペルゲンガー』を持った男だ。魂羽織が出来るまでは俺の身一つでレンタルした全員の役割を担っていたから、『セシル』が居なければ多分俺はブラック企業勤めの頃よりも過酷な日々を送っていたに違いないだろう。

 

 そのため『セシル』が米国に。まぁ、原作の『セシル・ファラウェイ』は米国に長い事住んでいたから地元に帰りたいとかそういう理由なら、別に認めても良いんだけども。

 

 

「お前、金はどうするの? こないだ『さやか』と一緒に天皇賞とジャパンカップでアカガミスキーに突っ込んで全財産持ってかれたんだろ」

 

 

 あの時は酷かったなぁ。『さやか』の奴、配信を見てるリスナーに『目ぼしいライバルも一回まぐれで負けた白いのしか居ないわね! アイツも最近は着外ばっかだし! 鉄板よ鉄板!』とイキリまくって配信で稼いだお金を全額突っ込んだ秋の天皇賞は結局シロノマキバオーが1着になり2着。続いてジャパンカップでは入ってきた一か月分のお給料を丸ごとかけてまたシロノマキバオーに負けて二着。配信を見ていたリスナーにも煽られまくり、発狂する『さやか』をなんとか宥めるのにほぼ半日もかかったんだ。

 

 その時に確かこいつも全く同じ買い目をしていた筈なので、間違いなくこのギャン中ドッペルゲンガーも金は残っていないはずだ。そもそも毎週渡してる週給6万円も次の週には残っていないような奴なんだから貯金なんてまずないだろう。

 

 

『なぁ、一也』

 

「おう、なんだよ」

 

『本当の事だからって、なんでも口にしていいわけじゃないと思うんだ。俺』

 

「やかましいわこのギャン中」

 

『ギャンブル中毒じゃねぇよ! アカガミスキーがさ、パドックで俺に語り掛けたんだよ! 「俺は強い! 俺は勝つ!」って! 目がそう語ってたんだよ!』

 

 

 実際にG1で2着なんだから弱いわけじゃなかったよな、という言葉は口にしなかった。流石にそこまで口にすると戦争だからな。ところで米国に行くのは構わないんだが旅費は結局どうすんだ。お前金がないだろ?

 

 ……レンタルでなんとかならないかって? 移動系の能力……あれば便利だろうけど、入出国の手続きを素で飛ばそうとするんじゃない。お前、原作だと国連のエージェントなんだろうが。

 

 

『え、一也くんとセシルくんアメリカ行くの!? じゃー私も一緒に行きたいなー! お迎えにプライベートジェットも用意してくれるって言われてるからお手軽だよ! お手軽!』

 

 

 なんとか金を使いたくないセシルとそれを突っぱねる俺の闘いは、『あきら』という第三勢力の出現によってうやむやに終わる。なんでもツブヤイターのオーナーが以前から自動翻訳機を使わせて欲しい! 米国で一緒に仕事をしないか! それが駄目でもせめて技術協力を! と熱烈にアプローチをしてきているらしく、夏に行ったVVVエキスポでも本人がわざわざやってきて自動翻訳機を使わせてくれ! と言ってきていたそうだ。

 

 

『VVVを作ってすぐくらいの頃から立体投射機とか自動翻訳機を使わせてくれって言ってた人だからね! 私も名前は憶えてたし、でもアメリカに1人でいくのは嫌だったからどうしよっかなーって思ってたの。一也くんとセシルくんが居るならごえーも完ぺきだし良いかなって!』

 

「お前……お前は、すっげぇデカい商談を雑に振ってくるんじゃない! 『セシル』。出張って事なら仕事の一環として滞在費用も出るがどうする?」

 

『う、ううぅぅぅ。面倒そうだが、背に腹は代えられん。機材関連はまだ勉強中だぞ?』

 

「米国滞在中はお前は元の『セシル・ファラウェイ』として行動してくれ。護衛って名目で」

 

 

 苦渋の表情を浮かべる『セシル』にそう告げて、頭の中で用意する資料や機材についてを巡らせていく。これ、下手をしなくても全世界で展開しているSNSアプリ、ツブヤイターの自動翻訳機能作成って事だから、正式契約になったらとんでもない金額がVVVに入ってくるんじゃなかろうか。もちろんその分責任はグッと上がるんだが、『あきら』が手掛けているものは現行の翻訳機の中では最高性能を誇るものだ。しかもつい最近、日本の警察や入管が『あきら』製翻訳機を採用したというデッカイ実績まである。

 

 これは、銭の匂いがする。また儲かり過ぎて再来年の税金が心配な事になってしまいそうなほどに。ただ、それ以上に厄ネタじゃないかという心配も同じくらい存在しているから。『セシル』を巻き込むのはもう確定事項だ。米国で事が起きた時の事を考えると、在住経験がある人間は頼りになるしね。

 

 あ、後はアキコさんに暫く出張しますって言っとかないと。そうなると各企業に導入した立体投射機のメンテを鹿谷くんや猪上くんにお願いする事になるんだが、まぁ、機材導入はまだ怪しくても設置後のメンテくらいなら、VVVの機材で経験を積ませてるし問題ないだろう。

 

 しかし、米国かぁ。初めての国外が仕事での渡航になるとは思わなかったなぁ。そもそも国外に出る事自体一昨年まで考えてなかったし。人生ってのは本当に予想外の出来事ばっかりだ。

 

 

 

 

【未来技術】VVVとかいう化け物企業について語るスレ 381スレ目【立体投射機】

 

1:名無しのV

立てました

 

次スレは950踏んだ奴

 

6:名無しのV

配信内容と技術力がまるでかみ合わない

なんであの配信内容であんな技術の無駄遣いしてるんだアイツら

 

16:名無しのV

たべるちゃんのお料理配信は最高だろ

ちゃんと料理中の手元までVのガワ被ってるから本当にたべるちゃんが作ってるようにしか見えない

 

31:名無しのV

桃源郷ろくこちゃんのギターめちゃめちゃ上手くなったよな。手元まで再現してるからちゃんと上達してるの分かるし

俺も経験あるけど半年くらいであそこまでになるとは思わなかった

 

56:名無しのV

俺もVVVに入社してぇ! くさりちゃんが語ってた福利厚生凄すぎるだろ

 

73:名無しのV

でも職場にクマが居るのはちょっと……ワンパンでピンボールみたいになるぞ

 

90:名無しのV

むしろそのクマが重要なんですがそれは

 

99:名無しのV

クマ公をブラック労働で潰しかけたっていう前歴の会社も凄いけどそのクマ公を一本釣りして全権任せて九十九あきらを連れてこさせたオーイシアキコとかいう運極振りの女

 

107:名無しのV

資本金は馬で稼いだと豪語する女だ。面構えが違う

 

132:名無しのV

1期生が受験で露出減ったのは悲しいけど、2期生も3期生もなんだかんだ面白い奴ばっかだしやっぱ良い事務所だよ、VVV

 

 

 




山里一也(男)26歳


視聴履歴
『ドキドキ! 魔女っ子大戦争』(レンタル終了)
プレミアムレンタル権『不死鳥の魔女』(運営に怒られたので値上げしました。料金10円)
『煉獄列島』(レンタル終了)
プレミアムレンタル権『閻魔の地上代行人』(料金1000円)
『電脳歌姫ろっくんろー!』(レンタル終了)
プレミアムレンタル権『鬼畜クマネージャー』(料金30000円)
『九十九あきらは終末世界を諦めない』(レンタル終了)
プレミアムレンタル権『天災科学者』(料金:ひなちゃん家のご飯)
『安楽椅子の占い師』(レンタル終了)
プレミアムレンタル権『未来を知る者』(料金:1億円or生徒とのランチ権1回分)
『ドッペルゲンガー』(レンタル終了)
プレミアムレンタル権『もう一人の俺』(料金:週休2日三食昼寝付き週6万)
『世界最強の傭兵隊長だった俺が女子高生になった件について』(レンタル終了)
プレミアムレンタル権『生真面目系殺伐女子高生』(料金:組織)
『魂羽織』(レンタル終了)
プレミアムレンタル権『至高の人形師』(料金:人形作成・開発費)
『拳創成期』(レンタル終了)
プレミアムレンタル権『無双女帝』(料金:気持ちよく昼寝できる環境)

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