最安10円レンタルチート ブラック労働で過労死数歩前だった俺の心の癒しだった動画アプリがマジモンの神アプリだった 作:ぱちぱち
「え、アメリカに出張? 良いわよ。でも年度末前には戻ってこれるのよね? 一也くん抜きだと大変な事になっちゃうんだけど」
「うち、会計経験者が俺だけですからねぇ。さすがに1月以上は拘束されないと思いたいですが」
降って湧いてきた大仕事についてアキコさんに相談すると、割とあっさりと許可を頂く事は出来た。ただ、現状うちの会社だと会計責任者が俺になっちゃうので年度末を迎える前には戻ってきてほしいと念押しされてしまったが。年度末。考えたくない言葉だ。年末調整だけでも結構手間だというのに。
まぁ、うちの会社は基本給+技能給+歩合制という頭の悪い制度を採用しているため仕方ないんだが、非常に会計処理がめんどくさいのだ。というかこの際だからアキコさんに許可取って外注でこの辺片付けた方が良いんじゃないだろうか。アキコさんも「明朗会計ってこの業界だと珍しいのよね? これって話のネタになるかしら」とか言ってたし簡単に許可はくれそうな気がする。
さて、ワンマン社長の許可を貰えたためアメリカ行きはゴーサインが出たと言っても過言ではない。とはいえ流石に年末のクッソ忙しい時期に米国に行くわけにはいかないので、出張自体は年明けになるだろう。
忙しい理由は単純で、クリスマスシーズンってのは普通のVタレ事務所にとってはかき入れ時だからだ。当然つい最近導入された立体投射機は順番待ちの連続使用が当たり前。そうなってくると各業者さんがメンテしてーメンテしてーとヘルプを入れてくるわけで、必然的に最初に話がやってくるのは俺になる。
「メンテとかはもう、十分そっちで出来ますよね……?」
「いやー。うちの人間も少しずつ慣れてはいるんですが、山里さんが手を入れた場合とじゃ全然動きが違うんですよねぇ。やっぱり調整の腕の差なのかなぁ」
俺の質問にハチジクジさんの担当者が答えになっているのかなってないのか微妙な言葉を口にする。現在、日本のVタレ事務所で立体投射機を導入している会社は6つあり、どこもそれなりの大手で機材担当の人も居るため自社内でメンテナンスは出来る筈なんだが、どうにも彼らのメンテナンスだと動作が不安になるらしい。
というのは多分口実なんだろうな。というのも、メンテナンスを終えた後は毎回決まって各社のお偉いさんと多分Vタレの中の人(大体美人さん)を交えた食事会が行われているからだ。多分、Vタレが純粋に好きな人は大喜びする場なんだろうが残念な事に他社のVさんはもち子さんとポン子さんしか名前を知らないんだよな、俺。
そしてその場で毎回聞かれるのが「今の待遇に満足されてます?」である。
もちろん毎回「大満足です!」と満面の笑みで応えてるんだけどね。だって会社に行ったらアキコさんが居るんだからそれだけで十分すぎるほどなのに、給料もガンガン貰えてるんだから。多分、うちの会社の社員の給与は他社の数倍は貰えてるんじゃないかな? Vタレ含めても。
なんせVタレ専属もスタッフ兼任も含めて基本給は支払われるし、これだけで多分そこらの会社の正社員並みの給料なのにスタッフは+で技能給も付くし配信をした場合その収益も諸々手数料を除いた6割くらいの金額が入ってくる。だから3期生なんかもそろそろ専属になるか聞いてるんだが、全員がなりたくないと答えてるくらいだ。
その辺の事を話すと俺を勧誘するはずの一緒に食事していたVタレの中の人が食いついてきてちょっと面白かったけど。まぁ他所のVタレは個人事業主が事務所と契約している方式らしいけど、うちの場合は社員扱いで契約してるからね。そこの違いは大きいんだろう。その辺詳しく聞きたいから、とVタレさん達から名刺を貰ったりしたけど、流石にこっちから引き抜きはしないからね?
クリスマスから始まる年末シーズンは色々大変だった。まずVVVはアキコさんというガチ恋キラーコンテンツが存在するため基本的に恋愛関係はオープンなのだが、流石に3期生の面々は「クリスマスイヴは彼ピッピと過ごすから配信はしないわ!」と配信中に口にする度胸がなくちゃんと皆でクリスマスパーティー配信を行った。食堂全体を使ったこのパーティーの準備のため事前に材料を手配し、またパーティー準備という名目で今日くらいはと受験勉強から解放されたひなちゃんと蝶子ちゃん等の他のVタレも参加して会場設営や料理を作り、パーティー本番にはもち子さん等の最近関りが増えてきた他箱のVタレをご招待したりして中々の盛り上がりだった。
ただ、招待したVタレの一人があんまりにも酔っ払って爆睡し、VVVの事務所の仮眠室に放り込んだは良いものの夜に予定していた自分の配信をブッチする事態が発生。配信開始時間に画面に映されたのは準備されたクリスマスケーキとチキンの映像だけとなり、ファンが放った「チキン冷めたね」がトレンド入りする事となる。
一番悪いのは招待したお客にアルハラちっくな絡み方をしたアキコさんなので、この件に関してVVVは全力で謝罪する姿勢を見せ、年末の寒い時期に「どーもすみません」「いえいえこちらのタレントも」というVタレ事務所同士の頭の下げ合いがSNSで起きた。
そしてクリスマスが過ぎれば当然年越しまではノンストップだ。ライブ感を大事にするアキコさんが事前に動画準備なんてするはずもなく、VVVは行き当たりばったりのスケジュールをこなしていく。まずは年末のお馬さんカーニバルこと有馬記念で、アキコさんは今の自分があるのはこの子のお陰だ、と配信中にシロノマキバオーの引退レースに1000万一点賭けの応援馬券を購入。更に毎回惜しい所で外すという事で界隈では2着予想師として頼りにされ始めている『さやか』が、今度こそはという面持ちで有り金の半分をアカガミスキーに賭け、残りの半分で悔しそうに歯噛みしながらシロノマキバオーとアカガミスキーの馬連を購入。
そしてこの引退レースでシロノマキバオーは見事一着となり秋古馬三冠を達成して引退。流石に今回は一番人気となっていたため配当は2倍程度だったが、アキコさんは見事に大金を手にし、馬連のお陰で『さやか』はこの秋の負け分はなんとか取り返せた。
年末にデカい取れ高を取って二人が話題をかっさらうと、続くように『あきら』が全自動そば打ちマシーンなるものを発明してその動画を配信。このマシーンで作るそばが本当に美味しそうで、ライバル視したVVVの料理長こと満腹たべるちゃんとそば打ちマシーンでそば打ち勝負なるものが発生。これを料理系インフルエンサーがこぞって「マジで本格的」「VVVの食堂行ってみたい」と絶賛。
話題が続く中、たべるちゃん以外の3期生4人が負けてなるものかと奮起し、練習していた楽器を使って演奏してみたという名のちょっとしたゲリラミニライブを行い、ドラマーが居なかったのでしょうがなく俺が代打でドラムに入って何曲か演奏。途中で気付いたたべるちゃんが疎外感を募らせて突撃してきたので結局3期生でのゲリラライブになり、演奏はまだまだだったが彼女たちのファンからすると非常に楽しい時間をお届けして、大晦日。
年越しは配信という寄りは事務所で常設している常設カメラで、年越しの事務所の風景を映して除夜の鐘を聞き、解散して。まぁ本当に駆け抜けた年末であった。
そしてそれが終わって三が日はゆっくりと過ごし、少し短くなった年末年始休暇を取った後手配して貰ったプライベートジェットで俺たちは米国に旅立つ――
『いつ出発するの? 準備は出来てるわ!』
「お前は行かねーよ」
のだが、その前にこの勘違い魔女っ娘を家に叩き返さないとな。なんでアロハシャツ着てんだよ。ハワイに行くわけじゃねーぞ?
山里一也(男)26歳
視聴履歴
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プレミアムレンタル権『不死鳥の魔女』(運営に怒られたので値上げしました。料金10円)
『煉獄列島』(レンタル終了)
プレミアムレンタル権『閻魔の地上代行人』(料金1000円)
『電脳歌姫ろっくんろー!』(レンタル終了)
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『九十九あきらは終末世界を諦めない』(レンタル終了)
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