最安10円レンタルチート ブラック労働で過労死数歩前だった俺の心の癒しだった動画アプリがマジモンの神アプリだった 作:ぱちぱち
渡米してから二日目。今日はマックス氏が手配してくれた超高級ホテルで目を覚ます。
なんかベッドが色々次元が違うというか、毛布にくるまった瞬間に眠ってしまいそうなくらいに寝心地が良い。なんでも止まる人の体格に合わせて枕から毛布から事前に準備しているらしい。事前に申し込めば体質まで考慮した寝具を持ってきてくれるらしい。ホテルというよりも甲斐甲斐しい世話役の居る家みたいな感覚だろうか。
さて、『あきら』は『セシル』を伴ってマックス氏が保有するスペースシャトル打ち上げ施設を見に行っているため、今日は俺一人でケイブマン女史とのお話合いだ。昨日はマックス氏の保有する各企業にどのような形で『あきら』製自動翻訳ソフトを扱うか、どのくらいの規模になるのかの話し合いで終わってしまったため、本日からは本格的にどのように導入するか、契約内容はどうなるかについての話し合いになる。
のだが。
『…………実は、折り入ってミスターヤマザトにお願いしたい事があります』
『お願いですか? 内容によりますが、それは今回のビジネスに関わりのある事でよろしいでしょうか』
『いえ、今回のビジネスには関りがなく。いえ、もしかしたら後々関わる可能性がありますが、いま現在においてはごく個人的な事になります。実は、立体投射機について非常に興味を持っていまして』
『ああ、なるほど!』
そう言えば昨日、『あきら』の配信を見たことがある節の発言をしていたな。となるとあの技術は見て見たくなるだろう。ここはセールスポイントかもしれないし、軽く実演くらいは良いだろう。
あわよくば交渉のペース取りに役に立つかもしれないしね。そう考えながら持ち込んでいたノートPCを開いて少し時間が欲しい旨ケイブマン女史に伝えると、女史は快く同意してくれた。よし、じゃあ少し準備だ。
ノートPCでシステムを立ち上げ、そこから無線で身に着けている機材に指令を流す。事前に準備していれば体につけている機材だけで操作できるんだが、立ち上げた瞬間はパソコンから機材を起動しないと使えない。
機材が立ち上がった瞬間、胸元と腰につけてある立体投射機から光が放たれ、俺の外観がセンスの悪いクマのぬいぐるみに切り替わる。今や界隈ではパンチャークマ公と呼ばれる拳の持ち主だ。半年近く経つ今でもクマパンチミームが流行ってるからな……いつになったら風化するんだ、このミームは。
俺がクマ公の姿に変わった瞬間、目の前に座るケイブマン女史がぎょっとした表情を浮かべ、ごくりと唾を飲み込むのが見えた。まぁ、いきなり変わるからな。初見だとそうなるのも頷ける。出来るだけ柔らかい声音になるように気を付けながら、声をかける。
『大丈夫ですか、ケイブマンさん』
『はい。あの、殴ってもらうことはできますか?』
『なんて???』
いきなり飛んできた発言に思わずそう問い返すと、ケイブマン女史ははっとした表情を浮かべた後。大きく深呼吸をして、きっと表情を引き締めてもう一度口を開いた。
『パンチされている動画を撮影しても良いですか?』
『(俺が捕まりそうなんで)ダメです』
真面目な顔してなにを言ってるんだこの人は。そう思いながら要望を拒否するも彼女は本当にしつこく、フリで良いので撮影させてくださいとわざわざ録音と動画まで撮影しながら言ってきたので、本当にしょうがなく彼女の右頬に拳を当ててクマパンチ写真を撮影。友達に自慢します! と大層喜んで貰えたのは良いんだが、本当になんだろうな。この徒労感は。
紆余曲折ありながらもなんとかケイブマン女史との打ち合わせは終わった。最終的に参加企業全てに導入する事は決定しているが、いきなり全ての業務に新機能を、というのは不具合があった時が怖い。そのため各企業の1割ほどの部署に導入してどのような形で各企業に導入するかは今後、各企業からの報告によって決めるという方針になった。はい、これで継続的に渡米する理由が出来たね。
まぁ、これについては問題ないというか『日華』がアイツ大手を振って歩ける環境が欲しいとちょっと思ってたんだ。俺と『かすが』の都合に付き合ってくれた彼女だけに負債を押し付けてる形になるからね。
という訳で米国での継続的な仕事にかこつけてこっちにも拠点を持とうという話になり、アキコさんに国際電話をして報告すると俺が戻ってくるなら別に構わないと言われる。流石はアキコさん、器が広い。
『それは君が信頼されてるからだと思うがね。同じ下に支えられる経営者としては。あ、なんならうちの土地の一部貸そうか? 僕も使ってる掘立小屋キットは便利だよ。500万でそこそこ立派な小屋が作れるから!』
『上下水道引いていいなら是非お願いしたいですね』
次に問題になった事務所の場所だが、そこは今回のホストであるマックス氏が提供してくれた。しかも新築の掘立小屋付きだ。
なんでも彼は米国有数の大富豪なのに小さな掘立小屋に住んでいるらしく、この掘立小屋はなんと500万円くらいで購入・設置できるんだとか。サーバー等はマックス氏側で用意するため米国側の拠点はそれほど大きくなくても良いし、住み心地がいいならこれで十分じゃないだろうか。
後必要なのは米国内のVVV支社立ち上げ等を任せる相手だが、それはマックス氏経由でこっちの専門家を雇ってやってもらえばいい。米国の法律に詳しい人材なんてこっちで用意するのは難しいしね。
そして最も大事な、米国で活動するVVVの社員だが。実はすでにうってつけの人物を用意してある。
――という訳で頼んだぞ、ひばり! 英語出来るんだろ?
『無理無理無理無理無理! 私、私高卒でテレポーターになったからドレス着てお偉い人と晩さん会なんて出来ないよ!』
――想定する無理難題が限定的すぎない???
俺の頭の中で無理無理とうるさいこいつは、新しくプレミアムレンタル権を取得した転移能力者の三沢ひばり。原作は『テレポーター三沢ひばりは平穏に過ごしたい』というアニメで、大学受験に失敗したショックでテレポート能力に目覚めた三沢ひばりが超能力が存在するが秘匿されている世界でなんとか自分の能力を使って金を稼ぎたい、でもバレたら不味いから大っぴらに使えないというジレンマと戦いながら平穏な日常を求めるコメディ作品だ。多分。他の超能力者が割とバイオレンスな思想の持主ばかりで主人公以外は割とバイオレンスな感じになるけど、彼女の周りだけはコメディだから間違いない筈。
この娘の能力はそのものずばり。超能力でも最も有名と言っても過言じゃないテレポートなのだが、ひばりは多分こういう能力系の中でも非常に便利で強力な部類の能力者になる。なにせ一度行った事のある場所なら地球の裏側でも時差なく、無機物も有機物も運べるし、作中ではダンプカーを丸ごと運んだりしているため結構な大きさの物でも移動できるのだ。
この能力を使って日本と米国を往復する足になってくれれば良い。それだけでも十分だと思っていたのだが、なんとひばりは作中で結構長く外国に行ったりするから英語も喋れるのだ。能力を隠して使用する事にも慣れていて、英語での会話も出来る。英語の読み書きは出来ないがうちの場合文字に関しては自動翻訳機を使えばいいから全く問題なし!
後は魂羽織の用意が終われば米国支社の代表が誕生するという訳だ。うんうん、今回の渡米は色々事前の準備が台無しになるような事態があったけど、最後の最後で準備通りに話が進むと気持ちいいね!
『私は! 気持ち良くない! 平穏な日常が! 上流階級との身分の差! 軋轢! イジメ! 私のスローライフがぁぁ』
――ちなみに米国は勤務時間もかっちりしてるから夕方以降は自由時間だし、主な仕事は向こうの要求をこっちに丸ごと投げるメッセンジャーだから基本的に事務仕事もほぼ発生しない。つまり来客時以外は基本自宅待機みたいな仕事になるんだけど。
『やる!!! ます!!!』
俺の一言でいきなり態度を180度変え、ひばりが脳内で足元にすり寄ってきて俺の靴を磨くイメージが湧いてきた。面白れぇ女だな、こいつ。
山里一也(男)26歳
視聴履歴
『ドキドキ! 魔女っ子大戦争』(レンタル終了)
プレミアムレンタル権『不死鳥の魔女』(運営に怒られたので値上げしました。料金10円)
『煉獄列島』(レンタル終了)
プレミアムレンタル権『閻魔の地上代行人』(料金1000円)
『電脳歌姫ろっくんろー!』(レンタル終了)
プレミアムレンタル権『鬼畜クマネージャー』(料金30000円)
『九十九あきらは終末世界を諦めない』(レンタル終了)
プレミアムレンタル権『天災科学者』(料金:ひなちゃん家のご飯)
『安楽椅子の占い師』(レンタル終了)
プレミアムレンタル権『未来を知る者』(料金:1億円or生徒とのランチ権1回分)
『ドッペルゲンガー』(レンタル終了)
プレミアムレンタル権『もう一人の俺』(料金:週休2日三食昼寝付き週6万)
『世界最強の傭兵隊長だった俺が女子高生になった件について』(レンタル終了)
プレミアムレンタル権『生真面目系殺伐女子高生』(料金:組織)
『魂羽織』(レンタル終了)
プレミアムレンタル権『至高の人形師』(料金:人形作成・開発費)
『拳創成期』(レンタル終了)
プレミアムレンタル権『無双女帝』(料金:気持ちよく昼寝できる環境)
『テレポーター三沢ひばりは平穏に過ごしたい』(レンタル終了)
プレミアムレンタル権『ハードラックテレポーター』を獲得しました(料金:休日)
更新の励みになるのでお気に入り・評価よろしくお願いします!