ブラック企業にすり減らされた社畜が主人公になれるアプリを手にしたらどうなるか→ 作:ぱちぱち
VVVが社員旅こげふんげふん。米国研修旅行に来て3日目。
マックス氏が自社で運営するSNSプラットフォーム“ツブヤイター”でVVVと共同開発したAI、『ヴァーイ』を発表した。このヴァーイはツブヤイター上で質疑応答等ユーザーの補助を行う他、イロリー・マックス氏が経営する自動車会社“コメット”のオペレーティングシステムや宇宙開発企業“スペースジャンボ”の業務補佐などを行っていくと発表した。
この発表をした当初、反応はそれほど良いものではなかった。マックス氏は自身のツブヤイターで結構色々言うタイプで、大きな事を言っては失敗する、という事も結構あったからだ。はいはい、だとかまたいつものが、という具合の反応が多かったわけだな。
それにマックス氏が口にした『ヴァーイ』の性能も良くなかった。と言っても性能が悪いという意味じゃなく、性能が高すぎるという意味で。現実感がないと少しでも知識があるものなら思ってしまったわけだ。マックス氏が抱えるAI開発者たちは一流の人材ばかりだが、だからこそ彼らの事を良く知る他のAI開発者たちや有識者たちは『ヴァーイ』を彼らが開発できるとは思わなかったわけだ。
流石にこれはフカシすぎだろう。実際に出てくる性能はここまでではなさそう。一人一人に応対を変えるAI? そんなもの誰が作れるんだよ。データはどうする、アルゴリズムは。いくらでも出てくる批判にも似たコメントを眺めながら、マックス氏はほくそ笑んでいた。
この流れは1時間後に投稿されたマックス氏のツブヤキで一変する。
『メイン開発者はアキラ・ツクモです』
その瞬間、比喩抜きでツブヤイターというプラットフォームがざわめいたように感じた。マックス氏のツブヤキには瞬く間に万を超えるイージャン!がつき、リツブヤキも瞬く間に増えていった。
批判をしていた有識者たちも「いや、アキラはAI専門じゃないだろ」という意見と「だが、彼女はロボット工学が専門だと言っている。当然AIの知識もあるのでは」と言った意見。それに「アキラなら何を出してきてもおかしくない」という意見が混ざったコメントがあふれ出し、マックス氏のツブヤキはあっという間にトレンドを総なめするほどに拡散されていく。
『あぁ~……やっぱり何度やってもバズは気持ちいい。その内ガンにも効きそうだ』
『イロリー、ガンは自然治癒が極めて難しい病気です。早めの健康診断をお勧めします』
『HAHAHA! ありがとうヴァーイ。落ち着いたらうちで雇ってる医者に診てもらうよ』
会話の経験を積むという名目ですっかりヴァーイとのやり取りにドはまりしているマックス氏は、片時も彼女のデータが入ったタブレットを手放そうとしない。なんなら会議中にもヴァーイと会話をしているらしい。傍から見ると大丈夫なのかと心配になる状況だが、その会議に参加していた社員さん曰く、このヴァーイとの会話がどうもマックス氏にはかなりプラスの要因になっているらしい。
というのも、マックス氏が持ち歩いているタブレット内のヴァーイは常にマックス氏のネットワークと繋がっているため、会社内部の情報を尋ねたらその瞬間に答えを返してくれるというのだ。それこそ昨年度の各社の決算情報から人員の数、更には在庫のボルトの数までだ。データがあるものなら尋ねた瞬間に応えてくれるというのは、会議の進行を大きく助けてくれるものである。
更に、演算能力の高さを生かして会議に参加した人間のアイデアや提案がどのような結果になるかの予測なども需要や売り上げも含めて計算してくれるため、会議が終わるころには参加者全てが自分のタブレットにヴァーイを入れる事を望んだほどだ。
『流石に今は手が回らないが、将来的にはヴァーイのライセンス販売も考えたいね。企業・個人共にこの子を欲しがる者は沢山いる筈だ!』
「まぁ、そうでしょうね。これは便利だ」
ヴァーイは既存のAIに比べて非常に柔軟な思考を行う事が出来る。既存のAIだと良く起こるあたかも事実のように嘘の回答を行うという事が無いのだ。分からない事にはちゃんと分からないと言い、不確かな事には「これは不確かな情報を元に構築したものです」と口にする。自分が間違えている可能性を考慮に入れる事がヴァーイには出来る。
つまり、自己認識と反省をするという事がヴァーイには可能なのだ。これをお出しされた瞬間、AI開発者たちがメンタルブレイクしたのもまぁ分かる。既存のAIの回答は確率に基づいた単なる文章生成の仕組みともっともらしい返答を優先する学習データの蓄積によるもので出来ていた。だが、ヴァーイは問いかけに対してそれを受け止め、自身で考えて返答を行う。そして誤っていれば何故間違ったかを反省し、修正するという事を自身で行える。
学習データの積み重ねではなく、正しく自分で考えて自分で答えを得る事が出来る。人類が追い求めた人工知能の一つの完成形がヴァーイなのだ。こんなもん出されたらそれまでの自分の積み重ねはなんだったのかと嘆きたくもなるだろう。
そしてそれを分かっているから、マックス氏は彼らにこのヴァーイの自社内での実装作業を任せたし、今後も彼らをこのヴァーイの開発・発展のために雇い続けるつもりである。これから先、基準はヴァーイとなるからだ。
1906年。英国が創ったドレッドノートという戦艦は、その余りの性能からそれまで活躍していた戦艦たちを「前ド級戦艦」という呼び名に貶めた。ドレッドノート以降は全ての戦艦がドレッドノートを意識した『ド級戦艦』として開発されていったのだ。
ヴァーイも同じだ。これまで開発されてきたAIたちは全て『ヴァーイ前』となり、今後開発されるAIは全てヴァーイを軸に開発されていくのだろう。そして、彼らは『ヴァーイ後』の時代に適応しなければいけない。マックス氏はそう考えている。
変革の波が、見えている。マックス氏はそれにいち早く気付いたのだ。開発者である『あきら』も手伝った俺も気づかなかった時代の流れを彼は見ている。これが一代で世界有数の金持ちにまで上り詰めた、世界一金を持っているデブの才覚か。俺も最近、ネットとかでチートクマとか言われるけどこの人こそチート持ちってやつだろ。もしくは人生2周目。
山里一也(男)26歳
視聴履歴
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プレミアムレンタル権『不死鳥の魔女 赤神さやか』(運営に怒られたので値上げしました。料金10円)
『煉獄列島』(レンタル終了)
プレミアムレンタル権『閻魔の地上代行人 坂東メンチ』(料金1000円)
『電脳歌姫ろっくんろー!』(レンタル終了)
プレミアムレンタル権『鬼畜クマネージャー マネージャー』(料金30000円)
『九十九あきらは終末世界を諦めない』(レンタル終了)
プレミアムレンタル権『天災科学者 九十九あきら』(料金:ひなちゃん家のご飯)
『安楽椅子の占い師』(レンタル終了)
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プレミアムレンタル権『もう一人の俺 セシル・ファラウェイ』(料金:週休2日三食昼寝付き週6万)
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プレミアムレンタル権『生真面目系殺伐女子高生 雨宮かすが』(料金:組織)
『魂羽織』(レンタル終了)
プレミアムレンタル権『至高の人形師 人形残夢』(料金:人形作成・開発費)
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プレミアムレンタル権『ハードラックテレポーター 三沢ひばり』を獲得しました(料金:休日)
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