ようこそ戦わなければ生き残れない教室へ   作:仮面の観測者

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第14話 黄金のライダー

――キイィイン

 

 さっきまで勉強会で使っていたノートを見ていた基山は、現在寮の階段で下に降りていた。

 1階まで降りた。ちょうどエレベーターも1階で止まった。出てきたのは制服姿の一之瀬である。

 

「基山君!」

 

「一之瀬さん!」

 

 一之瀬が駆け足で基山に近付いた。2人は頷き合い、耳鳴りが示す場所へと向かっていく。寮を出た瞬間、基山と一之瀬の目の前に生徒がいた。

 

「綾小路?」

 

「基山か。それと……」

 

「私は一之瀬帆波。それで、こんな所で何をしているのかな?」

 

「……」

 

 綾小路は無言でポケットからナイトのカードデッキを出す。それに反応を示した一之瀬もポケットからライアのカードデッキを見せた。

 

「君もライダーだったんだね」

 

「ああ」

 

「それで、なんで綾小路はここに俺らより早くいるんだ?」

 

「……鏡面を見てみろ」

 

「「っ!」」

 

 基山と一之瀬は綾小路と共に鏡面を見る。そこには堀北鈴音が仮面ライダーファムとして戦っていた。相手はミラーモンスターではない。黄金のライダーであった。

 

(仮面ライダーオーディン!?)

 

 基山は驚くのも無理はなかった。何故ならオーディンは全ライダーの中で一番強い。今の自分達では勝てる見込みは無かった。よく見れば、相手は瞬間移動で相手の背後に回り、ファムに攻撃している。それ以外の行動は何もしていない。

 

「最初から堀北の攻撃は当たらなかった。瞬間移動をするようになってからはダメージを追うばかりだ」

 

「いったい誰と戦っているの……?」

 

「……堀北学生徒会長だ」

 

「嘘、でしょ……」

 

 一之瀬は驚いたように目を見開いた。基山も動揺はしたが、冷静になって状況を自分なりに分析しようとしていた。

 

「(同じ苗字だとしたら)……堀北さんと生徒会長って、兄妹だったりするのか?」

 

「そうだ」

 

「だとしたら、どうして兄妹で戦っているの?」

 

「……原因は堀北の兄貴、生徒会長の言葉に反論したところからだ」

 

 綾小路は説明する。前提として綾小路は偶然堀北を見つけて、そのまま後を追った。そのまま寮の裏手で会話をするところを聞いていた。

 堀北(妹)は兄に追い付くためにこの学校に来たこと、Aクラスに上がると言った。しかし堀北(兄)はAクラスを目指す力も資格もないと返した。それに対して、堀北(妹)はカードデッキを切った。

 

『力ならあります。この力で……Aクラスを目指します。そして、兄さんに――』

 

『なら試してみるか? 本当にAクラスへ上がれるほどの力と資格があるのか』

 

 堀北(兄)は同じくカードデッキを出して、兄妹の戦いが始まった。

 

「このままでは、堀北の兄貴は堀北を倒すかもしれない」

 

「そんな!?」

 

「……俺は、戦いを止めるよ」

 

「基山君……」

 

 基山はこの戦いで何が正しいか分からなかった。兄妹喧嘩としては度が過ぎている。それに、戦いの中でも分かり合えないなんて悲し過ぎる。どんな考えで戦っているとしても、基山は止めたかった。

 

「……2人はどうする? 俺だけでも止めに行くけど無理強いはしない。だって、怖いだろ。あの黄金のライダー」

 

「基山は分かっているのか。あのライダーには勝てないと。それでも行くんだな?」

 

「ああ」

 

「なら、私も行く。私だって、戦いを止めたい気持ちは一緒だから」

 

「……堀北の説得はどうする」

 

「「あっ……」」

 

 そのことについては考えてなかった2人。綾小路は少し呆れた表情をしながら会話に加わる。

 

「なら、堀北の説得はオレに任せろ。一応、友達と思っているからな」

 

「頼んだぞ、綾小路。一之瀬さんは自分自身を第一で考えて」

 

「「分かった(よ)」」

 

 3人は寮の裏手に回る。鏡面に向かってカードデッキを前に突き出した。Vバックルが実体化。ポーズを取った。

 

「「変身」」

 

 カードデッキをVバックルに装填。仮面ライダー龍騎、ナイト、ライアへと変身した。3人はミラーワールドへと突入する。

 

 ライドシューターから降りて、堀北兄妹のライダーバトルに乱入する。

 

「あ、貴方達! 邪魔しないで!」

 

「……堀北のことはオレに任せろ」

 

 龍騎とライアは頷いてオーディンと対峙した。

 

「こんなことはやめて下さい!」

 

「これ以上戦う必要は無いはずです」

 

「お前達。……確かにお前達が来た以上戦う必要は無い……と言うと思ったか。ライダーである以上、戦う理由はそれだけで構わない。せっかくだ、お前達の力を試してやる」

 

「やるしか、ないんですか!?」

 

 ライアの言葉をあえて無視したかのように殺気を浴びせるオーディン。その重圧に龍騎とライアは一歩引きそうになる。それでも……引きたくない理由があった。こんな兄妹喧嘩は止めたいから。

 

「一之瀬さん、やろう」

 

「……分かったよ!」

 

 2人はアドベントカードを引いて、それぞれのバイザーに装填する。

 

【SWORD VENT】

 

【SWING VENT】

 

 龍騎はドラグセイバー、ライアはムチ型の武器エビルウィップを装備する。

 

「背中は任せた!」

 

「! うん!」

 

「たああああ!」

 

 龍騎は単独で突撃する。ドラグセイバーを振るったがオーディンは瞬間移動して回避。だけどこれは予想の範囲内であった。

 

「やああああっ!」

 

 ライアがエビルウィップを振るう。オーディンの背後からの攻撃であったが、振り返ってエビルウィップを掴んだ。

 

「なるほど、シンプルながらよく考えられている。しかもライダー同士でありながらコンビネーションを仕掛けて来たか。ならば……」

 

 オーディンはエビルウィップを放した直後に瞬間移動。龍騎とライアは探してみると横にいた。

 

「今度はこちらから攻めてみるか」

 

 瞬間移動はせず走ってくる。龍騎は近付いて来るオーディンに接近してドラグセイバーを振り下ろす。が、その前にオーディンの突き出された拳が龍騎の胸元に当たる。少し離れたが接近して顔面を殴打した。

 

「がはっ!?」

 

「基山君!」

 

「余所見をしている場合か?」

 

「っ! やああああっ!」

 

 ライアはエビルウィップを振るうがオーディンは瞬間移動で回避。後ろを振り向けばオーディンがおり、ライアの胸元に強烈な拳の一撃を叩き込んだ。

 

「あぐっ!?」

 

 後退して両膝を地面に着いてしまうライア。龍騎もなんとか片膝で立っていた。

 

「……どうする? このまま戦うか?」

 

 オーディンの言葉に龍騎は必死に考える。このまま戦っても勝算は0だ。……勝利する条件がオーディンを倒すことならの話だが。戦いを止めるために来ているから、後は時間切れか綾小路の説得を待つことが勝利条件。

 

「まだ、戦えるか?」

 

 龍騎は立ち上がる。

 

「勿、論、だよ!」

 

 ライアも立ち上がった。オーディンはその様子をただ見ているだけ。龍騎とライアは武器を持って構えた。

 

「もうやめて!」

 

 すると横から大きな声が聞こえた。ファムが大きな声を出して、そのまま割り込んでくる。傍にはナイトの姿もあった。

 

「私の、負けです。それでも、Aクラスに上がることは諦めません……」

 

「……時間切れだ」

 

 時間切れを告げるようにファムとオーディンの一部から粒子が出てきた。5人は元いた場所から現実へ戻っていく。

 

「「……」」

 

「どうした?」

 

「いや、なんでもない」

 

 基山達は気付かずナイトとオーディンだけがこの場にいたもう1人のライダーの視線に気付いていたことを知らなかった。

 

 

 

 現実へと戻ってきた5人。堀北(兄)は4人に視線を向けた。

 

「まさか鈴音に友達がいたとは思わなかった」

 

「彼らは……友達ではありません。彼女に至っては別クラスです」

 

「相変わらず孤高と孤独を履き違えているな。……それから、お前達、名乗ってくれ。忘れたくない」

 

「基山真司です」

 

「……綾小路清隆」

 

 基山と綾小路は素直に名前を名乗った。堀北(兄)は口角を上げる。

 

「お前達がいれば、少しは、いやだいぶ面白くなりそうだ」

 

「オレなんかより、基山の方が面白いですよ」

 

「綾小路!? なんで俺を売るんだ!?」

 

 綾小路と基山の言葉を聞いて場が少しだけ和んだ。ただ、堀北(兄)が真面目な口調で話し続ける。

 

「上のクラスに上がりたければ、そしてライダーバトルに生き残るためには、死にもの狂いで足掻け。それがお前達全員に言えることだ」

 

 堀北(兄)は去って行く。少しの静寂が過ぎた後、基山が言葉を出す。

 

「取りあえず、戻ろっか」

 

 基山達は寮へと戻る。その途中、綾小路が堀北と話があるとのことで、基山と一之瀬は先にエレベーターへと乗った。

 

「大丈夫か? 痛いところとかは……」

 

「大丈夫だよ。基山君の方も大丈夫?」

 

「俺も大丈夫だ。……でも、お互い無茶したな」

 

「うん。だけど、このくらい平気だよ」

 

 一之瀬の言葉からちょっとだけ危うさを感じ取る基山。この程度の無茶を続けるつもりなのだろうかと考えてしまう。だから、少しだけお節介をした。

 

「いつでも頼って良いからな。お互い倒れたら心配するだろ?」

 

「……ふふっ。そうだね。じゃあ、もし私がピンチだったらお願いするね」

 

「ああ」

 

 基山と一之瀬はエレベーターで別れるのだった。




仮面ライダーオーディン 生徒会長:堀北学

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