――キイィイン
さっきまで勉強会で使っていたノートを見ていた基山は、現在寮の階段で下に降りていた。
1階まで降りた。ちょうどエレベーターも1階で止まった。出てきたのは制服姿の一之瀬である。
「基山君!」
「一之瀬さん!」
一之瀬が駆け足で基山に近付いた。2人は頷き合い、耳鳴りが示す場所へと向かっていく。寮を出た瞬間、基山と一之瀬の目の前に生徒がいた。
「綾小路?」
「基山か。それと……」
「私は一之瀬帆波。それで、こんな所で何をしているのかな?」
「……」
綾小路は無言でポケットからナイトのカードデッキを出す。それに反応を示した一之瀬もポケットからライアのカードデッキを見せた。
「君もライダーだったんだね」
「ああ」
「それで、なんで綾小路はここに俺らより早くいるんだ?」
「……鏡面を見てみろ」
「「っ!」」
基山と一之瀬は綾小路と共に鏡面を見る。そこには堀北鈴音が仮面ライダーファムとして戦っていた。相手はミラーモンスターではない。黄金のライダーであった。
(仮面ライダーオーディン!?)
基山は驚くのも無理はなかった。何故ならオーディンは全ライダーの中で一番強い。今の自分達では勝てる見込みは無かった。よく見れば、相手は瞬間移動で相手の背後に回り、ファムに攻撃している。それ以外の行動は何もしていない。
「最初から堀北の攻撃は当たらなかった。瞬間移動をするようになってからはダメージを追うばかりだ」
「いったい誰と戦っているの……?」
「……堀北学生徒会長だ」
「嘘、でしょ……」
一之瀬は驚いたように目を見開いた。基山も動揺はしたが、冷静になって状況を自分なりに分析しようとしていた。
「(同じ苗字だとしたら)……堀北さんと生徒会長って、兄妹だったりするのか?」
「そうだ」
「だとしたら、どうして兄妹で戦っているの?」
「……原因は堀北の兄貴、生徒会長の言葉に反論したところからだ」
綾小路は説明する。前提として綾小路は偶然堀北を見つけて、そのまま後を追った。そのまま寮の裏手で会話をするところを聞いていた。
堀北(妹)は兄に追い付くためにこの学校に来たこと、Aクラスに上がると言った。しかし堀北(兄)はAクラスを目指す力も資格もないと返した。それに対して、堀北(妹)はカードデッキを切った。
『力ならあります。この力で……Aクラスを目指します。そして、兄さんに――』
『なら試してみるか? 本当にAクラスへ上がれるほどの力と資格があるのか』
堀北(兄)は同じくカードデッキを出して、兄妹の戦いが始まった。
「このままでは、堀北の兄貴は堀北を倒すかもしれない」
「そんな!?」
「……俺は、戦いを止めるよ」
「基山君……」
基山はこの戦いで何が正しいか分からなかった。兄妹喧嘩としては度が過ぎている。それに、戦いの中でも分かり合えないなんて悲し過ぎる。どんな考えで戦っているとしても、基山は止めたかった。
「……2人はどうする? 俺だけでも止めに行くけど無理強いはしない。だって、怖いだろ。あの黄金のライダー」
「基山は分かっているのか。あのライダーには勝てないと。それでも行くんだな?」
「ああ」
「なら、私も行く。私だって、戦いを止めたい気持ちは一緒だから」
「……堀北の説得はどうする」
「「あっ……」」
そのことについては考えてなかった2人。綾小路は少し呆れた表情をしながら会話に加わる。
「なら、堀北の説得はオレに任せろ。一応、友達と思っているからな」
「頼んだぞ、綾小路。一之瀬さんは自分自身を第一で考えて」
「「分かった(よ)」」
3人は寮の裏手に回る。鏡面に向かってカードデッキを前に突き出した。Vバックルが実体化。ポーズを取った。
「「変身」」
カードデッキをVバックルに装填。仮面ライダー龍騎、ナイト、ライアへと変身した。3人はミラーワールドへと突入する。
ライドシューターから降りて、堀北兄妹のライダーバトルに乱入する。
「あ、貴方達! 邪魔しないで!」
「……堀北のことはオレに任せろ」
龍騎とライアは頷いてオーディンと対峙した。
「こんなことはやめて下さい!」
「これ以上戦う必要は無いはずです」
「お前達。……確かにお前達が来た以上戦う必要は無い……と言うと思ったか。ライダーである以上、戦う理由はそれだけで構わない。せっかくだ、お前達の力を試してやる」
「やるしか、ないんですか!?」
ライアの言葉をあえて無視したかのように殺気を浴びせるオーディン。その重圧に龍騎とライアは一歩引きそうになる。それでも……引きたくない理由があった。こんな兄妹喧嘩は止めたいから。
「一之瀬さん、やろう」
「……分かったよ!」
2人はアドベントカードを引いて、それぞれのバイザーに装填する。
【SWORD VENT】
【SWING VENT】
龍騎はドラグセイバー、ライアはムチ型の武器エビルウィップを装備する。
「背中は任せた!」
「! うん!」
「たああああ!」
龍騎は単独で突撃する。ドラグセイバーを振るったがオーディンは瞬間移動して回避。だけどこれは予想の範囲内であった。
「やああああっ!」
ライアがエビルウィップを振るう。オーディンの背後からの攻撃であったが、振り返ってエビルウィップを掴んだ。
「なるほど、シンプルながらよく考えられている。しかもライダー同士でありながらコンビネーションを仕掛けて来たか。ならば……」
オーディンはエビルウィップを放した直後に瞬間移動。龍騎とライアは探してみると横にいた。
「今度はこちらから攻めてみるか」
瞬間移動はせず走ってくる。龍騎は近付いて来るオーディンに接近してドラグセイバーを振り下ろす。が、その前にオーディンの突き出された拳が龍騎の胸元に当たる。少し離れたが接近して顔面を殴打した。
「がはっ!?」
「基山君!」
「余所見をしている場合か?」
「っ! やああああっ!」
ライアはエビルウィップを振るうがオーディンは瞬間移動で回避。後ろを振り向けばオーディンがおり、ライアの胸元に強烈な拳の一撃を叩き込んだ。
「あぐっ!?」
後退して両膝を地面に着いてしまうライア。龍騎もなんとか片膝で立っていた。
「……どうする? このまま戦うか?」
オーディンの言葉に龍騎は必死に考える。このまま戦っても勝算は0だ。……勝利する条件がオーディンを倒すことならの話だが。戦いを止めるために来ているから、後は時間切れか綾小路の説得を待つことが勝利条件。
「まだ、戦えるか?」
龍騎は立ち上がる。
「勿、論、だよ!」
ライアも立ち上がった。オーディンはその様子をただ見ているだけ。龍騎とライアは武器を持って構えた。
「もうやめて!」
すると横から大きな声が聞こえた。ファムが大きな声を出して、そのまま割り込んでくる。傍にはナイトの姿もあった。
「私の、負けです。それでも、Aクラスに上がることは諦めません……」
「……時間切れだ」
時間切れを告げるようにファムとオーディンの一部から粒子が出てきた。5人は元いた場所から現実へ戻っていく。
「「……」」
「どうした?」
「いや、なんでもない」
基山達は気付かずナイトとオーディンだけがこの場にいたもう1人のライダーの視線に気付いていたことを知らなかった。
現実へと戻ってきた5人。堀北(兄)は4人に視線を向けた。
「まさか鈴音に友達がいたとは思わなかった」
「彼らは……友達ではありません。彼女に至っては別クラスです」
「相変わらず孤高と孤独を履き違えているな。……それから、お前達、名乗ってくれ。忘れたくない」
「基山真司です」
「……綾小路清隆」
基山と綾小路は素直に名前を名乗った。堀北(兄)は口角を上げる。
「お前達がいれば、少しは、いやだいぶ面白くなりそうだ」
「オレなんかより、基山の方が面白いですよ」
「綾小路!? なんで俺を売るんだ!?」
綾小路と基山の言葉を聞いて場が少しだけ和んだ。ただ、堀北(兄)が真面目な口調で話し続ける。
「上のクラスに上がりたければ、そしてライダーバトルに生き残るためには、死にもの狂いで足掻け。それがお前達全員に言えることだ」
堀北(兄)は去って行く。少しの静寂が過ぎた後、基山が言葉を出す。
「取りあえず、戻ろっか」
基山達は寮へと戻る。その途中、綾小路が堀北と話があるとのことで、基山と一之瀬は先にエレベーターへと乗った。
「大丈夫か? 痛いところとかは……」
「大丈夫だよ。基山君の方も大丈夫?」
「俺も大丈夫だ。……でも、お互い無茶したな」
「うん。だけど、このくらい平気だよ」
一之瀬の言葉からちょっとだけ危うさを感じ取る基山。この程度の無茶を続けるつもりなのだろうかと考えてしまう。だから、少しだけお節介をした。
「いつでも頼って良いからな。お互い倒れたら心配するだろ?」
「……ふふっ。そうだね。じゃあ、もし私がピンチだったらお願いするね」
「ああ」
基山と一之瀬はエレベーターで別れるのだった。
仮面ライダーオーディン 生徒会長:堀北学
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このままで良い
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一人称視点で書いてみて
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完全に作者に任せます!