入学してから3週間が経過した。Dクラスの教室は本格的に騒がしく、授業の時ですら私語が聞こえた。遅刻するクラスメイトもいた。
(ここまで好き勝手出来ると、違和感しかないな)
基山には前世の記憶がある。だからこそ、この高育のやり方に違和感を持つのであった。
それと3時間目の社会で茶柱先生が小テストを行うといきなり言い出した。クラスメイトの何人かは不満そうだったが――
「成績表には反映されない」
茶柱先生の言葉を聞いた何人かは安堵した様子であった。そんな中、基山は少しだけ違和感を覚えていた。
(……意味のないことなんて、ないはずだ。だけど受けてみないことには分からないか)
Dクラスの生徒達は小テストに挑む。基山は前世の知識があるため、復習みたいなものだと思って書いていった。故に――
(あれ、この問題って1年でやるのか。もしかして、俺が学校について分からなかっただけ? 取りあえず解くか)
多少疑問を持った程度で、最後の3問に挑んでしまうのだった。
小テストがあった翌日。基山は軽井沢のショッピングに彼氏(役)として付き合っていた。契約をしてから1週間、何度か軽井沢のショッピングに付き合ったが、中々、いや結構使っている。
「うーん、どれにしよう」
今もブティックでいかにも高そうな服を買おうとしている。基山の本能がこれ以上軽井沢に必要以上にポイントを使わせたら駄目だと警告していた。
「軽井沢」
「ん? なによ」
買い物を邪魔されて不貞腐れている軽井沢。基山はまず場所を変える。
「真面目な話になる。ちょっと場所を変えないか?」
「……分かったわよ」
基山と軽井沢は服屋を出て、近くにあったベンチに座る。基山と軽井沢は見つめ合い、基山は言葉を出した。
「軽井沢、これ以上ポイントを使うのはやめてくれ」
「は? どうして?」
「俺の勘」
「は? アンタ、勘なんか頼りにしてるの?」
軽井沢は聞いて損したと心から思っている表情をした。しかし基山の言葉はまだ終わっていない。
「聞いてくれ。……なんていうか、言葉に出来ない違和感があるんだ。例えるなら、『自由という名の無法地帯』で俺達はポイントをどう使い、どう残すか試されている気がするんだ。それに……」
「それに?」
「ミラーワールド、俺が戦っている場所と同じく、何かしら生徒達も戦っている気がするんだ」
「基山君……」
「軽井沢はどう思う?」
「なんであたしに聞くわけ?」
軽井沢はどうして自分に聞くのか不思議だった。言葉に出来ないと言いながら、自分の考えを持っている基山に軽井沢は何を返せば良いのか分からなかった。
「軽井沢自身、考えて欲しいんだ。自立するために」
「あたしは……」
必死に考える。基山はずっと隣で急かすことなく待ってくれた。数分経った後に軽井沢は口を開いた。
「馬鹿馬鹿しい。……そう考えることが出来たら良かった。なのに、私自身も妙に納得しちゃったのよね。……分かったわよ。アンタが用意してくれた逃げ道に飛び込んでやろうじゃない」
「軽井沢」
「その代わり、外れたら限定パフェ奢ってもらうんだから」
「ああ。ありがとう」
「っ」
基山は微笑んだ。いつもとは違う、爽やかな感じ。軽井沢はその微笑みが眩しく、つい顔を逸らしてしまう。基山は不思議そうに軽井沢を見つめている。そんな時に彼女達はやってきた。
「あれ? 軽井沢さんに基山君じゃん!」
「佐藤。それに……」
「麻耶。千秋に寧々まで……」
やってきたのは佐藤と松下千秋と森寧々であった。基山は軽井沢とつるんでいる女子達だと理解する。
「さっきぶりだな。3人は買い物か何かか?」
「うん。この店で買い物しようと思ったの」
佐藤が指さすのは、さっきまで軽井沢と一緒にいたブティックだった。
「そうなんだ。……ねぇ基山君、教えて上げて欲しいんだけど」
「……どっち?」
基山は契約した彼氏役の件かそれとも自分なりに考えたポイントのことか聞いていた。軽井沢は呆れたような顔になるが、すぐに咳払いして答えてくれる。
「ポイントのことよ」
「? ポイントがどうかしたの?」
軽井沢のポイントという単語に食い付いたのは森だった。
「ああ。俺の勘になるんだけど――」
基山は軽井沢に言ったことをミラーワールドの話を抜きにして佐藤達に伝える。佐藤達は一瞬で青ざめた。
「で、でも、それは基山君の勘だよね。本当にそうなるかは……。それに毎月10万振り込まれるって茶柱先生が……」
森が勘であることで信用出来なかった。茶柱先生はそう言ったと誰しも思ってそうなことを打ち明ける。
「本当にそう言ったのかな」
「「えっ?」」
「茶柱先生は10万ポイントと振り込まれるであろうポイントに関しては別々に言ったんじゃないかな。……まっ、俺の勘であることは間違いない。だけど、ポイントは自分を支えるものになるよ」
基山の言葉に口が動かなくなる3人。佐藤、森は本当に驚いているみたいだった。松下は驚いている風に見えて、基山の勘を冷静に分析している。松下の反応にちょっとした違和感があるが、気にしないことにした。
やがて、口を動かしたのは佐藤だった。
「あ、危なかったぁ……」
「ほんと、それね」
「基山君って意外と賢いんだね」
「そうかもしれないな」
いつものように城戸真司のような笑みを浮かべる。そんな様子を軽井沢が黙って見てるはずもなかった。突如、軽井沢は基山の腕に抱き着いた。
「? (震えている?)」
柔らかい感触に襲われて一瞬脳がショートしかけるが、軽井沢の震えを感じ取った。
軽井沢は考えたのだ。自分以外の誰かに基山を取られると。それを何よりも恐れた軽井沢の反射的な行動であった。
「か、軽井沢さん?」
声を掛けたのは佐藤。松下や森も驚いている。そんな3人に軽井沢は言った。
「基山君は、私の彼氏なの。だから、他の女子と話していると嫉妬しちゃうかも」
「えっ……」
「「えええええええ!?」」
松下と森は心の底から驚いたような声を出す。佐藤は寂しさを感じるような表情をした。その様子を基山は見た。
(佐藤?)
佐藤ははっとしたような表情になり、それから微笑んだ。
(見間違い、だったのか?)
答えは見つからず、軽井沢の抱き締めは強くなった。軽井沢も基山の様子から何かしら感じ取っていた。
それから松下や森から質問攻めにあった。とは言っても本当のことを語ることが出来ず、告白は基山から誘った形になった。基山は城戸真司のような立ち振る舞いをしていく。
そして佐藤が口を開いた。
「軽井沢さん、基山君。……お幸せにね?」
「ちょっと麻耶、まだ早いわよ~」
「それもそっか。……でもお互いを大切にしてね。応援してる!」
「ああ、ありがとうな」
佐藤は両手を組んで、元気よく宣言した。それに基山は感謝して答えた。
「それにしてもやることなくなっちゃった」
「確かに暇になったね」
「なら、この周りを回らないか? 俺、実はまだ詳しくないんだ」
「うん、そうしよっか」
3人は先へと進む。基山と軽井沢はベンチから立ち上がる。その後、基山から手を伸ばしてきた。軽井沢は一瞬驚くも、すぐに平常通りになる。
「しょうがないわね」
基山と軽井沢は手を繋いで、佐藤達の後に続いていく。
(俺は契約した。この関係が終わるその時まで、守るから。軽井沢も、頑張れよ)
契約の重さと軽井沢恵という人間が分かった日となったのだった。基山は契約が終わる日まで守ることを決意する。
この小説、このままの文にするか試しに変えた方が良いかアンケート取ります
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このままで良い
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一人称視点で書いてみて
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完全に作者に任せます!