魔法少女リリカルなのは -アルカ・ティ・エーナ-   作:星伝

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第4話 3日目 -記憶 約束 束縛-

* * * * * *

 

 「アスナ、逃げなさい!!」

 

 暗闇の中、父さんの声が響く。

 私は母さんに手を繋がれながら必死に足を動かした。

 遠くで複数の足音があわただしく鳴り響く。

 途中、何度か閃光がきらめく。

 色は水色。

 父さんの魔力光だ。

 それに重なるようにして複数の魔法光が光る。

 数多くの怒号が飛び交い、一段と派手な光の後、静寂がもどる。

 私は母さんにとある倉庫へと押し込められた。

 

 「いい?日が昇って明るくなるまでここに隠れてなさい。」

 「母さんは?」

 「お母さんは他の所に隠れるわ。一緒にいるとばれてしまうからね。」

 「・・・寂しいよ。」

 

 そう呟くと母さんはぎゅっと私を抱きしめた。

 

 「ごめんね・・・ごめんね・・・」

 

 ゆっくりと頭をなでられる。

 私はこぼれる涙をゆっくりとぬぐう。

 

 「きっと、明日の朝には会えるわ。そしたら、浜辺に行きましょう。そこで綺麗な貝殻を見つけるの。」

 「うん。約束だよ?」

 「約束。」

 

 きゅっと人差し指で母さんの人差し指を握る。

 

 「アルカ・ティ・エーナ。」

 「アルカ・ティ・エーナ。」

 

 これはこの世界特有の約束の仕方だ。

 あとで知ったことだが他の世界では小指を結んで指切りげんまんというのが普通らしい。

 けど、切ったら約束を破るという意味にはならないのだろうか。

 ・・・よく分からない。

 

 「それじゃぁ、日が昇るまでおとなしくしててね。」

 「うん。わかった。」

 

 私は言われたとおり、倉庫のにもつの陰に隠れる。

 すると、母さんは扉を閉めた。

 し~んっと静寂が満ちる。

 十秒が過ぎ、一分が過ぎ・・・しばらくすると複数の足音が倉庫の外に響く。

 

 「おい、いたか?」

 「いや、いない。たく、親子そろって手こずらせやがって。」

 「母親の方は他の奴が追っている。俺たちは子供を捜せ。」

 「まだ二歳のガキだ。そう遠くへは行ってないはずだ。」

 

 ばたばたとしばらく足音が響くが、しばらくするとそれも消えた。

 三度、静寂が満ちる。

 

 さみしい。

 

 思わず泣きそうになる。

 けど、約束がある。

 母さんは絶対に来てくれる。

 

 アルカ・ティ・エーナ。

 私の信じるものに誓約します。

 

 何度も口に出しながら私はいつの間にか眠った。

 

 

 

 目が覚めると既に朝日がさんさんと私に注いでいた。

 

 「・・・母さん。」

 

 ポツリと呟くと私は立ち上がる。

 変な体勢で寝ていたからか、あちこちが痛い。

 

 「いかなくちゃ。」

 

 私は倉庫から出る。

 まだ朝も早いからか周りには誰もいなかった。

 

 「・・・どこにいるの、母さん。」

 

 声に出して叫ぶが、答えはない。

 仕方なく歩いていると、複数の足音が聞こえた。

 慌てて私は物陰に隠れる。

 すると、知らないおじさん達が笑いながら雑談をしていた。

 頭に皆はちまきを巻いて楽しそうだ。

 どうやら昨日追いかけてきていた人とは違うようだ。

 顔をそっとのぞかすと、おじさんの一人が気がついた。

 

 「おい、嬢ちゃん。そんなところでどうした?」

 

 他のおじさん達もその声で私に気付く。

 ゆっくりとやってきてどの人も人なつっこい顔をする。

 

 「かあさん・・・」

 「ん?」

 「母さんを知りませんか?」

 

 ゆっくりと聞くと、おじさん達は目を丸くした。

 

 「嬢ちゃん、お母さんとはぐれちまったのか。」

 

 うんとうなずく。

 すると、おじさん達は難しい顔をした。

 

 「う~ん、おじさんは見てないんだけどなぁ。おい、お前らはどうだ?」

 

 他のおじさんにも聞くが、誰一人としていい情報は持っていなかった。

 

 「すまないなぁ。力になれなくて・・・そうだ、おじさんの事務所まで来るか?」

 「?」

 「お腹すいてるだろう。ここはまだ寒いし、もしかしたらお母さんが事務所に尋ねてくるかも知れねぇ。」

 「・・・うん。いく。」

 「そうか。よしお前ら、先に行って始めててくれ。俺はこいつを事務所に預けてくる。」

 「へ~い。」

 「あまりさぼんなよ!!」

 「ば~か、さぼんねぇよ。」

 

 軽口を言い合いながらおじさん達は歩いていった。

 私を連れて行ってくれるおじさんはにっこりと笑って手を繋いで連れて行ってくれた。

 

 

 事務所は暖かかった。

 それに出てきたお茶もおせんべいもおいしかった。

 よく考えれば、昨日の夜から何も食べていない。

 私はゆっくりと噛みながらせんべいを食べていった。

 

 「今な、警邏に聞いたらお前の母さんがそこにいるそうだ。よかったな。もうすぐお母さんに会えるぞ。」

 「ほんと!!」

 「あぁ、ほんとだ。」

 

 おじさんはニコニコと笑いながら私にいろんな話をしてくれた。

 しばらくすると、ドアをノックする音が響く。

 

 「お、来たみたいだ。」

 

 おじさんがドアを開けると黒いスーツを着た男が立っていた。

 

 「・・・だれだ、おめえさん?」

 

 おじさんが不審そうに聞く。

 すると男は胸元からカードを取り出した。

 

 「警邏のものだ。その子を引き取りに来た。」

 

 男はずかずかと事務所に上がり込むと私の前に立った。

 

 「アスナちゃんだね。」

 

 男の問いかけに私はうなずく。

 

 「よし、いいこだ。お母さんが向こうで待ってるから一緒に行こうね。」

 

 男に手を繋がれて私は事務所を出る。

 私は一度、途中で止まって後ろを振り返った。

 おじさんがどこか不安そうな顔をしていたが、私に気付くと笑って手を振ってくれた。

 私はぺこりと頭を下げる。

 そして男に手を引っ張られたので慌てて後を追った。

 

 その先に地獄が待っているとは露とも知らずに・・・・

 

 

 ******三日目******

 

 

 目を開けると白い天井が見えた。

 シミ一つない天井だ。

 次に、ピッ・・・ピッ・・・と言う電子音が耳に響く。

 ゆっくりと体を動かそうとして・・・頭が少し持ち上がる程度でそれ以上は動けなかった。

 体全体に残る倦怠感。

 昔、シューに禁じられていた魔法を使ったあとのような、そんな感じ。

 ・・・いや、そのものか。

 私はヴィヴィオの学院で魔法を使って・・・持病が発症したのだ。

 仕方なく、頭を横に向ける。

 すると、音の発信源である心電図が見えた。

 コードの先は私の胸元に消えている。

 反対を見ると、窓があった。

 その向こうには、青い空が見える。

 ・・・ちょうどお昼前だろうか。

 耳を澄ませば、人の歩く音や話す声があちこちから聞こえた。

 私はゆっくりと息を吸い、吐く。

 もう一度吸って吐いて、全身に力を込めた。

 勢いをつけてってほどでもないが、体を慎重に動かす。

 ぱさっと私の肩まで掛かっていた毛布が滑り落ちる。

 そこで私の服がパジャマに着替えさせられていることに気付く。

 それも見たことのないパジャマだ。

 水色と白のチェック柄。

 なかなかかわいい。

 ベッドの端まで移動して、床に足をつく。

 そこまでで息が切れてしまうが、そこでやめては意味がない。

 今日、体を動かさなければ明日ひどい目に遭う。

 そう経験から学んだ。

 ベッドの端を手で握って体を支え、立つ。

 一瞬ふらつくが、何とか立てた。

 続いて心電図に近づき、その電源を切る。

 私はこの機械音が苦手だ。

 施設の研究室を思い浮かべてしまう。

 胸元からコードをとり、所定の位置に架ける。

 操作などは見慣れていたので分かった。

 次に、辺りを見回して私の服を見つけた。

 ベッドの横にあるサイドテーブルにたたんであった。

 その上にはシューの星形ペンダントがおいてある。

 

 「おはよう、シュー。」

 

 握るとシューはすぐに返事をした。

 

 <・・・おはようございます。>

 

 どこかふてくされて聞こえるのは気のせいだろうか。

 

 「どうしたの、シュー?」

 <あなたが私との約束を破ったからです。>

 「魔法を使わないって?けどしょうがないじゃない。あの子を見捨てるわけにはいかなかった。」

 <そうですけど!!・・・そうですけど、私にはあの子よりマスターの方が大切です。>

 「はいはい、シューはいつもそうだもんね。けど大丈夫だよ。いつも通りみたいだし。」

 <・・・・・・>

 「・・・ゴメン、シュー。心配かけた。」

 <分かればいいのです。・・・今後はこのようなこと二度としないようにして下さい。>

 「・・・善処します。」

 <・・・・・・はぁ、それがあなたの譲歩ですからね。しょうがないです。>

 「へっへっへっ・・・」

 <笑い事じゃありません。下手したら死んでいたのですよ!?>

 「う~ん、そうだけど・・・ねっ。」

 <かわいく笑ったってダメです。それよりほら、早くベッドにもどって下さい。体が平気でないといってますよ。>

 「え、やっぱまずい?」

 <発症当時よりは良くなっていますが、やはり・・・>

 「そう・・・ま、平気でしょ。」

 <平気じゃありません!!>

 「はいはい。それよりここどこ?どっかの病院?」

 <はい、聖王教会付属の病院です。ここはその集中管理治療室。24時間態勢で患者の状態を見守っていて、現にあの心電図も・・・何で電源が切れてるんですか?>

 「ン?私が切ったから。」

 <・・・はぁ。看護婦さんと先生が飛んできますよ?>

 「んな馬鹿な、電源が切れたぐらいで・・・」

 

 そうやって笑い飛ばしていると、バタバタッと言う足音と共に白衣を着た人とナース服を着た人が病室に駆け込んできた。

 

 「「「「だいじょうぶですか!?」」」

 

 ・・・どうやら笑い事ではなかったらしい。

 

 「へ、平気です。」

 「ほら、どうして立ってるんですか。早くベッドにもどって。」

 

 看護婦さんがあわてふためいて私をベッドに押し戻す。

 

 「だから平気ですと言っているんですけど・・・」

 「平気な訳ありません、あれだけ脈が乱れて心臓が止まって・・・いいからほら、ついでに診療しますから。」

 「あうううう~~。」

 

 私は無理矢理診療を開始されてしまった。

 

 『ほら、言わんことないですよ?』

 『うぅ~、平気なのに~。』

 『平気じゃありません、本当はあれくらいのこと当然なんです。』

 『けどいつもシューは違ったじゃない。』

 『それは状況が違います。あのときは必要最低限しかできなかったのでそうしたのです。けど今は十分な治療を受けるべきです。』

 『・・・意味ないと分かっていても?』

 『・・・・・・』

 

 返事はなかった。

 しばらくして、体に疲労がたまっているがいたって健康と言うことで一日の入院ですましてもらった。

 医者やシューは最低でも一ヶ月は入院しろとうるさいが、そこは泣き落とした。

 泣く子に勝てるものなし。

 

 「ただいま~、てっ・・・どうかしたんですか!?」

 

 なのはさんが帰ってきてドアを開け、お医者さん達を見た瞬間叫ぶ。

 

 「あ、なのはさん、おはようございます。」

 

 ぺこっと頭を下げる。

 すると、なのはさんは持っていた荷物をその場に置き去りにして私に抱きついた。

 

 「よかった~、意識もどったんだね!!」

 「は、はい・・・ご心配をおかけしました。」

 「ほんとだよ、も~。二度とゴメンだからね。」

 「はい。」

 

 診察が終わるとなのはさんがあのあとのことを教えてくれた。

 私が守った子は全然無傷だったらしい。

 私のおかげだそうだ。

 けど、私が倒れると周りはパニックになってしまって収集が大変だったそうだ。

 いやはや、申し訳ない。

 しかも私の心臓が不規則に脈を打ったり、私は意識が無く、体もどんどん冷たくなるしで大慌て。

 救急車を待っていられず、なのはさんが管理局に許可をもらって病院まで空を飛んで担ぎ込んだそうだ。

 それは速かっただろうなぁ。

 下手な乗り物よりなのはさん、速いから。

 で、担ぎ込まれはしたものの、何をしても脈はもどらない。

 どうしよう、このままではと思った瞬間、なぜか普通に心臓が動き出した。

 安定した脈を刻み、顔にも生気がもどった。

 で、なぜだ~!!と慌てる一方、安堵の空気に包まれた時にシューが心配ないと言ったそうだ。

 

 『つまり、シューが私のあれを正常に再稼働させたの?』

 『はい。以前から色々試していたデータが役に立ちました。次は2分であなたを復活させて見せます。』

 

 で、原因も分からずにいるとシューが<この人の持病が発症しただけ>と冷たく言われたそうだ。

 持病ってと尋ねても、<本人の口から直接聞いて下さい>とか言われなかったそうだ。

 逃げたな、シュー。

 

 「で、持病って何なの?」

 

 ズズイッとなのはさんに迫られる。

 後ろの医者も聞き耳を立てている。

 

 「・・・・・・言わないとダメですか?」

 「うん。言わなかったらしゃべるまで訓練場でお仕置きね☆」

 

 ・・・こわっ!!

 

 「はぁ・・・・」

 

 私はゆっくりと息をついた。

 とうとう、引き返せないところまで来てしまった。

 

 「いいですか、今から言うことは部外秘です。なるべく今回のことに関係のないお医者様にも聞かれたくないんですけど・・・」

 「あぁ、大丈夫。この人も管理局の人だから。」

 「そうですか。シュー、今モニター使える?」

 

 私が聞くと簡潔な答えが返ってきた。

 

 <カードリッジを一発消費していいなら。>

 「了解。カードリッジロード。」

 

 唱えると、シューが起動して星の宝石がついたステッキが現れる。

 星の付け根部分にある劇鉄が惹かれ、一発ロードされる。

 

 <ロードカードリッジ。準備OKです。>

 「は~い。そしたらこれを見て下さい。」

 

 私は一枚の画像を空中に浮かべる。

 それは・・・

 

 「心臓?」

 「心臓ですね。・・・けど横にあるのはなんでしょう?」

 

 綺麗に鼓動を刻む心臓とその隣にある黒い小さな箱。

 

 「その映像、今の私の胸の中です。」

 「今って・・・つまりライブ?」

 「はい。」

 「元気そうに動いてるな。」

 

 医者がうんうんとうなずいている。

 

 「で、横の箱は何?」

 

 なのはさんが尋ねる。

 

 「それは、Forcely Heart Controller(強制心臓制御装置)。いわゆるペースメーカーです。」

 「ペースメーカー・・・」

 「はい。リンカーコアとこの装置を魔法で繋ぎ、魔力で動力を賄うものです。まぁ、ずいぶん昔にロストロギア規制が入ったものですが・・・」

 「ロストロギア・・・」

 「はい。ですから・・・・私のあの施設での実験がされていたわけで。」

 「なるほどね。・・・・この装置ってやっぱり心臓病対策?」

 「だと思います。まぁ、悪用しようと思えば、死者に埋め込んでゾンビ計画とかも出来ますけど。」

 「?死者にリンカーコアはないんじゃない?」

 「いえ、良くは知らないけど、そんなことを言っていた時期があったんです。」

 「へ~。」

 

 なのはさんが感心したようにうなずく。

 若干真面目な顔になっているのは気のせいか。

 

 「それってもしかしてロストロギアの医療活動応用技術なんじゃ!!」

 

 突然、医者が叫んだ。

 

 「え、はい。いちおうそういうことに・・・」

 「すごい!!すごいぞ!!ぜひともその内容を詳しく話して・・・」

 「はいはい、それはまた今度ね。」

 

 なのはさんが軽くあしらう。

 

 「それよりも、つまりあなたはロストロギア保持者というわけになるのね。」

 「あ・・・そうですね。」

 「それ取り出したらあなたはどうなるの?」

 「・・・死にます。」

 

 私は簡潔に答える。

 

 「私は元々心臓病を持っていて、小さい頃からよく不整脈の心臓発作を起こしてました。それで父さんと母さんが医者だったのでその治療を研究していたんですけど・・・」

 

 不意に父さんと母さんの面影が脳裏を横切る。

 小さい頃までしか一緒に生活していなかった。

 父さんも母さんも、私が二歳の時に死んだ。

 私が施設に引き取られる直前に誰かに殺されたそうだ。

 父さんはいつも帰りが遅かった。

 仕事仕事と家にいる時間は少なかった。

 けど、毎日夜は一緒に寝てくれた。

 休みの日はいろんな所に連れて行ってくれた。

 母さんも仕事が忙しかったようだが、なるべく一緒にいてくれた。

 昼間は家にいなかったが夕方には絶対に帰ってきて一緒に買い物にも行った。

 たまに昼に帰ってきて一緒にご飯を食べたりもした。

 私がどうしても寂しくて二人の研究所に行った時はちょっと怒られたけど、研究所の人はみんな歓迎して私の相手を暇さえあればしてくれた。

 

 「・・・・・・・志半ばで死んでしまいました。」

 

 なんでもない振りをしながらかろうじて、私はそういった。

 あたりに沈黙が落ちる。

 

 <マスター・・・>

 

 シューも心配そうな声をかけてくる。

 しかし、私は無視した。

 頬を流れる液体も。

 

 「結局、研究は施設に引き継がれ、私はその実験素体としてモルモットにされました。今も多分、他の研究と一緒に続けられていると思います。」

 「そう。・・・・それじゃぁ、アスナが倒れたのは?」

 

 なのはさんも私を気遣ってか話を進める。

 

 「えと、先程この機械の動力は魔法だと言いましたね。けど、まだこれは試作機。莫大な魔力が必要なんです。そのため、少しでも使用者が魔法を使うと動作が狂って心臓を最悪止めてしまいます。」

 「・・・それって、アスナは元々知ってたの?」

 「はい。」

 

 知っていた。

 と言うか、何度もおなじ目にあった。

 

 「なんで知ってて魔法を使ったの!?」

 

 すさまじい怒声が部屋に響く。

 

 「魔法を使ったら死んじゃうんだよ?アスナが二度とこの世界ではいきられないんだよ?それを知ってて使ったの!?」

 「けど、あそこで使わなくちゃあの子は・・・」

 「あの子は最悪大けがですんだわ。死ぬことはないし、後遺症も残るはずがなかった。けど、あなたは違うの。死んでしまうのよ!?そしたら助けられたあの子はそのことをずっと重荷に感じるわ。そんな重荷を背負って生きていけとあなたは言うの!?」

 「・・・・・・・・・」

 

 そこまで気がつかなかった。

 あのときは必死で、必死で・・・どうしてもあの子を助けて上げたいと思った。

 それだけだった。

 

 「あなたの命はあなたのものよ。そんな無茶なことは二度としないで。・・・自分の命を大切にして。・・・周りに心配をかけさせないで。」

 「・・・ごめんなさい。」

 

 再び、涙があふれた。

 先程とは違う、後悔の涙が。

 なのはさんの頬にも光るものが伝っていた。

 顔は・・・口元は厳しく引き締められている。

 何か悔しそうな、そんな顔。

 けど、少しするとその顔も和らいだ。

 

 「ま、済んだことは仕方がないね。けど二度目は絶対になしだよ。」

 「はい、気をつけます。」

 

 口ではそういう。

 けど、人生何が起こるか分からない。

 最悪、また私は魔法を使う。

 それがなのはさんにも分かったのか、彼女は溜息をついた。

 

 「それで、さっきの話が本当だったら管理局としては動かないわけにはいかないの。ロストロギアの不正使用・・・ううん、違法な人体実験だけでも十分罪は重いわ。」

 「はい。」

 「だから、もう少し詳しい話を聞かせて。あ、今じゃなくて午後にフェイトちゃんとはやてちゃんが来るからその時に。」

 「はい、わかりました。」

 「・・・そういえば、このモニターだって魔法でしょ。使ってるのに平気なの?」

 

 不意に気付いたようになのはさんが尋ねる。

 

 「あ、はい。このモニターは私の余剰魔力を収集したものを使っているので。」

 「・・・?」

 

 いまいち理解できなかったらしい。

 

 『いや、あれで分かったらすごいですよ、マスター。』

 『うるさい。』

 

 つっこんでくるシューを黙らせる。

 

 「えと、いくら私に埋まってる機械が魔力を食うといっても私の持っている魔力全てじゃないんです。ですから日頃からその余った魔力を収集してこのカードリッジに込めます。で、必要な時になったらこのカードリッジから消費します。」

 「あぁ、つまりカードリッジシステムの応用ね。」

 「はい。普通のカードリッジシステムは魔力の瞬間的かつ爆発的な増幅ですが、これは元の魔力をなしに使うものなんで。」

 「・・・けど、それって。」

 「えぇ、まぁすごく使いにくいし、大型収束砲なんて打てるわけありません。せいぜいがプロテクション、いって魔力弾一発ですね。」

 「じゃぁ、飛翔魔法とかも・・・」

 「いえ、それは空中に漂う魔力を収集しながら飛ぶんで一応出来ます。ま、AMFなどの特定状況下では絶対に不可能ですが。」

 「そうね、・・・けどすごいね。」

 「いえいえ、これもスパルタのおかげですから・・・」

 

 そういいながらシューを見る。

 すると、宝石がきらりと光っただけで特に返事はなかった。

 

next day and to be continue...

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