魔法先生ネギま! 黄龍魔闘剣風帖   作:雑食紳士

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前回のあらすじ
宴も終わり、変わってしまった展開を憂慮し、天ヶ崎一派の襲撃に備えるために巡回を始めた竜馬はそこで月詠の襲撃を受ける。
だが、彼の師の一人である蓬莱寺 京一の介入により、彼は天ヶ崎達の下へと向かう。
竜馬は遅きに失してしまったからか、それとも世界が流れを望んだのか、近衛 このかを利用されてしまう。
鬼達は召喚され、竜馬はネギ達の作戦を練る時間と敵を減らすため、一人で時間稼ぎを行うのであった。


剣戟

 ネギ少年は竜巻、確か風障壁か? それを展開する。

 

 「坊っちゃん、中々義侠心溢れとるやないかい」

 

「おぼこい坊っちゃん嬢ちゃんたちに紛れて鬼がおったのう」

 

「久々の戦じゃ!」

 

 鬼や狐人、烏人達は方方から野次を飛ばす。

 

 何というか遊びみたいな感覚なのだろうが、当人達からしたら大事な人間が玩弄されているのだから、やはり純正の人外の価値観は人のそれではない。

 

 俺は先頭の鬼が棍棒を振るい上げたのを見てからまとい掛けで棍棒の軌道を変えつつ、手首を捻り上げ、そのまま進行方向に投げ飛ばし、二体目は正拳突き。

 

 三体目と四・五体目を『掌底・発勁』でまとめて吹き飛ばす。

 

 その一連の流れを見た大鬼は豪快に笑い始める。

 

「おぉ! エラく強い坊っちゃんやなぁ!」

 

「あんたら、はっちゃけるのは構わないが、こちとら知り合いが玩弄されているんだ。 ただで消えれると思うなよ」

 

 それぞれに俺とネギ少年達への采配を取り始めている。

 

 この大鬼は原作通りの別格か。

 

 物語から外れすぎるのも良くないが、烏合の集だった魑魅魍魎共を統率するあの大鬼はこちらが受け持たないといけない相手だ。

 

 俺は足に『氣』を纏わせ、大きく跳躍する。

 

 それを察知してか数体の烏人が剣を携えて、その両翼を羽ばたかせて突撃してくる。

 

 だが、俺を多少できる小僧と認識している時点で甘い!

 

 陰の古武術、その技の一つである、相手の頭蓋を粉砕する技『龍閃脚』で撃墜し、もう一体を『龍星脚』で蹴り飛ばす。

 

 そのまま突撃してくる数体を龍閃脚で叩き落とした奴の上に位置を微調整をし、その烏人の上で震脚の技である『龍震』で下敷きにした烏人と取り囲もうとした鬼たちを吹き飛ばす。

 

 攻防が激化し始めたその瞬間、指向性を持った暴風が湖方面に向かい放たれる。

 

 その暴風の中に一条の赤が閃光のように過ぎてゆく。

 

 さて、確か綾瀬さんは朝倉さんの計らいで石化を免れていたはずだ。

 

 あと少しすれば龍宮さんと古さん、長瀬さんが現着し、それぞれ対処に当たるはずだ。

 

 しかし、来るまでの時間は未明だ。

 

 その間も間断なく鬼や狐人、烏人の棍や剣を手の甲や腹で捌き、できた隙に一撃を食らわせてゆく。

 

 流石に戦闘巧者はいるらしく、俺のその反撃を躱して更に一撃を入れようとしてくる奴までいる。

 

 間一髪で避け続けているが、これ以上物量が増すと、避けきれず、一撃をもらう可能性まで出てくる。

 

 あまり消耗したくは無いが仕方がない。

 

 『掌底・発勁』の連続使用。

 

 やった事は無いが、試すのもここが一番だろう。

 

 まず、戦闘を始めている明日菜達の位置と俺の位置を目算で出す。

 

 次に巻き込めそうな集団を選定し、呼吸を整える。

 

 後方から棍棒を振るって突撃してくる鬼、巻き込めそうな数は四。

 

 脳天に振るわれた棍棒を手の甲と手首のスナップを利用して鳩尾に肘鉄。

 

 怯んだ所に発勁を叩き込んで四体……一人避けて三体をまとめて吹き飛ばす。

 

 次は左、右、左後方から続けてくる百鬼夜行を発勁で吹き飛ばす。

 

 合計十三体を吹き飛ばせたが、討ち漏らしが一体だけいた。

 

 まだまだだと感じつつ、俺は明日菜達と合流する。

 

「ちょっと竜馬!! 後でアンタの事、詳しく教えなさいよ!」

 

 えっ……普通に嫌だな。 

 

 コイツ、無駄に勘が鋭いから色々と芋蔓式でバレるリスクがあるんだよなぁ。

 

「まぁ、追々……な」

 

 俺は明日菜に期限を決めていない約束を片手間にしつつも状況を注視する。

 

 百鬼夜行は指数関数的に……とはいかなくてもほぼほぼ無尽蔵に生み出され……この場合は召喚か?

 

 召喚されているから多少減っても油断しているともとの数字に戻ってしまう。

 

 しかし、連続発勁はキツイな。

 

 まだ復調していない肉体はこれらの酷使で悲鳴を上げ始めている。

 

 俺が突撃してきた鬼を見て構えると、空気を切り裂く音が響き、俺に突撃してきた鬼の頭部を貫く。

 

 やっと来たか!

 

 そこには動き易さを重視しつつ、タイトな服装の龍宮 真名と何時ものチャイナドレスを着た古菲がそこにはいた。

 

「むっ……私達以外に先客がいたか」

 

「ムムッ! あそこに居るのは竜馬アル!」

 

 しまった! 俺が何で此処にいるかをどう説明を……と思ったが古菲はこの時点から魔法を認知するから別に俺の『力』を見せても良いのか。

 

 龍宮さんに関しては元魔法使いの従者なので、大丈夫だ。

 

 ならば!

 

 俺は『氣』を使い、今この場で使える雪蓮掌の応用を使う。

 

「雪蓮掌が崩し、『雪華陣』!」

 

 俺は『氣』で強化した脚力で跳躍し、体内で冷気を練り、拳に集約させる。

 

 一塊の集団の中に飛び込み、地面に冷気と化した氣を拳圧と共に水面に打ち付ける。

 

 拳圧により飛び散った水塊は瞬く間に凍り、付近の敵を凍り付かせ、最後に地面に降りると同時に『龍震』を用いて凍り付かせ敵を破砕させる。

 

「オオッ!? 凍ったネ!」

 

 流石に推定一般人に対して本気の技を出すほど俺も愚かではないし、やるとしても形だけを用いた物だ。

 

 俺は来る敵を捌きながら、大将の大鬼に肉薄する。

 

「やっぱり若いんはええなぁ、張り切り甲斐があるわ!」

 

 俺は遂に大鬼の下まで来ることができた。

 

 通った道には白煙が漂い、その発生源からは鬼の一部が時間とともに煙と化している。

 

「ほんま豪胆やなぁ、兄ちゃん」

 

 俺は構える、油断なく、加減なく、容赦なく。

 

 この鬼たちは陰の者ではあるが、鬼道を用いた陰の『氣』によって変生した人間ではない。

 

 本体は地獄や他の異界から呼ばれた者たちばかりだろう。

 

 師匠からも式の契約を勧められていた。

 

 確かに、現在の俺の力では今回のように不測の事態に陥った際に有用になるだろう。

 

 それにここで大将級の敵を倒せれば明日菜達の負担も軽減できる。

 

「アンタに提案がある」

 

「何や、兄ちゃん?」

 

 俺は構えを解いて話しかける。

 

「まぁ、ちょっとした事さ」

 

 俺は息を整え、提案をする。

 

「俺が勝ったらアンタは俺の式として契約をしてほしい」

 

 鬼は感心したかのように話しかける。

 

「ほぅ? その身のこなしで陰陽師か!」

 

 正確には陰陽師ではなく拳術家なんだろうが、話が逸れそうなので、区切る。

 

「で? でやるのかな?」

 

「ワシに依存はないで、兄ちゃん」

 

「では、やろうか」

 

 俺は構えを取り直す。

 

 鬼は二.五メートルは超える、正に鉄塊と呼ぶべき棍棒を巧みに振り回し、一薙ぎした後に名乗りを上げた。

 

「ワシは大江山の鬼族、名は轟雷! 小僧! 名を名乗れ!」

 

「故あって身分は名乗れないが、名だけは伝えよう! 緋勇 竜馬だ!」

 

 俺と大鬼……轟雷との間に緊張が奔る。

 

 正に偶然、戦闘により罅割れた岩から小片が剥離し、岩肌を転がり、水面を揺らす。

 

 それが開戦の合図だった。

 

 俺と轟雷は同時に動き、轟雷の棍には名は体を表すが如く雷電を纏い、俺の拳には陽の『氣』を炎に変えて纏わせる。

 

「鬼神楽・降魔轟雷!!」

「秘拳・鳳凰!!」

 

 拳と棍がぶつかり合う瞬間、火花と電気、衝撃波の奔流が巻き起こる。

 

 俺の拳と轟雷の棍は互いが発する力を受け、悲鳴を上げ合う。

 

 流石に『氣』の練りが薄くなりすぎている!

 

 だが、負けるわけにはいかない!

 

 古来より一騎打ちには自勢力の士気高揚の効果のある逆転の一手。

 

 これは諸刃の剣でもある、故に負けは許されない。

 

 そんな考えが脳裏を巡り、その刹那の一瞬に一つを思いつく。

 

 俺には多くの師がいる、彼ら彼女らから授かった技の数々を用いれば、この状況を打破できる!

 

 拳が砕けそうになりながらも思考を巡らせる。

 

 まずはどうすればこの状況を崩せる?

 

 拳が限界に近づいていること以外を除けば互角、まずはその均衡をこちら側に傾かせる!

 

 俺は自然と棍の先を受け止めている拳とは反対の手で先を掴んでいた。

 

 そうだ! 俺の陽の古武術にはうってつけの技がある!

 

『まとい掛け』の応用、名付けるなら、まとい掛けが変化『まとい崩し』。

 

 轟雷の力を利用し、梃子の原理を用いて投げ飛ばす!

 

 しかし、生半な力ではこの鬼の巨躯は持ち上げるには力が足りない。

 

 故に!

 

 醍醐師匠、貴方の技をお借りします!

 

「『虎蹴』!!」

 

 醍醐師匠のような剛力は備わっていなくとも、虎蹴で鬼の身体は棍を軸に宙へと踊る。

 

 そして、鳴滝師匠並びに壬生師匠。

 

 お借りします!

 

「『裏・龍神翔』!!」

 

 頭が天地逆となったため、下腹部への攻撃となった連脚が鬼を襲い、雷轟はなんとか受け身を取って体勢を立て直そうとする。

 

 紫暮師匠、貴方の奥義をお借りします!

 

「簡易版『修羅・無双乱撃』!!」

 

 身体が大きいだけで人体に似通った構造を持つが故に有効であろう、本来この技は百八ある人体の急所を的確に突く乱撃を体正面の急所のみに絞って入れる。

 

 紫暮師匠は『二重存在(ドッペル)』と言う異能を使ってそれを成しているが、俺にはできないための苦肉の策を使う。

 

 そうして轟雷は今まで与えられた乱撃乱打により、手元の棍を手放しそうになっている。

 

 最後は父さんに劉師匠、行きます!!

 

「『螺旋掌』!!」

 

 体内で螺旋を描くように練った気を、掌の捻りを加えた一撃と共に放つ奥義を轟雷の顔に打ち込み、振り抜く。

 

 攻撃の勢いからか、その巨体は巨大な棍だけを残して多くの鬼や烏人、狐人達を巻き込んで、吹き飛ばされる。

 

 轟雷は数十秒、体を動かさない様子を油断なく見据えながら近づく。

 

 結果としてその肉体はボロボロとなり、上半身と下半身が分かれて吹き飛び、顔の半分も消滅している。

 

 敵勢力の頭数もかなり削れたな。

 

「……んん? ワシは……そうじゃ! ワシは負けたか!!」

 

 上半身と下半身が分かれても意識が残っているのは人外の生命力からか、それともアドレナリンの過剰分泌による鈍痛化なのか、分からないがただ一つだけ。

 

「轟雷、約束だ。 俺と式神契約をしろ」

 

 轟雷は何が可笑しいのか、笑い始める。

 

 

「いやぁ、すまんな兄ちゃん。千と余年、ワシはあのお山を追い出され、大将らも討ち取られたあの日から、いつかはこうなることを望んでたんやろなぁ」

 

 俺は少し言葉に詰まる、漫画では描かれなかった裏話はそう言う感じなのか?

 

 それとも、俺が転生してきたから生えてきた設定なのか?

 

「ワシの負けや! 兄ちゃん、アンタの式神になったるわ!」

 

 俺は懐から一枚の符を取り出す。

 

 俺はそれを轟雷の胸に押し当て、真言を唱える。

 

 無心に唱え、符が熱くなるのを感じる。

 

「轟雷、名を付けるが何かあるか?」

 

「そうさなぁ、あのお方のような名を付けてほしいのぉ」

 

 大江山のあのお方、となれば。

 

「アンタの名を残しつつ……アンタは俺の式神」

 

 雷轟童子。

 

 そう呟くと轟雷……否、雷轟童子の体は符に吸い込まれ始める。

 

「契約は成立や、(ぼん)! これよりこの雷轟童子はアンタの式となるで! コンゴトモヨロシク!」

 

 ん? 今何かおかしかったような?

 

 俺は雷轟童子のいなくなった場所に落ちている符を拾い上げる。

 

 符は不思議なことに水に流されず、拾い上げると仄かに熱を帯びている。

 

 鬼達も先程の戦いを見ていたからか、戦意は無くなっている。

 

 次の瞬間、池の方向から強力で禍々しい気を感じ振り返ると、二面四腕の鬼神が池から浮き上がるかの如く、その威容を顕にした。

 

 あれが千と六百年前に封じられた大鬼神、リョウメンスクナだ。

 

 遂に解放されたか。

 

 俺はあの場に行きたい気持ちを抑え、勝ち鬨を上げる。

 

「敵将、轟雷を討ち取ったぞ! 次の相手は誰だ!」

 

 その一言に困惑や驚愕、怖れが鬼達の間に流れ始めるがリョウメンスクナの復活に当てられた奴らがこちらに挑み始める。

 

 そして次の瞬間には明日菜達の足下には魔法陣が現れ、発光したと同時に明日菜たちの姿が掻き消えた。

 

「りょーまー!」

 

 古さんがこちらに近づいてくる。

 

 古さんもそこそこの数を倒しているようで、現在進行形で鬼達をまるで套路のように自然に、敵の攻撃は吸い込まれるように往なされ、そこにできた隙を一撃一撃を最適解のように決めてくゆ。

 

「竜馬! 今度、改めて竜馬の事詳しく聞かせるアルネ!」

「ま、まぁ……、追々……ね?」

 

 俺はそうやってお茶を濁しつつ、古さんと共に龍宮さんの下へ敵を蹴散らしつつ、進行する。

 

 戦意を無くした鬼の一部はその異様な光景にもはや恐怖しか感じなくなっている。

 

 本来ならば、この年頃のおぼこい子供なんて一捻り。

 

 そう思って速攻を仕掛けたものは頭部や腹部を破壊されて煙と消える。

 

 次第に彼我の実力をしっかり測れる者たちだけが生き残ってきている。

 

 ここからが時間稼ぎの本番。

 

 ここからは純粋な強者のみしかいない空間と化し始める。

 

 現時点で龍宮さんの名前を俺が知るはず無いので知らないふりをしながら話し掛ける。

 

「古さんに、えーっと誰か分からないけど、君も大丈夫かい? 戦線の離脱は今のうちに済ませると良い、これ以降は強者しか残っていない厳しいものになるよ?」

 

 俺は忠告をするが、二人から後退の二文字は出てこない。

 

 分かっていたことだが仕方がない。

 

「多分向こうも向こうで遊び感覚で殺しに来てるから死なないようにね」

 

 俺は最も敵が密集している方向へ向かい、『掌底・発勁』や『龍震』を用いて効率よく斃してゆく。

 

 暫くするとリョウメンスクナは氷に覆われ、数瞬を待たずしてその体を破砕させた。

 

 どうやら、エヴァンジェリンは登校地獄の一時解除を果たされたようだな。

 

 それと同時に俺や古さん、龍宮さんが相手をしていた鬼達は徐々に体を煙にしながら消えてゆく。

 

「ほなな、やたら強い坊っちゃんに嬢ちゃん達。 今度は酒盛りでもしようや」

 

 それを最後にそれだけを言い残し、彼らはこの世から退去した。

 

 本来は雷轟童子……轟雷のセリフだったが世界の矯正力なのかは分からないがこれで一件落着だ。

 

「ふっ、私たちはまだ未成年なんだがね」

「良い人? だたアルね!」

 

 俺は一連の事件が収束に向かいつつあることに安堵しつつ、俺の中の緊張の糸はプツリと途切れ、意識を暗黒の淵に投げ込んだ。

 

 

 




次回予告


あとがき

今回も拙作をお手に取って読んでいただき、誠にありがとうございます。
この作品で文章量が多い回になったかと思います。
もし、文章でおかしな部分があった場合は誤字脱字報告をしていただけると幸いです。
メタ的に次回はあの作品群が入ってきますので、お楽しみに待っていてください!

誤字脱字報告や感想、お気に入り登録、ご閲覧いただき、誠にありがとうございました。

次回を楽しみに待っていただければ幸いです。

それでは、雑食紳士でした!

この小説の文章力は?

  • プロには及ばないが上手い
  • 一般人よりマシ
  • 普通
  • 一般人より下手くそ
  • 素材だけで成り立たせているだけ、ゴミ文章
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