再び改変された世界にSTEVENやヴィクトルが存在するデビルサマナーの世界が混在する世界と化し、新人悪魔召喚師となった竜馬。
修学旅行の帰りでまさかの女子中等部の帰り時間とブッキングした竜馬は三−Aの乗る車両に引き込まれるのであった。
三−Aの面々は大半が誰? と言ったような印象を持っているようだが面識のある、俺の知り合いや呪術協会であった面々や雪広は驚いていた。
「まぁ! 緋勇さん、お久し振りですわね!」
「雪広、久し振り」
軽く自己紹介をして、男子中等部も修学旅行先は京都だったことを説明すると、三−Aの殆どは納得したようだ。
俺は古さんに再び拉致されて、今度はネギ少年達をの席に俺を引きずる。
「ネギ坊主! 明日菜ー! 竜馬がいたアル!」
四人の席に連れてこられた俺は居眠り中の四人と一匹が突然のことに吃驚したように起きる。
「ひ、緋勇さん!?」
「竜馬!?」
俺は右手を軽く上げて「やぁ、一日ぶりだね四人とも」と言う。
突然の俺の登場に寝ていた事もあって脳が回っていないようだ。
「さあ! 竜馬、キビキビ吐くアル!」
古さんなんか圧が強いな!?
「い、いやぁ古さん。 事情は帰ってから話すって言ってたんだけど……ッ!」
俺は気配を感じ、立ち上がる。
陰の氣ではあるものの、似たような感じを俺は知っている。
悪魔の氣、妖精カテゴリとは全く違うが方向性が同じの氣を感じる。
先頭の車両か!
俺は古さんをまとい掛けの崩しで古さんを抱きかかえ、近くの空いている席に座らせる。
何故か古さんの顔が赤かったが女の子だもんな、知り合いとはいえ異性に抱きかかえられたら恥ずかしさが勝つんだよな。
「古さん、済まないけど今日はここまで。 後日改めて説明するから我慢しててね」
頭をポンッと撫でて先頭車両へ向かう。
…
……
………
先頭車両に進むにつれて濃密な気配を感じる。
それは甘く、まるで寝具の中で夢見をしている感覚に近い。
柔らかで、甘ったるい快楽のようで、そして根源的な恐怖がある。
眠気に襲われるが拳を握り込み、皮膚に爪が食い込み、血が流れるまで深く、深く食い込ませる。
痛みで眠気が冴え、思考がクリアになる。
近くを見ると席に座っている人々は皆、微睡みの中にいるのか、舟を漕ぐもの、前のめりで向かいの者の足を枕にする者など皆総じて眠っている。
俺は先頭車両の乗降口と操縦席、車内を繋ぐ扉の前で誰かが踞っているのを見つける。
「我らが睡眠を司る神よ」
それは男だった。
だが、その格好は奇抜。
昨今では見ない伝統的なトーガを着た男が跪き、何者かに祈りを捧げている。
俺に気がついたのか、男は祈りのポーズを崩さずに脇から覗くの僅かな視界から俺を視認する。
「誰だ? 貴様?」
男は金髪の縮れ毛に二対の羽を模した頭冠を被り、整った顔と長い鼻筋、均整の取れた肉体を讃える体。
ある意味ギリシアの彫刻を見ているようだ。
「俺の
この男は魔法使いではない?
「この異変を起こしているのは貴方か?」
男はクツクツと笑い始める。
「貴様、よく見ると素晴らしい量の生体マグネタイトを持っているようだな?」
コイツ、俺のマグネタイトが見える?
マグネタイトとは概念に近いエネルギーで、悪魔達の現界に必要不可欠なエネルギー。
可視化するにはエーテル触媒を使った液体化が必要だったはず……。
コイツ、まさか!?
「アンタ……否、貴様は何だ?」
男は俺が何に気が付いたかを察して、手を広げながらくるりと回る。
「そうとも、人間。 我は汝らが崇め奉る、神の一柱である」
コイツの衣装はトーガ……古代ヨーロッパやギリシアが起源と見ていい。
それにコイツの能力には催眠……どちらかと言うと睡眠が関係している。
候補は二つ、ヒュプノスかモルペウス……。
モルペウスは夢を司る、ならば答えは一つ。
「ヒュプノス……」
男……ヒュプノスは驚いたように感心する。
「ほぉ、博識だな。 我の正体を看破し得たか!」
この反応からして、間違えなくこの男はヒュプノスだろう……。
だが、この違和感はなんだ?
『氣』に微かな混濁が見られる。
俺は何を見落としている?
混ざっているのは人の氣……そうか!
「貴様、依り代を喰ったか?」
ヒュプノスは狂ったかのように笑い始める。
「ハハハハハハハ、その通りだ人間」
俺は学ランの前を開けさせ、左脇に差した『GUNP』のグリップを握る。
ヒュプノスは何かの力を溜めている。
俺は右手で学ランの右側の内ポケットから雷轟童子の札を取り出し、前方へ投げる。
「式神招来! 急急如律令! 現れよ、
雷轟童子!」
それと同時にGUNPの引き金を二度引く。
GUNPのモニターには『SUMMON』と書かれた画面から光が迸る。
「雷轟童子、見参!」
「ヒホヒホ! やるヒホよー!」
「やっちゃうよー!」
「やったるヒホー!」
三メートルの雷轟童子は俺が師匠から教わった調整法で二メートル近くにまで巨体を抑えている。
ヒュプノスは現れた悪魔と式神に目を丸くして驚愕する。
「貴様、サマナーか!?」
突如、新幹線の内装が変化する。
これは、異界化!
確かにこのレベルの悪魔なら即座に異界を作り出すことは可能だろう。
変化を終えた異界、それは川の辺だった。
乗客は川の辺で寝そべり、起きる気配はない。
巻き込みかねない、この場所から距離を離す必要がある。
「雷轟童子! 相手は国外の神性が相手だ、乗客を巻き込まないために距離を離すぞ!」
俺の指示に、雷轟童子はあの身の丈以上の鉄棍を振り回し、構える。
『ガハハハ! 早速の呼び出しと思えば異邦の神が相手とは我が主ながら持っとるなぁ!』
「ピクシーは俺と雷轟童子の補助に! ランタンは俺達と攻撃! フロストは後ろの人間達に被害が及ばないように氷壁を張ってくれ!」
その指示に三者三様に答える。
「応援するよぉー!」
「オイラの炎、見せてやるホ!」
「ヒホッ! オイラに任せるヒホ!」
雷轟童子の突撃と同時に右側面から攻撃をする。
ヒュプノス、流石は名のある神はある。
俺や雷轟童子の攻撃を難なく躱し、往なす。
その上でランタンの
だが、小手調べはできた。
「雷轟童子! ランタン!
俺は龍星脚や八雲などの陽の古武術の技を繰り出し、雷轟童子はこれまでより速く鉄棍を回しながら突きと打撃を織り交ぜた攻撃の嵐がヒュプノスを襲い、ランタンのアギが俺と雷轟童子の間隙を縫って打ち出させれる。
「ぐ、グオオオオ!」
ヒュプノスは上がってゆく攻撃密度に耐えきれず、その体に傷を作り始める。
俺は氣の乱れを感じ、後ろを見ると、そこには意外な人物がそこにはいた。
…
……
………
私は今回の
惜しむらくは緋勇と名乗る餓鬼と会えずじまいだったことだ。
やはり
私がウトウトしていると、妙な気配を感じる。
あの傍迷惑なオコジョ妖精の気配ではない、何か禍々しくも、人を魅了して止まない気配。
しかし、その気配もすぐに霧散する。
気にするほどではなかったのか?
そう感じながら寝ようかと考えていた矢先、後方から誰かが駆けてゆくのが見えた。
私はその顔を忘れるわけがなかった。
麻帆良の学ランに目元まで隠れた髪、そこから覗いた顔立ち、あの男……龍玄と瓜二つだった。
間違いない! 竜馬と言う男は間違いなく龍玄の子孫だ!
私は茶々丸を引き連れ、龍玄の子孫を追う。
そして、私は気がついた。
この新幹線に、何かがいる。
それも、魔法とは異なる理を持つ者が。
追い付こうかというタイミングで、それは現れた。
魔力に近い力で作られた何か……結界に酷似している。
「茶々丸、何か見えるか?」
私は
「マスター、内部には強大な魔力に近い性質の何かが満ちております。」
私は右手をそれに突き入れる。
痛みは無い。
しかし、感覚としてはダイオラマ魔法球と似ているが、生物の腸を思わせる不快な感覚が右手を包む。
「茶々丸、戦えるようにしておけ。 中に入るぞ」
私はそれだけ言って、中へと侵入する。
右手で味わったあの不快な感覚が全身を包む。
抜けた先には異界が広がっており、その中心では麻帆良の学ラン姿の少年が怪物達と共闘して、男と戦っている光景だった。
…
……
………
俺は一瞬、思考が停止する。
幾ら、これが元に無い展開だったとしてもエヴァンジェリンが介入してくるとは思わなかった。
だが、この一瞬の隙は
ヒュプノスは
俺はその魔法を避けれず、ヒュプノスから放たれた念波のような攻撃をモロに受けてしまった。
俺は眠らないように、意識を保とうとするが眠気がこない。
「くっ……」
ヒュプノスは悪態をつきながら川辺りまで後退する。
ヒュプノスはどうして俺を眠らせれなかった?
それに、最初の時から何か違和感があった。
手数が少し足りない!
……仕方がない。
「確か、マクダウェルさん……だったっけ?」
俺がエヴァンジェリンに助力を乞うしかない!
「君が魔法使いだと聞き及んでいる、俺と共にあの神性を調伏する手伝いをしていただきたい!」
俺が声をかけるとエヴァンジェリンは驚きながらもどこか嬉しそうにし始める。
「緋勇というらしいな、貴様」
? 何故今確認するんだ?
「確かに緋勇だけど……それよりも早く対処しなければ新幹線が事故を起こしかねない!」
エヴァンジェリンは辺りの状況を察し、臨戦態勢を取る。
「マスター、ご指示を」
「茶々丸、貴様は遠距離射撃で援護してやれ」
エヴァンジェリンが詠唱を開始した、どうやらここは魔力が十分に満ちているようだ。
エヴァンジェリンから氷の魔法が放たれる。
俺と雷轟童子は避けつつ、攻撃を与え続ける。
もはや見る影もなく、ヒュプノスは地面に倒れ伏した。
辺りを見回すが異界化は解除されてないし、乗客も起きてはいない。
「さぁ、お前の負けだ。 乗客に掛けた魔法を解くんだ」
俺がそう言うと、ヒュプノスは笑い始めた。
「何がおかしい」
「なに、人の子がここまで神に近付くとは考えもしなかった!」
コンマ一秒遅れた。
何が俺の脇をすり抜け、背後へ向かう。
ヒュプノスは地面に倒れ伏し、動かない。
さっきまで戦っていた奴は憑依された術師。
残像……おそらくヒュプノスの精神体が向かう先にはエヴァンジェリンがいた。
奴、体を乗り移る気か!?
エヴァンジェリンが不死の魔法使いだとしても、神性の憑依は人の精神を壊しかねない。
「フロスト! その魔法使いを守れ!」
フロストはその言葉通りに氷壁をヒュプノスとエヴァンジェリンの間を生成し、ヒュプノスの妨害を図る。
しかし、氷壁は意味を成さなかった。
ヒュプノスの精神体は氷壁をまるで空気のようにすり抜け、エヴァンジェリンの体内に入り込む。
俺は構えて、様子をみていると、エヴァンジェリンが起き上がった。
顔を俯かせており、表情は確認できない。
しかし、彼女の『氣』は明らかに異常だった。
「くっくっ」
エヴァンジェリンの声ではない、男声がエヴァンジェリンの声帯を震わせる。
「素晴らしい! 素晴らしいぞ、この体!」
ヒュプノスは
神とは人々の畏れや恐怖、様々な感情の基に肉付けされた存在。
本来は性別など無い。
あるとすれば、概念の精神体。
「この娘は神秘だ! 我が依代……に……何ッ!?」
ヒュプノスは一通り肉の体を堪能したかと思えば、困惑を始める。
まさか!!
俺は陽の氣を極限まで高め、掌に集める。
「掌底・発勁が崩し、『掌底・破邪』!!」
父さん達は嵯峨野先生との対決の時、岩山 たか子の助力で深層心理の世界に入り込み、母さんを救った。
高岩先生の力ではあるが、力の性質がそうであるとするなら、それはその人の精神が力の方向に左右させる。
ならば、精神の支配が不完全な今……『力』を精神に作用するように調整。
「ハアアアアアアァッ!!」
練られた氣はエヴァンジェリンの体を伝い、黒い靄を体外に放出させる。
エヴァンジェリンの体は糸の切れた人形のように崩れそうになったので、俺は体を支える。
黒い靄は宙を旋回すると、憑依していた体に再び吸い込まれる。
「グッ……やはり不完全な顕現では、これが限度カッ!!」
俺はエヴァンジェリンを地面にゆっくりと寝かせ、決着を感じ、雷轟童子と三体に帰還を命じ、それぞれが応じ、雷轟童子は札に、三体はGUNPに収納される。
「さぁ、決着だ。 何故こんな事をした。」
「グッ……この体の男は代々我を崇拝する一族だった……」
要約すると、この体の元々の持ち主の男はヒュプノスを崇拝する一族で、事故により一族はこの男以外の血族は死に、男も末期の癌であることが判明した。
そして、男を襲った事故の原因は日本の車両だった。
原因としては整備をドライバーが長年怠り、違法改造もしていたこともあり、その車両が男の家族を全て奪った。
本来ならばドライバーが原因であるが、最悪な事にドライバーは天涯孤独の身だった。
調べればドライバーの身内を見つけられる可能性はあっただろう。
だが、男には時間がなかった。
癌に侵されゆく身体、家族を奪われた怒り、何もかもが無くなる恐怖、かの宗教の教えを持ってしても救われなかった悲嘆が、彼を狂わせてしまった。
彼は最後の力で、復讐を果たそうと日本へ向かったが、そこで男にある組織が接触をしてきたのだ。
俺には心当たりがある。
悪魔の召喚を為せるだけの技術を持つ組織は一つしか知らない。
『ファントム・ソサエティ』
この世界でどれだけの影響力を持っているかは不明だが、かの組織しかこんな事はしないだろう。
「夜の女王の子にして眠りの神ヒュプノス。 その体の人物には同情しよう、だが……人を巻き込んでまでなし得ることではない」
俺は男の腹に掌を当て、氣を練る。
「『螺旋掌』!」
ヒュプノスに憑依された男は螺旋掌の一撃に膝を折り、憑依されたエヴァンジェリンから出たような黒い靄が霧散し、男は糸が切れた人形のようにその場に倒れ伏す。
男が動かないのを確認してからエヴァンジェリンの下へと駆け寄る。
どうやら命に別状はないようだ。
不死の魔法使いに命の心配をするのはお門違いだろうが、見た目は十歳から十二歳の間の容姿だ、心配しないほうがおかしいだろう、俺はそう考える。
エヴァンジェリンとはほぼほぼ初対面だ、怪しまれないように彼女たちの事を知らないふりをしないといけない。
「えーっと、君は彼女の従者で合ってるんだよね?」
「はい、緋勇 竜馬さん。 マスターの心拍に問題はありません、ご安心ください」
異界化が解け始め、景色が元の車両内に戻ってゆく。
周りがまだ起きない事を確認し、俺はエヴァンジェリンを茶々丸に託してから携帯電話を取り出す。
数コールの後に件の人物が電話を取る。
「御門師匠、急ぎ報告したいことが」
『竜馬か、どうしたんだ?』
俺は事のあらましを話し、師匠に応援を要請する。
師匠は今は手を離せないと言っており、引き継ぎの人員をヤタガラスから寄越すとの事だ。
俺は茶々丸に後は任せてほしいと申し出て、茶々丸もそれを承諾し、三−Aの車両に戻る。
しばらくすると新幹線は所定の駅に停まり、鉄道警察が乗り込み、男を回収すると即座に新幹線から降りる。
俺はそんな光景を眺めていると、肩を叩かれて我に返る。
そこには無愛想な顔付きの男性がそこにいた。
身長は百八十程度、ヒュプノスの憑依者とは違った細面で、その立ち姿は鉄の棒を想起させるほど伸びた背筋から相当な鍛錬を積んできた者だと理解する。
「初めまして、若き悪魔召喚師よ。」
俺の新しめの肩書を知っているのであれば当たりだが、間違っている可能性もある。
「貴方は?」
男は少し表情を強張らせるが、すぐに無愛想な表情に戻る。
「あぁ…… 申し遅れた。 この度はヤタガラスからの指令でこちらに派遣された『葛葉 サンゲツ』という者だ、よろしく頼む」
次回予告
葛葉サンゲツの登場により、今回の件を報告と推理を求められる竜馬はそれを話始める。
しかし、それは敵対の始まりだった。
次回、龍狐
あとがき
お世話になっております、雑食紳士です。
今回の話は元々二本に分ける予定だったのですが、何か違うな、と感じて一つにまとめました。
故に読み辛いことになってしまったと感じております。
もし良かった感想にてご意見を聞かせてもらえると幸いです。
余談ですが、本来は月曜日に更新しようと考えていたのですが、あるキャラの性格で思い付いた展開があったので、書き直しや新規作成をしていた為、遅れました。
更に私事ではありますが、拙作のお気に入り登録が百を超えた事に喜びと共に困惑している今日この頃。
仕事の疲れで更新遅めになっていますが、これからもご愛顧の程よろしくお願い申し上げます。
感想、誤字脱字報告、評価、閲覧をしていただき、誠にありがとうございます。
以上、雑食紳士でした。
この小説の文章力は?
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プロには及ばないが上手い
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一般人よりマシ
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普通
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一般人より下手くそ
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素材だけで成り立たせているだけ、ゴミ文章