魔法先生ネギま! 黄龍魔闘剣風帖   作:雑食紳士

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前回のあらすじ
埼玉県の山奥で『秘拳』の再現に奮闘する竜馬。

技の完成は見えたのか、そして新学期が始まろうとしていた。


吸血鬼

 新学期が始まり、ある噂が実しやかに囁かれていた。

 

 桜通りの吸血鬼。

 

 恐らくエヴァンジェリンがネギの吸血を目論んでの下準備を兼ねた作戦を実施しているようだ。

 

 俺としては今回も関与はしない方針で行くつもりだ。

 

 具体的には古菲への弟子入りが叶い次第、徐々に接触していく予定ではあるが、俺と言う異分子(イレギュラー)がどのような影響があるかを知らなければならないため、停電時の決戦では隠行をしなが観察することにしよう。

 

 俺は今日も今日とてネギ少年達とは離れて登校しようと……思ったんだが。

 

「あー! 竜馬じゃない!」

 

 明日菜の動体視力と勘を侮っていたようだ。

 

 何かを感じて、俺の方へ顔を向けてきた明日菜が俺を視界に入れてしまったため、こちらにスピードを合わせるため、歩調を合わせてくる。

 

「やぁ、神楽坂。 初等部以来かな?」

 

「そうよ! アンタ、全然変わらないわね!」

 

 そんな話をしながら走っていると、ネギ少年が声を掛けてきた。

 

「明日菜さん、この人は?」

 

 あぁ、ネギ少年に認知されてしまったか。

 

 しようがないので、挨拶をすることにする。

 

 

「はじめまして、かな? ネギ・スプリングフィールド英語教諭、僕の名前は緋勇 竜馬。 そこの神楽坂 明日菜さんとは小学生時代に同じクラスで勉強してきた元クラスメイトだ、よろしく頼むね。」

 

 俺は初対面ということもあり、丁寧な挨拶をする。

 

 

「ご、ご丁寧にどうも。 ネギ・スプリングフィールドです! あやかさんと同じくお友達なんですね!」

 

 その言葉に明日菜は酷く狼狽したように答える。

 

「ち、違うわよ!? コイツとはイインチョと同じ腐れ縁よ! く・さ・れ・え・ん!」

 

 そんな事を話しながら走っていると、前方に学ラン集団が立ち塞がる。

 

「待てゃあ、緋勇!!」

 

 時代錯誤の短ランにボンタン、リーゼントにモヒカンと不良や世紀末もびっくりの不良集団が現れる。

 

「……誰?」

 

 俺の一言に前方の不良集団は怒声を上げる。

 

「誰だぁ!? この前テメェが俺らをボコったのを忘れたとは言わせねぇぞ!? あ゛ァ?」

 

 この前? この前……。

 

 

 俺は心当たりが思い浮かび、掌を拳でポンッと叩く。

 

「あぁ、この前ウルスラ? だったかの女子高生をナンパとは名ばかりの恐喝をしていた人達か!」

 

……

………

 

 それは春休み終了まで二日前を切った日のこと。

 

 新学期に向けての買い出しを終えて、散策をしていた折り、路地裏から悲鳴が聞こえ、駆け付けてみれば部活帰りの女子高生たちが、不良集団の先頭で傷だらけの五人に付きまとわれていたのだ。

 

「おい! アンタら何してる!」

 

 俺は咄嗟に声を掛けてしまったのを半分後悔しながらも、不良集団に問いかける。

 

「邪魔すんじゃねぇ! ションベン臭せぇガキには関係ねぇんだよ!」

 

 俺は流石に嫌がって、こちらに助けとも逃げてもととれるような目を向けてくるのを見過ごすように鍛えられていないんだ。

 

「アンタ達こそ、このお姉さん達が嫌がってるのが見えない盲目白痴なのかな?」

 

 その一言に不良達と俺の間に緊張が流れる。

 

「てめぇ、吐いた唾は飲めねぇぞ!」

 

 

 不良一人がこちらに殴り掛かってきた。

 

 俺はテレフォンパンチを半身を右にずらして、拳を往なす。

 

 避けられた男は更に激昂し、蹴りを入れようとするがそれも避け、他の男達に向けて指を引き、挑発をする。

 

 彼らがこちらに意識が向いている間に、視線を送り彼女たちを逃がす。

 

「舐めんじゃねぇぞ! ゴラァ!」

 

 二人三人と襲ってくる不良が増え、五人が同時に襲い掛かって来たのを確認し、俺は本格的に構えを取る。

 

 俺が構えると不良達は大小違いはあるが、怯み始めている。

 

「ホラホラ、不良(アウトロー)気取ってる割りにはビビってないで掛かってきなよ」

 

 その言葉に怒りのボルテージが最高潮に達した男達はこちらに一斉に襲い掛かってきた。

 

 俺は一人目を往なすと同時に蹴りを後頭部に入れ、二人目に突撃させる。

 

 その隙を狙っていたと言わんばかりに三人目が俺の身動きを止めようとタックルをしようと突撃してくるが、『龍昇脚』を顎目掛けて食らわせ、意識を刈り取る。

 

 これら数瞬の間に二人を倒された不良達は俺と距離を起き、警戒を始める。

 

 俺が突撃させた二人目の不良が頭に血が上りすぎ、懐からナイフを取り出した。

 

 振られた柄が回り、二つ折りの柄の内部に収納された刃が露になった。

 

 バタフライナイフと呼ばれるフィリピンの戦闘用ナイフとして使われた片手での開閉が可能なフォールディングナイフである。

 

 ナイフの抜刀を皮切りに、残りの男達は周囲の廃材やメリケンサックを取り出して殺意を剥き出しにする。

 

 俺はそのヒリつくような感覚に少しだけ高揚感を覚えつつ館長の教えを思い起こして、冷静になる。

 

 俺はその後、不良達が武器としていたナイフや廃材、メリケンサックを蹴りや拳で粉砕し、一撃で不良達を鎮圧した後、俺はその場を後にした。

 

……

………

 

 

「何だ、アンタ達。 この前の情けない敗走から何も学ばなかったのかな?」

 

 その一言に怒りを露にした不良集団はあの時と同じように廃材やナイフ、メリケンサックを取り出して、臨戦態勢を取る。

 

「あー。 三人は早く学校に行きなよ、コイツらは俺に用があるみたいだから」

 

 ネギ少年を含む三人にそう言うと明日菜が声を上げた。

 

「アンタはどうすんのよ!?」

 

「高畑指導員が来るまでは耐えてみせるよ、だから行きな」

 

 そう話していると不良達が明日菜達を認識すると下卑た顔で三人を指差してくる。

 

「おいおい、お前の連れかよ! なら俺たちの遊び(■■■)相手にしてや」

 

 次の瞬間、俺の体はいつもより早くその言葉を吐いた不良の眼前まで近づき。

 

「『龍昇脚』!」

 

 不良の顎を貫いた。

 

 『龍昇脚』を食らった不良は数十センチ後方へ浮かび上がり、そのまま数人の仲間を巻き込んで吹き飛ばされる。

 

「一応、師匠達からも無闇に使うなと言われているけど……」

 

 俺は目元を覆っていた髪を掻き上げて、不良達を見る。

 

「俺が知り合いへの粗相を見過ごすことは絶対に無い」

 

 上着を脱いで、構えを取る。

 

 この一連の流れに感覚を麻痺させていた不良達は事態を認識すると、俺へと襲い掛かってきた。

 

 木刀を振り回しながらこちらに襲い掛かってきた不良の木刀を『まとい掛け』で武器と袖を絡め取ってから、地面に投げ倒し、『龍昇脚』で背後を襲おうとした不良を蹴飛ばし、『八雲』『天愴』『拳掌・発剄』で複数人を吹き飛ばし、十分も経たぬ間に制圧した。

 

 不良全員を伸した事を見留た俺は構えを解こうとした矢先、悲鳴が聞こえた。

 

 見ると明日菜と近衛このか、ネギ少年が不良に捕まっていた。

 

「動くな! 動くとこの嬢ちゃん達の顔に傷が付くぞ!」

 

 俺は構えを解く。

 

「おやおや、駄目じゃないか」

 

 三人の背後に長身の人影が映る。

 

「反省文は書くので後はお願いしますよ、高畑指導員」

 

 その一言の後、ネギ少年達を拘束していた不良達はナイフや武器を手から落とすと同時に地面に倒れ伏した。

 

「やぁ、龍麻君。 派手にやったようだね」

 

「ええ、高畑指導員。 仕方なくです」

 

 不良達は指導員達に拘束され、指導室に連れて行かれる。

 

「では、ネギ先生。 生徒のフォローは頼むよ。 僕はこの不良生徒に説教をしないといけないからね」

 

「じゃあ、三人とも。 またの機会に、ね。」

 

 俺はそう言い残して、高畑指導員と二人で指導室に歩いてゆく。

 

 

 

▼▼▼▼▼▼

 

 アタシ達は唖然としていた。

 

 目の前で起きている乱闘に目を奪われていた。

 

 その乱闘の渦中にいる幼なじみ、緋勇 竜馬。

 

 アイツとの出会いは小学生の時に遡る。

 

 出会ったときのアイツの印象はボンヤリとした奴だった。

 

 ただ、端々からは剣呑とした雰囲気はあった覚えはある。

 

 クラス内で男子同士がケンカになった際にアイツは割って入って場を収めようとしていときに、片方の男の子が制止を聞かずに殴り掛かった時に、アイツがその拳を手で止めた事があったのだが、本人はたまたま受け止めれたと言っていたが、私は見れていた。

 

 アイツがしっかりと拳を観て、掌に殴ろうとしていた拳を停めたのを。

 

 あの時から、アイツには何かがあると感じていた。

 

 それが今日、確信に変わった。

 

「あ、明日菜ぁ……えらい事になってもうたなぁ」

 

 このかはいつも通りの口調で話しているが、言葉の端は振れていたことから、恐怖心はあったようだ。

 

「あ、明日菜さん! このかさん! 大丈夫ですか?」

 

 アタシはその答えに生返事をせざるを得なかった。

 

 三年前まで顔を付き合わせていた幼なじみがあそこまで強かったとは思いもよらなかった。

 

「明日菜さんは緋勇さんの強さを知ってたんですか?」

 

 ネギはアタシにその問いを投げ掛けてくるが、一言しかなかった。

 

「知らなかったわよ……」

 

 人が複数まとめて飛び、瞬く間に数人を拳のみで制圧したあの姿は、あのポヤヤンとしたアイツからは想像ができない。

 

 鋭い視線は幼なじみのアタシでさえ、背筋が凍る思いだった。

 

 あー、もう!

 

 今度会ったら文句の一つでも言ってやるんだから!

 

 アタシはそう決意しながら、教室までの道のりを再び走り始めた。

 

 時間も後十分しかないしね!

 

▲▲▲▲▲▲

 

 麻帆良学園男子中等部の一角。

 

 生徒指導室と書かれたプレハブ小屋。

 

 カラーボックスの戸棚、パイプ椅子二脚と長机が一つ。

 

 俺はその一つに座り、長机の向かい側には高畑Tタカミチ指導員がこちらを見ている。

 

「全く、君らしくもないじゃないか。 昨日、報告を受けていたから君へのお咎めは少なくはなるが無くなった訳ではないからね。」

 

 目の前に原稿用紙一枚が置かれる。

 

「明日までに、この原稿用紙一枚分の反省文を書いて、僕に提出しに来なさい」

 

「分かりました、高畑指導員。」

 

 俺はその原稿用紙を鞄に納めて、立ち上がる。

 

「ああ、それと。 鳴瀧館長から伝言があるよ 」

 

 鳴瀧師匠から?

 

「師匠は何と?」

 

 俺は高畑指導員に聞くと「近々、内弟子を連れて行くから手合わせしてやって欲しいそうだ」と答えた。

 

 俺は「分かりました、と伝えておいてください。」と言って部屋を辞した。

 

 俺は教室に行くまでの間、頭を抱えていた。

 

 これは、原作の流れが変わるかもしれん。

 

 これ、マズいのでは?

 

 

 




不良生徒達を倒したのも束の間、麻帆良には吸血鬼の噂は溢れる。

そして計画停電当日、物語は交差し始める。



この作品は魔法先生ネギま!を読みながら執筆し、東京魔人學園シリーズを思い出しながら、ネットの資料やアニメの内容を思い出しながら執筆しておりますので、矛盾点があっても笑って許していただけると幸いです。

追記
鷺ノ宮 様、誤字報告ありがとうございました。
拙作に報告していただいた人、読んでくれた人に感謝を伝えます。
ありがとうございました、これからもよろしくお願いします、

この小説の文章力は?

  • プロには及ばないが上手い
  • 一般人よりマシ
  • 普通
  • 一般人より下手くそ
  • 素材だけで成り立たせているだけ、ゴミ文章
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