魔法先生ネギま! 黄龍魔闘剣風帖   作:雑食紳士

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前回のあらすじ

不良を倒し、高畑から反省文用の原稿用紙と鳴滝師匠からの伝言をもらった竜馬。

それぞれの思惑が交錯し始める時。

物語は新たな展開を見せることになるとは、この時は竜馬自身、確証を持てなくとも予感は感じていた。


邂逅

 生徒指導室行きから数日、麻帆良学園女子中等部女子が吸血鬼に襲われたと言う噂を耳にした。

 

 原作のエヴァンジェリンが本格的に活動を始めたようだ。

 

 俺はこの数日間は反省文を書いたり、授業を受けながらもこの後の展開について考えを巡らせているが、妙案が浮かばなかった。

 

「はぁ……」

 

 俺がそんな溜め息を吐きながら帰路に就いていると。

 

 事態を静観するべきか、介入してみるべきか。

 

 明日菜に俺の強さが露呈してしまったのは想定外だった。

 

 ネギ少年が古菲の弟子入りまでは接触を避けたかったのだが、どうすべきか。

 

 只管にこの問題が堂々巡りしていると、生徒指導員が話をしている。

 

「いやぁ、先ほど計画停電の話が出ましたな」

 

「そうですな。 不逞の輩が出てくるでしょうから気をつけなければなりませんな!」

 

 計画停電……もうそんな時期か。

 

 ネギ少年とエヴァンジェリンの決戦が近づいてきている。

 

 そんな折り、俺の携帯に電話が入る。

 

 画面を見てみると、表示された名前は『父さん』と書かれていた。

 

 俺は応答ボタンを押して、電話に出る。

 

「もしもし?」

 

 そう問うと、電話口から声が返ってくる。

 

「久しぶり、竜馬」 

 

「どうしたんだ、 父さん? 電話なんて珍しい」

 

 緋勇 龍麻、東京魔人學園剣風帖の主人公にして俺の、今生の父親である。

 

「ああ、お前に警告をしようと思ってね」

 

「警告?」

 

 そう聞くと父さんは話し始めた。

 

「最近、劉から大陸の龍脈が荒れ始めているって報告が来てね。 もしかしたら麻帆良、延いては東京にも影響が出るかも知れないから気をつけるように、ってね」

 

 龍脈が乱れ始めている。

 

 「裏密さんの占いでも近い内にお前に大きな出来事が起こるって出てるようだから、僕や京一、醍醐や小蒔の弟子をそっちに送る手はずになっているからそれまではタカミチ君に頼ると良いよ」

 

 父さんはそう言うと「美里と共に元気にしてるからお前も頑張りなよ」と言い残して電話を切った。

 

 龍脈の乱れ……この世界は独自の方向性に変化している、そう認識して良いのか。

 

 俺は気にしながら独自に調査しなければならないと思いつつ、ある場所に連絡をする。

 

 携帯電話の電話帳を開き、か行のきの項目を開く。

 

 そこの『如月骨董堂』の欄にカーソルを合わせ、コールボタンを押す。

 

 数コールの後、通話が開始される。

 

『こちら如月骨董堂の如月です。 ご用件はなにでしょうか?』

 

 怜悧な声が耳朶に響く。

 

「如月師匠、お久し振りです。緋勇 竜馬です。」

 

 そう答えると、如月 翡翠師匠は『ああ、君か』と答える。

 

『どうしたんだ? 定期連絡まではまだ日があると思うんだが……』

 

「いえ。 定期連絡ではなく、武具防具の用立てをお願いしたく連絡をさせていただきました。」

 

 その一言で、電話越しにでも分かるほどに緊張が迸る。

 

『理由は?』

 

「先ほど父から大陸の龍脈が乱れ始めていると聞かされ、麻帆良でも不穏な噂が出始めたからです」

 

 俺がそう答えると、如月師匠は溜め息を吐きながらも『亀急便で届けさせよう』と言い、電話を切った。

 

 俺は第一のターニング・ポイントである『エヴァンジェリン戦』を迎えるべく、下準備を始めた。

 

 更に如月師匠にメールでフード付きローブと仮面、ボイスチェンジャーを追加発注しておいた。

 

 イメージとしてはグランブルーファンタジーの十天衆のシスみたいに顔もシルエットも隠せるような姿が好ましい。

 

 本当は真神学園の制服を発注しようかとも考えたが、高畑指導員は俺やその周辺の経歴を洗っているはずだから、バレる可能性がある。

 

 でも、師匠任せな部分でもあるため、どんな物が届くかは分からない。

 

 俺はそんなバカな事を考えながらようやっと自室に着いた。

 

 ……と言うか、父さんは高畑指導員の事を知っていたのか……。

 

……

………

 

 あれから更に数日、計画停電が今日の夜に迫った。

 

 前日の夜に亀急便で大荷物が届き、中を開いてみると、手甲と足甲、タクティカルベスト、白地に金のラインが刺繍されたローブと灰紫と金の、明らかにシスの仮面が荷物に入っていた。

 

 俺はもう、気にしない方針でそれらを身に纏い、停電の時間を待つ。

 

 一時間も経たないうちに部屋の電気が消え、辺りが暗闇と静寂に包まれる。

 

 俺は電気のスイッチをオフにしてから窓を開け、外へと飛び出した。

 

 屋根から屋根へと伝い、女子寮の辺りまで進むと、エヴァンジェリンの魔法の射手(サギタ・マギカ)らしき十七本の光条が目に映る。

 

 俺はそれを確認しつつ、大橋まで向かう。

 

 丁度、俺が橋の近くに着いた頃にはエヴァンジェリンがネギ少年の仕掛けた戒めの矢の罠に引っ掛かった場面になっていた。

 

 そろそろ、明日菜も合流し始める頃合いだと感じ、橋の橋台の中に隠れる。

 

 隠れたと同時に明日菜とカモミールが橋の中央へ走ってゆくのを見て、橋台を駆け上がり、尖塔から橋の上を見下ろす。

 

 話の筋が変わっていない事に安心しつつ、後の展開がどのように変わるかを確かめるために、ありとあらゆる方向に意識を向ける。

 

 ネギ少年とエヴァンジェリンの暴風の魔法同士の衝突とエヴァンジェリン救出を見届け、安堵したのも束の間、邪悪な陰の気配を感じ、気配の元を探す。

 

 俺のいる橋台とは反対の橋台に複数の影が迫っている。

 

 エヴァンジェリンは何かを感じ取った。

 

 そういえば、エヴァンジェリンは麻帆良学園の警備員としての役目もあるため、結界を越えるものには反応できる描写がなされていた。

 

 あれは妖魔の類い、本来の展開にはない物だ。

 

 俺は橋台のメインケーブルの上を伝い、ネギ少年の下まで駆け出した。

 

 

▼▼▼▼▼▼

 

 エヴァンジェリンさんとの戦いを勝利した僕らはエヴァンジェリンさんと共に帰路に就こうとしていた矢先、彼女が振り返り、橋の反対側を見る。

 

 そこには額に二本の角を付けた巨怪とそれを取り囲みながら歩く生気のない人々。

 

 死者の行進のような光景に僕は驚いていると、エヴァンジェリンさんは目を顰めながら、その集団を睨み付ける。

 

「なんだあれは? 死霊魔法の類いか? だが、魔力を感じない……」

 

「な、何なのアイツら!? エヴァちゃんの仕込み!?」

 

「莫迦を言うな! 私の魔力は結界再構築時に封印されているのだぞ!」

 

「マスター。 あの人たちからは生体反応は見受けられません」

 

 エヴァンジェリンさん、明日菜さん、茶々丸さんがそれぞれ話すと。

 

 巨怪は咆哮を上げると取り囲んでいた人々は我先にと此方に走り始めていた。

 

「くっ! ぼーや! 神楽坂 明日菜! どうしてかは知らんが、まともな相手ではないぞ!」

 

 そういいながら、エヴァンジェリンさんは臨戦態勢を取ろうとするも、先ほどの戦闘で魔法薬も何もかも使い果たしてしまい、戦えるのは僕と明日菜さん、茶々丸さんだけだ。

 

 全員が疲労困憊のため、ガイノイドである茶々丸さんを除き、戦闘はほぼ困難に近い様相を呈していた。

 

 僕はこの非現実的な光景に『あの日』を思いだし、震えが起きてくる。

 

 生気の無い顔、しかし目は血走り、常人のそれではない。

 

 腰が抜け、もう駄目かと諦めそうになっていた。

 

 その瞬間、僕らと彼らの間の空間が爆ぜた。

 

▲▲▲▲▲▲

 

 間に合った!

 

 俺はそう安堵しながらも、油断せず、構えを取る。

 

 四人と一匹は唖然としている。

 

 死霊……ゾンビか?

 

 あれの発生源はあの鬼か?

 

 まぁ、全部斃せば良いだろうか?

 

 俺はそう思いながら、素早く戦闘のゾンビへと肉薄する。

 

 龍星脚を鳩尾に入れ、群れている方へ蹴り飛ばすと、雪崩れるように倒れ始める。

 

 俺は足に『氣』を集め、爆発的な跳躍する。

 

 そのまま雪崩れ倒れた集団の頭上から急降下しながら足に集めていた『氣』を地面との衝突時に放出する。

 

 『氣』と合一した衝撃がゾンビが橋から落ちたり、更に他の集団を巻き込んだり、下敷きにされたモノは粉砕され、陰の『氣』と共に消滅する。

 

 速攻で方を付けるために鬼へと肉薄する。

 

 何かを感じたのか、鬼は咆哮を上げる。

 

 すると、先ほどまで前進と補食をするしか能がなかったゾンビ達が一斉に振り返り、俺へと殺到する。

 

 だが、遅い!

 

 俺は陽の『氣』を体に纏わせ、炎のような『氣』を拳に纏わせ、放つ『巫炎』、そのまま『龍星脚』、『八雲』、『大鳳』、『天愴』を続け様に放ち、『秘拳・鳳凰』にて止めを与える。

 

 鬼は俺の放った陽の『氣』と拳と蹴りの連続技に成す術なく、その体を灰として消えた。

 

 俺は構えを解き、欄干に足を掛けようと歩き始めた瞬間だった。

 

「おい! 貴様、何者だ!」

 

 エヴァンジェリンが警戒しながら尋ねる。

 

 ここは答えなくていいはずだ、答えれば京都、古菲への弟子入り、魔族襲来、麻帆良大祭、これ以降の全てに何かしらの揺らぎがでることだろう。

 

 俺は欄干に足を掛ける。

 

 ネギ少年が何かを勘違いしたのか、俺に「は、早まらないでくださーい!」と叫び始める。

 

 そのまま『氣』で強化した足で欄干を蹴って、メインワイヤーに飛び移り、そのまま麻帆良方面へワイヤーを伝いながら駆け去る。

 

 遠目で見たネギ少年達は呆然としながら俺の背を見送っていた。




次回予告

エヴァンジェリンとの決闘を終えたネギと明日菜たちは偶然であったエヴァンジェリンと話をする。

次回、幕間劇~吸血鬼と黄龍の回顧録~

感想欄にておもらしをしてしまったため、投稿と相成りましたが、しばらくは更新だけとなりますので加筆は後日しっかりとさせていただきますのでお待ちください!

ご閲覧いただき、誠にありがとうございました!

この小説の文章力は?

  • プロには及ばないが上手い
  • 一般人よりマシ
  • 普通
  • 一般人より下手くそ
  • 素材だけで成り立たせているだけ、ゴミ文章
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