エヴァンジェリンとの和解と情報共有を終えたネギたちは修学旅行へと向かう。
旅行先は関東魔法協会と対立関係にある組織のお膝元だった。
そして、緋勇 竜馬にも新たな戦いの場が待っていた。
停電の決戦から数日、男子中等部も修学旅行の時期が来た。
男子中等部三年は例年通りなら、沖縄になる筈だが。
鬼の出現による想定外の接触により何かしらの皺寄せが来るだろうと予想はするが最低限の接触であるため、影響は少なくなるかもしれない。
否。 やはり、確定までは様子を見るしかないようだ。
…
……
………
結果として、影響は計り知れない範囲で大きかった。
沖縄の提携しているホテルが改築工事を予定していた事を連絡し忘れていたらしく、沖縄への修学旅行は立ち消えてしまった。
そして、代替の修学旅行先は『京都・奈良』に決定したらしい。
一度介入しただけで、これ程までに物語に絡まれるのかと戦々恐々としつつ、修学旅行の準備を着々としていると、携帯に連絡が入った。
表示された相手は御門 晴明。
陰陽道の師匠に当たる人だ。
僕は通話ボタンを押して、電話を取る
「御門師匠、ご無沙汰しております」
『やぁ。 竜馬君。 久方ぶりだね、息災で何よりだ』
軽い挨拶から始まり、学校などの話題など、近況を話し合う。
それらを一通り話し終えると電話越しにでも分かる、師匠の仕事モードが入る。
『さて、今日の本題に入ろうか』
俺は居住まい正して、聞く姿勢に入る。
『さて、君は魔法を知っているだろうか?』
「魔法……フィクションでよく見られる概念としては無から火を生み出したり、障壁を張ったりすると言ったような異能の力の総称、と言ったイメージでしょうか」
『うむ。 間違ってはないな、一般的なイメージとしてはそれが近い。』
ネギ少年達の使う魔法は秘匿されており、それを教えるのは多少リスキーなのだろう。
慎重にならざるを得ないのは理解する。
「師匠、話を進めましょう。 覚悟はできています」
『……そうか、では』
師匠は意を決したかのように話し始めた。
『裏の世界では魔法という存在は認知されている、それも君が先程言ったようなモノを使う存在がいる、ということになる』
「それは分かりましたが、僕に何をさせる気ですか? 魔法というものが関連しているように聞こえるのですが……」
既定路線だろう。
俺はこの後の流れが予想できてしまう。
『端的に言うと護衛をしてもらいたい。 これは宮内庁 陰陽寮の長としての依頼だ』
「……内容にもよりますよ」
話しはこうだ。
現在、関東魔法協会と関東呪術協会は互いに連携しあって、魔法や龍脈に関する出来事、陰陽術の隠匿をしている。
だが、関西の呪術協会は別だ。
関東は師匠が独自に編成した私兵からなる天皇、延いては日本直属のお抱え陰陽師集団であるのに対して、関西呪術協会は平安は芦屋道満や関西の呪術・陰陽術を使う者達が立ち上げた長い歴史の上に成り立つ場所である。
魔法協会と呪術協会でのイザコザがあり、重傷者を出したという。
関西呪術協会と関東魔法協会は関東呪術協会の仲介で和平を提案されるが、当時の関西呪術協会の大半が和平を拒否したそうだ。
その流れで関東魔法協会と関西呪術協会は敵対関係となり、和平を提案した関東呪術協会にも波及し、当時の頭領が責任を持って退陣し、現在の御門家に引き継がれ、陰陽寮に編入、現在の体制ができたという。
状況が変わってきたのは十六年前に遡る。
当時の関西呪術協会所属の青山 詠春が近衛 近左衛門の娘と婚約し、その勇名も相まってハト派の御輿となって関西呪術協会の長にまで登り詰め、現在に至る。
その過程でタカ派の勢いは失速し、小康状態にまで落ち着きを取り戻したそうだ。
『今回の護衛は、関東魔法協会の特使であるネギ・スプリングフィールドと近衛 このか嬢の護衛だ。』
ま、まさか、予想はできていたが、ここまでになるのか。
「依頼の件、謹んでお受けします」
俺はそう言って了承の意を伝える。
『うむ。 万事滞りなく行うことは少ないがお前なら大事無いと期待しているぞ』
御門師匠はそう一言言い残して電話を切った。
…
……
………
修学旅行当日。
準備を滞りなく終え、女子中等部とは時間がズレ、男子中等部は一時間早く京都入りをする。
女子中等部との兼ね合いや色々があり、一キロ以上離れた場所にホテルを取っているらしい。
俺は宮内庁や関東魔法協会の協力により俺に個室が割り振られた。
原作では、深夜に近衛 このかの誘拐イベントが発生する。
護衛と銘打たれているんだ、仕事はしなければならない。
さらに原作が崩壊してきているんだ、ここで早々にフェイト・アーウェルンクスが介入してくる可能性がある。
一応、石化耐性を上げる装飾品である鏡の盾を仕込んでおく。
今更ながら、このような装飾品はどうやって装備していたのか、いまいち分からんな……。
ゲームだからといえばそれまでだが……。
俺はこの前のシスのコスプレ?に着替え、おおよそ見当が付いている戦闘場所まで短時間で向かう。
鬼が出るか蛇が出るか、俺の正体が完全にバレないように祈るしかないな。
俺はそう心で呟きながら駅に侵入すると案の定、人の気配は無い。
「おや? ここは人払いの式が張られている筈だけど、君は誰かな?」
この何事も達観したような少年声は聞き覚えがある。
俺は即座に地面を踏み込み、声のする方向とは真反対の方へ待避する。
「その身の熟し方どこかで見たな」
白髪の三白眼、人形のような無表情。
フェイト・アーウェルンクス。
土のアーウェルンクス、三番目のアーウェルンクス。
俺は構えを取り、
「まぁ、いい。 目撃者には消えてもらうのが定石だね」
ほぼ不可視の速度で俺の寸勁まで近づき、馬歩衝捶を放ってくる。
俺はそれをまとい掛けでフェイトが突き出した拳を半身で避けつつ指二本で学生服のような服の袖に引っ掛け、相手の腕に巻き付けるように捻り上げる。
そして、肩で相手を背負い、後方に投げ飛ばす。
アーウェルンクスは少し意外そうな顔をしつつも冷静に距離を取り、呪文の詠唱を開始する。
「ヴィシュ・タル・リ・シュタル・ヴァンゲイト」
土のアーウェルンクスは石化や石に関する魔法を使用する。
基本的には土に関する魔法が得意なようだが魔法自体は全属性を扱えるだろう。
原作でも水を操り、明日菜を辱しめていた。
「
マズイ! 黒耀石製の剣の生成魔法!
俺は全神経と視界からの情報、音をしっかりと聞き、目の前で無数の黒耀石の剣が生成され、刃先がこちらへと向く。
石化が付与されていたとして、鏡の盾がどこまで作用するか分からない以上、モロに喰らうのは避けたい。
この魔法は確証は無いが石化も付与されている可能性が高い、ネギ少年は剣の腹を拳で砕けていたため、同じことをする。
息を整え、剣の軌道を読み取る。最小限の動きで避けれる刃は避け、体に動きで避けることが難しい剣は腹を殴って破壊する!
一本、二本、三本。
飛んでくる刃を避け、破壊してゆく。
生成が終わり、剣の雨は止む。
「ふむ、一般人……にしては力が強すぎる。 何者だい?」
ここで素直に教えたらただの莫迦だ。
偽名で押し通ろう。
ボイスチェンジャーで、あの声優さんの声に似た人がいて良かった!
「……我が名はシス。」
ごめん、グラブルのシス。
この世界にグラブルがまだ無いのが悪い。
エミュできないから雰囲気だけ真似ておこう、それが良い。
「悪童よ。 貴様は何故関西に与している、その詠唱は魔法のそれだ。」
アーウェルンクスの纏う雰囲気がより剣呑なものとなる。
「へぇ、魔法を知ってるんだ」
「何故麻帆良の学園生を狙う?」
その問いにアーウェルンクスは黙る。
答える義理はアーウェルンクスには無い。
だが、予測はできる。
「かつての英雄、その子供達の実力を計るためか?」
「まさか? 彼は僕が気に掛けるような存在ではない」
俺は再び構えを取る。
剣呑な雰囲気はすでに殺意へと変わってゆく。
二人が踏み出そうとした瞬間。
駅から声が響くと同時に猿の着ぐるみのようなナニカが飛び出てくる。
次回予告
関西呪術協会に近衛 このかが狙われていると知った、ネギ一行は関西呪術師協会の魔の手から生徒を、このかを守ることはできるのか。
次回、準幕間劇 京夜行
_______
あとがき
今回あとがきを書いたのは作品のスタンスと言うか、方向性についてです。
拙作は魔法先生ネギま!の二次創作を突如書きたいと思った作者の突発的な発想の作品ですので、本来無いような設定などが出ますが、作者が考え得る作品同士の整合性を確保するための致し方ない手段ですので、ご了承いただけると幸いです。
では、次回もお楽しみに!
この小説の文章力は?
-
プロには及ばないが上手い
-
一般人よりマシ
-
普通
-
一般人より下手くそ
-
素材だけで成り立たせているだけ、ゴミ文章