魔法先生ネギま! 黄龍魔闘剣風帖   作:雑食紳士

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前回のあらすじ
 天ケ崎一派の暗躍を退け、近衛 このかの救出に成功したネギ一行。
 竜馬、その中に転生した男は少しづつ、負の感情に飲み込まれてゆくのであった……


黄龍降臨

 修学旅行一日目の深夜。

 

 まさか、本当にフェイトが出てくるとは思わなかった。

 

 体の石化が無いことを診止めた俺は風呂に入り、一日を振り返る。

 

 フェイト・アーウェルンクス。

 

 ネギま!世界で人工的に造られた、文字通りの人造人間。

 

 創造主(ライフメイカー)、ヤルダバオトの使徒であり、三番目に鋳造された個体である。

 

 だが、実際は創造主にとっては致命的な欠陥(バグ)を抱えた存在であり、もっとも人間らしいアーウェルンクスだ。

 

 感想としては、本気で何とか再起不能手前までは持っていけるが、決め手に欠ける。

 

 本人は遠近共に高水準の実力を有している。

 

 総評としては、強いが先に来る。

 

 次に月詠との戦闘を思い起こす。

 

 蓬莱寺師匠のような技術のある剛剣や霧島師匠の柔剣には及ばないまでも強く、『剣掌・鬼剄』の使い手であった剣八 右近と同じ殺人や命の張り合いに快楽を見出だしている手合いだ。

 

 作中でもかなりの戦闘狂かつ同性愛者っぽさはあったが、何か俺をターゲッティングしてたような……されてないよな?

 

 総評として、神鳴流の剣士としては完成されているだろうと感じるので、強さは中の上あたり、高畑指導員レベルの人物なら月詠には楽勝だろう。

 

 気を取り直して、現状を整理しつつ今後の方針を決める。

 

 原作介入の影響か、フェイトの顔見せを早々にさせてしまったが戦闘をさせずに済んだのは良かったかもしれない。

 

 俺は学園側から特別に一人での班活動が容認されているので、明日は周辺警護をしつつ、様子を見ることにしよう。

 

 

……

………

 

 

 今日は確か、五班は奈良での観光がメインで宮崎 のどかの告白や旅館で朝倉への魔法バレ、深夜のネギ少年とのキス争奪戦。

 

 並べてみると頭が悪いというべきか、中学生らしいと言うべきか。

 

 そもそも、この時空の人々は極一部を除いて多少バカの気がある。

 

 魔法の片鱗を見ても最新のCG……AR技術やワイヤーアクションと思い込む節がある、それが世界樹の持つ認識改変の力だとすると、末恐ろしいな。

 

 俺は遠目からネギ少年を含む麻帆良中学女子中等部三ーA第五班の面々を視認しながら、奈良公園へと向かう。

 

 ほとんどネギ少年と宮崎少女のデートの様相を呈しているが、ここではほとんど問題は起きないだろうが、念のため警戒だけはしておこう。

 

 むっ!?

 

 あのニット帽を被った学生服の少年は……まさか!!

 

 身辺調査をしていたのは知っていたが、本編外ではここでもしているのか!?

 

 

 多分、昨日の異分子()がいないことを確認しにきた可能性がある。

 

 ネギ少年達との接触を現時点で遮るべきか、否か。

 

 選択を迫られる。

 

 だが、白昼夢堂々小学生男子を中学生男子がボコボコにするのは絵面がマズすぎるな。

 

 様子を見るしかない。

 

 

……

………

 

 

 そして、修学旅行二日目深夜

 

 朝倉の魔法バレイベントが終わり、現在はネギ少年が深夜警戒の見廻りとネギ少年とのキス争奪戦が同時並行で行われている。

 

 ネギ少年は呪術や陰陽道に関しては軽視とは言わないが疎い気がある。

 

 それに監視されていた事も伝える必要があるだろうか?

 

 

 まぁ、痛い目を見ないと分からないときもあるだろうから夜の襲撃をこちらが未然に防ぐことに注力しよう。

 

 

 そんなこんなで、ネギ少年の仮契約や反省の正座イベントを乗り越え、修学旅行三日目に差し掛かろうとしていた。

 

 そういえば、們天丸は今も生きているのだろうか?

 

 人間なのだから死んで当然なのだが、天狗に育てられた男だ。

 

 修行の末に天狗に成っていても不思議ではない、か。

 

 この世界は魔法が存在する世界なのだ、それぐらいの奇跡あっても良いだろうに。

 

 

……

………

 

 

 三日目。

 

 ネギ少年たちは五班の図書館探検部の四人を撒くためにゲームセンターでの工作が開始され、学生服の少年、犬上 小太郎との邂逅を果たして、ネギ少年と明日菜は関西呪術協会本部へ向かい、護衛の桜咲を残した図書館探検部組は和平締結まで町中を移動することとなる。

 

 あっち(近衛 このかの護衛ルート)にはフェイトがいる、俺が出張らないと最悪なシナリオが発生する可能性があるからだ。

 

 それは近衛 このかを除く映画村内にいる人全てを石化して掻っ攫う可能性があるからだ。

 

 

 フェイトの発言からして、協力関係というワードが出ていることから、アイツは『完全なる世界(コスモ・エンテレケイア)』の構成員として同盟を結んだ可能性はある。

 

 さらに関西呪術協会の本部を石化魔法で制圧するくらいには力技もしてくる。

 

 最悪、フェイト・アーウェルンクスを再起不能にしなければならない。

 

 この世界は過激派も多い、この手の強行策に走る可能性は十分あるだろう。

 

 俺はひとまず、遠目から追跡して映画村に入り込んだ瞬間に俺も壁外から侵入し、偽装をしてから彼女たちのサポート、フェイトの足止めをしよう。

 

 そう考えながら追跡していると、桜咲さんは神鳴流剣士の月詠の飛び苦無を防ぎつつ、映画村へ逃げ込んだ。

 

 俺も予定通りに中へ潜入する。

 

 貸衣裳を盗み、着替える。

 

 どうやら掻っ払ったのは忍者装束。

 

 顔まで覆う頭巾と頬当ても付いており、ボイスチェンジャーを使えば……。

 

 無い。

 

「忘れた!?」

 

 どうする!? 俺の声を近衛 このかは知っているが一度だけだ、覚えきれていない可能性もある。

 

 だが、時間が無い。

 

 俺は覚悟を決めて、外に出る。

 

 大橋の方が騒がしい。

 

 どうやら桜咲さんと月詠の決闘が始まっているようだ。

 

 

 俺は天守閣の方へ向かう為、軒先を掴んで屋根まで上がる。

 

 そのまま屋根を伝い、天守閣まで向かう。

 

 俺が天守閣を繋ぐ大橋に降り立ったと同時にネギ少年の式神が近衛 このかを連れて、上がってゆく。

 

 俺は城壁を蹴り上がり、屋根伝いに天守閣の頂上付近である、大天守へ昇る。

 

 そこでは天ケ崎 千草とアーウェルンクスが呼び出した式神の……ルビなんとかとフェイト、猿鬼と熊鬼、向かい合うのはお姫様衣装の近衛 このかと式神のネギ少年。

 

 ルビなんとかは弓を番え、標準をネギ少年たちに向けている。

 

 どうやら、アーウェルンクスは裏方に徹する腹積もりらしい。

 

 俺が大天守の縁に手を掛けた瞬間、突風が吹き始め、二人が体勢を崩しかけた瞬間。

 

 ルビなんとかは命令通りに動いた対象に対して弩弓砲もかくやの大弓から矢を放つ。

 

 間に合うか!?

 

 原作では桜咲さんは間に合った。

 

 しかし、原作と流れが変わってしまっている以上、確実なんて保証はどこにもない。

 

 そんなとき、あの言葉が頭を過る。

 

《憐れなる者よ。 汝、善行を積み重ねれば恩寵を与えよう。 世界を好きに掻き回し、新たな歴史を作るべし。》

 

 

 これは、俺が招いた(転生した)結果なのかも知れない。

 

 故に、これは善行とは程遠い。

 

 俺の贖罪だ。

 

 現在、この体は元の意識と一体化しているが、だが実際は乗っ取りに近い。

 

 幾ら同一の存在だったとして、俺の中には多少痼のような物が残り続けているだ。

 

 元の緋勇 竜馬に返そうにも返せない。

 

 なんとなく理解をしている、この体の意識は完全に俺と融合していることに。

 

 だから、ここで俺が死んでも物語の方向が正常に戻るだけだ。

 

 正直今生の両親や師匠達に関しては申し訳なさはある。

 

 俺は自身の裡に意識を向け、己の宿星に意識を落とし込む。

 

 もし、俺が『黄龍の器』だと言うのなら。

 

 自身を龍穴と成す事もできるはずだ!

 

 俺は地の底をうねるように流れる龍穴に手を触れ、吸い上げるイメージをする。

 

 すると、『氣』の流れたる龍脈はたちまち俺を中心に龍穴と開き、俺の中に流れ込む。

 

 溢れ出る力を利用して跳び上がる。

 

 視界に映る全ては遅く、矢の軌道まで見える。

 

 これがゾーンというものだろうか?

 

 これなら、できるかもしれない。

 

 あの『秘拳・朱雀』を!

 

 俺は二人の前に立ち、構える。

 

 『秘拳・朱雀』は巫炎を極めた折に身に付けた者が放てる秘拳。

 

 

 ここでできなければ死ぬしかない、この極限の状況下によって成せることもあるはずだ。

 

 俺は体内で『氣』を練って炎と成す。

 

 巫炎よりも熱く、己が身を焦がそうとも。

 

 放つイメージはあの人の、マリィ義叔母さんのパイロキネシス。

 

 拳から放つイメージで。

 

 俺が拳を振り抜く。

 

 拳の先にはもう鏃が触れようとしている。

 

 失敗すれば俺の右腕は鏃に裂かれ、骨も鏃に砕かれるだろう。

 

 鏃が拳に触れる。

 

 鏃の触れる範囲が大きくなっていくが痛みはなく、振り抜く瞬間、箆中節が砕けて、破片が火の粉となって消える。

 

 俺はそのままルビなんとかの懐に縮地で潜り込み、『龍星脚』で腹部を蹴り上げ、宙に浮かせ、続け様に『龍閃脚』で頭部を蹴り下ろす。

 

 続けざまに『昇龍脚』を放ちアーウェルンクスを蹴り飛ばし、猿鬼と熊鬼を『掌底・発剄』で吹き飛ばし、天ケ崎をまとい掛けで猿鬼と熊鬼の方へ投げ飛ばし、膝を突いたルビなんとかのがら空きになった腹に氣を込めた掌を当て、『螺旋掌』を叩き込んで消滅させる。

 

 アーウェルンクスは僅かに驚愕の表情を浮かべ、猿鬼・熊鬼は大梁の方へ飛ばされ、天ケ崎は自らの式神の上に突っ込み、ルビなんとかは腹に螺旋状の穴を穿たれ、消滅する。

 

 まだだ! まだアーウェルンクスを敷地外まで放逐せねば、石化魔法で全滅もあり得る!

 

 体が軋みをあげ、悲鳴を上げている。

 

 だが、これだけはしなければならない!

 

 俺はそのままアーウェルンクスの後方に跳び、障壁を素手で砕き、襟首を掴む。

 

「障壁を!?」

 

 痛みを感じる手で力任せに寺社仏閣、それも池がある方向に投げ飛ばす。

 

 天ケ崎は最大戦力のアーウェルンクスを欠いた、俺を倒しても近衛 このかは桜咲さんが関西呪術協会へ連れて行き、本編の流れが始まり、俺の出番は終わるだろう。

 

 口から迫り上がる物を感じ、飲み込もうとしたが、駄目だった。

 

 口からは液体が溢れ、屋根瓦を紅が染める。

 

 ああ、代償はあるか……。

 

 あれだけの力を使ったんだ、本来人に押し込めるにはあまりにも強大な力の奔流なのだ。

 

 俺の体は内部で肉が弾け飛ぶ感覚が肉体を蹂躙する。

 

 俺はその瞬間、意識が暗闇に沈み込んだ。

 

 

……

………

 

 

 沈み込む意識の中、温かな物が俺を包み込む。

 

 意識が回復すると、近衛 このかと桜咲さん、図書館探検部組の二名がこちらを覗き込んでいる。

 

「俺……は?」

 

 俺の独り言に近衛 このかは顔を見て安堵の声を洩らす。

 

「良かったわ、緋勇くん」

 

 俺の名前……!?

 

 俺は上体を起こして顔に触れる、頭巾や頬当てが取られていることに気が付く

 

 顔を見られた!?

 

 ただでさえ原作キャラに認知されただけであの強制力なのだ、今後の展開への影響が図り知れない。

 

 ここまで来てしまえば俺の存在が知られるのは誤差になる、だが現時点で一般人の二人に裏の話をするのは駄目だ。

 

「桜咲 刹那さん、俺は東からの人員だ。 迷わず目的地へ向かえ、彼らと共に本家へ」

 

 俺は痛む体を起こして、去ろうとするが、誰かに腕を掴まれる。

 

「おっと、君には色々聞きたいことがあるから一緒に来てよね!」

 

 その声の主は朝倉 和美、振りほどこうにも今の俺にはその力さえ、無くなっている。

 

「はぁ……厄日だな」

 

 俺は抵抗せずに朝倉達に付いていくこととなったのだった。




次回予告
未定

あとがき
閲覧していただき、誠にありがとうございます。
ストックが完全に尽きたので、しばらく書き溜めをするため、更新がストップします。

私自身、拙作は評価を受けない駄作となるだろうと覚悟をしていたのですが、皆様の感想や評価を見て、モチベーションが上がってきているので、エタらないように書いていきますので、お付き合いの程よろしくお願いします。

雑食紳士でした。

この小説の文章力は?

  • プロには及ばないが上手い
  • 一般人よりマシ
  • 普通
  • 一般人より下手くそ
  • 素材だけで成り立たせているだけ、ゴミ文章
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