天ヶ崎一派の襲撃に立場が変わったフェイトという無視できない存在の為に映画村へ向かう近衛 このか達の追跡・隠密警護を選択した竜馬は原作展開からの乖離で桜咲 刹那が間に合わないと察し、荒業を以て天ヶ崎一派を退け、代償を支払いつつ、朝倉 和美と早乙女 ハルナの助けを借りて一路、近衛 このかの生家である関西呪術協会へ向かうことに。
俺は今、朝倉 和美と早乙女 ハルナに肩を貸されながら、関西呪術協会への千本鳥居を歩いている。
服は勿論、学生服を着ている。
隠す必要が無くなったのもあるが、現在はあの変装道具たちを忘れてきていたのだ。
「へえ~、アスナといいんちょの幼馴染みなんだ」
朝倉の意識を保たせる計らいなのか、質問責めにあっている。
そして色々と根掘り葉掘り聞かれている。
そういえば、流れだとネギ少年との合流はこの後の筈だが......。
そう考えていると、すっ頓狂な声がする。
ああ、この体は本来人格は明日菜のことを安心できる人間として認識していたようだ。
その時、俺の意識は暗転した。
...
......
.........
柔らかな感覚が体を包む。
目蓋を貫く光により意識が鮮明化してゆく。
目を覚ますと和室の中央で目を覚ます。
そういえば、朝倉さんたちに担がれて関西呪術協会に向かっていたはず......。
俺が上体を起こすと誰かが傍らで座っていた。
その人物は宮司服を身に纏った細面の眼鏡を掛けた中年男性。
俺の中に一人だけ心当たりがある。
「初めまして、関西呪術協会の長殿。 私の名前は緋勇 竜馬と申します。」
「ああ。 初めましてだね、緋勇君。 私はここ、関西呪術協会の長、近衛 詠春です。」
「君のことは報告と親書で大まかに理解はしているが、確認をさせてくれるかい?」
俺はその言葉に首肯する。
「まず君は関東呪術協会の長、御門 晴明さんの弟子で間違いないね?」
「はい、その通りです」
そこから数度の質問を経て、ある質問が詠春さんから飛びだしてきた。
「これは個人的な質問だ、答えなくてもいい。...... 君は『黄龍の器』との血縁関係があるね?」
予想外の質問に俺は言葉を詰まらせるが、答えは一つだ。
「...... 答えられません、御門師匠にお聞きください」
血風帖や剣風帖での悲劇を思えば、俺がすべき義理は知らばっくれることだ。
「そうか...... これ以上は詮索しないことにする」
「緋勇 竜馬くん。 このかやネギ君の護衛、ご苦労だった」
「こちらも仕事ですので」
詠春さんは困ったような顔をして、こちらを見る。
「父からの手紙以上の堅物感だね。 流石は龍麻君の息子だね」
!?
父さんを知っている!?
「やはり、親子揃って驚く顔は似るものだね」
詠春さんはしたり顔で笑顔を向けてくる。
そんな時、襖が勢い良く開く。
「おう、竜馬。 女のために
俺はその声に聞き覚えがある。
襖の向こうにいた人物は赤みがかった茶髪に黒のムーヴスーツに白地のワッフルヘンリーネックシャツ、捲られた袖からは鍛え抜かれ腕が覗く。
この人は蓬莱寺 京一、俺の師匠の一人で、父の親友。
そして、俺が知るなかで最強の剣士である。
「よぉ、弟子。 久々だな!」
「し...... しょう?」
俺の理解が追い付いてこない。
何故蓬莱寺師匠が此処にいるんだ? 師匠は父や劉師匠と共に中国のはず。
「まぁ、何で俺が此処にいるか疑問だよな? 俺は保険みたいなもんだ」
「保...... 険......?」
蓬莱寺師匠は俺の下まで来ると胡座を掻いて座る。
「裏密や御門が占いでおめぇがヤベェって結果が出たから、俺は伝でこっちに直で来たんだ」
「詠春殿は父を、俺についてどこまでご存知で?」
詠春殿は微笑みながら答えた。
「彼とはあの決戦を共に潜り抜けた戦友だよ、京一君とは今も剣の手合わせをさせてもらう仲さ」
「へっ! アンタとは五分だが、次は六にして勝ち越させてもらうけどな!」
そんな軽口を叩きあっている? 二人が何かを......。
いや、障子を挟んだ廊下に四人ほど誰かいる。
誰かは何となく察せるが。
「あまり盗み聞きはよろしくないな。 ネギ先生、明日菜君、刹那君、このか」
詠春殿が障子を開くと四人が雪崩れ込んでくる。
四人の顔は十人十色だ。
明日菜は複雑そうな顔、ネギ少年は興味津々に、桜咲さんは少し申し訳なさそうに、近衛さんは心配そうな顔をしている。
「......」
明日菜の視線が痛い。
「緋勇君、大丈夫なん?」
近衛さんの一言に俺は少し詰まったが、なんとか返答することができた。
「あ、あぁ......」
答えに困る、彼女は今は魔法サイドでは無いから慎重に答えなければならない。
「で、でも意外でしたね。 緋勇さんが関係者だっただなんて」
ネギ少年の一言で明日菜の雰囲気が変わる。
「いつからなの?」
その一言には怒りがあった。
ただの怒りではない。
筆舌に尽くしがたい、複雑な感情のうねり、その中で一際激しい感情が怒りだった、雰囲気だ。
「か、神楽坂?」
何となく胸中は察するが、こればっかりは知らばっくれる訳にはいかない……か。
「……別に隠していた訳じゃないよ、君や他の人を巻き込むわけにはいかいからね」
その答えに納得半分不満半分といった様子だが、取り敢えず納得はしたようだ。
だが、ここから先を話すには一人不都合な人物がいる。
俺が二人に目配せすると何かを察したのか、詠春殿はこのえさんに「このか、この蓬莱寺さんを宴席まで案内してくれないか?」と言うと、近衛さんは実父の頼みを受け、蓬莱寺師匠を宴席まで案内するため、二人で部屋を辞した。
「これで必要な人だけ揃ったね」
詠春殿の一言で、俺は覚悟を決めて話す準備に入る。
「じゃあ、質問。 停電のあの日、私達を助けたのはアンタだったの?」
やはり、最初の質問はそれか……。
TRPGの心理学判定の際、嘘の中に本当の事を混ぜればバレにくい!
「俺はおかしな『氣』を感じて、橋の尖塔まで登って事態を静観していたのは確かだ。」
「やっぱり……。あれ、アンタだったのね……」
「ネギ少年……と言うよりその肩に乗ったオコジョみたいな奴……かな? 君は僕がどこの所属か知りたいようだね」
ネギの肩に乗ったオコジョ、カモミール・アルベールはびくりと体を震わせる。
分かりやすい奴だ。
「俺自身は麻帆良学園男子中等部所属だ。」
カモは俺への警戒心を崩さず、無言を通している。
埒が明かないので、指摘はしよう。
「オコジョの君、喋れるのは分かっているんだから返事をするんだ」
カモは俺の一言に体を震わせ、『どうして』と言ったような顔をしている。
師匠たちも『氣』に関しては長年扱ってきた経験から動物と陰の気配を持つモノたちなどの探知もできるようにはなっているらしい。
俺自身も原作を知っているからっていうのもあるが、俺自身が幼い頃から扱ってきているので、その感覚を理解している。
カモは動物や物から放たれる陰や陽の氣とは、別の気配を有している。
「気付いてらしたんですかい?」
「生物としての『氣』とは、少し違ったからね」
「お初にお目に掛かりやす、緋勇の旦那。 アッシはカモミール.アルベールって言いやす、以後お見知りお気を! 」
「改めて。 初めまして、と言っておこうか。 緋勇 竜馬だ。」
「疑り深い君に対して、もう一つ開示しておこう」
俺は息を整え、カモに告げる。
「俺は師匠の一人である、関東呪術協会及び宮内庁陰陽寮の長である御門 晴明の弟子として、今回の東西の和解に関しての依頼を受けてこの場にいる」
ネギ少年や明日菜、桜咲は驚きの表情を見せる。
「驚くのも無理はないだろう」
俺がそう言うと、詠春殿が言葉を続けた。
「我々関西呪術協会はその歴史から関西を中心とした国内の鎮護を主目的とし、関東呪術協会は国内外を問わず、手広く陰陽道による祓魔や
詠春殿が話し終えると、ネギ少年は一つの疑問を口にする。
「でも、あのホウライジさんは一体……」
その疑問に俺は端的にだけ、答えた。
「蓬莱寺師匠は俺の父の高校時代からの友人であり、俺の師匠でもある人だ」
「師匠って、そんな何人も弟子入して良いもんなの!?」
その問いに俺は再び答える。
「俺が特殊なだけだからあまり気にするな、神楽坂」
まぁ、俺の師匠は多い。
魔人學園シリーズの殆どの味方キャラが俺の師匠であるのだ、プレイアブルだけでその数二十一はいる。
「ひとまず自己紹介はある程度終わったけど、緋勇君はどうする? 体はまだ本調子ではないだろう?」
「回復に専念したいと思います」
そう言うと詠春殿は三人と共に部屋を辞する。
傷の治療には『あれ』を使うか。
俺は坐禅を組み、地面から氣を汲み取り、治癒力に変換する技『結跏趺坐』を行う。
簡易的な回復なら立ちながらでもできるが、俺は見た目は大丈夫でも、中身の内臓はボロボロだ。
壊死まではいってなくても時間が経てばそのリスクは高まる。
地面から脳天にかけてじんわりとした温かさが俺の中に流れ込んでくる。
回復痛なのか、内臓が千切れんばかりに痛みを発する。
俺はその痛みを歯噛みで抑える。
暫くすると痛みは引きいたのを確認し、坐禅を解いて立ち上がる。
倦怠感は抜け切らないまでも、戦闘はできるまでには回復した。
俺は障子を開けて、部屋を出る。
時間は六時を回り始めたばかりのためか、日は傾きつつも太陽は未だその半身を地平線に埋めておらず、協会内の庭園を照らしている。
少し歩くと、ドンチャン騒ぎが聞こえてくる。
廊下に正座で座りつつ、障子の枠木をノックし、中に声を掛ける。
「失礼します」
俺は戸を静かに開けたあと、敷居を跨いで中に入った。
無論、明日菜やネギ少年、桜咲さんまで驚いていたのは言うまでもない。
次回予告
襲撃を受ける関西呪術協会。
石にされる長や三−A生徒、京都の争いの渦は激しさを増す、そして万全ではない竜馬の眼の前には……
次回、強襲
拙作をお手に取って読んでいただき、誠にありがとう御座います。
アンケートもご協力をいただいているようで、現在(2026/5/24)で15名の人達から投票をいただいております。
私自身、一般人よりマシが最高評価となると考えておりましたので、困惑を隠しきれないといった印象です。
次に貴重な感想を拙作にいただき、遅ればせながら感謝を述べます。
拙作で東京魔人學園や九龍妖魔學園紀をプレイした事がある人が読んでいただいているようで、こちらも魔人學園シリーズはなんだかんだ愛されているな、と感じております。
感想にて方陣技についての言及があったのですが、まだ確定はしてないのですが、色々な方向で追加していこうと試行錯誤しておりますので、感想を書いて頂いた方の琴線に触れることができるかは分かりませんが、頑張って書いていこうと思いますので、お付き合いのほどよろしくお願いします。
評価に関しましても、拙作はお世辞にも良い作品だとは口が裂けても言えないですが、少なくない人達が高評価を付けてくださり、モチベーションを維持できていると思います。
誤字脱字の報告に関しても、拙作を読み込んでくださっている、この事実に私は報告をくださったユーザーの人たちには感謝しかありません。
本当にありがとう御座います。
最後に、拙作のご閲覧・感想・アンケートの協力・評価付け・誤字脱字報告、誠にありがとう御座います。
まだまだ長いみちのりではありますが、よろしくお願いします。
雑食紳士でした。
この小説の文章力は?
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プロには及ばないが上手い
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一般人よりマシ
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普通
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一般人より下手くそ
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素材だけで成り立たせているだけ、ゴミ文章