死ぬのは、もう二度とごめんだ。
一度目の人生は、病室の上で終わった。
生まれてからほとんどの時間をベッドの上で過ごし、小説を読んだり、ゲームをしたり。
ベッドの上でできることは、それなりに楽しんだつもりだ。
けれど最後は、苦しみながら死んだ。
二度目の人生は教室で唐突に終えた。
一度目と違い元気に産まれることができたが、内向的な性格だった為かあまり友達もできなかった。
それでも自由に動けることを楽しみつつ高校生活を送っていたが、古典の授業中に突如激痛が走って気を失ってしまい、気がつくとこの世界に生まれ変わっていた。
そう、これで三度目だ。
二度転生することができたが、次があるのかはわからない。
もう俺は死にたくない。
……そうだ。
今まで、その可能性を考えていなかったから気づかなかった。
二度目の人生の同級生の顔や名前、特に
この世界は『蜘蛛ですが、なにか?』の世界、またはそれに酷似した世界だ。
この世界には、確か
神になれたなら、通常の生物よりは死に難くなるだろう。
それが本当に俺にも可能なのかはわからない。
だが、何もせず死を待つよりは、希望にすがる方がまだマシだ。
もし神になれるなら。
俺は、この世界で神を目指す。
それと、二度も人生を送っているのに満足いく生を送れてないんだ。
この世界ではもっと楽しく、満足できるように生きていくことも目標にしよう。
ただ生きていくことだけを目標にするのも楽しくないからな。
俺というイレギュラーがいる以上、この世界が原作通りに進むとは限らない。
いや、むしろ進まない可能性の方が高いだろう。
その点は注意して生きていかないとな。
それに
あんな存在に目を付けられた時点で、俺の命は玩具になる。
転生者であることがバレてないのを祈る限りだよ……。
◇
転生処理を始めてから気づきましたが……。
なるほど。
上位世界の魂ですか。
ふふふ、これはこれは。
今まで色々な魂を見てきましたが、こんなものは初めてです。
……面白くなってきましたね。
上位世界からやってきた影響か、なかなかに多くのエネルギーも持っているようで。
……ふむ。
そのまま放り込むのも、少々味気ないですね。
見た感じ、恐らく神を目指すのでしょうし、せっかくなら少しだけいじってみましょうか。
力をそのまま使われると、きっとすぐに楽をしてしまうでしょうし。
簡単に神になってもらっては困りますからね。
それでは、見ていて退屈ですから。
力を与えるというよりは、
神へ至る可能性だけは残しつつ、そこへ至る過程はきちんと足掻いてもらいましょう。
そしてそのかわり、神に成るまでの時間は短縮されるようにしましょうか。
……まあ、これくらいで十分でしょう。
配置も、ついでに調整しておきますか。
私の身代わりの蜘蛛の近くにでも落としてみましょう。
展開次第では、なかなか面白いものが見られるかもしれません。
彼の記憶にある『原作』と、この世界が同じかどうかは……。
正直、どちらでもいいですね。
ネタバレを見てしまった物語ほど、退屈なものはありませんから。
さて。
あとは、面白い方に転ぶことを期待するとしましょう。
精々、楽しませてくださいよ。
TIPS:上位世界の魂
別名、観測次元由来の魂。
本来この世界に存在する魂とは異なり、上位世界から流入した例外個体である。
上位世界の人類は、下位世界の過去・現在・未来を夢として観測することがあるとされる。
その魂は非常に多くのエネルギーを内包しており、下位世界で人類以外の種族へと転生したら、自然と神へと成長できる龍のような存在になると思われる。
ただし、そのエネルギーはそのまま扱えるとは限らない。
上位世界の事を知っている存在は、現在では最上位神の一部のみである。
なお、この設定がどこまで活用されるかは不明である。