三度目の生は蛇の姿で   作:鯱タクワン

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蜘3.二匹で、地上100メートルの攻防戦②

 倒している。

 

 確かに、倒している。

 

 糸に絡めて落とした猿もいる。

 毒で動けなくした猿もいる。

 影蛇の魔法で体勢を崩して、崖下へ落とした猿もいる。

 

 なのに、下から来る数は減らない。

 

 いや、減ってはいるはずだ。

 でも、見た目には全然分からない。

 

 壁に張り付く猿。

 地上で石を拾う猿。

 岩陰から出てくる猿。

 さらにその奥から増えてくる猿。

 

 どこを見ても猿。

 

『多い! まだ多い!』

 

『見えてる!』

 

『見えてるなら減らして!?』

 

『無茶言うな!』

 

 影蛇の返事が飛んでくる。

 さっきより少し荒い。

 

 普段ならもう少し小理屈を返してきそうなのに、今は短い。

 

 それだけ、影蛇にも余裕がないのだろう。

 

 私もだ。

 

 糸を出す。

 絡める。

 毒を落とす。

 影蛇の警告で投石を避ける。

 

 その繰り返しで、どうにか防衛線を保っていた。

 

 でも、保っているだけだった。

 

 押し返している感じはない。

 こっちが少しでも止まれば、全部崩れる。

 

 しかも、猿どもの動きが明らかに嫌らしくなっている。

 

 糸の濃い場所を避ける。

 毒が落ちる真下には固まらない。

 捕まった猿は、助けられるんじゃなくて足場にされる。

 

 こいつら、こっちの戦い方を見て、群れ全体で攻め方を変えてきている。

 

『右、薄い!』

 

『分かってる!』

 

 右へ糸を出す。

 その間に左が踏み荒らされる。

 

『左!』

 

『分かってるってば!』

 

 左へ糸を出す。

 今度は正面。

 

 正面を止めると、右下。

 右下を止めると、投石。

 

 忙しい。

 忙しすぎる。

 

 しかも、糸はタダじゃない。

 

 糸を出すにも、体を動かすにも、スタミナを使う。

 

 普段なら、捕まえた魔物を食べれば回復できる。

 

 でも、今は無理。

 食べる暇なんてない。

 

 目の前で猿を落としても、次の猿が登ってくる。

 噛みつくために近づいたら、別の猿に掴まれる。

 

『食事休憩、挟めないかな!?』

 

『挟んだ瞬間にこっちが食われる!』

 

『ですよねー!』

 

 冗談みたいに言ったけど、全然冗談じゃない。

 

 糸を出すたびに体が重くなる。

 毒を作るたびにMPも削れる。

 避けるたびに足が軋む。

 

 長引いたら、こっちが先に干上がる。

 

『影蛇、そっちは?』

 

『まだ、何とか!』

 

『何とかって何!?』

 

『何とかは何とかだよ! 右、来る!』

 

『はいはい!』

 

 声が近いのに、遠い。

 

 念話だから距離なんてないはずなのに、影蛇の気配が薄い。

 

 気配を消している、というのとは少し違う。

 影の中へ、体ごと沈んでいっているみたいな感じ。

 

 よく分からない。

 でも、あれは長く続けていいものじゃない気がした。

 

『影蛇、沈みすぎじゃない?』

 

『今それ言われても止まれない!』

 

『だよね!』

 

『だよねじゃない!』

 

 会話が雑だ。

 でも、雑でも返事があるだけマシだった。

 完全に黙られたら、多分終わる。

 

 その時、猿の一匹が、粘着糸に自分から突っ込んだ。

 

『え?』

 

 当然、貼り付く。

 

 動けなくなる。

 そう思ったのに、その猿は手足を広げて、壁に張り付いた。

 

 自分の体で、私の糸を潰すみたいに。

 

 その背中を後続の猿が踏む。

 さらに次が踏む。

 

 私の糸が、猿の体で埋められていく。

 

『ちょ、こいつ、自分の体で道作ってる!?』

 

『犠牲前提だ!』

 

『猿の作戦が重い!』

 

 毒を落とす。

 命中する。

 猿が苦しむ。

 でも、その猿すら足場にされる。

 

 死にかけの仲間を踏み越えて、次が来る。

 

 さらに、糸に絡まっていた猿の一匹が、急に動きを止めた。

 

 もがくのをやめる。

 そして、自分から壁を蹴った。

 

『は?』

 

 自分で、落ちた。

 後続の進路を塞いでいた自分の体を、道からどかすみたいに。

 

 その空いた場所へ、また別の猿が登ってくる。

 

『今、自分から落ちた?』

 

『進路を空けたんだろ!』

 

『やだ。何それ。怖いんだけど』

 

 こいつらは、生き残るために来ているんじゃない。

 

 私たちを殺すために来ている。

 

 そう思った瞬間、背筋が冷えた。

 

 私は生きたい。

 死にたくない。

 だから戦っている。

 

 でも、こいつらは違う。

 死んでもいいから、こっちを殺しに来ている。

 

『蜘蛛子、止まるな!』

 

『止まってない! 怖がってるだけ!』

 

『もっとまずい!』

 

『知ってる!』

 

 糸を出す。

 毒を落とす。

 猿を落とす。

 

 その時だった。

 

《経験値が一定に達しました。個体、スモールタラテクトがLV4からLV5になりました》

《各種基礎能力値が上昇しました》

《スキル熟練度レベルアップボーナスを取得しました》

《スキルポイントを入手しました》

 

 来た!

 レベルアップ!

 

 体の奥に熱が戻る。

 減っていたHPもMPもSPも戻る。

 足が少し軽くなる。

 

『レベルアップ来た!』

 

『良かった! 押し返せるか!?』

 

『やってる!』

 

 糸を出す。

 さっきより少し多く。

 

 毒を落とす。

 さっきより少し速く。

 

 猿が落ちる。

 さらに落ちる。

 

《熟練度が一定に達しました。――》

《熟練度が一定に達しました。――》

《熟練度が一定に達しました。――》

 

 どんどんとスキルレベルが上がっていく。

 

 ありがたい。

 ありがたいけど、今は確認している暇がない。

 

 他にも色々来てた通知を聞き流しながら、また糸を出す。

 そして、少しして。

 

《経験値が一定に達しました。個体、スモールタラテクトがLV5からLV6になりました》

《各種基礎能力値が上昇しました》

《スキル熟練度レベルアップボーナスを取得しました》

《スキルポイントを入手しました》

 

『おお、もう一回レベルアップ来た!』

 

『いいぞ!』

 

『いいけど、これだけ倒してるのにまだ終わらないの怖くない!?』

 

『怖いに決まってるだろ!』

 

 影蛇の声も荒い。

 でも、こっちが回復した分、少しだけ持ち直せた。

 

 そう思った直後。

 

 ガンッ!!

 

 ホームの外側が大きく揺れた。

 

『え?』

 

 投石だ。

 地上から飛んできた石が、ホームの外側に貼っていた岩片を砕いた。

 

 岩片が剥がれる。

 白い糸がむき出しになる。

 

『ちょ、ホーム壊された!?』

 

『狙ってきた!』

 

『狙うな! 人の家を! いや蜘蛛の家を!』

 

 さらに石が飛んでくる。

 また岩片が砕ける。

 外側の糸が削れる。

 

 偽装はもう意味がない。

 でも、岩片は外殻でもあった。

 

 壊されれば、足場が減る。

 防衛線が薄くなる。

 

『蜘蛛子、下!』

 

『下!?』

 

 反射的に足元を見る。

 

 ホームの真下に、さっきまでより近い猿がいた。

 いつの間にか、糸の薄い場所を抜けていた。

 

 猿の手が私の足へ伸びる。

 

『うわっ!?』

 

 糸を出すが、遅かった。

 猿の手が、私の足を掴んだ。

 

『いだだだだだ!?』

 

 引っ張られる。

 力が強い。

 体が外へ持っていかれそうになる。

 

『【幻痛】!』

 

 影蛇の声。

 猿の顔が歪む。

 けど、手は離れない。

 

『【不快】!』

 

 重ねて、影蛇の魔法が飛んだ。

 猿の動きが一瞬だけ鈍る。

 私はその隙に、猿の腕へ噛みついた。

 

 毒を流す。

 猿が暴れる。

 腕が少し緩む。

 

『離せっての!』

 

 糸を猿の顔に絡める。

 引く。

 

 ようやく猿の手が離れた。

 

 猿が落ちる。

 

『はぁっ、はぁっ……!』

 

『無事か!?』

 

『足、痛い! 無事ではない!』

 

 足がじんじんする。

 

 でも、それより怖かった。

 今、ホームから外へと普通に引きずり出されかけた事が。

 

 息を整える暇もなく、左下で猿が石を拾うのが見えた。

 

 いつもなら、その瞬間には影蛇の声が飛んでくる。

 

 左。

 石。

 避けろ。

 

 そういう短い警告が、嫌になるくらい正確に来る。

 けれど、来ない。

 

『左、石!』

 

 来た。

 でも、少し遅い。

 

『うひゃっ!?』

 

 私は反射で横へ跳んだ。

 

 石は直撃しなかった。

 けど、すぐ近くの岩にぶつかって砕け、破片が体に当たる。

 

 痛い。

 避けられた。

 でも、いつもより危なかった。

 

 声が遅い。

 いや遅いというより、遠い。

 

『影蛇、声遠い』

 

『……そうか?』

 

『そうだよ。今の、ちょっと遅かった。大丈夫?』

 

『大丈夫じゃないかもしれないけど、止まれない!』

 

『そこは大丈夫って言って!?』

 

『嘘つく余裕もない!』

 

 影蛇の返事が、一瞬だけ遅れた。

 

 ほんの一瞬。

 でも、その一瞬が怖い。

 

 今までなら、投石が来る前に声が飛んできた。

 猿が抜ける前に、方向を教えてくれた。

 

 その声が、少しだけ遅れている。

 

 良くないことだけは分かる。

 

 糸を出す。

 毒を落とす。

 猿を落とす。

 また猿を落とす。

 

 そうしている間に、また天の声(仮)が響いた。

 

《経験値が一定に達しました。個体、スモールタラテクトがLV6からLV7になりました》

《各種基礎能力値が上昇しました》

《スキル熟練度レベルアップボーナスを取得しました》

《スキルポイントを入手しました》

 

 また回復。

 

 助かる!

 助かるんだけど。

 

『これ、レベルアップなかったらとっくに死んでない!?』

 

『言うな! 考えたくない!』

 

『私も考えたくない!』

 

 回復しても、すぐ削られる。

 レベルアップでつぎはぎしながら、なんとか持っているだけ。

 

 その時。

 

『っ……!』

 

 影蛇が、息を呑むみたいな気配を見せた。

 

『影蛇?』

 

『こっちも、来た』

 

『え?』

 

『レベル、上がった……!』

 

 次の瞬間。

 

 さっきまで遠くなっていた影蛇の気配が、少しだけ戻った。

 

 影の奥へ沈みかけていたものが、ぎりぎり引き戻されたみたいに。

 

『……戻った?』

 

『少し、な。MPもSPも戻った。助かったよ。本当に』

 

 影蛇の声が、ほんの少しだけまともになった。

 

 それでも疲れている。

 

 でも、さっきみたいな薄さは少しだけマシになっている。

 

『じゃあ、これでまだいける?』

 

『いける。いけるはず』

 

『はず!?』

 

『今はそれで許せ!』

 

 許すしかない。

 

 私はまだ動ける。

 影蛇もまだ動ける。

 なら、まだ終わっていない。

 

 そう思った。

 思ってしまった。

 

 その直後。

 

 右下の防衛線が、また破られた。

 

『また!?』

 

『右下、二匹!』

 

『分かってる!』

 

 糸を出す。

 猿を止める。

 でも、別の猿が投石する。

 

 横へ避ける。

 そのせいで糸を引く力が緩む。

 猿がさらに登ってくる。

 

 私は体を捻り、毒玉を落とす。

 一匹に命中。

 もう一匹は避けた。

 

 避けた猿が、さらに上へ。

 私の方へ。

 

『来るな!』

 

 糸を出す。

 絡める。

 猿がもがく。

 

 私は糸を引こうとして。

 横から飛んできた石が、糸を張っていた岩を砕いた。

 

『あ』

 

 支点が消えた。

 私の体勢が崩れる。

 その一瞬を、猿は逃さなかった。

 

 手が伸びる。

 私の胴へ。

 

『しまっ――』

 

 掴まれた。

 ぐ、と体を締められる。

 

 息が詰まる。

 体が外へ引っ張られる。

 複数の猿の手が、私へ伸びてくる。

 

『蜘蛛子!』

 

 影蛇の声。

 

 影が伸びる。

 猿の腕を叩く。

 

 影蛇が猿へと魔法を使う。

 【幻痛】が走り、【不快】が重なる。

 

 でも、足りない。

 

 猿の手は離れない。

 

 糸を出す。

 でも体勢が悪い。

 

 毒を使う。

 でも噛みつける位置じゃない。

 

 引かれる。

 

 外へ。

 下へ。

 

 痛い。

 痛い痛い痛い痛い。

 

 これは、やばい。

 本当にやばい。

 

 その瞬間。

 

《経験値が一定に達しました。個体、スモールタラテクトがLV7からLV8になりました》

《各種基礎能力値が上昇しました》

《スキル熟練度レベルアップボーナスを取得しました》

《スキルポイントを入手しました》

 

 体の奥から、熱が湧いた。

 

 回復。

 同時に、古い皮がずるりとずれる。

 

 掴まれていた足や胴が皮になる。

 

 猿の手の中に残っていた、古い表皮。

 

 そこから、私の体が抜けた。

 

『うおっ!?』

 

 すっぽ抜ける。

 文字通り、すっぽ抜ける。

 

 猿の手から逃れ、私は糸へぶら下がる。

 

 危なかった。

 危なかったなんてもんじゃない。

 今の、レベルアップがなかったら終わってた。

 絶対終わってた。

 

『レベルアップ脱皮、神!』

 

『本当に助かった!』

 

『ほんとそれ!』

 

 息を吐く暇もなく、私は糸を出して体勢を立て直す。

 

 まだ猿は来ている。

 まだ終わっていない。

 でも、今のでかなり持ち直した。

 

 体も軽い。

 傷も消えた。

 MPもSPも戻った。

 

 いける。

 いけるはず。

 

 そう思った時。

 下の方で、ひときわ大きな影が動いた。

 

『……なにあれ』

 

 猿だ。

 でも、でかい。

 今までのアノグラッチより、明らかに一回り大きい。

 

 腕も太い。

 体も厚い。

 持っている石も、石というより岩だ。

 

《バグラグラッチ LV3 ステータスの鑑定に失敗しました》

《バグラグラッチ LV4 ステータスの鑑定に失敗しました》

《バグラグラッチ LV6 ステータスの鑑定に失敗しました》

 

『影蛇』

 

『見えてる』

 

『あれ、普通の猿?』

 

『普通じゃない!』

 

『ですよねー!』

 

 でかい猿は三匹。

 

 いや。

 

《バグラグラッチ LV2 ステータスの鑑定に失敗しました》

《バグラグラッチ LV5 ステータスの鑑定に失敗しました》

 

『増えたんだけど!?』

 

『多すぎだろ……! 来るぞ!』

 

 大猿の一匹が、低く身を沈めた。

 

 地面を蹴る。

 跳んだ。

 

『直接跳んできたああああ!?』

 

 でかい。

 速い。

 黒い塊が、下から一気に迫ってくる。

 

 投石じゃない。

 猿そのものが飛んできた。

 

『避けろ!』

 

『分かってる!』

 

 糸を出す。

 大猿の腕へ絡める。

 真正面から受けたら終わる。

 

 なら、軌道を逸らす。

 

 少しでいい。

 少しでも逸れれば、直撃は避けられる。

 

 私は糸を引いた。

 

『重っ!?』

 

 重すぎる。

 

 軌道は少し逸れた。

 でも、足りない。

 

 大猿の爪が、ホームの外側を抉った。

 

 轟音。

 

 糸が千切れる。

 岩片が砕ける。

 足場が崩れる。

 

『うわああああ!?』

 

 体が外へ投げ出される。

 慌てて近くの岩へ糸を出す。

 

 一本は滑った。

 もう一本は、崩れた岩壁の出っ張りに引っかかった。

 さらに足の一本が、壊れかけの外殻にかろうじて触れる。

 

 落ちてはいない。

 けれど、戻れてもいない。

 

 一本の糸で右上の岩に支えられ、数本の足だけが崩れた岩壁に引っかかっている。

 

 私はホームの外側、崩れた岩壁に半分張り付いて、半分ぶら下がるような体勢になっていた。

 

 腹の下には、まだ地上まで百メートル近い落差。

 背中側には壊れかけたホーム。

 

 崩れた岩壁に触れている足と、体を支える糸が、岩肌に細い影を落としていた。

 

 そして目の前には、壁を登ってくる猿。

 

 普通の猿たちが、左右から回り込んでいた。

 逃げ道を塞ぐように。

 さらに、別の大猿がこっちを見上げている。

 

『……やば』

 

 右。

 左。

 下。

 上。

 

 どこへ逃げればいいのか、一瞬で分からなくなる。

 

 いつもなら、ここで影蛇の声が飛んでくる。

 

 右。

 下。

 石。

 回り込み。

 そういう、嫌になるくらい細かい警告が来る。

 

 けど、来ない。

 

『影蛇!?』

 

 思わず呼んだ。

 

 返事が一拍遅れる。

 その一拍が、怖かった。

 

『……蜘蛛子、聞け』

 

 影蛇の声が、低く、近く聞こえた。

 けれど、さっきまでの岩壁の裂け目からじゃない。

 

 私の足元、というより腹の下。

 さっき見えた、足と糸が落とした細い影。

 

 そこへ、近くの裂け目から伸びてきた黒い影が重なっている。

 

 影蛇が伸ばした影だ。

 

 岩壁の影を伝い、垂れた糸の影を伝い、私の腹の下に落ちた影へ重なっている。

 

 外から近づいてくるんじゃない。

 

 影を伝って。

 私の影の奥から、こちらへ手を伸ばそうとしていた。




TIPS:自我境界とリソース枯渇

魂や影、精神などに関わる能力は、肉体だけでなく自我の輪郭にも影響を及ぼす場合がある。
通常、この星の生物は、システムの管理下においてHP・MP・SPによって生命維持、魔法行使、肉体活動を行っている。
しかし、特殊な能力や種族特性を持つ個体の場合、それらのリソースは単なる戦闘力ではなく、「自分を自分として保つ力」にも関わる。

HPが削れれば、生存本能が強まる。
MPが削れれば、魔力による自己制御が乱れる。
SPが削れれば、肉体と精神の踏ん張りが利かなくなる。

その結果、普段なら抑え込める衝動や種族本能が表に出やすくなる。
影に属する魔物なら、影へ沈みたいという衝動。
魂に飢える魔物なら、他者の魂を求める衝動。
精神干渉系の魔物なら、他者の意識へ触れたいという衝動。
これらは能力そのものが直接暴走するというより、その能力や種族性によって生じる欲求に、リソース枯渇によって抗いにくくなる現象である。
そのため、【n%I=W】保有者に発生するレベルアップ時の全回復は、肉体や魔力だけでなく、自我境界を一時的に立て直す効果も持つ。
ただし、根本的な衝動そのものが消えるわけではない。
あくまで、耐える力が戻るだけである。
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