転生したら生命の祖でした   作:なちゅらりゅう

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次回は23時に投稿予定です


第九話 シードラ

 

ある日の朝

目が覚めて外へ出てみると、

大切に集めていた生命(いのち)作りで失敗した際に精製された殻15億4385万8920個が全て消えていた。

 

ぺたりと地面に倒れ込む私

 

折角、思い出としてとっておいたのにとえんえん泣いてると、ヴェルザードがタイミングよくやってきました。

 

「ちょっとどうしたのサフィー!!一体何があったの?」

 

「うぅぅ… 生命(いのち)のゆりかごが全部消えた〜…私もう生きていけないよぉぉぉ……」

 

「ゆりかご…ってもしかして、あれのこと?」

 

ヴェルザードが指を刺した方向は、海でした。

そこにはぷかぷかと巨大な卵のような物体が……いや、

卵のようなではなく、巨大な卵でした。

 

「な、何ですかあれは」

 

「分からないわよ。私てっきりサフィーが知ってると思ってあなたの元へ寄ったのだけど……」

 

「知らないですね…。ですが昨日の今日でゆりかごが全部忽然と消えて、海に巨大な卵さんが出現しているのですし、おそらくあれが私の集めていた、大事な子供たちのゆりかごかもしれません」

 

「近くに行ってみましょ!」

 

「そうですね」

 

◇◇◇

 

 

「わぁ…まるで壁ですね…。近くで見るともっと大きい…」

 

卵はとてもとても大きくて、地球でいうところの東京ドームくらいはあるかなって思いました。

久しぶりに能力を全部発動させて、神様モードで卵を『解析鑑定』してみると、

卵は、たくさんの殻をつなぎ合わせて作られたものだとわかった。

生命(いのち)の気配はないけれど、どことなくヴェルダおじさんの気配がする。

 

「何だか…おじさんの温もり感じない?」

 

「そうなのよ、兄さんの匂いを感じるの。上の方へ来てくれる?」

 

「上に何かあるの?」

 

「卵に兄さんの気配が満ちてるせいで、安心しきったヴェルグリンドが寝ているのよ」

 

「可愛い…」

 

「と言うことで、私も寝るわね」

 

「マイペース…」

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

ううーん…どうしよう

寝ている二人のほっぺたをツンツンしながら、私はこの卵をどうするべきか悩んでいました…

 

多分ですけどこれ、ヴェルダおじさんが勝手にやったことですよね

大声で呼んだら、現れるでしょうか…

 

「おじさーーん」

 

「おじさんやめてねー」

 

うわぁ、水中からインチキおじさんが登場しました。

 

「どうして水中から出てきたのですか?」

 

「君の子供とお話をしてただけだよ。」

 

「私の…?」

 

「お母さん!お久しぶりです!」

 

ひょっこりと海面からピオーズが現れました。

 

「あ、ピオーズ…!」

 

「えへへ、覚えててくれてたんですね。ピオーズ嬉しいです!」

 

◇◇◇

 

「弟が欲しい…です?」

 

「はい!弟が欲しいです!」

 

卵については、ヴェルダおじさんとピオーズが原因だったみたい。

どうやら今の海は、激しい権力争いが巻き起こってて、誰が海の頂点に君臨するかを巡って何百年も戦争しているみたい。

海の情勢を知りたくなってたまたま海にいたヴェルダおじさんに相談して、今の状況らしい。

そこはお母さんを頼って欲しかったなぁ…なんて

 

「私は尊重派、食す者も食される者も皆平等に命に感謝を重んじなければならないと考えてます。

ですがお相手は皆んな野蛮なんですよ!

弱肉強食至上主義!力こそ全て!強者こそ正義!

限りある資源も全て余すことなく根こそぎ使おうとして、次の世代に残そうとか微塵も考えていないのですよ!

このままだと地上へ侵略をして、果てにはお母さんを殺して神になるとか言ってました!!」

 

「…はあ?無理に決まってるでしょそんなの。」

 

「あらあら、無知蒙昧な輩もいるのですね」

 

いつのまにか起きていたヴェルザードとヴェルグリンドが、苛立ちを見せています。

それに二人が怒ってしまったら…

 

「ひゅっ…な、何なのですかこの悪寒は…」

 

ほら…ピオーズが『威圧』耐えられず気絶しそうになってます。

ピオーズも強いですが、流石にあの二人の前では、10回に1回勝てるかどうかでしょう。

 

「どうどうですよ二人とも…」

 

「だって…」

 

「サフィーは嫌じゃないの?」

 

私のために怒ってくれているのは…すごく嬉しい。

でも、私は別に何とも思わないかな。

 

「自然の摂理ですよ。むしろ私よりも強くなったら、その方に海の管理を任せて私はのんびり過ごせますし、いいんじゃないでしょうか?」

 

「それは能天気すぎるよサフィー…」

 

話を遮らないでくださいヴェルダおじさん

せっかちになりすぎると老けますよ?

 

「勘違いしないでください。私は、その方の野心を評価しているのです。

退屈な私たちに刺激を与えてくれるなんて、すごく嬉しい。

ヴェルダおじさんだって、私がいることがいい刺激になっている…違いますか?」

 

「確かにそれはそうだけど…」

 

私は心境を話しながら、久しぶりに『深海ノ神(ポセイドン)』の生物創造を発動。

空っぽの卵に、生命(いのち)をふーっと吹き込みます。

それはそれは強い存在になるように、余すことなくエネルギーを注ぎ込む。

ピオーズがヴェルダおじさんに何を言って、何のために生命(いのち)のゆりかごを集めて一つの殻にしたのか、能力全開放の私なら手に取るように分かります。

 

お母さん()に創って欲しかったんですよね?

情勢を一発でひっくり返せるような()

 

「ふふ…ぬっふっふん…」

 

「サフィー?何だいその笑い方…」

 

「ヴェルダおじさん。私は海に用事ができたので、ログハウスでお留守番をお願いしますね。」

 

「…うん、わかったよ。くれぐれも乱さないように、暴れすぎないでね?」

 

「勿論…あの時よりは力の抑制は出来る…筈」

 

「心配だなぁ」

 

ちょっと今、あの時ぶりにワクワクしています。

久しぶりに身体を動かすとします。

 

「行きましょう、|()()()()()》…、視察の時間です。」

 

私の呼びかけに応じた卵に、大きな亀裂が入った。

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