転生したら生命の祖でした   作:なちゅらりゅう

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創世記
第一話 転生


 

波の音は、いつだって私の側にいた

波はさらさらと、素足に触れ

塩の香りと、日差しで湿った風が、帽子のリボンをパタパタ叩く。

放課後の、いつもの防波堤で、いつものように私は海風と夕日を眺めていた。

 

「やっぱりここにいた…みいちゃん早く帰らん?!今日は風が強くなるっていっとったよ?」

 

周りは私のことを変人扱いしていた。

自然と海を愛していたことから親やご近所さんからは未来の議員候補だって言ってくるけど、そんなことはどうでも良かった。

海と自然が大大大好きってだけだから。

 

「海って、良いよね…

どんな悩みも、水平線を眺めれば彼方へ吸い込まれて消えていくんだから」

 

悩みというのは、乙女の秘密的なアレ。

 

「みいちゃん、こうなると長いんだよなぁ…先に帰っちゃうよ〜?」

 

呆れる友達を無視して、私はぼんやりと景色を堪能していた。

でも、なんでだろう

今日は不思議だ

海は、いつもより少しだけ、深く笑っているように見える

まるで、『狩り』をするようだった

「……」

ふと、視界のふちで、子供が防波堤の端っこで釣りをしているのが見えた。

その刹那

「ぁ…」

凪の後、突風が少年を突き飛ばした

 

私は叫ぶよりも前に、走って、海へと飛び込んだ。

 

 

「みいちゃん…!?みいちゃん!!!」

 

友達の呼ぶ声が聞こえる

海は冷たい。でも、怖くない。

泳ぐことは慣れている。人命救助も、慣れている。

「っ、大丈夫!捕まえたよ!」

少しばかり海水を飲んじゃったみたいで、うまく呼吸ができていなかった彼を、

火事場の馬鹿力かよくわからないけど、近くのテトラポットに押し上げる事に成功した。

 

『よかった…』と安堵する。

 

その瞬間に、【何か】が足首を掴んだ

 

【何か】は、私の足に絡みつき、引き摺り込もうとしてくる。

離岸流か、海藻か、よくわからない。

でも、これだけは分かった。

『狩り』の標的は私に変わったんだ、と。

 

 

「あ…」

 

 

引き摺り込まれた

酸素が、泡沫となって水面へ散っていくのが見える。

手を伸ばしても、何もない。掴めもしなかった。

夕日に照らされた水面は、とても鮮やかで、綺麗だった。

まるでちっとも怖くないし、苦しくない。

私はこれから海の一部になる、その事実に(ああ…なんて最高なの)と歓喜した。

 

 

 

 

 

どろどろになって、溶けて、血肉が魚に取り込まれて、その血肉によって、いのちが巡る

本望だった

…やがて私は、意識を手放した

 

 

 

 

 

《確認しました。『生物の祖』としての素質があるのを確認しました。転生後『水神』として身体が再構築されます》

 

《確認しました。『水神』へ能力『生命ノ母(ティアマト)』の付与、及び、『深海ノ神(ポセイドン)』の獲得に成功しました》

 

《対象の転生を開始します》

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

創造竜は歓喜に震えた

システムが遂に、生命の祖を担える存在を発見したことに。

「手詰まりだった作業が…やっと再開できる」

 

「……ここ…は?」

 

「お早いお目覚めだね」

 

「あなたは…だれ?」

 

「ボクは創造竜ヴェルダナーヴァ。ようこそ、僕の創りし世界へ。」

 

 

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