転生したら生命の祖でした   作:なちゅらりゅう

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アンケートで毎日投稿に入れた人を私は許さない。
すべすべにされてやるから覚悟してください。


第三話 成功は失敗が素

「はっ…!」

 

「…」

 

「うぅ〜…はっ…!」

 

「まだ手から生命(いのち)を生み出そうと頑張っているのかい?」

 

「あ、お久しぶりですヴェルダおじさん。」

 

「おじさんやめてね」

 

この世界に転生してから数日が経った

生命(いのち)を創るお仕事はなかなかに難しい

というかまだ一個も創れていなくて

時々様子を観にくるヴェルダおじさんは、まだかまだかって待ち望んでいる。

 

「何が足りないのでしょうか…」

 

「おそらく頭だと思うよ」

 

「私は一応優等生ですっ」

 

馬鹿にしてきたおじさんの頭に拳骨を喰らわせて、再び手のひらから生命(いのち)を生み出すポーズに戻る。

 

「頭が身体にめりこんだんだけど」

 

「そっちの方がモテます…よ…!」

 

頭の中でコマンドを入力するイメージでやってみる

↓↘→ + P

↓↘→ + P

↓↘→ + P

↓↘→ + P

 

「↓↘→ + P…!!」

 

「それ水属性魔法だねええええええーー!!??」

 

どうやら今のが魔法というもののようだ

おじさんから魔素の話とか色々聞いたけど、案外上手くいくもんなんだね

ハイスペックなものだとしみじみ感じながら、元に戻ったヴェルダおじさんをはるか上空へ吹き飛ばしていく。

手から放出される水の勢いは消防車の放水と比較にならないくらいすごくて、おじさんの姿なんて既に見えなくなっていた。

 

数分後、ビシャビシャになったおじさんが疲れた様子で戻ってきた。

 

「攻撃技をイメージするのが不味かったかもしれませんね」

 

 

◇◇◇

 

 

「順調かい?」

 

「おはようございますおじさん。時間、まだかかりそうですね…」

 

「おじさんやめてね」

 

転生してから結構な時間が過ぎた

おじさんがいうには、地球換算で100年が経過したとのこと

生命(いのち)を創るのは、まだまだ難しい

 

生命(いのち)のゆりかごになる殻の生成は成功したけど、

イメージの問題なのか、そこから先のステップが難しかった

 

たとえるなら…私の一部をひと摘みちぎって、殻で包む感じ

饅頭を作る過程と言っても差し支えない。

 

「ちぎるところが問題…?」

 

「やって見せてよ」

 

「いいですよ、…はっ…!」

 

「やっぱり手から出すのだけは変えないんだね」

 

私は指先に神経を集中させる

手のひらから、濁った琥珀色のような光の玉が現れ、そして消えていった

コツン、と

地面に何かが落ちる

ヴェルダおじさんはそれを拾い上げた

 

「へぇ、外角は完璧みたいだけど、肝心な情報が抜け漏れている感じだね。」

 

「情報子の観測のコツが、まだ掴めていないかもです。」

 

情報子とは、あらゆる物質に含まれる、質量が限りなく0に近い最小の物質のことだって、以前おじさんが説明をしてくれた。

魂やスキルの構成物質で、前世でいう遺伝子のようなものだろう。

 

「だね。でもまぁ仕方ないよ」

 

ヴェルダおじさんは、それだけ言ってどこかへ行ってしまった。

つまらなさそうな声だった。

ちょっと悲しくなった。

彼は創造神だから、

もし、神様の期待に応えられなかったらどうしようって考えてしまうと、

ついつい焦ってしまう。

顔には出てないみたいだけど、本当に、焦ってる。

 

「もっと頑張らないとですね」

 

そう決意をしてから、438,720回目の挑戦で、

初めての生命(いのち)が誕生しました

 

「◇◎□▪︎」

 

という挽肉をぐちゃりと握りつぶすような産声に

喜びよりも、恐怖と不安と吐き気に襲われた

 

 

◇◇◇

 

 

「山のように積み上げられた殻に努力の跡が見えるね。関心関心」

 

天使と悪魔と、兄妹の製作にひと段落着いたボクは、水神の様子を伺いに物質世界へやってきた。

 

 

成功したらご褒美に水神に名前でもつけようかな、

なんて悠長なことを考えていると。

 

「◇◎□▪︎」

 

という、水神ではない、何かの音が聞こえた。

不安がよぎり、駆け足で彼女の元へ…

 

「◇◎□▪︎」

 

「…大丈夫…大丈夫、いいこいいこ」

 

現場は悲惨だった

 

目を引くのは、泣いている水神と、得体の知れない肉塊

水神は涙を溢しながら肉塊を優しく撫でていた。

肉塊は、ボクですら接触を忌避したくなる造形で、

5つの目玉があちこちに点在、皮膚は爛れ臓物が突出。

そして事実として、精神を削られるようなダメージを、コイツは無差別に与えてくるみたいだ。

この精神攻撃、ボクが生み出した始原の七天使や原初の悪魔にも通用する。

だからはっきり言って仕舞えば、存在してはいけない生物(バケモノ)だった。

 

肉塊を撫でる水神に、ボクは後ろから抱擁を行った

せめて恐怖が和らぐように

 

「すまない、辛かったよね。代わりにボクが…」

 

「だめっ…、やめて。殺さないで」

 

思考を読んだのかボクの言葉を遮り、か細い糸のような声が水神から発せられた。

 

「でも…あれは」

 

「せっかく、初めて…殺したくない…」

 

「じゃあせめて…隣に居させてくれるかい?君が壊れないように、ボクが守ってあげるよ。」

 

「あ、それは大丈夫です。あと抱きつくのやめてください、加齢臭が服に着いてしまいます。」

 

「ええぇ…ぶ、ブレないなぁ…ボクは君を励まそう…と」

 

水神は立ち上がり、いくつか試してみたいことがある様子で、肉塊を権能で分解し始めた。

どうやら先ほどのは核と殻がくっついて融合してしまったらしく、

次からは雑念を捨てて無心で作成を行うと奮起していた。

 

おそらく成長過程をすっ飛ばして生体をイメージしちゃったからなんなものが出来上がったんだろうなあと思いつつ

ボクは水神の生命(いのち)の製作過程を茫然と眺める。

でも…それにしては

 

(慣れるのが早い…、恐らくボクからの助言すら要らないくらい効率化できてるしこれなら…)

 

「……失敗……あ、また失敗………これも違う

あ、…成功した。」

 

「そんなあっさり…?」

 

見てみると本当に、成功していた。

魂も核に定着して、ブレることなく安定している。

それと初めて成功したことが嬉しすぎたのか、おさげをぴこぴこ動かして自慢げに説明を行なってきた。

 

「観てください、4つの魂が混ざり合って、1つの新たな魂が形成されていますよ」

 

「う〜ん先ほどまで悲しんでいた少女とは思えないほどのマッドっぷりを見せてくれるね」

 

「ということで、お待たせしてすみませんヴェルダおじさん。

私はこれから、たくさん生命(いのち)を作っていこうと思います。

あなたのおかげで手にした第二の人生、無駄にはしません。楽しみにして待っていてください。」

 

「!……はははっ」

 

嬉しいこと言うなぁ…

強かで真面目、それにお礼も言えるなんて、本当に良い子なんだね。

彼女を迎え入れてよかったと思いながら、ボクは感謝を述べて頭を撫でた。

 

「おじさんって言うのやめてね」

 

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