転生したら生命の祖でした   作:なちゅらりゅう

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次の話は明日の夜9時に投稿予定です
平和って素晴らしいですね



第七話 たまには必要なこと

「kurrrrr…」

 

「ほらほらおいで〜、私は美味しい餌ですよ〜」

 

転生してから体感一年が過ぎた頃

お肉が食べられるようになるくらい、生命(いのち)が沢山実りました。

最近、全ての力を自由自在にオンオフできるようになったので…自らを一般人と同いくらいの存在値にして、美味しい餌に擬態して獲物を誘き寄せている生活をしています。

所謂、縛りプレイというやつです。

理由としては単純で、人間だった頃の感覚が消えそうになっていたからです。

 

少し前に、悪魔がやってきました、

長い長い、血のような赤色の髪の毛の、とても野生的な悪魔でした。

私は神様だったおかげか、難なく撃退することができたのですが、何度も何度も、1000回以上は勝負を仕掛けられて、

最初こそためらっていたのですが、自由自在に武器を創れたり殺せたり蘇生させたり出来ることに慣れてしまい、

やがて私は、心が人ではなくなっていた、なくなりかけていたのです。

二度と生命(いのち)を見下したくないし、雑魚だと言葉を投げかけ嘲笑いたくない。

今一度、人間だった頃の辛さを思い出さなくてはと思い、今に至ります。

 

余談ですが、自分への戒めとして、一度重傷を負ってみることにしました。

転生してからこれまで、ろくに痛みを体験することがなかったので、わざと食べられたりもしました。

狼のような魔物の群が、自らの肉を食いちぎり臓物を引き抜く感覚は、

簡単に気絶できるくらい痛くって、生きていることを実感。

あらためて、私は転生して異世界で生きていると理解することができました。

今の今まで神様だったので、夢見心地感が抜けきれていなかったのです。

いい刺激になりました。

 

「おーいサフィー、薪を香辛料を採ってきたよ〜!ついでに大きくてかっこいいカブトムシも!」

 

最近、ヴェルダおじさんと海辺にログハウスを建てました。

 

「私も…お肉をゲットしました…。カブトムシは逃がしてください。」

 

「ええ〜?いいじゃないか一匹くらい…」

 

「わかったよ。はあ、それにしても疲れたよ…。身体中が痛いし、これが筋肉痛というやつかな?」

 

「私もです。でも、楽しいでしょ?」

 

「それは認める。サフィーには感謝しているよ」

 

ヴェルダおじさんも、あえてスキルを遮断して苦労をすることの楽しさをわかってくれたみたいです。

最初は何の意味があるのかわかっていない様子でしたが、でもそれは仕方のないこと

ヴェルダおじさんも最初から神様だったので、苦労の苦の字も知らなかったのです。

 

知ってかないと、目線が合わないままになってしまい、いずれ誕生するであろう人間と仲良くなれません。

なので彼も知る必要があったのです。

 

「綺麗だね…」

 

「…」

 

「サフィー?」

 

「…はい、とても美しくて、綺麗ですね」

 

陽が沈む地平線を眺めるおじさんの顔から、何かが抜けていくようなものが見えました。

厳格だとは思うのですが、もしかしたら、おじさんも疲労やストレスを溜めていたのかもしれない。

 

物思いに耽るヴェルダの顔は、綺麗でかっこよく…

 

…綺麗でかっこいい?

私は何を言っているのですか?

 

「おじさんはおじさんです。それ以上でもそれ以下でもありません。」

 

「おじさんやめてね」

 

こういう時間は、時々設けるべき。

そう感じながら、私は彼の方に寄りかかる。

 

「…そういえばヴェルダ、一緒にいたヴェルザードは?」

 

「…あっ」

 

小一時間後

 

「本当に信じられません!まさかカブトムシに夢中になって私を大森林に置き去りにするだなんて!」

 

「あっはは、ごめんごめん。」

 

やっぱり少しくらいのズルは大事かもしれませんね…

 

 

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