気ままに巡るポケモンの世界   作:ひよこ大福

14 / 14
第14話

朝の空気は、昨日よりも少しだけやわらかく感じた。拠点の外に出ると、草の匂いと風の音が静かに広がっていて、何も変わっていないはずなのに、少しだけ違う場所にいるような感覚になる。

 

「……いい朝だね」

 

小さくそう呟いて、ゆっくりと草地へ視線を向ける。

 

そこには、昨日と同じようにポケモンたちの姿があった。コラッタたちは地面を歩き回りながら草をかき分けていて、ポッポは木の枝に止まって周囲を見ている。

 

その動きは、昨日よりも少しだけ自然に見えた。

 

「……もう慣れてきてるのかもね」

 

思わずそう呟く。

 

ヒノアラシも横に来て、その様子を見ていた。昨日よりも迷いの少ない動きで、自然と同じ空間に立っている。

 

「少し、近づいてみる?」

 

無理に誘うわけじゃなく、選べる形で声をかける。

 

ヒノアラシは少しだけ考えるように動きを止めてから、一歩だけ前に出た。

 

その動きを見て、ゆっくりと歩き出す。

 

コラッタたちの方へ近づいていくと、一匹がこちらに気づいて顔を上げる。昨日と同じ個体かは分からないけど、逃げる様子はなく、そのまま様子を見ている。

 

「……おはよう」

 

静かに声をかける。

 

返事があるわけではないけど、その場の空気が少しだけ緩んだ気がした。

 

さらに一歩だけ近づく。距離を詰めすぎないように、ゆっくりと。

 

コラッタはそのまま動かず、ほんの少しだけ首を傾けた。

 

「昨日より、近くても大丈夫そうだね」

 

そう呟いて、ゆっくりと腰を下ろす。

 

同じ目線に近い位置になると、圧迫感が減るのか、ポケモンたちの動きが自然になるのが分かる。

 

ヒノアラシも少し後ろで座るような形になって、その様子を見ている。

 

しばらくそのままでいると、コラッタの一匹がほんの少しだけ距離を詰めてくる。

 

「……来る?」

 

小さく声をかける。

 

無理に手を伸ばさず、そのまま待つ。

 

コラッタは慎重に近づいてきて、ほんの少しだけ手の届く距離まで来た。

 

そこで初めて、ゆっくりと手を差し出す。

 

「触ってもいい?」

 

問いかけるように言うと、コラッタは一瞬だけ動きを止めてから、その場に留まった。

 

その反応を見て、ほんの少しだけ指先で頭に触れる。

 

「……あったかいな」

 

短い接触だけど、それで十分だった。すぐに手を引いて、距離を戻す。

 

無理に続けるより、このくらいの方がいいと感じる。

 

ヒノアラシの方を見ると、その様子をじっと見ていた。

 

「少しずつだね」

 

そう声をかけると、ヒノアラシはわずかに身体を揺らす。

 

そのあと、ヒノアラシが一歩だけ前に出る。

 

「……行く?」

 

軽く聞くと、そのままゆっくりとコラッタの方へ近づいていく。

 

コラッタは少しだけ身構えたけど、すぐには逃げなかった。

 

ヒノアラシはその少し手前で止まる。

 

「……それでいいと思うよ」

 

無理に近づく必要はない。その距離を保つことも、大事な関係の一つだと思う。

 

ポッポの方を見ると、木の枝からこちらを見ている。その視線も昨日より落ち着いていて、警戒よりも観察に近い。

 

「……少し慣れてきたみたいだね」

 

時間をかければ、ちゃんと変わっていく。

 

そのことが、こうして目に見える形で分かるのが嬉しかった。

 

しばらくそのまま過ごしていると、ポケモンたちの動きがさらに自然になっていく。こちらの存在を完全に無視するわけではないけど、気にしすぎることもなく、それぞれの行動に戻っていく。

 

「……いい関係かもね」

 

小さくそう呟く。

 

何かを強制するわけでもなく、ただ同じ場所にいるだけで少しずつ距離が縮まっていく。

 

それが、この場所での正しい形なんだろうと思えた。

 

ヒノアラシも、その空気の中に少しずつ馴染んでいる。

 

完全に一緒にいるわけではないけど、離れているわけでもない。

 

「無理しなくていいから」

 

静かにそう言うと、ヒノアラシはその場で小さく身体を揺らした。

 

風が草を揺らして、穏やかな音が広がる。

 

その中で、ポケモンたちと過ごす時間は、何も起きていないようで、確かに変わっていくものがあった。

 

「……こういうの、いいな」

 

誰に言うでもなく呟いて、そのままゆっくりとその時間を受け入れる。

 

急ぐ必要はない。

 

こうやって少しずつ、関係を作っていけばいいと思えた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

ポケットモンスター:オーバー・ザ・レジェンド(作者:ガチャガチャクツワムシ)(原作:ポケットモンスター)

サトシと同期の5人目の新人トレーナーとして主人公が旅に出て成長していく物語。▼オリジナルキャラが多めに出る上、原作キャラの強化もしようと考えています。▼生成AI使用して作成してします。


総合評価:151/評価:7.33/連載:119話/更新日時:2026年07月17日(金) 21:50 小説情報

誰にも祝われない旅立ち(作者:ひよこ大福)(原作:ポケットモンスター)

マサラタウンの外れのボロ屋で暮らす十二歳の少女・カエデ。▼人には心を閉ざし、ポケモンにだけ優しい彼女の隣には、森で出会った色違いのガーディがいる。▼誰にも祝われなくても、ここを出るために。▼これは、居場所のなかった少女が相棒と旅に出る物語。


総合評価:366/評価:7.83/連載:46話/更新日時:2026年05月12日(火) 17:00 小説情報

チートが使えるらしいのででluk(運)に極振りしようと思います。(作者:2.5次元の住人)(原作:痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。)

メイプルこと本条楓の弟。本条秋穂は最近話題のNWOをプレイしようとしていた。しかし、意気揚々とゲームを起動するとステータス画面には見慣れない項目が!▼「お姉は圧倒的防御のイベント3位⁉︎りさはノーダメの最強回避盾⁉︎僕絶対勝てないじゃん、」▼((お前が一番強いんだよ))▼どんな運も実力のうち!▼どんなことも運でチャチャっと解決!▼ある青年の圧倒的な運での蹂躙…


総合評価:35/評価:-.--/未完:12話/更新日時:2026年05月28日(木) 18:00 小説情報

映像機画版携帯獣世界転生物語(作者:こうすけ増田劇場版)(原作:ポケットモンスター)

なんか知らんがアニポケの世界に転生してた。


総合評価:1597/評価:7.27/連載:23話/更新日時:2026年07月17日(金) 18:05 小説情報

シューターのヒーローアカデミア(作者:なかりょた)(原作:僕のヒーローアカデミア)

ハイスぺの体と個性『射手』で転生した主人公がおくる物語。なお全方位にさわやかスマイルを振りまいて、脳破壊をしていく模様。


総合評価:717/評価:6.11/連載:26話/更新日時:2026年06月08日(月) 14:43 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>