気ままに巡るポケモンの世界   作:ひよこ大福

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第14話

朝の空気は、昨日よりも少しだけやわらかく感じた。拠点の外に出ると、草の匂いと風の音が静かに広がっていて、何も変わっていないはずなのに、少しだけ違う場所にいるような感覚になる。

 

「……いい朝だね」

 

小さくそう呟いて、ゆっくりと草地へ視線を向ける。

 

そこには、昨日と同じようにポケモンたちの姿があった。コラッタたちは地面を歩き回りながら草をかき分けていて、ポッポは木の枝に止まって周囲を見ている。

 

その動きは、昨日よりも少しだけ自然に見えた。

 

「……もう慣れてきてるのかもね」

 

思わずそう呟く。

 

ヒノアラシも横に来て、その様子を見ていた。昨日よりも迷いの少ない動きで、自然と同じ空間に立っている。

 

「少し、近づいてみる?」

 

無理に誘うわけじゃなく、選べる形で声をかける。

 

ヒノアラシは少しだけ考えるように動きを止めてから、一歩だけ前に出た。

 

その動きを見て、ゆっくりと歩き出す。

 

コラッタたちの方へ近づいていくと、一匹がこちらに気づいて顔を上げる。昨日と同じ個体かは分からないけど、逃げる様子はなく、そのまま様子を見ている。

 

「……おはよう」

 

静かに声をかける。

 

返事があるわけではないけど、その場の空気が少しだけ緩んだ気がした。

 

さらに一歩だけ近づく。距離を詰めすぎないように、ゆっくりと。

 

コラッタはそのまま動かず、ほんの少しだけ首を傾けた。

 

「昨日より、近くても大丈夫そうだね」

 

そう呟いて、ゆっくりと腰を下ろす。

 

同じ目線に近い位置になると、圧迫感が減るのか、ポケモンたちの動きが自然になるのが分かる。

 

ヒノアラシも少し後ろで座るような形になって、その様子を見ている。

 

しばらくそのままでいると、コラッタの一匹がほんの少しだけ距離を詰めてくる。

 

「……来る?」

 

小さく声をかける。

 

無理に手を伸ばさず、そのまま待つ。

 

コラッタは慎重に近づいてきて、ほんの少しだけ手の届く距離まで来た。

 

そこで初めて、ゆっくりと手を差し出す。

 

「触ってもいい?」

 

問いかけるように言うと、コラッタは一瞬だけ動きを止めてから、その場に留まった。

 

その反応を見て、ほんの少しだけ指先で頭に触れる。

 

「……あったかいな」

 

短い接触だけど、それで十分だった。すぐに手を引いて、距離を戻す。

 

無理に続けるより、このくらいの方がいいと感じる。

 

ヒノアラシの方を見ると、その様子をじっと見ていた。

 

「少しずつだね」

 

そう声をかけると、ヒノアラシはわずかに身体を揺らす。

 

そのあと、ヒノアラシが一歩だけ前に出る。

 

「……行く?」

 

軽く聞くと、そのままゆっくりとコラッタの方へ近づいていく。

 

コラッタは少しだけ身構えたけど、すぐには逃げなかった。

 

ヒノアラシはその少し手前で止まる。

 

「……それでいいと思うよ」

 

無理に近づく必要はない。その距離を保つことも、大事な関係の一つだと思う。

 

ポッポの方を見ると、木の枝からこちらを見ている。その視線も昨日より落ち着いていて、警戒よりも観察に近い。

 

「……少し慣れてきたみたいだね」

 

時間をかければ、ちゃんと変わっていく。

 

そのことが、こうして目に見える形で分かるのが嬉しかった。

 

しばらくそのまま過ごしていると、ポケモンたちの動きがさらに自然になっていく。こちらの存在を完全に無視するわけではないけど、気にしすぎることもなく、それぞれの行動に戻っていく。

 

「……いい関係かもね」

 

小さくそう呟く。

 

何かを強制するわけでもなく、ただ同じ場所にいるだけで少しずつ距離が縮まっていく。

 

それが、この場所での正しい形なんだろうと思えた。

 

ヒノアラシも、その空気の中に少しずつ馴染んでいる。

 

完全に一緒にいるわけではないけど、離れているわけでもない。

 

「無理しなくていいから」

 

静かにそう言うと、ヒノアラシはその場で小さく身体を揺らした。

 

風が草を揺らして、穏やかな音が広がる。

 

その中で、ポケモンたちと過ごす時間は、何も起きていないようで、確かに変わっていくものがあった。

 

「……こういうの、いいな」

 

誰に言うでもなく呟いて、そのままゆっくりとその時間を受け入れる。

 

急ぐ必要はない。

 

こうやって少しずつ、関係を作っていけばいいと思えた。

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