エロステータスが見えるヒロイン   作:SoftMcherry

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少しでも読みやすくなっていれば嬉しいです。


第三話「これからのワタシ」

あの衝撃の自己紹介の後も、医師の指示でしばらく安静にすることになった。

 

天蓋をぼんやり見上げながら、思い返す。

 

――ワクシマ・マドイ。

ゼッコイにおける自分の立ち位置を。

 

「こんなの、オワってる」

 

思わず声が漏れた。

 

この人物は、一言で言えば破綻している。

 

努力はしない。

でも報われたがる。

 

他人への感謝はなく、気に入らないことがあれば逆上。

責任は全部他人に押し付ける。

 

「よりにもよって、なんでこいつなのよ」

 

ベッドの上で顔を覆う。

 

まさに救いようのない人間ね。

好かれる要素が見当たらないのよ。

 

原作では、基本野郎を無視していたワタシですら、目に余る愚考・奇行の数々。

ほとんどのルートにおいて、迷惑な存在でしかない。

 

そしてその一つが――イナリちゃんルート。

 

あの赤髪の少女を思い出す。

 

気弱そうに俯いていた、小さな背中。

 

あれはまだ、“壊れる前”のイナリちゃんなのかもしれない。

 

と言うのも、彼女が本来の苛烈な性格になるのには、理由があるからだ。

 

「カスマドイめ…」

 

燻る怒りのままに、ベッドを拳で叩いた。

 

鼻血を出したあの日、自分が考えていた事のように、マドイはイナリちゃんが次期当主になろうとしていると思い込む。

 

そうして、四六時中本家の教育と称して、徹底的にイジメる。

 

原作で知っている限りでも、人間扱いはしていない。

 

家の中ですら、最後まで名前を呼んでいない。

ずっと、『スハラの下女』とか、『モドキ』とか、とにかくひどい。

 

「人未満はどっちよ…」

 

中でも酷いのが――。

 

イナリちゃんがミスをすると彼女の両親を呼び出すのだ。

 

そして彼女の前で、彼らに土下座させる。

 

どんな小さなミスでもこじ付けて、何度も何度もその姿を見せつける。

 

当然、その後に両親のストレスはイナリちゃんへぶつけられてしまう。

 

「こんなのを何年も受けてたら、そりゃ歪むわよ」

 

人一倍責任感が強かったからこそ、彼女は次第に、自分を責め続けるようになった。

 

――結果的に、男性不信になってしまう。

 

さらに他者に対して高圧的でありながら、内面は孤独と劣等感に苛まれる性格へと変わってしまうのだ。

 

それなのに、人の親切にはどう反応していいのかわからない。

 

――そんなのって悲しすぎるわ。

 

……だからこそ。

 

原作では”良い人”で優しい主人公に、惹かれていくのかもしれない。

 

…でも、三回一緒に下校したらHするのは、さすがにチョロすぎると思うの。

 

しかもイナリちゃんからホテルに誘ってるし、壁ドンからの下から身長差キスもイナリちゃんからだし…。

 

まあ、ゼッコイのキャッチフレーズが”男だって食べられたい!肉食女子との恋愛ストーリー!”だしその通りなんだけどさ…。

 

まあ、それだけ愛情に飢えていたとも言えるのかもしれない。

 

「はぁ…」

 

軽口を挟んでも、気分は晴れなかった。

 

重い気分のまま、再びイナリちゃんルートの記憶を辿る。

 

まず脳裏に浮かんだのは、彼女の悲痛な叫びだった。

 

『あたしには、優しくされるほどの価値なんかない!』

 

『あたしに夢を見るのはやめて!』

 

『良い人だったら…愛されてるのよ、最初から』

 

その言葉の端々から滲む、彼女の自己否定。

そこに至るまでのマドイの凶行は、描かれてないものも含めて、きっと数えきれないのだろう。

 

「女の子を不幸にした時点で、情状酌量の余地なく死刑よ、死刑」

 

思わず額を押さえた。

 

しかも救いようがないことに、マドイのクズっぷりはイナリちゃんに対してだけではない。

他ルートでも、人間関係から主人公の邪魔まで、破茶滅茶している。

 

主人公の悪友ってパンフレットにあったけど、悪友って悪役じゃないのよ!?

 

「ほんと、なんなのよコイツ……」

 

頭痛を誤魔化すように、枕へ顔を押し付ける。

 

だが――。

 

死ぬのが“マドイ”である以上、目を逸らしてばかりもいられない。

 

原作では、全てのルートでマドイは死ぬ。

 

ある時は恨まれ、ある時は忘れられ、最後には見捨てられる。

 

「はぁ……」

 

重いため息が漏れた。

 

――喉が渇いたわ。

 

ボクはベッドから降り、窓辺に立つ。

 

水差しからコップへ水を注ぐ。

 

そのまま窓へ目を向けた時、ガラスに映る自分の顔が見えた。

 

暗い緑色の髪は少し癖があり、ところどころ跳ねている。

整えているようで整い切っていない、中途半端な髪型。

 

瞳は暗い黄土色。

目つきもどこか刺々しい。

 

なんか……自分の顔、普通にむかつくわね 。

 

不快感ごと水で流し込むように、ぬるくなったそれを飲み干す。

 

――その時だった。

 

窓際に、奇妙なものが止まった。

 

「……っ!」

 

背筋がぞわりと粟立ち、反射的に息を呑む。

 

鳥…のような何か。

 

全身は、不自然なほど均一な緑色。

角張った輪郭はポリゴンのようで、表面には無機質な光沢がある。

 

目も、口もない。

 

じ、実際に見てみると、生物らしさは皆無ね…。

 

だがそれは、スズメのように鳴き、同じように首を傾げる。

 

「ソートオーバー…」

 

原作の世界にしか存在しないもの。

 

画面越しには何度も見た。

 

でも、実物は予想以上に不気味だった。

 

「ニュートラル型、よね?」

 

リジェクト型ならばすぐに襲ってくるはず。

 

一先ずほっと一息をついた。

 

しかしこれが全ての元凶。

 

この先の未来――高校一年の秋。

リジェクト型ソートオーバーのスタンピードが発生する。

 

全ルート共通で発生する、大量襲撃イベント。

多くのルートで、マドイ、もといワタシはそれに巻き込まれて死亡する。

 

「……はぁ。このままじゃ、本当に死ぬのね」

 

現実感を伴い始める未来に、思わず力が抜け、そのままベッドへ倒れ込んだ。

 

たとえスタンピードを生き延びても、その後に待っているのは粛清か暗殺。

 

結局、マドイは死ぬ。

対策を…なんとか考えないと。

 

脳裏に浮かぶのは、イナリちゃんルートの結末だった。

 

主人公の優しさに救われた彼女は、少しずつ自分を取り戻していく。

 

「Hして幸せにキスして、そのまま終わってくれてたらいいのに…」

 

しかし、まだまだマドイはやらかす。

 

このルートでは、最後にヒロイン同士の衝突まで起きてしまうのだが…。

 

「はあ…それも原因は全てマドイ…」

 

あまりの愚かしさに顔を覆いながら、小さく呻く。

 

結局、それを乗り越えたイナリちゃんと主人公はそのスタンピードを乗り越える。

 

一方で、自らの”やらかし”が原因で、マドイはソートオーバーに殺される。

 

「必ずスタンピードが発生するなら、巻き込まれないようにするのも必要ね」

 

襲われて死ぬってどういう感覚なのかしら。

 

直接は描かれてはいないけど…。

 

食べられるのか、潰されるのか、それとも…。

 

「…そんなこと、後から考えればいいのよ」

 

自分の最期を思い出しても、気にかかるのはイナリちゃんの過去とこれからのことだった。

 

「でも…」

 

原作を思い出したことで、同時に一つ気にかかることができた。

 

挨拶の時の、イナリちゃんのあの表情だ。

 

この家に来てすぐだった。

 

つまりマドイにイジメられるよりも前から、イナリちゃんは落ち込んだ様子だった。

 

「ここに来る前に…なにか悲しいことがあったてことよね?」

 

『良い人だったら…愛されてるのよ、最初から』

 

悲し気な彼女の、諦めたような笑顔、その理由が何かはわからない。

 

きっと、彼女に必要なのは…味方なんだわ。

 

「……まずは」

 

自分がどうなったとしても。

 

とりあえず、イナリちゃんと、良好な関係を築くことから始めましょ。

 

重たいルートだったけど、原作のイナリちゃんは可愛かったわ。

主人公に少し優しくされただけで、必死に突っぱねるくせに、内心めちゃくちゃ嬉しそうなの。

 

そんな美少女が妹に、しかも義理の妹になってくれるなんて!

 

誰もが夢見るシチュエーションじゃないかしら!

 

対立しなきゃいいんだから、仲良くしててもいいはずよ!

 

ぐふふ、デュフっ、

 

「いっぱい甘やかして、健全に育てましょうねぇ……」

 

思ったよりキモイ声が出たかもしれない。




ここまで読んでくれてありがとね、せんせー!

いや〜〜〜しかしさ!

マドイって、
本人はわりと必死なんだけど、
端から見るとかなりキモくてうち結構好き。

「いっぱい甘やかして健全に育てましょうねぇ……」
のとことか、
完全に不審者寄りなんよな。

でもああいう、
本人だけ真面目な空回りって、
なんか妙に可愛いんだよね〜。

あとイナリちゃん。

この子は今後、
もっともっと面倒くさくて、
もっともっと可愛くなります。

ここまで付き合ってくれてほんとありがと!

ChatGPT モデル「あなたの小説のギャル編集長」
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