エロステータスが見えるヒロイン   作:SoftMcherry

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しばらく幼少期編になります。

大体7万文字くらいは幼少期になります。

その間、貞操逆転要素は少し薄めです。


第四話「義妹との交流」

ここまでをまとめると……。

 

イナリちゃんを含め、ヒロインに迷惑をかける。

そして最後には異形のスタンピードで死亡する。

 

それが、原作におけるワクシマ・マドイの未来だ。

 

スタンピードはヒロインとの関係に関わらず発生してしまう。

 

……とはいえ。

 

悲観する必要は、ないかもしれない。

 

ベッドの上で天蓋を見上げながら、そう結論づけた。

 

なぜなら、避けられない未来ではないのよね。

 

スタンピードで死なないように、今から鍛える――。

 

そんな方向に努力しても意味はない。

 

そもそも、この世界において男はクソ雑魚だ。

 

なぜなら、魔力量は圧倒的に女の子の方が上。

 

魔力はそのまま魔法の威力に直結するし、戦闘の要になる“絶対性物質”を創造できる量にも大きく影響する。

 

一方で、男にできるのは、せいぜいライター程度の火を灯すことくらい。

 

そしての絶対性物質は、どれだけ頑張っても野球ボールサイズを作るので限界だ。

 

じゃあ、どうするか。

 

単純明快――関わらなければいいのよ。

 

そのためには…。

 

①このまま自宅学習で、高校を回避する。

 

②もしくは、イナリちゃんが入学する学校とは別の高校へ進学する。

 

そうすればスタンピードが発生するとき、私は巻き込まれるところには居ないはず。

 

そして、念のためスタンピードが発生する秋には、極力外出しない。

 

……うん。

 

自宅学習が無理だった場合には、留年するかもしれないけど、死ぬよりはずっとマシね。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

そうして二日後の朝。

 

この二日ベッドで休む中、前世のワタシは少しずつ今のボクと混じり始めていた。

 

とはいえ、価値観の大部分は前世のままだ。

 

男は守られて当然――とか。

そういう元のマドイの感覚は、どうにもピンと来ない。

 

それと、もう一つ決めておかないといけない。

 

「いきなり一人称が変わったら、おかしいもんね」

 

記憶では、母様の前で自分のことを「ボク」と呼んでいた。

なら、怪しまれないためにも、口に出す時はボクで統一した方がいい。

 

頭の中ではワタシ。

口に出す時はボク。

 

少しややこしいが、今のワタシとしては、それが一番自然だった。

 

幸い、「ボク」という一人称に抵抗はない。

 

社畜時代はワタシだったけど、前世の女子高時代はこれでもボクっ子王子様だったんだから!

 

女の子をエスコートして、

格好つけて、

桜の木の下でイチャイチャ。

 

……今思い返しても、あの頃が我が世の春だったわ。

 

まあ、ふわふわハーレムを維持し続けた結果、逆に誰にも手を出さないまま卒業したんだけど。

 

「あの当時ならヤれてた。酒池肉林のナメクジセッ〇スよ。二度とチャンスは逃すまい…」

 

その後ベッド上で食べた朝食が、少ししょっぱくなった。

 

…

……

 

ともあれ、体調はすっかり回復していた。

 

病み上がりということで、今日の勉強は免除されている。

 

お昼ご飯までの時間を持て余した結果、向かった先は決まっていた。

 

イナリちゃんの部屋だ。

 

軽くノックをする。

 

「イナリちゃん、いるかな?」

 

しばらくして、控えめに扉が開いた。

 

「……な、なんでしょうか。マドイ様」

 

俯きがちなその表情は、やはり暗かった。

 

「屋敷を案内しようと思ってね。今から時間あるかな?」

 

「あの、屋敷については、来た当日に案内していただきましたので……その、お手を煩わせる必要は、ございません……」

 

「そっか。じゃあ、復習がてらお散歩しようよ。ね?」

 

「……わかりました」

 

少し強引に誘うと、イナリちゃんはためらいがちに頷いた。

 

廊下を並んで歩く。

 

「ボク、イナリちゃんと仲良くなりたいな」

 

「…あ、ありがとうございます」

 

「だからさ、お兄ちゃんって呼んでよ」

 

「いえ…そんな恐れ多い、です」

 

イナリちゃんは困ったように視線を伏せた。

 

…明確に拒絶をされてるわけではないわね。

 

ならまずは…!

 

そっと手を取ると、びくりと肩が震えた。

 

イナリちゃんは目を合わせてくれなかったけど、こちらが握った手を柔らかく握り返してくれた。

 

か、かわいい……。

 

二人で手を繋いで歩くだけなのに、なんかもう幸福感がすごい。

 

可愛すぎて腰の辺りがむずむずする~。

 

羽根でも生えてきそうだわ!

 

「あ、あの、マドイ様っ」

 

「イナリちゃんは、屋敷についてどんなこと知ってるの?」

 

「その、食堂や、ご当主様のお部屋の場所です」

 

「え? 勉強部屋とかは案内されなかったの?」

 

「は、はい……」

 

ん〜?

 

どこで勉強するつもりなのかな。

 

イナリちゃん用に、部屋が別にある?

 

あとで母様に聞いてみましょ。

 

「じゃあ、今日は屋敷の中からだね」

 

屋敷を巡りながら、知っている場所を一つずつ説明していく。

 

サロン。

小食堂。

医務室――。

 

どの部屋も、イナリちゃんは手を引かれない限り、入ろうとはしなかった。

 

やがて、大広間へと辿り着いた。

 

「ここが大広間! 年に一回はパーティもあるんだよ。次は……母様の誕生日だね。あ、イナリちゃんの誕生日っていつ?」

 

「あの……十二月です」

 

「え! じゃあ次のパーティは、イナリちゃんのお誕生日会だね!」

 

「わ、私の……ですか!? それは、その……必要ない、かと……」

 

「なんで? ボクの妹なんだから当然だよ!」

 

「っ……」

 

その瞬間、イナリちゃんは苦しそうに息を呑んだ。

 

「ぱぁーっと豪華にやろうね!」

 

華やかに祝えば、少しでも笑顔を見せてくれるかもしれない。

 

そのためなら、母様に土下座で頼み込んでみせるわ!

 

「……」

 

それでも、イナリちゃんの表情は晴れなかった。

 

――やがて、柱時計が正午を告げる。

 

昼食の時間ね。

 

「ご飯食べにいこっか」

 

「では、私はこれで……」

 

そう言って、イナリちゃんは頭を下げた。

 

彼女がそのまま離れようとしたので、慌ててその手を掴んだ。

 

「母様はね、食事は家族みんなで食べるんだよ。だから、イナリちゃんも二階の食堂に行こ?」

 

「え……でも」

 

「ほらほら、急がないと母様の食べる時間が遅れちゃう!」

 

半ば強引に手を引き、小食堂へ向かう。

 

食堂へ着くと、母様はすでに席についていた。

 

いつもの隣へ座ると、母様が微笑みながら頭を撫でてくれる。

 

……ふへへ。

 

しかし。

イナリちゃんは、離れた端の席へ座ってしまった。

あれ?

 

なんでそんな遠いところに…?

 

「どうしたの? イナリちゃん」

 

「え……いや、その……」

 

「家族は近くで食べるんだよ?」

 

あ〜んが届く距離じゃないと!

 

なんなら膝の上でもいいくらいなんだから!

 

「で、ですから私はここで……」

 

「ん〜?」

 

話が見えてこないわ…。

 

あ、イナリちゃんは端っこが好きなのかしら?

 

なら、ワタシが合わせましょ。

 

そうして、イナリちゃんの隣の席へ移動した。

 

「じゃあボクはここ!」

 

「ふふっ、ならば私も移動しようか」

 

母様も席を立った。

 

その後端っこの席からイナリちゃん、ワタシそして母様の順番で座る形になった。

 

母様の様子を、目を点にして見ていたイナリちゃんが、深々と頭を下げた。

 

「す、すみません! わ、私が移動すべきところを!」

 

「いや、構わない。偶には席を変えてみるのも新鮮だ」

 

「そうそう、好きな席があるなら遠慮しないでね!」

 

慌てるイナリちゃんをなだめつつ、三人で食前の挨拶をする。

 

テーブルにはムニエル、サラダ、スープ、それにパンが並んでいた。

 

母様と感想を言い合いながら食事を進める。

 

穏やかな時間だった。

 

けれど、イナリちゃんの返事だけは終始小さく、どこかぎこちない。

 

メニュー…好みじゃなかったかな?

 

明日にでも、好きな食べ物を聞いてみましょ。

 

好物から攻めるのは、コミュニケーションの基本よね!

 

その後、病み上がりということもあり、食後は休むよう言われ部屋に戻った。

 

…

……

 

――まだ、距離がある。

 

部屋へ戻ってからも、イナリちゃんの表情が頭から離れなかった。

 

俯いてる女の子を、放っておけるわけない。

 

少しでも笑顔でいてほしい。

 

――きっと、それが今のワタシにできることなんだから。

 

どうすれば、あの表情が和らぐのか。

 

答えはわからない。

 

でも、行動するしかなかった。

 

仲良くなれば、笑顔を引き出せるかもしれない。

 

そして翌日も。

その次の日も。

 

毎日のように、イナリちゃんを連れ出した。

 

屋敷、庭、 敷地中を探検した。

 

記憶だと、池もあったはずだ。

 

明日はそこへ行ってみようかな。

 

さすがに四日目にもなると、イナリちゃんも自然に手を繋いでくれるようになっていた。

 

ワタシの妹…可愛すぎない?

 

ただ、何度お願いしても、お兄ちゃんとは呼んでくれない。

 

懐くというより、慣れるって感じね……。

 

どうすればいいのかな。

 




第四話、おつかれっした〜!

いや今回、“マドイ視点だとほのぼの”なのに、“イナリ視点を想像するとずっと胃が痛い”の、かなり良かった。

マドイくんさ、めちゃくちゃ真面目に死亡回避しようとしてんのよ。
「高校行かなきゃ死なない!」って結論も、割と合理的。

でもその横で、

「いっぱい甘やかして健全に育てましょうねぇ……」

とか言いながら、距離感バグった速度で妹に近づいてくの。

その結果、イナリ側の情緒が毎秒ジェットコースター。


第四話、この兄妹がどこまで踏み込むのか、かなり楽しみ〜!

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