ウルトラかぐや姫   作:ガンタンク風丸

11 / 14
お待たせいたしました。

BluRayの再販が決まりましたね。
このまま4回くらい再販しそうです。




家族

 

 

 

 

「いと大義〜〜〜!」

 

 

「神々の皆様方、ガマス討伐ご苦労様でした! お待ちかねのヤチヨカッブ結果発表の時間だぞ〜!」

 

 

 ガマスのHPゲージは1日で消え去った。

 後に判明したことだが、ガマスに捕食されたアカウント数は全2億人のうち半数以上の1億7000万人に登っていた。ガマスは1人頭10体増えるため、およそ17億体のガマスがいた計算となる。

 

 そしてガマスと巨大ガマスの変換レートは1:50であり、巨大ガマスの総数は3400万体。

 

 だが討伐に参加し、マケットモンスロード実装まで生き残ったプレイヤーは1000万人*1もいた。

 

 1人が3~4体倒せばお釣りが来る数となり、結果としてガマスは瞬殺されたのだ。

 中には戦えなかったという人間までいたほどだった。

 

 だが最終的に圧勝で終わりこそしたものの、マケットモンスロードが無ければ巻き返せることなくツクヨミは終わっていただろう。

 

 

「優勝は【かぐやいろPチャンネル】! おめでと〜!!」

 

 

 登録者数は150万人。2位と大差をつけての優勝であった。

 かぐやが声援に応えるように手を振る隣で、彩葉はぼうっと立っていた。

 

 怪獣がやってきたと思えば、ウルトラマンが倒し。

 モチロンからかぐやを託されれば、我儘放題に振り回される怒涛の日々。

 ヤチヨカップが始まりライバーとなれば、歌を作り、超獣と戦い、兄と仲直りし、優勝。

 

 思い返せばあまりに現実味のない出来事の数々が、脳裡を走馬灯のように通り過ぎていく。

 

「いろPも嬉しいでしょ!? ヤチヨとライブだよ! ライブ!」

「あ、うん」

 

 そう、ライブだ。優勝者にはヤチヨとコラボライブする権利が与えられる。半ば忘れていた事実に、今度は頭が真っ白になる。

 ライブ? 私が? ヤチヨと? ホントに?

 黙る彩葉を、かぐやが心配そうに覗き込んだ。

 

「彩葉……もしかして嬉しくなかった? かぐやいっつも我儘言うから、プレゼントにならないかなーって、えっと、その」

「……かぐや」

 

 どうやら彼女には彼女なりに殊勝な考えがあったらしい。我儘な自覚があるなら少しは自重してほしいが。

 それはそれとして、嬉しいのは事実だ。ただ少し、受け止めきれていないだけで。

 

「ううん、ちょー嬉しい。ありがと、かぐや」

「〜! や……った~~~!!!」

 

 彩葉がはにかんで言った言葉に、かぐやが飛び跳ねて喜び、グルグルと回る。

 

「ね! 私彩葉とずっと一緒にいたい!」

「ず、ずっとって、月はどうすんの?」

「帰らない! ず〜っと一緒にいる! 今決めた!」

「決めたってあんた……」

「いいでしょ彩葉〜、お願い~」

 

 かぐやと一緒にいることは、嫌ではない。

 むしろかぐや無しの生活など今更―――

 

 そこまで考えて、ふと彩葉は気づいた。

 

 かぐやによって一気に色づいた世界は、自分にとってかけがえのないモノになっていたことを。

 最初は一体いつ迎えが来るのかヤキモキしていたというのに、今は来て欲しくないと思っている自分がいることを。

 

「……いいけど生活費は折半だからね」

「うん、折半! なんだったら全部出すよ!」

「それはなんか人としてダメな気がするから遠慮します」

 

 その後もハイテンションで落ち着かない様子のかぐやを宥めようとしていると、人混みを割くようにしてブラックオニキスがやってきた。

 

「お2人さん。優勝おめでとう」

「おめでとう」

「おめでと~」1*

「あっ、ブラオニ!」

「せめて黒鬼にしない?」

 

 語感がね。

 

「いやあ、俺たちも結構いい所までいってたんだけどな。流石かぐやちゃんだ」

「帝ちゃんがGUYSに入っちゃったからねぇ、しゃーないしゃーない」

「う、うぐ、それは言わないでくれよ……」

「一生擦る♡」

 

 乃依の言葉にみんなが笑った。去り際、彩葉は思い出したように朝日に言う。

 

「ちょっとお願いがあるから後でL〇NEするね」

「……珍しいじゃん。いいぜ、お兄ちゃんがなんでも叶えてやるよ」

「えっ、お兄ちゃん!? 2人兄妹だったの!?」

「……かぐやうるさい。お兄ちゃんもなんで言うかなあ……」

「かぐやちゃんだけ仲間はずれなのも可哀想だろ?」

 

 デモンストレーションの際、かぐやに滅茶苦茶にされた恨みが少しだけあった朝日だった。

 

 

 

 

 後日、かぐやは彩葉のバイトするカフェで祝勝会を開いた。

 メンバーは彩葉、かぐや、芦花、真実の4人だけだったが、店長は人目を気にしなくていいよう、本来なら休みの時間帯に店を開いてくれた。

 

「あなたが彩葉の言ってた店長!*2 ……ですか~? い、いつも食材ありがとうございま〜す」

「おお、かぐやちゃんが礼儀正しい」

「君がかぐやちゃんか。いつも酒寄さんから話は聞いてるぜ? 今日はたらふく食ってってくれよな!」

 

 机の上には既にたくさんの料理が並んでいた。かぐやと真実が歓声を上げて駆け寄っていくのを横目に、彩葉はこんなにいいのかと店長に問いかけると、店長は気にするなと笑って厨房に戻っていった。

 隣にいた芦花が「いい店長さんだね」と言う。

 本当にいい店長だった。

 

 

「「うま~~!!!」」

 

 

 料理を食べたかぐやと真実の第一声に大袈裟だなぁと思いながら彩葉も料理を食べれば、唸るほど濃厚な旨味が口内に広がった。

 

「賄いの味と全然違う……! これが店長の本気……!」

 

 その後4人の会話は終始料理の内容ばかりだった。

 

「むむむ、一体どうやってこの味を……かぐやもこれは修行しなければ」

「流石に本職と張り合わなくても」

「なんか負けた気がするんだもん!」

「気がするじゃなくて負けてるよ」

「うわーん! でもうまーい!」

 

 しばらくして食べ終わると、芦花と真実が絶望顔で言った。

 

「食べ過ぎた……」

「流石にこれは私もダイエットしなくちゃ……」

 

 彩葉も少し気を使うべきか、膨れたお腹を見て思う。

 

「3人共もうお腹いっぱいなの? じゃああとはかぐやが食べていい?」

「「「どうぞどうぞ」」」

 

 一方かぐやはまだまだ余裕の様子だ。流石は月星人。

 その細い身体のどこに入るのか「うめー! うめー! これもうめー!」と次々に食べ進めていき、まるでギャグ漫画の住人のようだった。

 食べっぷりを観戦しながら、芦花が言う。

 

「それにしてもツクヨミが無事で良かったよ」

「私たちはあんまり力になれなかったからね~」

 

 芦花と真実の2人は当初こそガマス討伐に参加していたが、ガマスの動きが変わってからは回避を選択していた。

 無理に戦闘に参加して彩葉の負担になっては本末転倒であり、捕食されれば全プレイヤーの負担となる。ならば戦場に出ない方がマシ、という考えだった。*3

 

「怪獣を召喚くらいはやっといたほうがよかったかなぁ」

「でも召喚者は無敵ってわけじゃなかったから、なんとも言えないかな」

 

 怪獣を召喚する前に人間サイズのガマスに襲われて捕食されたり、合体できずにあぶれたガマスに気づかずやられる、なんて事例もあった。

 

「1回不意打ちくらいかけた時あってちょーヒヤヒヤしたよね〜」

「ホントね」

 

 かぐやと彩葉はそれ以来、召喚役と護衛役に別れて戦うようになった。

 トレーナーにダイレクトアタックは反則すぎる。

 

「でも『大怪獣バトル』のほうはそんな心配いらないんでしょ?」

「ぽいよ。あんまり触ってないからよく分からないけど」

「あれはあれで楽しそうだよね」

 

 マケットモンスロードは『大怪獣バトル』と名を変え、KASSENと同じく特定のワールドで常時遊べるようになった。

 怪獣に様々なカスタマイズを施し、3体のパーティを組んで戦うことができる。

 怪獣3体に1人が指示を飛ばすソロモードと、怪獣1体ずつに人がつくマルチモードの2種類が実装されており、ガマスの話題もあって現在話題沸騰中のゲームだ。

 朝日はGUYSの任務との板挟みで中々できていないと、SNSで嘆いていた。

 

「まあ怪獣って基本怖いかカッコイイかの2択だし、男の子向けって感じだから私たちには縁のない話かな」

「モチロンは可愛いよ?」

「可愛い……可愛いか?」

 

 これには芦花も真実も首を傾げた。

 1つも同意を得れず不満気なかぐやがスマホを取り出して見せる。

 

「可愛いよ! ね、モチロ~ン」

『おうおう、俺ほど愛嬌に溢れてるやつはいねえぞ』

 

 3人の目が点になった。

 

「え、は? モチロン……? どうやって……?」

「プログラミングでぱぱーっと!」

「……すっごー……」

「かぐやちゃんもかぐやちゃんでかなりハイスペだよねー」

 

 

 

 

 彩葉が「引越し先の保証人になってほしい」とお願いすると、朝日はそんなことでいいのかと呆れた様子だった。

 とはいえ朝日は朝日で多忙な身のため、中々まとまった時間を取ることができない。入居申請書は代筆で済ませ、印鑑証明書だけ受け取ることになった。

 

「来ちゃったよ、フェニックスネスト……」

 

 そうして待ち合わせ場所に指定されたのがGUYSの本部だった。

 ちなみに引越しの件はサプライズのためかぐやにはまだ話していない。今頃元気に配信でもしていることだろう。

 

 受付で事情を話して食堂で待っていると、朝日の妹が来たと聞きつけた人達であっという間に人集りができた。

 質問攻めに少し辟易しながらも、兄がGUYSに無事馴染めていることに内心微笑ましい気持ちになる。

 

「すまん彩葉。遅れた!」

「お兄ちゃん」

 

 彩葉の言葉にわっと周囲が盛り上がる。

 

「おい、お兄ちゃんだってよ」

「俺もこんな可愛い妹が欲しかった……」

「顔、地位、妹……神様が不平等すぎる」

 

 彩葉は苦笑いするしかない。朝日はしっしと周囲にいた人達を追い払った。

 

「全くあいつらめ」

「人気者やん」

「揶揄ってるだけや。人様の妹をジロジロと……彩葉も怒ってよかったんやで?」

「あはは……せやけどみんな良い人達やったよ。流石はGUYS」

「……お人好しの巣窟やさかいな」

「そのうちの1人がなんか言ってるわ」

「言うたなこんにゃろ」

「ちょ、やめれ!?」

 

 朝日に頭を乱暴に撫でられ、彩葉が慌ててその手を払う。

 

「もう、早く印鑑証明書ちょうだい」

「はいはい。これがお望みの印鑑証明書や。無くすんちゃうで?」

「そこまで子供じゃあらしまへんー」

 

 と、その時だった。朝日の通信機に連絡が入る。

 

『朝日、またお前にお客さんだぞ』

「え? お客さんですか? もう話してた妹は来ましたけど……」

『そうなのか? 家族って言ってたらしいが』

「「家族……?」」

 

 朝日と彩葉の頭の上に疑問符が浮かぶ。

 

「あ、もしかしたらかぐやかも。前も学校まで着いてきたことあったさかい。普段は親戚ってことで話通すよう言うとるから」

「そうなん? かぐやちゃんかあ、確かにそれなら納得やな」

 

 そうやって呑気に待っていると、食堂の扉が開く。

 果たしてそこにいたのは。

 

 

「朝日! 聞いとらんでGUYSに入ったなんて! ……って彩葉もおるやん。丁度ええ、2人とも京都に帰るで!!」

「「お、お母さん!?」」

 

 

 

 

 

 

*1
残りの2000万人は戦闘辞退者やサブ垢。

1*
朝日が求婚とかしてないので普通にいます。

*2
彩葉( ಠ_ಠ )

*3
原作では月人に瞬殺されていたので正解。




一応補足


〇うす怪獣モチロン
犬DOGEポジションになりました。
私が好きな怪獣なので、今後もチラホラ出てくるかと思います。


〇酒寄紅葉
前話で朝日がGUYSに入隊したと公言したことが紅葉さんの耳にも入り、エントリー。
同じように母が乗り込んできたことのあるテッペイに心境は如何に。


感想評価お待ちしております!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。