ホンダローネの実に原神な日常   作:わたぬき※

8 / 10
【注意・必読】
・本作は本多真梨子さんの配信スタイルをリスペクトした「中の人(配信者)憑依もの」です。
・本多さんの役(サンドローネ)周辺以外の情報は「初見プレイ時と同じ知識量」という設定で進行します。
・メタ発言、ローアングル等の不審者ムーブ、配信内のセリフ引用を含む配信ネタが多く含まれます。
・ご本人様およびHoYoverse公式様とは一切関係のない、ファンによる二次創作です。


見上げるれば、そこは風薫る牧歌と自由の国、モンド城、ゲーテホテル。 
そして自分の体は、なぜかファデュイ執行官『傀儡』サンドローネ。 
中の人の本多真梨子(ホンダローネ)が持つ知識は、自分の役の周辺情報のみ。 
目の前に広がる光景が「ゲーム」ではなく「現実」となった世界で、彼女は持ち前の情熱と、なぜか知らないうちに備わった「十万超のプロンニア群団を呼ぶ力」を武器に、重要参考人となる吟遊詩人を探し始める。
これは、中の人がサンドローネとして、驚きと感動、そして数々の勘違いを巻き起こしながら進む、前代未聞の冒険譚。 
いま、運命の歯車が回り始める。


エピソード2.1:「神」と鋏の使い様

「直ちに風魔龍を滅ぼすことができないのなら、西風騎士団には防衛権をファデュイに手渡していただきたい」

「貴国の外交官には、もう少しまともな態度を示していただきたい。モンドの四風守護、その一つを『処理』したいだと!?」

 

翌朝、ゲーテホテルの前で、ジン代理団長とスネージナヤの駐在外交官アナスタシアが激しく口論していた。トワリンの武力排除を「処理」と言い放つファデュイの高圧的な外交交渉に、ジンは毅然と怒りを露わにしている。

ちょうどそこへ通りかかった旅人の空とパイモンが介入しようとしたその瞬間。

 

ホテルのエントランスから静かな足音が響き、その場の喧騒がピタリと止んだ。扉を開けて現れたのは、いつものように腕を組み、不敵な鉄面皮を崩さない執行官第七位『傀儡』サンドローネ――ホンダローネ。そして背後には、淡々と付き従うあの優秀なプロンニア。

 

(うわ、朝からガチの修羅場やってる……。っていうかあのアナスタシアって人、城門で優秀なプロンニアが話通しに行ってくれた現地の部下の人じゃん!)

 

ホンダローネの脳内は大慌てだったが、肉体は傲慢な執行官のそれだ。

ホンダローネは、ジンの前にいたアナスタシアを見下ろし、冷徹に言い放った。

 

「……あなた、少し下がってなさい」

「ひっ!!、サ、サンドローネ様……!?」

 

本国のプロンニア暴走の報告を受けていたアナスタシアは、顔を真っ青にして直立不動になり、カチカチと歯を鳴らしながら数歩下がった。

 

(よし、とりあえず部下は下げさせた。でも何が揉めてるのか全然わかんないな。まあ日本人の社会人マナーとして、自分のとこの若い子が他社の人に生意気言ってキレさせてたなら、とりあえず平謝りしておくのが基本よね!)

 

ホンダローネはジンの厳しい視線を受け止めながら、人形特有の、感情の死んだ美しい笑みをフッと浮かべ、これ以上ないほどスマートに頭を下げた。

 

「……ごめんなさい? 私の部下が、少々失礼なことを言ったわね?」「なっ…………!?」

 

その瞬間、ジンは目を見開き、息を呑んで硬直した。数日前に、自由の都であえて『不自由な契約(縛り)』を提示し、拒否すればモンドを灰にすると恐ろしい脅迫をしてきたあの冷徹な執行官が、まさか自ら頭を下げてくるとは夢にも思わなかったからだ。

 

(……この少女、ただの武力による脅迫者ではない。あえて先に謝罪の形を取ることで、こちらがファデュイを拘束・追及する『大義名分』を完璧に潰しにきたというのか。なんという恐ろしい外交手腕、底知れぬ礼節と胆力……!)

 

実際の所そんなことは無いのだが、ジンの背中に、昨日以上の冷や汗がドッと流れ落ちるのだった。

 

 

 

「それじゃ、私はこれで失礼するわ」

 

なぜか呆然と固まっているジンたちと、そのまま会話を続ける胆力があるハズもなく。ジンたちをその場に残し、ホンダローネは優雅にその場を離れた。

 

(よし! 謝ったら許してくれた! 日本のビジネスマナー最強! ……さて、一晩経ったし、あの優秀なプロンニアも冷静になって裏路地のイノシシ罠を片付けてくれたよね)

 

能天気に案内された裏路地へ向かったホンダローネだったが、現場に到着した瞬間、その鉄面皮が裏でひび割れた。

 

「……これは……なに?」

 

あまりの光景に、ホンダローネの頭は理解を拒否し、掠れた呟きが漏れ出た。

そこには、一晩かけて城内の各裏路地に仕掛けられたはずのイノシシ罠が、獲物(中身)ごと綺麗にずらりと並んでいた。

夜明け前の衆目環視がない時間帯に、現地民に罠を発見されて解除されたり通報されたりするリスクを懸念した優秀なプロンニアが、先回りして鉄檻ごとすべてを隠密回収し、この場所に集積していたのだ。もちろん、すべての入り口の扉はしっかりと下りている。

 

「……はぁ」

 

ホンダローネは深く、重い溜息をひとつ吐き、無理やり心を落ち着けようとした。だが、鉄檻の中身を確認した瞬間、その努力は一秒で瓦解する。

 

 

一つ目の鉄檻にはモンド城の酒飲みのムニロドが、高級ワインの空き瓶を抱えて頭を抱えて捕まっていた。隣の二つ目の鉄檻にも別の自称酒豪が綺麗にホイホイと捕獲されている。

 

(わー大漁だーーって 何やってんの!? モンドの酒カスホイホイになってるよ!!)

 

『罠にかかった方々には消費された酒代の全額弁償を請求しております。支払いを拒否した場合、窃盗として騎士団への通報を行う旨を説明しております。』

 

(法的手段で詰めるの!? やってることが送り付け詐欺と高額訴訟じゃん!? 驚きと感動に満ちた、未知なる世界ってのは何処に行ったの!?)

 

ホンダローネのメンタルが限界を迎えかけたその時、三つ目の一番奥の鉄檻から、聞き覚えのある呑気な声が聞こえてきた。

 

「あはは……。ボク、ただ美味しそうなワインの匂いに誘われただけなんだけどな。出してくれない?」

 

檻の隙間から見えたのは、緑の衣を纏った、吟遊詩人だった。手には綺麗に空になった、昨晩ディルックから仕入れたばかりの最高級ワインのボトルが握られている。

 

(何この緑のタイツの少年!? 周りの檻にいる、衣装がいかにも使い回しのモブNPCっぽい人たちに混ざって、なんでこんなグラフィックの気合いが違う最高レアの星5メインキャラクターが一緒に箱罠にホイホイ引っかかってんのよ!? モンドの住人、見た目のレア度に関係なく生態が単純すぎない!?)

 

パニックになるホンダローネの横で、優秀なプロンニアがその吟遊詩人へ向けてタテカンを突きつけた。それは、しがない吟遊詩人には一括返済など到底不可能な、あの最高級酒の目玉が飛び出るような請求書だった。

 

『例外なく、最高級ワイン代の全額賠償を請求させてもらう』

『支払いを拒否するのであれば、即座に西風騎士団へ通報し、身柄を引き渡す』

『もしくは、お前の所持している「チェスの駒」を担保として提出いただこうか』

 

(チェスの駒? なにそれ?原神世界の貴重品? どこからそんな情報仕入れてきたんだろこのプロンニア)

 

「ええ……。コレは渡せないし、騎士団に通報されるのも嫌だなあ。でもボク、モラは1枚も持ってないよ?」

 

吟遊詩人の少年は冷や汗を流して困り果ててしまう。もちろん、返金の当てなど最初から皆無だ。そんなことは先刻承知している優秀なプロンニアは次のタテカンを出した。

 

『ならば、消費した酒代の分、「労働契約(丁稚奉公)」を提示しよう、我が主の雑用係として肉体労働で支払うこと提案したい』

『ちなみに、吟遊詩人の唄などは特に必要ない、適当に数曲詩って解放とはならないのでそのつもりで』

『今回の暴風龍の情報を開示していただこう。でなければこのまま騎士団本部へ連行だ』

 

「えぇ〜、ボクをこき使う気かい? 執行官様は人使いが荒いなぁ。……でも、選択の余地はなさそうだね。わかったよ、その労働契約とやらにサインするよ。えへへっ」

 

吟遊詩人の少年は困ったように頭を掻きながらも、あっさりと提示された契約書にサインに応じた。

 

(あ、普通にサインしてくれた。よかったねー。これで最高級ワインの代金はバッチリ回収できるわ!)

 

冷徹な鉄面皮のまま、ホンダローネが心の中でそんな純粋で平和な安心(思考放棄)をしていた、まさにそのさなかの出来事だった。

優秀なプロンニアは、すでに少年の眼前へ、一際巨大なタテカンを突きつけていたのである。

 

『警告。我が主との契約を違え、正式な「契約終了」を宣言されないまま逃亡を計った場合――』

『相応のペナルティを課すこととなる。』

『――例えば、このモンドが地図上から消滅するなど…』

 

路地裏の空気が、一瞬で凍りついた。10万機の軍勢を擁し、「拒否すればモンドを灰にする」と騎士団から恐れられている傀儡師の従者だ。その発言は、単なる脅しではなく「いつでも実行可能な軍事作戦」に他ならない。

 

「……おや?」

 

吟遊詩人の少年は、そのタテカンを見つめ、いつも浮かべていた軽薄な笑みを初めて消した。その綺麗な瞳の奥に、一瞬だけ、モンドを統べる神としての冷徹な光が宿る。

 

 

「……きみに、それができるのかい?」

 

 

試すような、あるいは静かに怒りを孕んだ少年の問い。だが、プロンニアは一切の動揺なく次のタテカンを掲げて見せた。

 

 

『――できないとでも、思っているのか?』

 

 

数瞬の間、視界の端で繰り広げられるあまりにもバチバチとした一触即発の空間に、ようやく本多さんは正気に戻って事態に気がついた。

 

(ちょっと待って!!! 何のやり取りしてんのよ二人とも!? なんで酒代の弁償のハナシから「モンドが消滅する」とかいう国家規模のテロ予告に発展してんの!? 怖い! 空気がガチで怖い!!)

 

慌ててプロンニアの肩を掴んで静止に入った。これ以上プロンニアを暴走させたら、本当に自分が国際指名手配犯として処刑される。

 

「……プロンニア。そこまでにしなさい。もういいわ」

 

ホンダローネは地を這うような冷徹な低音(ただの恐怖による震え声)で告げ、物騒すぎるタテカンを無理やり下げさせた。

 

「……あはは、執行官様は優しいんだね。それじゃあ、僕の名はウェンティ。これからよろしく、雇い主さん(オーナー)

 

ウェンティはいつもの呑気な笑みに戻り、恭しく一礼してみせた。本多さんは心臓のバクバクを隠すために、冷酷に顎を引いて頷くことしかできなかった。

ウェンティに見えない角度で溜息を吐くと疲れた様子で言った。

 

 

「――――実に、原神ね…。」

 

 

ちなみに、ゲーテホテル前でバチバチにジンと外交交渉をしていたファデュイのアナスタシアは、サンドローネからの不評を買ったと思い、その後しばらく業務多忙と称して普段はしない、外交的関係各所に出向くようになり、サンドローネの視界に入ることは無かったそうな。ドンマイ

 

 

 

 

 

 

 




最後までお読みいただきありがとうございます。 

これでファデュイであるホンダローネがあとで来る空がウェンティに協力する際に同行する理由ができた形になったわけで。
だけどライアーが雷蛍術師に取られてたってことはファデュイ(シニョーラ部隊)が糸引いてたってこともあって…。
どうすりゃいいんだ!?何も知らないホンダローネなら許されるか?

これからも、本多さんの「初見プレイ時」のピュアな驚きをあくまでベースに、サンドローネとしての旅を時系列順に描いていく予定です。
※サンドローネとしての立場のせいで空に同行できない場面がありますので、その点はご理解ください。 

次回、牧歌と自由の国:天空の竪琴を手に入れろ!

「…………実に、原神ね」

※この作品は思い付きと見切り発車で書いています。
※本編の展開やキャラ解釈は独自の妄想100%であり、ご本人や公式のイメージを損なう意図は一切ございません。何でも許せる心の広い旅人さん向けです。
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