ナンバーワン戦隊ゴジュウジャーVS〇〇〇〇〇 俺ちゃんの・ビギニング・だぜっ! 作:国士となるもの公式ss
これは先代ゴジュウイーグル、糸切緑子が、先代ゴジュウウルフ、熊手真白と出会う前のお話…
「バイバイ緑子ちゃん、またあしたねー!」
「うん、バイバイ。またあしたね。」
手を振って放課後の喧騒からひとり離れる、丸い眼鏡とおさげの少女がいる。
彼女の名前は糸切緑子。12歳にして巨神テガソードにゴジュウイーグルとして選ばれた女の子。大人びた雰囲気、言葉遣い。加えて1度目にしたことは全て覚えてしまうほどの天才ぶりを遺憾なく発揮して、子どもが読むにはまだ早いであろう本を熟読している天才児。趣味はチェス。
ここまで書くと、とっつきにくい子だと思われがちだが、年相応に遊具で遊んだり、友達との談笑では感情を表に出すことも多いので、ちっとも浮いてなく、むしろみんなから尊敬の眼差しを向けられているほどの人気者っぷり(しかもそれを鼻にかけるようなこともしない)が彼女(以下、緑子)のいいところだ。
さて、緑子は、いつもは難しい本を読みながら静かに帰るのだが、今日はやや駆け足なようだ。何か楽しいことに向けて足を進めるかのように。
「楽しみだな〜 ふふふん♪」
いつもの彼女とは違う、ワクワクを顔いっぱいに出した笑顔で、駆け足からのスキップをする緑子。
そして角を曲がり…
「いたっ!」
どうやら男性とぶつかってしまったようだ。
「すっ、すみません!私としたことがうっかりしていました。お詫び申し上げます。」
さすがは大人びた言葉遣いの緑子、すぐに頭を下げて謝ることなど、造作もない。
しかし…
「あァ?すみませんだァ?俺の飲んでたコーヒーどうしてくれンだよ、責任とれんのか?あぁ!?」
「えっ…ご、ごめんなさい!」
「加えてスマホも割れちゃったし、骨も折れちまったかもしれねぇしよォ〜。」
「あー。これは治療費くんねェと俺どうにもできねェわ、金だよ、金くれよ、お嬢ちゃん。」
緑子はその言葉づかいに底知れぬ嫌悪感と恐怖感を覚える。そして、一つわかった。
彼は人間になりすました厄災の1人だ、と。
そうとわかれば、彼女がやるべきことはひとつ。
ゴジュウイーグルリングでエンゲー…
…ジしようと思った…
…のだが…
「…どうしよう。私の指輪…つけ忘れて来ちゃったみたい…」
緑子はひどく動揺した。
ゴジュウイーグルとしてテガソードと契約した彼女も、指輪がなければただの女子小学生にすぎない。そんな彼女が人類を滅ぼさんとする厄災に狙われれば…
結果はわかりたくなくてもわかることだろう。
そして緑子に、厄災もとい暴漢の拳が迫る。
緑子、万事休す…
そんな時だった。
「おい。」
1人の男の声と腕が、暴漢の拳を止める。
「あァ?なんだよテメーは!?邪魔すんなっ!」
暴漢は拳を止めた男を睨む。
拳を止めた男は、緑子を殴ろうとする暴漢の拳を止めながら…
「せいっ!」
非常に痛そうな頭突きを、彼にくらわせた。
暴漢はくらっと倒れ、頭を抑える。
「いて…いテ…イデぇェぇェー!」
暴漢が悶えると人間の擬態が解けていく。
現れたのは、推定35体のモリスが合体したような、奇怪な怪物だった。
「うーわっ…きんめぇーな。こんなやつが可愛い女の子に喧嘩をふっかけてたのか?きんめっ。きんめぇーよ。こいつの精神も、見た目もよぉ…」
拳を止めた男が、つい本音を漏らすほどに。
緑子はその状態変化の気持ち悪さも相まって、電信柱に膝から崩れ落ちるように気絶し、眠るように座り込んでしまった。
そして35体の合体モリス(以下:合体モリス)は、身体を起こし、緑子に狙いを定めていたかと思えば拳を止めた男に狙いを定めて、中央の口部分から腕をゴムのように伸ばす。
合体モリスの大量の腕が彼の身体を掴もうとする。
あぁ、厄災にはやはり威勢のよかった男でも太刀打ちできないのか…
もしこの場にオーディエンスがいるなら、誰もがそう思った次の瞬間…
「善良な可愛い女の子をいじめて喜ぶクソガメなお前らに明日なんてねぇ!ここでお前らの人生もエンドだ!」
拳を止めた男が、人差し指にはめていた鳥のような戦闘機と5色のカラフルな爆弾が描かれた指輪を回転させると、青い仮面に真っ赤なマスクの戦士のデザインに変化する。そして
「エンゲージ!」
…と叫んだかと思えば、
銀色の大きな拳状の武器に指輪をはめる。
テガソードの声にも似た、威勢のいい声と拍手音が響く。
センタイリング!
♪(拍手)♪(拍手)♪(拍手)♪(拍手)
テンテンテ テレテテテテン ゴレンジャー!
「真っ赤な太陽仮面に受けて!最強無敵のアカレンジャーたぁ俺ちゃんのこと!俺ちゃんを怒らせちまったのが運の尽きだぜ!」
合体モリスは一瞬たじろいだが、それで退散するほど愚かではなかった。むしろ、いい対戦相手が現れた、と勝負の構えを見せる。
「おっ?やる気だな!クソガメ厄災野郎!」
そしてまた、ゴムのように腕を伸ばし、彼を捕らえようとする。
しかし…
「おめーにはそんなのしか芸がねぇのかよ!こんなもん、ちょちょいのちょいっと!」
シャキシャキシャキーン
銀のテガソードの刃で、合体モリスの腕複数をスパスパと切り裂くアカレンジャー。
そして、近くに立って合体モリスの腹部を貫き、合体モリスに風穴を開けた。
「ウ…ウヴ…ヴヴヴ…」
苦しむ合体モリスに、勝利を確信したように顎をなでるアカレンジャーは、先ほどエンゲージに使った指輪とはまた違う指輪をバックルから取り出した。
「せいぜー感謝しな!こんな攻撃、くらえることを!」
ウチマスヨー!
ご注意クダサーイ!
ご注意クダサーイ!
トッキュウジャー!フィニーッシュ!
アカレンジャーはトッキュウジャーリングを用いてトッキュウブラスターとスコープレッシャーを使い、合体モリスを葬ることができた。
そして変身を解き、ふと振り返れば、緑子は気を失って倒れていた。
拳を受け止めた男は、緑子が膝をついて電信柱にもたれかかっているのを見る。
「おい!おい!しっかりしろ!俺ちゃんがやっつけたやったぞ!もうしばらくあのクソガメ野郎は現れることはねーよ!」
肩をポン、ポンとやや強めに叩くが、緑子はうつろな目をするだけで、これといった返答はない。
「ううむ、このまま俺ちゃんの家に連れて行ってもな…」
悩んだ末に、拳を受け止めた男は、緑子の膝に絆創膏を貼ってあげたあと、近くのハンバーガーショップに連れていく。病院に行くほど彼女は怪我していないし、彼女に何か美味しいものを食べてもらって、心を休めてもらいたいと思ったからである。
そして注文したハンバーガーセットのうち、甘ったるいシェイクのストローを緑子の口の中に差し込む。
シェイクは緑子の口に、静かに、それでいて確かにズズっと吸い込まれていく。
「……ズ、ズズ…ッ!!」
そして冷たさが一気に喉を通る。
こめかみにキーンと刺激が走り、緑子は目が覚めた。
「……っ!ここは?」
緑子の前には、彼女を救った拳を受け止めし男が、安心した笑顔でにっこりしていた。
「おう、やっと目が覚めたか?」
「あなたは。あれ?先ほどの男は?」
「あー、あのクソガメ野郎か?俺ちゃんがぶっ飛ばしたぜ!俺ちゃんならちょちょいのちょいよ!」
「ありがとうございます。恩に着ます」
「あんのクソガメ野郎、ひでえよな!俺ちゃんがたまたま通りがかったから良かったものの、こんなかわゆく未来ある女の子をいじめよーったって、何にもなりやしねえのによ!」
「でも助かって本当に良かったぜ!俺ちゃんお腹すいたからいただきまぁーっす。」ガツガツムシャムシャ
「あの…貴方の言葉を素直に受け止めるとしたら、先ほどは助けていただきありがとうございました。重ねて感謝申し上げます。」ペコリ
「何か私に出来ることがあればお礼させてください。もっとも、私のような幼きものではできることは限られるかもしれませんが…」
「んぇ?お礼?いいっていいって!若い子の命がひとつ助かって、それでもって対面でハンバーガー食えりゃ、俺ちゃんじゅーぶん幸せなのよっ!」
「そうですか…でもせめてお名前だけでも…」
「俺ちゃん?〇〇〇〇〇ってんだ。よろちく。」
「そっちはなんて名前なんだぃ?こっちもずうっと聴いてなかったなあ。」
「糸切緑子と申します。糸切鋏の『糸切』に、『緑』に子どもの『子』で糸切緑子です。周りからは緑子と呼ばれています…」
「ほう。素敵な名前じゃねえか。きっといい親につけてもらったんやろねえ。」
「……ありがとうございます。」
「ところでずうっと敬語だけどよ、もっと軽い感じで話してもええんだぜ?まぁ、タメ語すぎるのも考えもんだがよお。」
「年上相手には礼節を弁えるのが基本ですから。」
そう言いながら、緑子はハンバーガーにはあまり口をつけず、セットドリンクの抹茶シェイクを、少しずつ吸うくらいにとどまる。
「あれ?こんな子ども用セットじゃ足りなかったか?俺ちゃんがビッグセット頼んだから、子ども扱いすんなって感じか?追加注文しよっか?」
「あっ、いえいえ、いいんです!私この後行くべきところがあるので。少しだけ時間にまだ余裕がありますが…」
そういって、ふと緑子は、
「…あっ!これ『チェックのメイ子ちゃんぬいぐるみだ』!わぁ〜。かわいい〜」
「(なーんだ。真面目一辺倒じゃなくて、小学生らしいとこも見せてくれるじゃねえか。)」
「これ今チェス界隈で流行ってるキャラなんせですよ〜 ぬいぐるみとかフィギュアとか出てまして、今この店とコラボしてるんです!…けど親がなかなかファストフード屋さんに行かせてくれなくて…ずっと登下校の時店の外にショーケースを見るだけで… でも今日はもらえる〜 フフフン♪(箱をガサゴソ開けながら)…わぁ!やった〜!」
「見てください!激レアの『クイン子ちゃんレッドバージョン』ですよっ!」
「この店でしか販売してない…しかもランダムという中でこの幻のクイン子ちゃん!」
「わぁ〜♪ ありがとうございます、おじさ …あっ、すみません!〇〇〇〇〇さん!」
「へっ、おじさんと呼ばれるこたぁ慣れっこだ!せいぜいそのキャラを愛してやんなよ?」
「はい!」
緑子のハキハキとした受け答えと笑顔は、世界を平和に導くような笑顔だった。
しばらく経ち、〇〇〇〇〇は、いちごミルクシェイクを飲みながらたずねる。
「ところでよ、どこに行こうとしてるんだ?」
「教会です!今日、仲間の誕生日会で…」
「ほーん。」
「みんなニコニコしてて、優しくて…お兄さんお姉さんから、私と同じような年齢の子も多くて…もう1人の家族みたいな存在なんですよ!」
「ふうん。そりゃあいいなあ。どんなやつがいるんだうなぁ。」
「ええとですね…」
緑子はプロフィール帳をパラパラとめくり、教会にいる仲間たちについてある程度の情報を読み上げた。
「ええと、まずは『青十聖夜』さん。この人はいつも悩んでる人に寄り添う、いい人なんですよ。たまにお説教混じりの言い方をすることもありますけど、それでも余りある、分け隔てない優しさは私の憧れです。」
「(ふーん、優しさだけじゃあ世の中渡ってけねえ、時には非情に生きるってのがあ俺ちゃんの考えだったが、違うみてえだな、そいつ)」
「次は『黒羽ミサキ』さん。占い師で、人の心の奥底に秘めた悩みもずばり!解決しちゃうんです。」
「(ほぅ、名前を聴くだけでビューティーな魅力がムンムンしやがる。俺ちゃんも占ってもらおっかなー。)」
「そして、『黄虎直斗』さん。総合格闘技のチャンピオンなんですけど、それを驕ることなんてひとつもせずに、私達にも優しく接してくれる。気は優しくて力持ち、そのものな人なんです。」
「(へえ。総合格闘技なんざぁ男臭いのが嫌いで長年見てねえが、子どもにも好かれるやつならきっと結構やり手なんじゃねえかな?ま、俺ちゃんの方が強いに決まってるだろーがよ。)」
「そして私、糸切緑子。読書大好きなんです。今は六法全書を熟読しようと思っていてですね…」
「…聴いてます?」
〇〇〇〇〇は、心の中で緑子の大人の友だち的存在にそれぞれ偏見でコメントしながら聴いていたため、少しだけ意識が向こうにいっていた。
「お、おう、悪いな。聴きたくなかったーとか、ガキの言うことなんて退屈だーなんて思ってたわけじゃねえんだぜ?ほんとだぜ?」
「そうですか。なら、いいんですが…」
「ところでよ、六法全書を熟読する、つーこと言ってたけど、緑子ちゃんそんなことできんのかぁ?俺ちゃん難しいことあんまわかんねーけど、六法全書が難しいってことはわかるぜぇ?」
「私は一度目にしたことは基本忘れませんので。」
「ほう?」
「こないだも心理学の本を一冊読み終えました。」
「昨日は哲学の本を読みましたよ。一昨日は…」
「おっけーおっけー。とにかく緑子ちゃんは、勉強熱心なんだぜね。加えて目上に対する言葉遣いも完璧だし、根っからの真面目女子ってことだ!すげーね!」
「褒め言葉…と捉えていいのでしょうか。」
「そんな私はこの頭脳と知識で、人を幸せにしたいんです。」
「ははー。すっげぇーな。しっかりとした目標まであるときやがるか。俺ちゃん、参っちまうよ…立派だな!立派!俺ちゃんクソガメは倒せても、緑子ちゃんは倒せねえ気がするな!比喩的な意味でな!ハハハっ!」
「そんなに自分を卑下なさらないでください。私は気絶しててわからなかったんですが、私を助けてくれたのでしょう?貴方も立派ですよ。知識はあっても、助けるということが咄嗟にできるとは限りませんから。私はまだ幼いですしね。」
「!?」
〇〇〇〇〇は、真っ直ぐな緑子の言葉に胸を打たれ…
「お!?え?マジ…俺ちゃん…うれちぃな…でへへへ…」
〇〇〇〇〇が照れながら身を捩っていると、どこからか電話の着信音が鳴りだす。
緑子のスマホだ。
「もしもし。はい。糸切です。」
「俺だ。」
「…あ、黄虎さん?」
「嬢ちゃん。いつもの時間に来ねえから心配してよ、かけてみたんだ。誕生日会もう少しで始まっちまうぞ?」
「すみません。別の用事が長引いてしまって。」
「いいってことよ、無事で何よりだ。」
「すぐ、向かいますね。」
「おう。車に気をつけろよ。安心しな、ケーキやグラタンは逃げやしねえから…ハハッ。」
「ふふっ、わかりました。では。またあとで。」
ツーツーツー
電話を切る緑子。〇〇〇〇〇は尋ねる。
「何の電話だったんだぜ?」
「そろそろ目的地に行かなくてはいけない時間が来てしまいました。」
「へ?…あぁ、さっきの教会ね…」
「よかったらどうですか?私たちの拠点は誰でも入れるんですよ。黄虎さんや青十さん、黒羽さんにはうまく行っときますが…」
またとないチャンスに、心の中で興奮する〇〇〇〇〇。
しかし…
「いや、いいよ。やめとくぜ。」
「え?」
「俺ちゃんはな、誰かとつるむよりは、こーしてかわい子ちゃんと一対一でお茶を飲みながら話すってことのほうが、性にあってるんだよ。」
「そう…ですか。わかりました。」
食事のトレーを店舗スタッフに片付けてもらい、2人はハンバーガーショップを出た。
「絆創膏から軽食に、それにチェックのメイ子ちゃん人形まで、ありがとうございました。〇〇〇〇〇さん、お元気で。」
「おうよ!またな、俺ちゃんには見えるぜぇ。緑子ちゃんがそのまま清く成長していく姿がな!クソガメ的な厄災には気をつけろよっ!」
「はい、では。」
緑子が深々とお礼をすると、〇〇〇〇〇は後ろ手で手を振ってその場を去った。
緑子はお礼を数秒終えた後に顔をあげると、彼の人差し指にキラリと光るものを見る。
「あっ…」
緑子はひどく驚愕した。
彼の人差し指には、ゴレンジャーリングがはめられていた故に、だ。
「彼も指輪の戦士だったのね…」
自分を救った戦士がまさかユニバース戦士だと思わなかった緑子。
だが、追うことはしない。
自分は今エンゲージできないし、あったとしても、指輪を優しくしてくれた彼を追いかけてまで指輪を獲得することは何か道徳的な観点から相応しくないと思えたからだ。
その代わりに、メガネをあげて、遠巻きに眺めて呟くのだった。
「〇〇〇〇〇さん。いずれまた、時が来れば戦いましょうね。」
ところ変わって、厄災の脅威から助けて、ハンバーガーセットを奢ってあげた女の子がゴジュウイーグルということなど、知る由もない、拳を受け止めた男、ユニバースアカレンジャーこと〇〇〇〇〇。
大人びた雰囲気の中に妖精のような年相応の柔らかい笑顔を思い出しながら、昼下がりの青空を眺めていた。
「(俺ちゃんには到底釣り合わねえな。年齢的にやー彼女は下すぎるし、精神的にやあ、あっちの方が上だしよ。」
「どっちを天秤にかけても釣り合いやしねえ。ははっ、おかしいな。他のユニバース戦士の女の子は口説いたりしてでも指輪をもらったのによお。」
「俺ちゃんのナンパ力は、指輪争奪戦限定だってか?」
ややおセンチな気分になりながら、彼は緑子の残したハンバーガーとフライドポテトを口いっぱいに頬張りつつ、抹茶シェイクを、静かにズズっとストローですするのであった。
緑子の視点から、
ポーラー・ビギニング へ続く。
〇〇〇〇〇の視点から、
ナンバーワン戦隊ゴジュウジャーVS〇〇〇〇〇〇
シーズン1 第0話 指輪争奪戦のはぐれもの へ続く。
登場人物
・拳を止めた男/〇〇〇〇〇/ユニバースアカレンジャー
指輪の契約によってアカレンジャーへと変身するユニバース戦士の男。
緑子と比べると、大人でありながらかなりふざけた性格をしており、口調や言動も軽薄でチャラついた部分が目立つ。一方で、困っている人――とりわけ女性を放っておけない一面もあり、助けを求める者のためにはユニバースアカレンジャーへ変身し、危険を顧みず立ち向かうなど、強い正義感を覗かせる不思議な人物でもある。その際「クソガメ」と独特な言い方で厄災を罵る。
しかしその裏では、指輪争奪戦の最中に、女性ユニバース戦士に対してナンパ行為を繰り返し、実質戦わずして指輪を得ていたことが問題視されており、後にその事実を知ったテガソードによって、直々に指輪争奪戦からの脱落を言い渡されることとなる。もっとも、その運命をこの時の本人はまだ知らない。
後に現ゴジュウジャーの前へ立ちはだかり、彼らを露骨に見下しながら戦う〇〇〇〇〇/ユニバースアカレンジャーとは同一人物である。
なおこの時は銀のテガソードを右手に着用し、左手に自作した金のテガソードをつけるなんてこともせず背中の蝶の羽みたいな装飾もつけていないという違いがある。
・糸切緑子/先代ゴジュウイーグル
猛原禽次郎よりも以前にゴジュウイーグルへ変身していた、11歳の少女。巨神テガソードによってゴジュウイーグルとして選ばれた存在であり、年齢に似合わぬ大人びた雰囲気と言葉遣いを特徴とする。
一度目にしたものをすべて記憶してしまうほどの驚異的な記憶力を持つ天才児であり、年齢不相応な難解な書籍を読み漁っている。現在は六法全書を読み込むことに挑戦しているとか。趣味はチェスで、これまた知性・教養の両面において常人離れした才能を発揮している。
一見すると近寄りがたい子どもと思われがちだが、実際には年相応の感性も持ち合わせており、ハンバーガーセットのおまけのおもちゃで素直に喜んだり、友人たちとの談笑では感情を豊かに表に出したりすることも多い。
また、自身の才能を鼻にかけることもなく、誰に対しても誠実に接するため周囲からの信頼は厚い。結果として浮いた存在になるどころか、同年代からも大人たちからも尊敬の眼差しを向けられる人気者となっている。
いつもは指輪の契約者としてきちんとゴジュウイーグルの指輪をつけているが、今回はつけ忘れてしまったためにエンゲージすることはなかった。
・青十聖夜/先代ゴジュウレオン
先代ゴジュウレオンに変身する指輪の戦士。
穏やかで包容力に優れた人物であり、悩みを抱える者の心のひずみを聞き逃さない、天性の慈悲深さを持つ。相手を否定せず受け止める姿勢から周囲の信頼も厚く、精神的支柱のような存在として振る舞うことが多い。
・黄虎直斗/先代ゴジュウティラノ
先代ゴジュウティラノに変身する指輪の戦士。
本業は総合格闘技のチャンピオンであり、高い実力と圧倒的なフィジカルを誇る。一見すると大柄に加えて強面も手伝って荒々しい印象を受けるが、実際には面倒見の良い好漢であり、緑子たち年少組からも慕われている。子ども相手にも分け隔てなく接する気さくな性格。
・黒羽ミサキ/先代ゴジュウユニコーン
先代ゴジュウユニコーンに変身する指輪の戦士。
占い師として活動しており、人の感情や運命の機微を鋭く見抜く洞察力を持つ。特に指輪の契約者に関しては、その心情や迷いをまるで見透かしたかのように言い当てることができるなど、不思議な才覚を発揮する。神秘的かつ落ち着いた雰囲気を纏う人物。
なお、黄虎直斗のみ作中では緑子との電話越しの会話のみで登場している。
・合体モリス
深淵なる厄災クラディスに属する戦闘員「(死の)モリス」が、35体融合することで誕生した巨大個体。
本来のモリスは人海戦術を得意とする存在だが、本形態はその数的優位を一体へ圧縮したような姿となっている。
人間へ擬態する能力を持ち、不意打ちによって対象へ接近することを得意とする。襲撃対象に明確な基準はなく、遭遇した相手をランダムに見定めては、子どもであろうと容赦なく襲いかかる危険性を持つ。
一方で、35体もの個体が無理やり融合した弊害なのか、戦闘スタイルは大きく制限されている。主な攻撃手段は無数の腕を伸ばして相手を圧殺・拘束する程度に留まっており、単体としての柔軟性や機動力は大幅に低下している。
そのため、ある程度経験を積んだユニバース戦士にとっては対処が容易な相手でもある。無数の腕を切り刻み、本体へ風穴を開ければ比較的簡単に撃破可能であり、見た目こそカラフルかつ異質なインパクトを持つものの、実際の戦闘では「つまらないほど倒しやすい敵」と評されることも多い。