死にたくないので炎上上等! クズ少女配信者の銀河最底辺ダンジョン配信に現れた俺は、ただの鎧の傭兵だったが、地球への手がかりを探してると『レオパルドン〇〇説シリーズ』が乱立し神と呼ばれた件について   作:生駒伊織

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15話1 名づけて、貴公子レオパルドン……ON STAGE!

【ビッチと】レオパルドンアンチスレ Part379【コミュ障】

 

 

1:名無し視聴者

こいつの戦い方、つまらん

弱点見つけるまではええが、弱点見つけてからは単なる力技しかないやん

 

2:名無し視聴者

>>1乙

 

3:名無し視聴者

お前の方がつまらん

 

4:名無し視聴者

ぶっちゃけ、レオパルドンって本人自体は面白くないのよな

 

クズのトークで間を持たせないと、見るに堪えないわ

さっきだって、宇宙船の時何の役にも立ってなかったし

 

5:名無し視聴者

戦闘中本人が喋んないのがキッツイわな

そこらへんの底辺でもトークで間を持たせるで

だからと言って、アイツ解説配信って訳でもないしな……中途半端なのよ

 

6:名無し視聴者

戦闘以外は割としゃべるけど、なんか禁止されてるのか?

 

7:名無し視聴者

考察要素持たせてバズらせる狙いなんやろうが、肝心の戦闘に華が無いのが

 

ダンジョン配信なんて単なるパワーゲームになりやすいんやから、そこら辺気を付けんと

 

8:名無し視聴者

学会芸とか臭くて、まともに見れん

 

あの空気本当ムリ

 

9:名無し視聴者

レオパルドンって誰だよ

 

 

◆◇◆◇

 

 

――ミナカ達がメタルワームに襲われてから二十分後。

 

広大なネットの海のアンチスレも、本スレもどこか火種を燻ぶらせる空気を漂わせる中。

マーベラーの天井部分。丁度中央部に位置するそこが両開きに開く。

足場となるカーゴが迫り上がり、赤いフィールド・モジュレーターを身に纏ったレオパルドンがその場に立った。五メートル上からメタルワーム達を見下ろす形となる。

それに合わせて四基の球体型ドローンカメラが周囲に展開。

 

 

〈GALAXY LIVE LINK:CONNECTED〉

〈REC:LIVE / ALL SYSTEMS:NORMAL〉

 

〈VIEWERS:1856115/Au REACTION LEVEL=LOW〉

 

 

配信が接続した事が彼の視界に入る。ここからは仕事人モードで行かなくてはならない、とレオパルドンは一度気を引き締めた。

白い靄――イドロダイトから発生するエネルギーが漂い始める中、黄色の文字が視界に浮かび上がる。

 

 

〈Field Modulator〉

〈STREAM LINKED:OK〉

 

〈HYDRODYTE LINK:COMPLETE/ENERGY CHARGE:START〉

〈ARMOR/METAL CRYSTAL:RECOMBINATION⇒PSEUDO HYDRODYTE〉

 

 

先程の設定通り、配信が始まった瞬間に出力が切り替わった。元素変換により結晶構造が変わる。

そうして響く、ミナカの声。

 

《はい、皆様ごきげんよう! ミナカのぶっっっちぎりダンジョン配信レーゾス編の始まり――と思いましたが、ここでアクシデントが発生! どうぞこちらをご覧ください、あ結構グロいんで注意って遅いか》

 

視界の端に映るのはミナカのライブ配信映像。それがメタルワームが張り付く様子を映すと、白文字で次々と悲鳴じみたコメントが湧いた。

 

”嫌ァァァァ!”

”気持ち悪……”

”こんなモン映すなやw”

 

そんな悲鳴が上がる中、次に自分の姿が映ると――

 

”レオパルドン!”

”デッッッ!”

”ヒュー! 見ろよヤツのフィールド・モジュレーターを、まさに鋼だ! こいつはやるかもしれねぇ……”

 

視界の端に映る真紅に染まった自分の姿――円柱型の肩と×を描く胸板、後頭部の白いコードが馬の尾のように揺れる。エネルギーの白い靄が、まるでマントのように風になびいた。

両手には何もない。

二百五十センチもある巨躯を察知すると、マーベラーに張り付いた一匹が甲高い叫びを上げた。口のすぐ背後が浮き輪のように膨れ上がり、酸の玉を一度吐き出す。

大振りの挙動であるがそれでもレオパルドンは回避する事が出来ず、そのまま頭からかかってしまう。

 

 

〈ACID Lv:12.4 GCL/pH:-3.1〉

 

 

視界の端に赤字で表示。通常の軍艦すら溶かす程の酸。

しかし、フィールド・モジュレーターは溶ける気配が一切ない。

 

《ご覧ください、配信が始まったレオパルドンはマッスルコーラスを高らかに歌う無敵の番長です! もはや全身イドロダイトと化したフィールド・モジュレーターに身を包むその姿は、まさしく地獄から来た鋼のMrワクワク! 罪喰って悪塑暴! 今日はお前の死体をゴロリじゃああ!》

 

”なんで、フィールド・モジュレーター溶けないの?”

”なんか、イドロダイトのエネルギーを利用してるんだって”

”↑配信始まったらフィールド・モジュレーターの装甲にエネルギーが回って、金属構造がイドロダイトみたいになるらしい”

”何その超技術…”

 

メタルワームが立て続けに酸を浴びせる中、イドロダイトと同等の硬度と耐久性と化したフィールド・モジュレーターに改めてレオパルドンは感心する。

そして、そもそもこれだけの物が作れるパイセンは一体何なのだろうとも。

……そう思った直後、かぶりを浅く振ったのは逸れかかった思考を戻す為。

今は配信に集中すべきだと思い直し、レオパルドンは準備に取り掛かる。酸は一しきり浴びせられ、しばし打ち止めなのか止んでいた。

ただ、メタルワームの胴体中央が空気を吸い込んだように膨れ上がる。中からはコポコポと気泡が泡立つ音がした。

 

今がチャンスだと、レオパルドンは思った。

 

その思いと共に空気の圧搾音が二つ。両手首が縦にスライドして開く。

右から現れたのは、折りたたまれた黒い弓矢。中央の円型のパーツを軸にし、ばね仕掛けの弦が勢い良く展開した。

左からは、矢じりの先端が少し膨れた矢。

 

”手に持ってるのは弓……?”

”何する気?”

 

弓矢に対してのコメントが流れる中。両足を肩幅に開き、左手に握った弓を差し出すように前に。ワイヤーで拵えた弦に、弓を番えてあそびの一杯まで引き絞る。

狙いは一点、曇天の空。

番えた瞬間、矢じりの部分にエネルギーを付与――白い靄が先端に絡む。その後、矢羽に仕込んだスイッチを押し――それを放った。

 

”うぉ、まぶしっ!”

 

瞬間、レーゾスの曇天に閃光が花開く。

レオパルドンは次々に矢を空に放っていくと、まるで太陽のように地表を照らすその光に、マーベラーの肌に絡みついていたメタルワームが一斉に蠢動を止め、地面に引き返していく。

 

「マグネシウムリボンをエネルギー付与で増幅したでござる。ミミズは太陽光に弱いものでござると、漫画では相場が決まってるでござる」

 

そう呟いた直後、彼の耳に入るのは奇妙な鳴き声。どうやら逃げ遅れたのか、まだマーベラーには二匹ほどメタルワームが取り巻いていた。

興奮した様子で蛇のように鎌首をもたげ、明らかに威嚇の姿勢を取っていた。

それに対し、レオパルドンが次に取ったのは自分の周囲を飛び交うドローンカメラを手に取る事だった。

 

 

〈LINK:CONNECTED〉

〈DRONE №1,№2 : MIKE VOLUME〉

〈FULL POWER〉

 

 

ネットリンク機能で二機のドローンに接続し、コントロール権を奪う。

次いでマイクを最大にし、AIアプリを起動。

直後、彼は反発エネルギーを付与したドローン二機を手にするとメタルワームの口に放り投げる。軌道がズレかけた所はホバーをかけてメタルワームに飲み込ませた。

 

「音声モード適用開始。奴等の固定周波数を解析。その後、拙者のマイクで拾う発言を真逆の周波数に変換して欲しいでござる」

 

そう言うと、彼は手にしていた弓をマイク代わりにする。右手を上に、左手を下に……マイクパフォーマンスを取るように。

やり方は、映画で学んだ。披露する機会のなかったフレディ・マーキュリーの物まねをまさか異世界で再現する事になろうとは。

 

「それでは行くでござるよ、拙者の十八番『機光忍メタルグレイダー』より『鋼は今でも立てられるか?』でござる」

《お、お兄様? ワガハイ、この流れ全然聞いてないんですけど?》

 

端末を叩く音が、スピーカーから漏れた。

ミナカの戸惑う声と共に、オープニングの序奏はボイスパーカッションで再現。トランペットソロの静かな旋律が始まると、コメントは戸惑った物が流れ始めた。

同時に目を向けると、未だ威嚇の態勢を取り続けるメタルワームが小刻みに震えはじめる。

 

”な、なんだ……何が起きてるんだ?”

”歌ぁ!?”

”誰の曲? レオパルドンのオリジナル?”

”普通にボイパ上手いなレオパルドン”

 

自分が初めて歌うところを見る視聴者の困惑が、コメントを介して伝わってくる。

しかし止まらない。

静かな序奏――から一気にアップテンポへ。激しいギターソロに切り替えた後に歌詞。

 

「走れ! 命と共に駆け抜けて、空も星も銀河も!」

 

直後、メタルワームが苦し気な呻き声を上げた。二匹共々悲鳴と共に身をよじらせる。まるで逃れられない何かに体を鷲掴みにされたかのように。

 

《ちょ、お兄様!? 何で急に歌ってるんですか!?》

 

ミナカの困惑の声が響く中、構わずレオパルドンは歌い続ける。

 

「走れ! 炎と共に駆け抜けろ、時も場所も運命も!」

 

メタルワームの悲鳴を伴奏代わりに、レオパルドンは絶唱し続けた。配信画面のコメント欄はメタルワームが悶え苦しむ様子を見て、一体何故このような事になったか訝しむ言葉に溢れていた。

 

”説明しろよ! 一体何でレオパルドンは歌ってるの!? 何でレオパルドンの歌で苦しんでるの!?”

”ほほう、これは……やりますね”

”どういう事?”

”メタルワームは捕食する際、周波数を出して固定します。レオパルドンはそこに目を付け、逆の周波数で崩してるんでしょう”

 

「鉄と使命が体を満たす! これが命、これが正義! 孤独を抱え突っ走れ!」

 

”しかもあえてドローンを飲み込ませる事で、叩き落される事なく自分から離れるまで響かせる事が出来る”

”じゃ、じゃあ歌う理由は?”

”多分ですが……レオパルドンの趣味”

 

「振るう刃が運命であれば、返す刃は宿命か! 無垢の祈りの為、その鋼を立たせろ!」

《お兄様!? ねぇ、お兄様!?》

 

その十数メートルがある黒い鱗の巨体達が震える。そうして、呼吸を振り絞るように数十秒にも渡る叫び声を上げたその後。

重たい音を響かせ、マーベラーの肌から地面に剥がれ落ちる。一匹は痙攣したかのように地面に倒れ込んだまま、もう一匹は弱った体を何とか回転して体勢を変え、レオパルドンに威嚇を続けた。

 

レオパルドンは歌を止めて、マーベラーの上から地面に飛び降りる。

反重力アシストが効いた重量二百キロの巨体が勢いよく着地すると、音もなく土煙だけが勢い良く舞い上がった。

 

「どうでござるか、元のアニキにちょっと似てるでござろう?」

《あぁ、嘘……どうしよう。演出プランが……明後日の方向に……》

 

弱々しく威嚇を続けるメタルワームに、レオパルドンは手にしていた弓を再びフィールド・モジュレーターにかける。

左腕の十字型のガントレットにセットすると、フィールド・モジュレーターは弓を別の物に作り替え始めた。

 

メタルワームは再び鎌首をもたげる。どこか弱々しさを感じるが、レオパルドンは気を緩ませず睨みつけた。……二メートルの距離で互いが固唾を呑む一拍、そこに割って入るのは機械の合成音声。

 

《左ガントレット加工完了》

 

出来上がった得物を、右手で引き抜く。黒色の刃が磁気嵐が呼んだ曇り空の下、鈍く輝く。

レオパルドンが握っているのは刃渡り四十センチ程のナイフだった。刃は片刃で、持ち手が緩やかにカーブしている。左のガントレットには同じ形のナイフがもう一本収まっていた。

 

右手で逆手に持ち、腰を落として構える。

同時に右の腰のアーマーが開いた。一枚板のような装甲板が縦に開いて現れたのは、新型アナライズガンだ。

左手で抜く。……装甲板内部で銃を固定する金具が一回転し、丁度グリップは真逆の方向に変わった。

 

 

曇天の下、大きさ七十センチにもなる銀色の銃型デバイスをドローンに見せつけるように取る。

長い銃身のすぐ根元には、四角いバッテリーパックがあり、シルエットは何処となく地球の銃、モーゼルに似ていた。

 

 

左手で抜いた銃型デバイスのグリップにナイフのグリップを密着させる。

右足は前。左足は対角になる様、半歩後ろ……その構えは丁度。

 

「拙者、CQCの考察もやった事あるでござるよ……今一度、拙者も基本を思い出してみるでござるか」

《お、お兄様……次は何するつもりですか?》

「拙者、VRゲームをCQCで無双した事あるでござる……もっとも、その時飼っていたストランディング・ビーストを踏んづけて壊しちゃったでござるが」

《ねぇ、何言ってんのこの人!?》

 

視線の中にドローンの状態が表示される。上手く腹に潜り込んだらしい。

 

ここまでは全て予測の範囲内だ、そうレオパルドンは考える。

事前に組み立てた戦略は順調に進行している。

レオパルドンは一度呼吸を整える。アナガンで超音波を照射し、メタルワームをスキャン。

視界には白文字で心臓や砂嚢、背行血管などの表示が赤文字で現れた。

じり、とレオパルドンは半歩にじり寄る。

先に動いたのはメタルワームだった。口より下の部分が、再び風船のように膨らむ。

その様子を見たレオパルドンは、ここだと思い、ネットリンクを再び開いた。

 

 

〈DRONE №1 : REVERSE ROTATION〉

〈FULL POWER〉

 

 

体内のドローンを逆回転。

反発エネルギーをかけた球体は胃の中で暴れ、今まさに吐き出されようとした酸を封じる。

メタルワームから再び悲鳴が上がる中、レオパルドンは駆けた。

 

次にメタルワームはその顎でレオパルドンを圧し潰そうとする。

回避をしようとしても、この状況ならもう左右に体を動かす事が出来ない。自分の弱点は一手を放てば次の一手までのブランクが発生する事だ。

純粋な質量攻撃は、喰らえば頑健・頑丈なイドロダイトなら耐えられるだろうが無駄に勝負が長引いてしまう。

 

それの何が恐ろしいかと言えば、――このままでは配信がダレる。

 

 

〈VIEWERS:1976321/Au REACTION LEVEL=HIGH〉

 

 

今続々と同接者数は上がっている。ここで大事なのはただ一つ、一発で華麗に仕留める事だ。

 

「かかったでござるな」

 

その為の伏線はもう打ってある。

 

 

〈DRONE №1 : ROTATION〉

〈FULL POWER〉

 

 

レオパルドンはドローンを再度高速回転させ、僅かにメタルワームの顎を僅かに右に逸らす。

 

「ミスディレクションでござるよ、手品の基本は如何に注意を誘導するかでござる」

 

同時にアナガンを持った左腕で紙一重で巨大な質量を逸らしつつ、レオパルドンは懐に入った瞬間ナイフに硬化のエネルギー付与。

狙うは一点。口から後方三十センチ――赤文字で脳とマーキングされたそこ。

 

「お前に拙者は殺せない」

 

金属の鱗の隙間を縫い、ナイフの刃を突き立て、手首を内向きに回す。それで、メタルワームは動きを一切止めた。突き立てたナイフが白い塵になって消える。

横たわるメタルワームの死骸からは、緑色の血が静かに流れ、やがて地面に血だまりを作って行く。

 

”おお、テクニカル……”

”ワザマエ!”

 

そこで一度、フィールド・モジュレーターのラジエーターから白い蒸気が勢い良く噴き出す。濛々と立ち込める白い靄が収まると、レオパルドンはようやく口を開く。

 

「……二曲目はサザンのつもりでござったが、流石にオーバーキルでござるかな?」

 

レオパルドンはにこやかな声音でそう呟く。

そこで彼の視界の端にまだ生きてるドローンカメラの配信映像を映す。そこには痙攣していたもう一匹のメタルワームが、ようやく気が付いたのかゆっくりと体を起こし始めていた。

ここはもう一曲分――アンコールと行こうと、レオパルドンは思った。

ハリウッド映画でも戦闘シーンの締めで大事なのは、ウィットに富んだフィニッシュだ。

 

《お兄様、後ろ!》

「拙者の社会人擬態用の一曲でござる――あれは、マンピーのG★スポット!」

 

マンピーのG★スポット。その曲名を放った瞬間、口の下を膨らませかけたメタルワームは再度地面に倒れ伏す。再び痙攣するその体に、レオパルドンはアナライズガンを向けた後。同じように脳にナイフを突き立てた。

 

 

〈VIEWERS:2512893/Au REACTION LEVEL=HIGH〉

 

 

この戦闘だけで稼いだ同接数は約二百五十万。そこでコメント欄をふと見ると――

 

”説明しろよ! マンピーのG★スポットって何なの!? 一体どんな曲なの!?”

”なんか、今日のレオパルドンいつもと違うな……いつもはもっとこう黙々としてるのに”

”マンピーのG★スポット、一体どんな曲なんだ……?”

 

視聴者達は、奇妙な所で盛り上がっていた。

 

《ちょーっと、一旦配信切ります! 申し訳ございません、視聴者様!》

”は、止めんなよ? もっとみてーよ”

《止めるに決まってるでしょう! マンピーのG★スポットで止めなきゃ、何で止めるって言うんですか!?》

 

ミナカの声と共に、配信の向こう側ではドタバタという足音が聞こえる。再びのインターバルが静寂と共にやって来た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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