死にたくないので炎上上等! クズ少女配信者の銀河最底辺ダンジョン配信に現れた俺は、ただの鎧の傭兵だったが、地球への手がかりを探してると『レオパルドン〇〇説シリーズ』が乱立し神と呼ばれた件について   作:生駒伊織

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15話2 コンセンサスして!

 

 

――メタルワームを一掃して、しばし経った後。

 

メタルワームの剥がれた外板の、天井二か所の格納ポイントが後方に展開。丁度九〇度垂直に、百二十センチ程の長さ板が二対跳ね上がり、中から全長五十センチ程の円筒型ドローンが十機射出される。

ドローン各機はマーベラーの周囲に円を描くように広がり、すぐさまその姿が見えなくなる。ただしばらくして、奇妙なハーブじみた香りが風上から仄かに漂ってきた。

……疑似餌を散布し終え、吐き出された酸が空気によって溶解性質を失ってからミナカは恐る恐るマーベラーの外に出る。

 

服装は、レーゾス用の防護服。

淡いクリームがかった白のボディスーツ。その上から、ピンクと黄のアシストジャケットを羽織っている。

頭には三十四センチ程の、透明な培養テクタイト製のヘルメット。上にはピンクと黄のリボン型脳波コントローラーが淡く光っていた。

分厚い両の手袋でバイザーを一度軽く叩くと、ハッチを跨ぐ。

 

「おお、ミナカ殿! その防護服、イカすでござるな! レトロ感がいいアクセントになってるでござるよ!」

《ちょっと、お兄様ごめんなさい》

 

周囲に浮かせたいつもの黒とピンクの球体型ドローンが周囲を飛び回る。右肩には白のスリングで、新しく新調した九十センチ程のピンクのブラスターを縦にかけていた。

一瞬、募らせた警戒心が体にサインとして現れ、自然と息を呑んでしまう。

おだてはやすレオパルドンを余所に、ミナカがまずやるのは地面に伏せたメタルワームの死骸から酸を採取する事。

腰に巻いた茶色い革ベルトのポーチから、彼女は銀色の直径約四十二ミリの球体を取り出す。それを三メートルばかり離れた所で死骸の口に放り込む。

 

胃の中で酸を解析し、データをスーツのナノマシンに反映させる。

これでようやく、レーゾスを歩けるようになった。

一息付いた所で、彼女はくるりと振り返るとレオパルドンに目を合わせる。

 

《ちょっとお兄様! アレは何ですか!?》

「何と言われても、メタルワームの死骸でござるが……」

《倒し方という物があるでしょう! そして倒し方には売り方という物があるんです! 何です、あの戦い方――マグネシウムリボンでカメラは一個落ちるし、そもそもマンピーのG★スポットってどんな曲なんですか!?》

「拙者、プレイを変えたのでござるよ。ガチプレイから、魅せプレイに」

《羞恥プレイの間違いじゃなくてですか!? こういうのは事前に相談して下さい!》

「確かに、少し逸ってしまったでござるな。申し訳ない」

《なんで、こんな事したんですか!?》

 

ミナカにしてみれば、今までの売り方をがらりと変える訳である。

どうして彼がいきなりこんな事をしたのか、理解出来なかった。レオパルドンに必要なのは神秘のベールなのであるというのに。

それに対し、レオパルドンは静かに切り返す。

 

「アンチスレを見たのでござるよ」

《あ、アンチ!? 何でまたアンチスレなんか……》

「拙者の戦い方は華がないと言われてしまったでござる」

 

そこでミナカが覚えたのは怒りであった。レオパルドンに不要な情報を見せるべきでは無かった。ここで否定的な意見で、テンションが下がっては元も子もない……そう思った。

 

《そんなの気にする必要ありません! ワガハイの言葉だけを信じればいいんです! アンチなんて責任感のせの字もないクズ共が、ストロングな安酒飲みながらネチネチ言ってるだけ! 無視すればいんですよ!》

「いや、的を射た話もあったでござる」

《落ち込まなくていいんです、お兄様! もしかして、傷ついちゃったから戦い方を変えたんですか!?》

「いや、そうではないでござる」

《ならどうして!?》

「欲しくなったんでござるよ、拙者も一位というヤツが……」

 

ミナカは一瞬息をする事を忘れた。その隙を突き、レオパルドンは会話を続ける。

そのバイザーに隠れた目、緑色の卵のような双眸をしっかりとミナカに向けて……逸らさずに。

 

「拙者は今まで必死に生きる為、ただ帰る為だけに戦っていたでござる……」

 

そこで、一旦彼は目線を逸らす。

 

「けれど拙者も動画制作者の端くれ……一位の景色を見たくなった、そう拙者も戦ってみたくなったでござるよ」

《お兄様……》

 

正直、彼の気持ちは嬉しかった。こんなに真面目に考えてくれたと思うと、頭が下がる。

そう思った直後、ミナカのスマホに着信音が一つ。次いで二つ、三つと連続して鳴り響いていく。

先ほどのレオパルドンの戦い方に関する呟きや投稿である。

ミナカはつい癖で右手を頭上のリボン=ニューロsynCに触れると。

 

”今回のレオパルドンの戦い、面白かったなw”

”解釈違いです。レオパルドンらしくありません”

”やれば出来るじゃん”

”レオパルドンに求めてたのは、こういう方向性じゃない”

 

賛否両論が生まれていた。次いでギャラクシー・ライブリンクのカウンターを見てみる。

 

 

〈AUDIENCE REACTION〉

〈GOOD:2663798417〉

〈BAD:967432154〉

 

 

GOODもBADも、この数分でいつもの数倍盛り上がっていた。

最後にネットの考察スレを見てみると……。

 

 

【こいつは】レオパルドン考察スレPART1167【誰だ?】

 

2533:名無しの考察者

今回の配信で得られたワードは『機光忍メタルグレイダー』と『鋼は今でも立てられるか?』と『CQC』と『マンピーのG★スポット』か

 

2534:名無しの考察者

相変わらず考察者を振り回すな

……学派が割れるぞ、特にマンピーのG★スポットは

 

2535:名無しの考察者

マンピーのG★スポット、今までの考察が全て崩れる新しいワードが来たな

レオパルドン考察スレは相変わらず地獄だぜw

 

 

視聴者の反応、賛否の数は賛の方が若干優勢。考察スレの反応は何か喜んでいた。

同じものを見ていたのであろう、レオパルドンは静かに首を縦に一度振ると。

 

「否も多いでござるが、賛も多いでござる……ミナカ殿、ここは拙者を信じて欲しいでござるよ」

《お兄様……》

「拙者も、今は本気で一位を狙う事を考えているでござる」

 

ミナカは内心で状況を整理する。

賛否は別れたが、数字は大きく跳ねた。それにミナカが取った謎路線はまだ残っている。

あのレオパルドンが戦い方を露骨に変えたとなれば、アクセス数は変動するだろう。でも切り捨てるにはこの流れは惜しい。

 

それにレオパルドンが折角やる気を出している。これを活かさない手はない。

 

画面をスワイプし、スレッドや各SNSの動きのグラフを見ながら、一度ミナカは深く息を吸う。

 

《わかりました、お兄様の考えに乗りましょう》

 

積み立てた物を時流に投資する時が来たのだと思った。

これは博打の時なのだとも。

 

「ミナカ殿」

《たしかに、ここ最近は跳ねなかった中で今のはいつもの数倍まで再生数が膨れ上がってます。それにもうサイコロは投げられた、なら今はチップを賭けるべきです》

「……次の戦闘の時は、やはりマンピーのG★スポットを歌った方がいいでござるか?」

《それはダメ!》

 

頭の中で必死に演出プランを書き換えつつ、後数分で配信を再開する事にする。

とりあえず配信再開でやるのは、いつもと変わらない。

死体から使える物をはぎ取るのだ。

 

 

◆◇◆◇

 

 

――????

 

 

《キキ、やるなあのゴリラ……チ、分体の一つがやられたか》

 

 




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