死にたくないので炎上上等! 地球への手がかりを探すSFオタクが、銀河最底辺ダンジョン配信でミームから神話になるまで   作:生駒伊織

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34話 出たぞ、強制イベントだ!

 

 

【熱戦烈戦】ミナカのぶっっっちぎりダンジョン配信part2066【超激戦】

 

 

876:落ちた名無し視聴者

は?

 

877:落ちた名無し視聴者

音復旧したけど、なんて言ったの?

 

878:落ちた名無し視聴者

なんて言ったんだよ!

 

879:落ちた名無し視聴者

おいモザイク入って見えねえぞ! 映せよ、生身のレオパルドンをよ!

 

880:落ちた名無し視聴者

画面にマヨネーズ付けたらモザイク薄れるらしいぞ!?

 

881:落ちた名無し視聴者

マーガリンの方がいいって聞いた!

 

 

◇◆◇◆

 

 

ラクトゥーの遺跡に眠る演算機が鳴動する。増幅されたエネルギーが出口を求めて、地表に溢れ出る。

空には曇天が覆い始め、低い震度の地震が大地を揺らし始めた。

 

「どうやら、思い入れによって消費エネルギーが変わるらしいでござる。強ければ強いほど、比例してエネルギーが減っていくでござる……物質だと更に消費量が変わるとか」

 

レオパルドンが青い文字を読み上げてそう呟く。割れんばかりの地響きが酷くうるさく感じた。

その中でミナカは叫ぶ。

 

「どうしましょう! お兄様! ワガハイ、急に願い叶えろって言われてもポンポン思いつかないですよ!」

「頑張るでござるよ、ミナカ殿! 何とかあのエネルギーを使い切らないと、拙者達諸共お陀仏でござるよ!」

 

レオパルドンも叫んだ。

 

「で、でも! でもでござるよ、ミナカ殿の欲望は底なしでござろう!」

「そ、そうです! ワガハイは自慢じゃないけど欲深! そう……願いだなんて……」

 

そこで気付く。

配信冒険者ランキング一位になる夢は置いといたとして。

母の愛を父に告げ、名誉は回復し、フィアナと再び出会い、挙句手の中には夢の証である位相転換杖。

 

「……あ、やべ。夢、全部叶ってる」

「嘘でござろう!?」

 

無我夢中で気が付かなかった。この手の中にはもう夢という夢を全て手にしていた。

そこで、ミナカはハッとした表情を浮かべた。そうだ、絶好の願いがあった。これで何とかなる。

 

「キャストリルに増援を送りましょう! あいつ、なんだかんだで今回めっちゃ助けてくれましたし!」

「ナイスアイディアでござる!」

 

その時、ミナカの視界に着信のサインが入る。映像通話で、それはキャストリルからの物だった。

レオパルドンが両手で×をする。どうやら願いが叶った訳ではないらしい。

 

《……悪いわね、こっちは無事よ》

「ンアーッ! …………なにも言えない」

 

一瞬、何で生きてるんだと言おうとして思い踏みとどまったのは、ミナカのなけなしの良心の発露であった。

通話が切れると再び、ミナカは頭を悩ませる羽目になる。しかし、代案はすぐに思いついた。

 

「そうです! 死人を蘇らせましょう! フィアナとママを!」

「ナイスアイディアでござる!」

 

そう思い、行動に出ようとした時。ミナカのスマホから着信のベルが鳴る。

ピンクのスマホを取り出し、出ると聞こえてくるのは……。

 

《ご、ごめんねミナカちゃん……あのわたし、実はちょっと生きてて……》

「フィアナ……その、今じゃない……あぁ、でも生きてて良かった!」

 

ぶつりとそこで通話が切れる。磁気乱の影響だった。

 

「お兄様、今ので何とかなりました!?」

「いや、何ともなってないでござる。アレは単にめちゃくちゃ運が良かっただけでござるな……」

「ンアーッ! 紛らわしい! でも、生きてて良かった……でもやっぱり紛らわしい!」

「後、ご母堂の件はちょっと無理っぽいでござる!」

「じゃあもう無いですよ願い!」

 

ここに来て急に現実が牙を剥き始める。ふとコメント欄を見ると、コメント欄も騒然としていた。

一難去ってまた一難という感じに。

 

「お金は!?」

「そりゃあればいいですけど、そんな魅力感じないんですよね……」

「じゃあ、欲しかったっていうランキング一位は!?」

「それは自分の力で取るから意味があるし……」

「何で今になってイチイチまっとうな事言うんでござるか!?」

 

その時、ミナカが目を時計に向けると残り時間は…………三十秒を切っていた。

 

「ンアーッ! 嘘ぉぉぉぉぉぉ!?」

「何か、何か無いんでござるか! もう何でもいいでござる!」

 

そこでミナカの脳に走馬灯のように今までの過去が巡り始める。

ヴァレンとの戦いから、あのジャ=クーで初めて出会った時。そう、あの時もこんな命の危機だった。

 

”今までバカにした奴等を見返してない! ウィザードにもなってない! 赤ダイヤモンドの盾もらってない! 可愛いショタのおちんちんピュッピュしてない! やだやだやだやだ!”

 

記憶の中で、最後の願いが見つかった。

これは確かに自分の中で、今一番強い願いだ。

しかし、これは余りにも……その。

へらっと、ミナカの顔に媚びた笑みが浮かぶ。それは魂から発せられる媚びた笑みだった。

 

「あー、見つかったかも……しれません」

「何でござるか!? ならすぐに言うでござるよ!」

「いや、でもその……ちょっと、問題が……」

「言うでござるよミナカ殿! ここまで頑張ってきたんでござる、大抵の事は皆許してくれるでござるよ!」

「い、一番問題なのは……お兄様なんですよ」

 

一度ミナカはレオパルドンの姿を見ると、ためらいが生まれた。

 

「拙者に出来る事があれば何でもするでござる!」

「ほ、本当ですか……怒りません?」

「もう後十秒しかないでござるよ!」

 

焦りをにじませるレオパルドンに対し、ミナカはためらいと焦りと恐怖……様々な物が入り混じった叫びを上げる。

 

「――お兄様の姿が、激萌え美少女ショタだったらいいのに!」

 

息継ぎせず、ミナカは思いのまま叫ぶ。

 

「身長はわたしよりちょっと下! 髪は白のロング、目の色は赤! 肩と鎖骨のラインはフェミニンで、尾てい骨がちょっと出てる感じ! 少女と少年の中間形態な、そういうわたしの理想のショタだったらいいのに!」

 

レオパルドンの目は見なかった。正直、怖かったから。

 

「え!? ちょ!?」

 

困惑する声は両手を耳で塞いでシャットアウト。

尖塔から光が迸った瞬間、ミナカは後ろを振り向きしゃがみ込んで目を瞑る。

……数秒経ち、ミナカはゆっくりと恐る恐る目を開けて後ろを振り返る。すると、思わず両目を見開いた。

 

「お、お兄様……お兄様なのですか?」

「…………」

 

フィールド・モジュレーター、そして中にある神の鎧共々正面から空いていた。

地面にへばりつくようにして、白い髪と赤い瞳を持つ……ミナカの理想のショタの姿がそこにある。

服は着ていない。

理想のショタは、磨き抜かれた鏡のような神の鎧の裏側に自分の姿を映し、その顔と形がどう変わったかを無言でしばらく確かめた。

 

「これが、拙者……」

 

野太い声はそのままで、ミナカは一瞬どうせなら声も変えとけば良かったと後悔。

そう思いながらスマホのカメラを連続撮影モードにして姿を残す。

 

「お兄様……なんてお姿に……」

「………………まずは写メを撮るのをやめるでござるよ、ミナカ殿」

 

 

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