「まさか外の世界に飛ばされるとはね・・・・・・」
霊夢は髪をグシャグシャと掻きながら、竹林の向こう、ビル群の見える方向へと歩き出した。ほんの数分歩いたところで竹林は途切れ、代わりに霊夢の視界には先ほど見えたビル群の全体の姿が大きく広がった。
「はぁ、話には聞いていたけど、ここまで差があるとはね。」
およそ普段の幻想郷の日常生活では体験することのないような喧噪に少し顔をしかめながら、ため息交じりに霊夢はつぶやいた。
「おまけに空気も悪いし、よく生活していけるわね・・・・・・」
と、言うものの、このままここにいても何も始まらない。
とりあえず情報を集めるために霊夢は目の前に広がるビル群ー東京の都心へと足を進めた。
あれから数分が経過した。
「はぁーっ、はぁーっ、な、なによあの高速で動く鉄の塊は!危うく死ぬところだったわ!」
鉄の塊というのはもちろん車のことである。あの後、さすがに幻想郷の外での能力の使用をためらった霊夢は徒歩で都心へと向かったのだが・・・・・・今思えばそれが間違いだった。車はもちろんのこと、信号機の意味すら知らない霊夢が交通マナーなど知るはずもなく、おまけに暑さと淀んだ空気のせいでボーっとしていたことも重なり、結果、赤信号をそのまま通り過ぎた霊夢は、猛スピードで飛ばす車にもう少しで跳ね飛ばされるところだったのだ。ギリギリのところで華麗に交わしたのだが。
「弾幕ごっこやってなかったら確実に死んでたわね・・・・・・」
そんなこんなで足を進めた結果、霊夢はようやく一際賑やかなエリアについた。
「秋葉・・・原?」
近くにあった標識の文字をそのまま口にした霊夢は、そこであることに気づいた。
「あれ、巫女がいる・・・・・・」
視線の先、人込みの中に、見知った紅白の衣装を着る女性達がなにやら紙を配っているのが見えたのだった。
「へぇ、こんなところにも巫女っているのね~」
同業者を見つけて少しホッとしたのもつかの間、
「・・・・・・!?」
霊夢の視線が一点にくぎ付けになった。
「あれは魔理、いや違うわね」
大きな黒い帽子に白と黒の服、おまけに大きな箒。服装は間違いなく、霊夢のよく知る霧雨魔理沙そのものだった。服装は、である。
「大きい、というよりまず男じゃないの・・・・・・」
と口にしてから霊夢は以前紫とした会話をを思い出した。
『ねぇ霊夢、知っているかしら? 外の世界には漫画や本の登場人物の姿を真似て楽しむことが流行っているらしいのよ。コスプレっていうらしいんだけど。』
『ふ~ん、変わった遊びもあるものねぇ、自分以外のものになりきろうとするなんて。』
『外の人間は魔法や力を使えないから、そういう幻想にあこがれるものなのよ。私もやってみようかしら?』
『いや、あんたはもう十分力持ってるでしょうが。』
「これがそのコスプレってやつなのかしら、どうして魔理沙の服が出回っているのかはわからないけど。」
なるほど、今さっきは魔理沙の服を着た男に意識がいっていたせいか気づかなかったが、よくよくあたりを見回すと確かにそれっぽい服装をした人々がたくさんいた。中には髪の色まで変えている人もいた。
「はぁ、それにしても奇妙な街ねぇ・・・・・・」
と、そこまで独り言を言ってから、ふと自分の体に視線を落とした。当然といえば当然のことながら、外の世界の人間からすると、霊夢の服装はコスプレにしか見えないのである。
(今の私の服装、もしかしてまずいんじゃ・・・・・・)
そう思ったのもつかの間、気づいた時には周りに人だかりができていたのだった。
「「「わぁっ、かわいい~」」」
「ほ、本物にしかみえない。写真!写真とらせて!」
幻想郷では最強と妖怪たちから恐れられる霊夢であっても、さすがに目を光らせながら写真や握手を求めてくる人の群れには恐怖の念を抱かざるをえず、
「な、なんなのよこの街はぁぁぁぁぁぁっ!」
人だかりを押しのけて叫びながら全力でもと来た道を走り出していた。
第二話(正確には第一話)いかがだったでしょうか。
冬休みなこともあって、かなり早く投稿できましたw
さて、次回ですが、ついにオリジナルキャラクターとの共同生活が始まりそうですよ!
そして魔理沙のコスプレが現代に存在しているという点は後々明らかになっていくはずです!
PS:見直してみたところ、一話と二話での時間設定が夜になってましたので、修正しました(←おせぇよw