異世界かるてっと ナツキスバルの人生上映会   作:柊 カスミ

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ナツキスバルの人生上映会

 

 『本来交わる事のない数々の物語。

 時には悲劇が

 時には喜劇が

 時には惨劇が

 時には観劇が

 物語とは完成しない料理だ。

 数々の物語が交わる時、生まれるものは果たして

 素晴らしい演劇か

 悍ましい劇物か

 彼らの紡ぐ物語が今

 始まる!』

 

 

 

 「とのことだが」

 恐ろしい見た目の骸骨が表情のない貌でため息をつく。手に持った本から顔を上げた彼の顔は呆れに染まっていた。

 彼の名はアインズ・ウール・ゴウン。かのナザリック地下大墳墓の統治者である。

 

 「なんだそれは、私たちを舐めているのか?」

 可愛らしい顔を怒りに歪めているのは、錆銀、またはラインの悪魔と名高い

 帝国軍二〇三航空魔導大隊大隊長、ターニャ・フォン・デグレチャフ中佐である。

 

 「おうおう、ちょっち落ち着け?あんまりピリピリしってっと、首謀者様も出てきにくいだろうぜ?クールダウン、クールダウン」

 そんな軽い言葉を投げかけるのは、幼女使いの異名を欲しいままにする

 エミリア陣営、騎士・ナツキスバルである。

 

 「そうは言ってもなぁ?前と違って、今回はなんの前触れもなかったんだぜ?スイッチもなければ、嵌められた様子もない。気づけばここだ。文句の一つも言いたくなるさ」

 そう言って周りよりも落ち着いた様子を見せるのは、魔王を倒した冒険者。卑劣王(アクア命名)と名高い

 冒険者・サトウカズマである。「は?卑劣王とか呼ばれたことねぇよ?」

 

 「はぁ、どうにかして帰れないのか?フィーロ達に飯を作らなきゃいけないんだ」

 そうやってぼやく彼は盾の聖武器と鏡の眷属器を持った、飯の勇者などと呼ばれ親しまれている

 盾の勇者・岩谷 尚文である。

 

 「とりあえず、出席簿と先生からの伝言を預かっている。出席確認からしていくぞ」

 

 「いや、この状況に言及なしかよ」

 「疑問を呈したところで、理解できない状況には変わりあるまい。では、私は飛ばして。岩谷 尚文」

 

 「いるぞ」

 「サトウカズマ」

 

 「はい、カズマです」

 「ターニャ・フォン・デグレチャフ」

 

 「あぁ、いるぞ」

 「ナツキスバル」

 

 「はいはーい、元気元気」

 

 「……」

 「どうしたんだ?アインズくん何かあったか?」

 「いや、もう一人いるんだがな?」

 静寂がこの場を支配する

 

 「……いなくね?四つ揃ってばよえ〜んしちゃったとか?」

 「どこのパズルゲームだ、私は詳しくないから振られても対応ができない」

 スバルの悪ふざけにアインズが苦笑しながら答える。なんだかんだ反応するのは彼の根底が日本人だからだろう。

 

 「で?その1人はどうしたんだ。まさか見えないだけ、だなんていうつもりはないだろうな」

 「あ〜、それはだな」

 尚文の発言にアインズが少し言いにくそうにしながら答えた。

 

 「『諸先生方へ

   今回の召集に関しましては罠の可能性が濃厚であり

   また、それをわざわざ打開してまで召集に応じる必要性も感じられなかったため

   参加を拒否させていただきます。

   竜宮院 誠也』とのことだ」

 「ふっざけんなぁ!!っていうかこれ拒否できるのかよ!そんな暇なかっただろうが!」

 カズマが真っ先に吠えた。

 「まぁまぁ落ち着けって、世の中理不尽だらけだぞ?理不尽に吠えるより、対処法を考える方が楽だって」

 「ウルセェ!これが叫ばずにいられるかってんだ!」

 

 と、そんなやりとりが静まる頃に、この場の全員に一つのアナウンスが耳に入る。

 

 『本日はご来場、誠にありがとうございます』

 「別に着たくてきたわけじゃないんだが」

 「まぁ待て、まずは相手の意図を探り、その後に迎撃体制だ」

 「ふむ、了解だ」

 「ターニャも尚文も血の気が多いな」

 

 『お近くの座席にお座りください。只今より、ナツキスバルの人生上映会を開始いたします。』

 

 「……へ?俺?」

 

 アナウンスの後、この場の全員の視線がスバルに集中する。

 

 「うぅ……」

 スバルは少しずつ後退り、逃げ出した!

 「シールドプリズン!」

 しかし逃げられなかった。

 

 「うわっ!なんだこれ!これ全部盾か!?クッソ!逃げられねぇ!」

 「別に逃げなくたって良いだろう?そこまで嫌か?自分の過去を見られるのが」

 逃げ出そうとしたスバルに向かってカズマが宥めるように言う

 「いや、そうじゃねぇよ。確かに恥ずかしいことばっかりの人生だけどよ。見られたくない事ってもんもあんだろうがよ」

「ふん、まぁわからんでもないがな。過去を掘り返そうとするやつには碌な奴がいない」

 苦虫をかみつぶすような顔の尚文はなにか思い当たる節がありそうであるが、それを追求するより先に先ほどのアナウンスが全員をせかす。

 

 『まもなく上映を開始します。早急にご着席ください。』

 

 「このままってわけにもいかんだろう。不服だろうが従うほかあるまい」

 やはり委員長だからだろうか、周囲をなだめつつ話を進めるために着席を促すアインズ。警戒しつつもやはり、現状が意味不明であると皮膚を持たない彼の表情が訴えかけてくる。

 

 警戒がありつつもここで何か喚こうが意味がなさそうなのはわかっているためか、素直に従い席に着く一同。

 

 『ご着席なられたようなので、ただいまよりナツキスバルの人生上映会を開始します』

 

 

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