超普通人!   作:読み手のコットン

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続きました
久しぶりに8時間寝れた…
彩葉のこと強く言えねぇぞおい…


よく食べる子は大きく育つ

 

君が助けを求める顔してた、と言わんばかりに少女の声を聞きユキは颯爽と立ち上がった。

君はヒーローになれる。

 

そして、いつも通りテキパキと支度をし、トットッシャリ、トットッシャリと野菜を切る音やジューッ、パチパチという音とともに肉や魚の焼ける良い香りが部屋中に広がる。

 

こんな時間なのにガッツリ夜食用意するってマジか。もう2時だぞ、2時。

 

コンビニのレンチンオムライスでも満足するのに…そんないきなり最上級の味を覚えさせて大丈夫なのか?

彩葉のクソまじいパンケーキ食べたら気絶しない?

でも今の関係なら彩葉はウチに昼ごはん任せてくれそうだし、貧乏飯を食べる機会自体なくなってるのかもな。

 

音と香りのダブルパンチを受けた少女はますますお腹を空かせたと言わんばかりにお腹と食器を使った大合唱を始める。

 

ぐぅぅぅ

 

「はやくー!はやくぅー!もう1秒たりとも待てないよぅ!」

手に持った食器でキンキン、カンカンと皿や机を叩く少女。

 

それを見て彩葉は、

「はいはい、少しは落ち着きなさいって。食器で遊ばない、お行儀が悪いよ?」

ママかよ、ママだったわ。

 

「お行儀よくしておかないと、ユキさんのご飯食べさせて貰えなくなっちゃうかもよ〜?」

「え!それはいや!大人しくする!」

 

ちょこんと居住まいを正して静かになる少女。

もうこいつら仲良くなってんな、はやく結婚しちまえよ。

 

その後、彩葉は少女の隣に座ってスプーンやフォークの持ち方、指を入れるリング付きの子供用お箸の使い方を教えていた。

ママかよ、ママだったわ。

 

ちなみに、このリング付きお箸は普通に彩葉に怪しまれた。ベビー用品ならまだしも自分である程度飲食可能な年齢にならないと使う機会のないお箸だしな。

 

取らぬ狸の皮算用さんにはいつもお世話になっております。今後もよろしくお願い致します。

 

 

調理を終わらせたユキがこちらを振り向き、

「待たせちゃってごめんね〜!できたよ〜!」

おっようやくか。

「優希はこっち来て配膳手伝って〜2人は座ってていいからね〜」

「うーい」

 

やけに時間かかってたし、妥協しないのは知っていたけど作りすぎだろ。

 

配膳も終わり、「やったー!」と早速食事に手をかけようとしたところで、

「まずは手を合わせていただきます、ね」

と、彩葉に止められる少女。

 

手を合わせてパンっと、

「いただきまーす!」

バクバクもぐもぐごくりごくり、とさっき覚えたばかりにしては器用に扱える食器を使って食事を掻き込んでいく。

 

ラーニング能力も身体能力も高いなぁ。羨ましい。DEX18はあるんだろうな。

 

「──っ」

大きな瞳に星が散った。

 

「すごい!何これ!何これ!」

「牛肉のハラミ焼肉、鯖の塩焼き、生野菜のサラダ、味噌汁、ネギ入りだし巻き玉子、鳥の唐揚げ、じゃがいもベーコンのガレット、まぐろアボカドの醤油掛け、と!今日の晩御飯の余りの炊き込みご飯だよ〜こんな時間だからちょっと少なめだけど許してね〜」

 

作りすぎ作りすぎ作りすぎ。

 

「余ったら朝ごはんと彩葉ちゃんのお昼ご飯のお弁当に詰めるから残してもいいよ〜」

 

いやあ〜〜〜ユキさん?朝からこれはキツいっす。

 

「ちょっ!ユキさん、悪いですって!」

「気にしない、気にしなーい!」

 

そして彩葉はやはり押しに弱いな(ダブルミーニング)。

この3日間ユキの気にしないで口撃に何回打ち負かされてきたのか忘れたのか。

 

「ユキのご飯大好き!」

 

それにしてもいい食いっぷり。こっちまで笑顔になっちゃう。ユキもニコニコが止まらない。なんだかんだ彩葉も優しい顔をして少女を見ている。

 

「やべ、俺も腹減ってきたな」

「ユキー?俺もなんか夜食欲しい」

 

「そういうと思って、はい!」

机の下に手をやったかと思えば、机の下では到底収まらない大きさのお盆に乗ったミニ牛丼が出てきた。

 

…今どっから出したんだ、ってチート技の応用で身につけたアイテムボックスか。

ツクヨミに持ち込み、持ち出し出来るってやっぱりチートすぎるだろ。

今ってアイテムボックスのチートスキル1本で主役を張れるんだぞ。俺にもそういうチートが欲しかったです…。

 

あとこの前、8000年の間で手に入れた思い出の品々を見せてもらえてちょっと興奮した。土器とかカッケェ刀とか博物館に寄贈するレベルのものをいくつも所有していて凄かった。また見せて欲しい。銃刀法違反?知らんな。

 

 

うん?何かおかしくないか?

 

 

ところで今のやり取り、彩葉たちは…こっちを見ていなかったのか気づいてないな。まあ見られてても気のせいじゃない?とか秘密!で誤魔化せる範疇か。

 

「うまっ、うまっ、うま!」

 

 

 

食事の手が進むのもゆっくりになったところで、

「あなた、どこから来たの?」

と彩葉が問う。まあ気になるよね。

 

問われた少女は、はたと手を止めると、

「んっ」

そりゃあ、あそこに決まってるでしょ、と言わんばかりの表情で窓の外に見える満月を指差した。

 

満月が綺麗ですね(満月が綺麗の意)。

 

「月から来たのか〜すごいね〜」

「月って地球の重力の1/6ってマジなん?気になるな〜いつか体験してみてぇ」

「つ、月…宇宙人で確定じゃん…」

 

「で?宇宙人は何しに来たの?侵略?」

「うーん、何かあんまりよく覚えていないんだけど〜〜。とにかく、毎日超つまんなくて〜〜。楽しいところに逃げた〜〜いって、思った気がする」

 

ふんわりしてるなぁ。

 

「逃げんな〜」

「え〜〜、なんで〜〜?」

 

「逃げるのは簡単だけど、そのあとの再スタートって大変だよ?覚悟あんの?」

「覚悟〜?やりたくなかったらやんない。やりたかったらやる!」

 

「わかる!楽しいことだけしていたいよね!やるべきことより、やりたいことだよ!」

 

「「いぇーい」」パシン

 

「そこ2人!意気投合しない!」

「あと日々がつまんないとか当たり前」

「ほんと〜?俺は結構毎日楽しいけど〜?」

無視された。悲しい。ぴえん。

 

「え!やだー!彩葉ほんとにそれでいいのー?」

「良いとか悪いとかじゃないの!」

 

「あのさ、ちなみにだけど、これに心当たりは?」

彩葉はタブレットに『竹取物語』の絵本を示して少女へと見せる。

 

懐かしい〜中学校でやるんだよな〜

 

「なにこれ?」

「竹取物語。月からやってきた姫が竹の中から出てきて、翁が拾って育てて、結婚迫られたりとか色々あって……まあ、ごちゃごちゃありますって感じのお話」

 

生後3日の赤ちゃんにする説明じゃないだろ。

少女もそう感じたのか、わけがわからないよとばかりに首を傾げ、

「けっこん?」

 

かわいいいいいいい!

これにはさすがの酒寄彩葉も揺らぐ…が!なんとか正気を保つことに成功!残念!

 

「たけー?」

「まあ、あんたが出てきたのは竹じゃなくて電柱だったけどね」

 

それでも似通った部分はあるよな〜。

と彩葉も考えたのか、

「もしかして……かぐや姫なの?」

おっと、現実と空想の区別がつかなくなっちゃったのかな?お薬出しておきますねー。

 

少女はタブレットには目も向けず、我関せずとばかりにこちらを見て、

「おいしそう…」

 

少女よ。このミニ牛丼はやらんぞ。だからその新しいご飯食べてみたいなぁ…みたいな目をこちらに向けるのはやめたまえ。あげたくなっちゃう。

 

まだまだ手元にいっぱい残っておるじゃろうて。このイヤしんぼめ!よしよししてやろう。良お〜〜〜し、よしよしよしよしよし…

 

髪の毛サラッサラだなおい。特に嫌がる素振りもせず俺になすがままにされる少女。

 

ユキさん?あなたのことも後でよしよしやらさせていただきますから、嫉妬するのはやめませんか?

自分自身ですよ?

 

「で、なんだっけ?」

「だからぁ!」彩葉キレた!

「ああ、そっかそっか。つまり、彩葉はこのお爺さんなわけ?」

 

「ぶっw」

煽りの天才だよこの子w

将来、ネット掲示板で煽りカスになってる姿は想像にかたくないな!

 

「80年後の姿でも見えちゃってるのかな〜〜、違うよ?」

怖いよ…こっちを睨むのもやめてクレメンス。

「ぬはは〜」

 

 

「お腹いっぱい!」

「ほら、食べ終わったらごちそうさまでした、ね」

「ごちそうさまでした!」

 

「ユキ〜彩葉〜?どーすればもっと食べられるの!?」

「もう次のご飯のこと考えてるんかい」

「えっ、買うか、ユキさんみたいに料理して自分で作ればいいと思うけど…」

「お料理教室とかやろっか?」

 

「りょうり〜〜?してみたああああい!」

「おまかせあれ〜」

「あーもう!ユキさんにあんまり迷惑かけないでよね!」

 

 

「で、お話はどうなるの?」

うおい、急に落ち着くな。ビックリするだろ。

てか、お話ちゃんと聞いていたんだな。えらい!

 

「翁が拾って育てて、けっこん迫られてごちゃごちゃあって、続きはどうなるの?」

「彩葉?」

彩葉に顔を近付けて迫る少女。

 

彩葉フリーズ中…見惚れてるなこいつ。

遺伝子がタレ目に弱すぎる。

 

「ああ、うん。えー……お迎えが来てー、翁たちが引き渡すまいと戦うも空しく、姫は羽衣を着せられて、地球のことは忘れる。で、帰る」

「おー」

「うんうん、そんな感じのお話だったね。懐かしいなぁ」

「……」

「で、続きは?」

 

「ない。終わり。めでたしめでたし」

「え、月に帰って終わり?なにそれ、なにがめでたいの?超バッドエンド!かぐや姫絶対不幸じゃん!しかも何かいい話風になってるのが余計許せないよ!」

 

「これは、そういうお話なの」

 

「バッドエンドやぁーだぁー」

「ハッピーなのが、いーいー!」

 

「わかる!」

バッドエンドは不安よな、ハピエン厨動きます。

 

「バッドエンド、や〜〜だ〜〜♪ハッピーなのが、い〜〜い〜〜♪」

急に歌うよ。

「ハッピエーンド!それっ!ハッピエーンド!それっ!」

 

「どうしようもないじゃん。暴れたって、歌ったって決まってることが変わるわけじゃないし」

 

「受け入れて覚悟するしか、ない」

「彩葉ちゃん…」

 

カッケェなぁ…17歳でしていい顔じゃねぇよ…

これは大人が悪いなぁ…

 

「…」

少女はそんな彩葉の顔をじっと見つめる。

黙り込み固まったように動きを止めて、2秒、3秒、4秒…。

 

ここで唐突にカメラを構える俺、

「よし、決めた!」

 

「自分でハッピーエンドにする!」

ビシッと言い切った。どんどんパフパフ!

 

「そんでハッピーエンドまで彩葉も連れてく、一緒に!」

 

「ハッピーエンドいらない、フツーのエンドで結構です」

おっ、撮れた撮れた。

吐いた言葉は飲み込めないぞ?後々これで弄ってやろーっと。

 

「うそうそうそ!なわけないでしょ?」

途端に焦り出す少女、必死すぎてウケる。

 

 

というかずっと少女少女言ってるの面倒くさくなってきたな。早く名付けイベントやってくれねぇかなぁ?

名付けとブレスレットは切っても切れない関係だから彩葉が命名しないとダメなんだよなぁ。




続きません
仕事先の後輩に超かぐや姫布教したときに小説を貸し与えたので今手元に小説がありません…
ここまでは電子書籍の試し読みを見ながら書きました…
でも続き書きたいので今からアニメイトに行って2冊目買ってきます
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