誤字報告めっちゃ助かります
真美じゃなくて真実だった…
以後気をつけます
「ライバーって何すればいいのかなぁ」
「ん〜やっぱり戦うやつとかやるのかなぁ」
おうおう、悩め悩め。
彩葉が学校に行き、ユキはいつも通り朝活配信をしに行ったため、今日もこの部屋にいるのは俺たち2人だけ。
独りぼっちは、寂しいもんな。
無職仲間がいるだけで心強いよ。
「ん?今、優希失礼なこと考えたでしょ」
「…すみませんでした」
「ん!許す!」
こいつのセンサーは一体どうなっているんだ。
「ねーねー優希、また前のネット通販やらせてよー」
「おう、いいぞ。何か欲しいものでもあるのか?」
「ライバーになるために必要な物を調べたんだけど…」
「ゲーミングパソコンでしょ?マイクとカメラでしょ?ゲーミングチェア、あとヘッドホンなんかも欲しいな〜猫耳の可愛いやつ!」
「おっと、形から入るタイプか」
わかる!やるやらないにしろ、とりあえず物だけ揃えるんだよね!で、結局倉庫の肥やしになるという…
家庭菜園しようとして買った土とか肥料とか…ね…
「まあ、それぐらいならいいか」
「でも置く場所ないよ?どうするの」
「彩葉の部屋…は怒られそうだからダメか」
「こっちに置く?」
「んー、優希とユキがいいなら置きたいんだけど…」
おっ、子どもながらに配慮することを覚えはじめたぞ。愛いやつめ。
「んー…やっぱりいいや、まずは出来ることから地道にやってく!」
「まずは…」
ふんふんふふふーん♪と鼻歌を歌いながらPCを弄り始める。
なーんだ、散財させてくれないのか。
とりあえず、場所を取らない猫耳ヘッドホンは買っておくか。かぐやが着けてるところ見たいしな。
しばらくPCを弄って、弄って、弄って…
あらかた作業を終えたのか、少し伸びをしたかぐやが立ち上がる。
「ちょっと、彩葉の部屋に行ってくる!」
「おーいってら」
彩葉のキーボード取りに行ったなこれ。俺も音楽はからっきしだから、あの奇妙なジングルはどうしようも出来ないぞ…
早く彩葉帰ってきてくれー!
とりあえず、PCの画面を見てみるか。
…手描きのアバターはやめさせよう。
ツクヨミアバターの連携やり方、やり方っと。
あーあと、配信切り間違えのインカメ顔バレな〜。最初のインパクトのためにやっといた方がいい感じになりそうなんだよな。
リアルバレ美少女を撒き餌にオタクを釣るか。
どうせ、リアルの動画投稿もするしここはノータッチで。
監督不行届で彩葉に怒られそ〜。
その後、彩葉の部屋から持ってきたキーボードで不協和音を奏でるかぐやとそれにジリジリと精神をヤスリがけされる状況はユキが帰宅するまで小1時間続いた…。
いくら学習能力が高くても運指と作曲センスは別物か。
お昼ご飯を食べ、作業を再開したかぐや。
しかし、その手が行き詰まったのを見て、気分転換に買い出しに行こうぜ、と誘って俺たちは外の空気を吸いに行った。
そのついでに百均やホームセンターで配信用の小道具を買い漁ったり、やるかもわからないDIY配信のために木の板などをいくつか買った。本棚とかラックを作るべ。
DIY配信とかあんまり配信映えはしないと思うけど、俺がやりたかいからやるぞかぐや!
ガチャリ、
「ただいまー」
「おーおかえり」
「彩葉ーおかー」
もうすっかり、こっちが我が家だな。いいことだ。
彩葉の部屋は彩葉が勉強に集中したい時にだけ使うようになっている。
「よしっ!」
彩葉は学校から帰るなり、ウチの部屋の壁に夏休みの予定表を貼り付けていた。
お、どれどれ…優等生ちゃんの夏休みの…計、画…は…
「「な、なにこれ〜〜〜」」
かぐやと俺の気持ちは一緒だった。
「何って夏休みの予定表だけど。1日も無駄に出来ないから邪魔禁止ね」
「音本さんも邪魔しないでくださいね」
「え〜!やだぁ!かぐやと遊んで〜〜〜?」
「酒寄さん…さすがにこれは…」
というか、かぐやの顔芸おもろ。
パッと見た感じでも相当…そら倒れるわ。
平日は午前に勉強、午後に勉強、それが終わればバイト…
また別の日は午前にバイト、午後から勉強…
土日は朝から夜までバイト漬け…
完全休日が1ヶ月の中に数日しかないよぉ…?
夏休みの名前が泣いてるよぉ…
「え〜やだっぴ〜!」
そんな状況を受け、かぐやが暴れ始めた。
あーあーあー、今の部屋の状況でそんなに暴れたら、
「ぐぇ、痛っ!痛い痛い痛い」
そりゃそうなるわな。
「追い出すよ?追い出されるよ?」
「イヤ、ウチハオイダストカソンナ…」
いや、ウチは追い出すとかそんな…
「あ?なに?」
「アッ、スミマセン」
こわすぎこわすぎこわすぎ。
「あと、あれらは…?」
…あー、はい。まあ気になりますよね。
見たことない変なキャラクターのぬいぐるみ、使い方のわからないおもちゃ、DIYに使うと言って気づけば大量に買っていた木の板、そもそもなんなのかさえわからない物、もの、モノ…
なんということでしょう。
〜かぐやに映えないつまんない家と言われた我が家は、物で溢れかえる汚シャレ空間へと早変わりしたではありませんか〜
なんということでしょう…。
マジでどうするんだよこれ。ユキ的には懐かしいごちゃごちゃ感かもしれないけど、生活空間がまったくないぞ。
一応、彩葉の部屋は綺麗なまま死守したからね…犠牲は全てこの部屋だけなのだよ。
「配信用の小道具たち!全部百均だから安心だよ!お財布にも優しい!優希に買ってもらったんだ!」
「あんたまたねぇ…って、配信って何?本気でライバーになる気?」
「もっちろん!ヤチヨカップで優勝するには、まずライバーにならないと。ねえ、見て。もう配信も始めたんだ〜〜〜、どう?」
と言って、自信満々にPC画面を開いて彩葉に見せるかぐや、そのPC画面では見覚えのあるアバターが元気に手を振っていた。
【初配信】月から地球にこんばんは!かぐやだよ!
『かぐやっほー!月からやって来た、かぐやだよー。今日はやること思いつかないからこれで終わり!じゃあねー……ん?これで切れてるのかな?』
…いや、これは配信とは言わんじゃろうて。
自己紹介はしてるけどさあ!配信者に謝れ!
「おいおいおいおい。最後インカメになってんじゃん、顔映ってるって!何やってんの音本さん!?」
「すみませんすみません…でもオタク共からは評判いいですよ…?」
「オタク言うなし。えーどれどれ、『インカメワロタ』『ヤチヨのライブで啖呵を切ってた子?』『かわいくね?』…はあ、もういいや」
「てか、何だこの不安になる不協和音は」
「ジングルだよー、オリジナルで作ったの」
と言いながら配信を再生開始するかぐや。
テン…デン…ポロン…テン…
「うぅ…ストップ」
「何回聞いても呪われそうな感じがするね…3回聞くと死ぬ、みたいな」
「って、あれ?どうやって曲を作っ…あっ!私のキーボード!勝手に持ち出さないでよ」
「それはそうだな。かぐや、人から物を借りる時はちゃんと一言断ってからの方がいいよ」
「はーい。彩葉ごめんね、キーボード借りたよ!」
「それは事後報告!」
それよりも、今の反応からかぐやも同じことを思ったのか、
「彩葉、もしや弾けるね?」
「全然うまくいかなくてさ、いっちょお願いしますよ、先生!」
「俺からも頼む酒寄さん。もうジングルはいやだ…ジングルはいやだ…耳が、精神が…」
かゆ…うま…
「はあ?何で私がそんなこと」
「お願〜〜〜い☆」
こいつ、おねだりがどんどん上達しているな。これが生存本能か。
「そもそもまずコードってのがあって…」
ふむふむ…
「あ…」
彩葉、手が震えてる…
うーん、こればっかりは楽しい記憶で塗り替えていくしかないなー。
いや、手が震えたのはほんの一瞬だった。
1度白鍵に触れた指先は、草原に放たれた鹿のように鍵盤を駆け回る。
「おー」
「わあ…」
おーすげー、指動かすと脳の活性化に役立つし賢い人ほどそういうのやってるのかもね。そろばんとかも。
んふ、家計簿つける時にそろばんパチパチ弾いてる彩葉想像すると面白いな。
「彩葉、すごい!何、この曲?」
「ラ…ララ…ラララ〜♪」
かぐやが急に歌うよ。
さすが電子の歌姫の卵。めちゃくちゃ歌が上手いな。
「イエイ!」
パチパチパチパチパチ、と拍手を送る。
「やっばー、これ彩葉が作ったの?すごすぎ!」
「マジですごい!これで食っていけるでしょ!」
知らんけど。こういうので食っていけるのって上澄みのイメージがある。まあ彩葉は上澄み側なんだけどね。
「彩葉、プロデューサーになって!」
「うんうん!彩葉もプロデューサーになってかぐやちゃんを育成しよう!」
「新規ファン数が一定数到達ごとにかぐやちゃんの特別なエピソードが見れるかも!」
「は?プロデューサー?何で?」
「だってだって!今、ヤチヨカップ暫定1位の黒鬼って3人組なんだよ、ズルくない?かぐやたちなんて2人で頑張って8000位なのに」
お、俺も裏方としてだけど、かぐやのこと手伝ってるからカウントされているな。嬉しい。
「だからさ、一緒にやろ?彩葉の曲を私が歌えば大バズ確定じゃん!」
「うんうん!」
「このボロアパートから伝説が始まる!」
おい。
「「ボロアパート言うな」」
「無理です。作曲なんて時間な───」
お?揺らぎを見せたね。本当はないこともないんだよね?
その言葉、斬らせてもらう!かぐやが!
「お願い、彩葉。このまま終わりたくない…」
「ハッピーエンドにしたい…な…?」
目に涙を浮かべ、鼻をすすり、両手を握りしめ、それはそれは完成度の高い可哀想な子を演じて、超必殺のおねだり顔を決める。
よっ!かぐやちゃんの名女優!
百均で買った紙吹雪を後ろで散らす。
ふぁっさぁ…ふぁっさぁ…
これにはさすがの酒寄彩葉も…
「…いや、それ。ズルくない?」
お?
「はあ…ちょっとだけなら、いいけど…」
カンカンカーン!KO!
WINNERかぐやTeam!
「よっしゃあ!」
「俺たちの勝ちだ」
と言いながら俺はクラッカーを鳴らす。
音でっか。百均のクラッカーでもこんなに音出るんだな。
勝者たちはガッツポーズをし、敗者はただ1人項垂れる。
これが弱肉強食の世界なのだよ。
その項垂れたままの敗者が言う、
「で、この部屋はユキさんが帰ってくるまでにちゃんと片付けてよね?」
「かぐや?音本さん?」
「「はいぃぃぃ…」」
敗者の強者が怖い!
続きません
いきなりBlu-rayの発売を発表してオタク共を怖がらせましょう!
オフィシャルストアでなんとか買えました
予約受付22時開始で5分後ぐらいにサイト開いたら10分待ちあってワロタ
なんなら1時間で在庫枯れたそうですね