がんばった
紙吹雪もクラッカーの紙ゴミも散らばらせた後に片付けるの鬼めんどくさいんですけど。
…自業自得なんですけど。
「ごめんな、かぐや…俺が撒き散らしたばっかりにお前まで怒られちゃって」
「ううん、いいの!優希と一緒に片付けるって決めたのはかぐやだから!」
や、やさしすぎるぜ…かぐやちゃん。
「それよりも!彩葉と一緒に活動出来るのが嬉しすぎる〜!」
「最初に夏休みの予定表を見た時にはどうなることかと思ったけど、俺たちとの活動で息抜きさせてあげたいね」
「うん!そうだ、片付け終わったらかぐやもアレ書こう〜っと!」
アレと言いながら指差したのは壁に貼られた彩葉の予定表。
まあいいんじゃない?
俺はそういうの作るタイプじゃなかったから、馴染みがないけどね。
夏休みの宿題は最終日に泣きながらやったもんだよ。
ガチャリ、
「そろそろ片付いた?」
「「はい!綺麗に片付けさせてもらいました!」」
「うん、よろしい。じゃあわたしは早速1曲作ってみるね」
と、俺たちの様子を見に来た彩葉が自分の部屋へと戻って行った。
\パンパカパーン/
彩葉がパーティーに加わった!
ライバー担当かぐや
作曲担当彩葉
お財布とガヤ担当俺
勝手に採用!
保護者担当ユキ
完璧な布陣じゃあないか。
でも、ユキって今、基本的に家にいないんだよな。やっぱり、ヤチヨカップ中はあんまり関わらないようにしてるのかな?気を抜いたらヤチヨが出そうだし。
かぐやが来るまでは一緒に生活していただけに、かぐやが来てからは配信で出ずっぱりになっているのは、ちょっぴり寂しい。
朝昼晩のご飯の時には4人全員ができるだけ揃うようにしているから、顔合わせるタイミングが全くないとかではないんだけどね。
彩葉の作った夏休みの予定表の下にかぐやが何かを貼り付けている。昨日言ってたアレを書いてきたのか。
なになに…って、これじゃあ予定表じゃなくてやりたいことリストじゃん。
ヤチヨカシプゆーしょーまでのみちのり
・いっぱいはいしん見てもらう
・ふじゅ〜をかせぎまくり ウハウハ
・りょうりもべんきョーす。
・ライブもやっちゃう!!キャー♡
ブラックなんとかをたおす ムカ!
…仕方のないことなんだけど、こいつ字きったねぇ〜〜〜!
いや、まだ地球に来て、なんなら喋れるようになって1週間しか経ってないのにこれだけ書けるのはすごい…すごいな!
うん、よく考えたらすごすぎるわ!
よしよしよしよし、と髪をわしゃわしゃにする。
「もう、なに?」
「いやーかぐやはすごいなって」
「ふふん、かぐやは天才だからね!」
それから、かぐやの快進撃が始まった。
歌ってみた、踊ってみた動画の投稿。
「この動画のダンス可愛い〜〜〜。かぐやもやーろぉっと♪」
即断即決即行動!
さすがにこの2つは伸びたね。顔バレしてるのもあって美少女目当てにやってくるオタクも釣れること釣れること。
物作り配信とその作ったものを使った外遊び配信。
紙飛行機じゃなくてダンボール飛行機を飛ばすのは楽しかったな。形作るのめちゃくちゃ大変だったけどな…ダンボール硬すぎる。
うわっ…俺の腕力、弱すぎ…?
【外配信】かぐや 飛翔【テイク2】
ペットボトルロケットのリベンジ回はファン必見の会心の出来になったな…本当に人の頭を飛び越えるほどの威力になるとは。
いや、おかしいだろ!なんでペットボトル12本で人の身体が浮くんだよ!物理法則さんが泣いてるよ!宇宙人だから軽いのか!?
…あっ!こんな暑い日にわざわざここまで差し入れありがとうございます!
かぐやー!ファンの方に差し入れもらったぞー!ちょっとこっち来て挨拶しとけー!
ちょっ、なに2回目用意してるんだよ!こっちに飛んでくるな!バカ!
ゲーム配信、料理配信、アニメ同時視聴、ヤチヨの真似してお悩み相談、雑談…エトセトラ。
まあこれだけ手広くやってればそりゃ新規ファンも増えますわな。
【お悩み相談】かぐやちゃんが迷える子羊を導いちゃうよーん【配信】
「あー、そういうのどうでもいい!キッチリ片を付け!忘れる!忘れるって人生で1番大切な能力だからね!や、甘いこと言って責任とらないやつにはなりたくないし!「うっ…」それがかぐやのやさしさ!…って優希どうしたの?」
責任…ねぇ…
『え?』
『お兄ちゃん?』
『責任を負う者について、話したことがありましたね』
『お兄ちゃん?まさか…』
『大人としての、責任と義務』
『かぐーや、嘘だよな?』
「変な邪推はやめてくれ!嫁関係だよ嫁!いつも言ってるだろ!」
『知ってた』
『早くなかよししろ』
『知ってた』
『嫁ちゃん見ってるぅ〜?今貴方の大切な旦那さん、俺たちに弄られてま〜す!』
あと、お兄ちゃんじゃありません!
【同時視聴】影のない明日
(“Tomorrow Without Shadows”)
「ぐわ〜!!」
「これバッドエンドじゃん!」
「す、すげぇ…2時間も見たのに2時間前と比べてもキャラクターがまるで成長していない…」
『超かぐや姫!』を見ろよ!2人の関係値が0のところから2時間で親子愛と恋愛感情が育まれるんだぞ!?
「くそっ!ゆるせねーーー!!」
「わかる!許せないよねえ!これの同時視聴を勧めたオタクは出てこい!」
『草』
『出てこいと言われて出てくるやつはいねぇよお兄ちゃん』
『www』
『サイコーwww』
『発狂してらwww』
『草』
オタク共はいつも通りカス、っと。
あと、俺はお兄ちゃんじゃねぇよって何回言えば…
ツクヨミ内での路上ライブも人が集まってくるようになってきたな。
オタ公は1番最初の路上ライブからずっといるなこいつ…アンテナどうなってんだ。
彩葉はというと、かぐやのおねだり攻撃に負け、狐の着ぐるみを着て一緒に配信に映るようになっていた。ようこそ、表舞台へ。
自由に髪の色を変えられるかぐやを着せ替え人形にする芦花真実とそれに巻き込まれる彩葉と俺。
いや、俺はファッションとか興味ないし…ヤチヨカラーの上白色、下水色が妙に馴染んできたというか…ちょっ、やめ、うわぁ!
かぐや、どこ触ってるんだ!
8月に入り、ヤチヨカップ発表から2週間が経過。
激動の2週間を経て、気分転換も兼ねて暑い夏はやっぱり海でしょ!ってことで彩葉の完全休日に合わせてユキ以外の俺たち3人と芦花真実を合わせた5人で海に来た。
ユキったら、俺よりも配信を取るだなんて…なんて言わないよ。だって、めちゃくちゃ忙しそうだったもんアイツ。ヤチヨカップも中盤戦だしな。
それよりも、うみだぁー!
海とか久しぶりだわ。インドア派だったからな。でも、体力は自分でもある方だと思うぜ?夏の富士登山したことあるし!ご来光が綺麗だったな。みんなで行けたらいいな。
今は泳いだり、はしゃいだりして休憩中。
そんな夏の陽気さとは真反対の感情を浮かべる人物が浮き輪に寝っ転がっている。
現在順位280位のスマホ画面を見て、
「ハア〜」とため息をつくかぐや。
ファン数193,621
累計ふじゅ〜631,405
いや〜稼げるようになってきたね。
さすがに毎日配信どころか、毎時間投稿と毎時間配信してるだけあるわ。かぐやの体力は無尽蔵だ。
「こないだの歌配信めっちゃ良かったけど〜」
「ね〜、かぐやちゃんゲームも歌も上手いよね」
「料理もめっちゃ上達したよな〜ユキには料理対決勝てなかったけど」
「ユキさんのご飯めっちゃ美味しかった!」
真実めっちゃ食べてたもんな。
「天才っ歌姫ですから!」
ニヒっと笑うかぐや。かわいい。
「あと、優希と真実!次はかぐやが勝つから!」
「おう、楽しみにしてる」
こいつ本当に負けず嫌いだな。
「オリジナル曲も良かったしさ〜」
「分かる〜」
「それな」
うんうん、オリジナル曲良すぎる!
おお、かぐやの鼻が伸びとる伸びとる。
いや、本当に伸びてるな!?
どうなってるんだよ、比喩表現じゃないのかよ。宇宙人恐るべし。
「だって!よかったね!」
かぐやが視線を向ける先にいるのは、もちろん彩葉だ。
「あれ作ったの彩葉なの?」
「彩葉かわいいうえに天才すぎ〜」
芦花こいつ…
「あ…あれは昔作ったやつだから」
「かぐや、余計なこと言わないで」
「でもまだまだ足りない!どうすればいいのだー!」
ぐぬぬ…とスマホとにらめっこするかぐや。
「う〜ん、もう結構いろいろやったしね」
「やはりここは彩葉が着ぐるみを脱ぐことによって新たな需要をだね…うぉ!」
彩葉の口に吸い込まれていく真実の焼きそば…
あーあ、煽るから。
「ウソ〜今のウソ!」
残念!もうないよ!
かぐやが勢いよく起き上がる。
「やっぱ歌!オタクもみんな喜んでたし」
「オタク言うな」
「彩葉ー、新曲作ってよ〜伴奏もして〜」
「これ以上、勉強とバイトの時間は減らせません!」
「まあそりゃそうだよな。彩葉はこれでも助けてくれてる方だもんな〜」
もう予定表の影も形もないぐらいかぐやに改変されてて笑っちゃった。
「でも、海来てんじゃん!」
それはそう。
「フッ、マジなエリートは遊びもおろそかにしないはず」
「睡眠時間削ってでも遊ぶ」
「「倒錯してるなぁ」」
思わず真実とハモっちゃった。
彩葉って賢いのにバカだよな。
ここで天才かぐやちゃん閃いた。
悲しそうに俯きながら、
「ん〜このままじゃ優勝できない…」
「かぐやのこと助けて…」
「彩葉に演奏してほしい…」
と、彩葉にジリジリと迫る。
顔近いな、ちゅーしろ。
「うっ、ぐ…うぅ…」
「まあ…時間が空いてたら…」
ちょっっっろ。最弱出てます。
「よっしゃ〜!」
「もっともっと配信するぞ〜!」
「なぜ断れない…なぜ…」
「ちょろは〜」
「ちょろはだねぇ」
「ちょろすぎてお兄さん心配になります」
それにしても、ここに来て伸び悩んできたな〜。仕方ないっちゃ仕方ないけど。
もう新規ファン層は大体開拓し終わってるから、これまでとは違うファン層を取り込むしかないし。
このまま地道にコツコツと同じ形態で配信と動画投稿を続けて、最後に竹取神戦で1位になるのはほとんど確定事項ではあるが、人気ライバーとのコラボとかもありか。
ついに来たか…この日が、このタイミングが。待ち望んでいたよ。
新規ファン数が増えなくてかぐやは不安よな。
ブレイズ動きます。
活動休止してるけど、別の人の配信にお邪魔しないとは言ってないからな!聞かれてないし!
今ならかぐや側にも箔があるし、無名ライバーとのコラボってわけでもないから、いけるいける!
それに俺はお兄ちゃんだからな!
…あれ?俺ってお兄ちゃんだっけ?
あとは、かぐやをそれとなく誘導して、
「新規ファンを獲得するなら、人気ライバーとのコラボ配信とかもいいんじゃないかな?」
「コラボ配信ー?おもしろそー!」
よし、食いついた。
「ちょっ、優希さん!?何言ってるんですか!」
あっそういえば、彩葉との親愛度が高まったのか、自然と下の名前で呼び合うようになりました。
こんなにも仲良くなって海にも一緒に行っているのに、いつまでも他人行儀ってのもおかしいからね。
本当はお兄さんとかお兄ちゃんとかパパとかお父さんとか呼ばせたかったけど、さすがに実兄と故人の父がいる彩葉には言えなかったよ。さすがにね。
「まあまあ、いいじゃんいいじゃん」
「優希ー!誰とコラボ配信するのがいいと思う!?」
「俺のオススメはやっぱり黒鬼かなー?」
「ヴェー、黒鬼?なんでえ?」
「ちょっ!?」
彩葉が途端に焦り出す。おもしろ。
「そりゃあ、暫定1位のところとコラボしたらファン数も増えるだろうし、あっちのファンの子を根こそぎ奪うのも面白くない?」
「そんな簡単に行くのかなー?」
「帝様とかぐやちゃんのコラボ〜うへへ〜」
「黒鬼とのコラボはともかく、音本さんの人気ライバーとコラボする案はいいと思うな〜」
「いやいやいやいや、まずコラボを受けて貰えるかもわかんないのに、それにかぐやが優希さん以外の男の人と配信するのも…」
めっちゃ早口でウケる。お兄ちゃんとコラボするとか嫌すぎるって言えばいいのに。
「えー?俺は黒鬼にコラボしたいって誘ったら受けてくれると思うけどなあ?」
「それだけはナシ!かぐやもナシって言わないと私もう手伝わないからね!?」
「えー!それはヤダ!黒鬼はライバルだから!かぐやから黒鬼とコラボしたいなんて言いませーん!あっちから提案してきた時に乗るのは、やぶさかではないよ?」
おおーそうなるのか。
これが修正力か、ちょっと感動。
このタイミングでは黒鬼とコラボしないのと、黒鬼からの誘いには乗るというフラグが立ったな。
「えーじゃあ、あのー名前忘れたけど、カードゲーム作ってる人とか?あの人も人気ライバーでしょ?」
お、キター!かぐやよく覚えてくれてた!
今度は俺が食いつく番だ!
「おーいいんじゃない?ちょうど今活動休止して暇してるだろうし、かぐやが手伝って欲しいって呼びつけたら、ブレイズなら来ると思うよ?」
「そうそう、ブレイズブレイズ!ややこしい名前!ブレイズだったりブレイブだったり…」
ぐぬぬ…と唸り声を出すかぐや。すまんな。
「そうと決まれば!さっそく…」
「コラボしませんか…っと、送信!」
うへへ、きたきた。
いいですよ、っと。
どうやってコラボしますか?
リアルか、ツクヨミ内でやりますか?っと。
「え!もう返信きた!」
「はいはい…え!?」
「いいですよ、だってさ!」
「ちょっ、かぐや、それ見せて!」
「あのブレイズとコラボ配信〜?かぐやちゃんすご〜!」
「すごい大物が釣れちゃったね」
「かぐやちゃんに会いたいってさ〜!いや〜かぐやちゃんモテモテで困っちゃうなあ〜!」
いや、会いたいとは返信してないんだが?
なんだこいつ。
まあいいか。はい、会いたいです、っと。
「ぅえ!?」
辺りをキョロキョロと見回すかぐや。
ふふっ、かぐや弄るのおもしろ。
じゃあ、はい、っとタワマンの住所をコピペしてここでやりましょう。
いつもの狐の着ぐるみの人も連れてきていいですよ、っと。
さてさて、どうなるかな。
さすがに人気ライバーの箔があるし、警戒はするだろうけど来てくれるとは思ってるよ。
かぐやは面白いことが好きだからな。
続きません
やっと彩葉たちにネタばらしできそうで嬉しい