映画と小説を見まくってなんとかなんとか…
いや、ムズいって
映画見ててもあんまりよく分かってなかったのに!
「てか、どうすんの?作戦とか」
彩葉に作戦を聞かれたかぐやは一呼吸入れ、
「ガーッといってシュタタタター!そんでバァーン!」
と一息で言い切った。
もちろんその間もジェスチャーは忘れない。
作戦ですらない何かが2人に共有される。
『ガーッ』は櫓占拠、『シュタタタター!』はその後天守閣に向かう、『バァーン!』は相手の天守閣を落とす…
ってこれ、ゲームの勝利条件をオノマトペにしただけじゃねぇか。
「りょ〜」
「ふぅ…」
自分の作戦だからか、すぐに理解したヤチヨと狐の着ぐるみをしているため表情は分からないが、ガックリと肩を落とす彩葉。
3人とも頑張れ!
ぶおおおおん、と法螺貝の音が鳴り響く。
『試合開始です!』
実況の宣言とともにKASSENが始まった。
ここで改めてルールを説明しよう。
今回行われるSENGOKUモードは3対3の3本勝負。
円形のKASSENステージを左右に大きく2つに分け、右端にAチームの拠点である天守閣、左端にBチームの天守閣があり、お互い自陣の天守閣にある幕営地から出発してどちらが先に相手チームの天守閣を落とせるか、というゲームだ。
これあれだな、まんま攻城戦だな。
このゲームを最初に見た時に、パッと思い浮かんだのはインクを塗り合う陣取りゲームだったけど、ちょっと違うか…ってなったことを覚えている。
左右の天守閣の間には3本の道があり、それぞれ上の道がトップレーン、真ん中の道がミドルレーン、下の道がボトムレーンと呼ばれている。
相手の天守閣は最初から落とせるわけではなく、トップとボトムそれぞれにある櫓まで向かい、中ボスの牛鬼を倒して占拠する必要がある。
味方チームのメンバーが櫓を占拠すると相手の天守閣前に大将落としが出現するので、それを天守閣に打ち込めば勝利となる。
まあつまり、櫓落とし組と天守閣向かう組で分かれるのが定石ってところだな。
…あとこのゲームを見た時に思ったのは、最後にかぐやが踏んだ雷の地雷トラップからも分かる通り、勝利する上で絶対に避けて通れないのが天守閣前の大将落としだから、そこを2人で防衛して単騎で櫓を攻めるのが強いんじゃないか?
配信映えは死ぬほど悪いけど。
あーでも、ミニオン倒して必殺技ゲージ稼がれるのはまずいのか。バランスしっかりしてんなぁ。
攻めは最大の防御ってことだな。
せめてせめて、せめまくることよ!
彩葉とかぐやはトップレーンへ。ヤチヨはボトムレーンへ向かった。
相対する黒鬼はというと…
『おーっと!黒鬼はトライデント!トライデントです!それぞれ別々のレーンに!』
『複数の敵にも1人で応戦する必要があり、相当な自信がないとできないのがトライデントです』
でたわね。舐めプその1。
でも、2対1で対面したときに少数側のプレイヤースキルと耐久構成が噛み合うなら、全然悪くない作戦なんだよなこれ。
2人を足止めするだけでその分、自分のチームが有利になるんだし。
『これは完全に──』
「舐めプされてんね」
「ええ〜?」
「ん?」
「これ以上飛べない」
彩葉たちの下方から無数の矢が飛んでくる。
「降りるよ」
「お〜!」
2人は飛行モードを解いて落下し、着地点付近のミニオンを一掃する。
彩葉は持っている双剣の両端を繋げてブーメランに変形させ、それをミニオンに向かって投擲。
そして、ブーメランの進行方向に走ってそれをキャッチする。
彩葉すっげぇ機敏に動くやん。病み上がりの動きじゃねぇだろ。
パシュン、と銃声が鳴り響く。
「あっ!」
瞬間、彩葉は駆け出し近くの岩の後ろに隠れる。判断が早い!
その間も銃弾の雨は彩葉を追いかけている。
岩の後ろからブーメランを投擲し、帝がそれを避け、2人は遂に接近する。
金棒と剣の間に火花が散った。鍔迫り合いだ。
演出のクオリティがすげぇ…火花バチバチカッコイイ。
「「んん〜!」」
「お前、彩葉だろ?」
「チガウ オレ イロハ チガウ」
いや、無理があるだろ。さっきのアイコンタクトで分かったけど、コラボ配信中に狐お面しててもバレたんだから、もう遅い!
彩葉を援護するべく、鍔迫り合いになっている帝に向かって弾丸が放たれる。
帝は彩葉との膠着状態を脱して回避した。
ひゅー、こういうのはちゃんと避けるんだよな。
それを放った仕立て人はもちろんかぐやだ。
「彩葉ぁ!」
ネットリテラシーの大切さを学ばせなかったから
かぐやが彩葉の名前を呼んじゃいました
俺たちのせいです
あ〜あ
「だから!──うっ」
バカ!戦闘中によそ見をするんじゃあない!
彩葉がかぐやの方を向いた隙を帝が見逃すはずもなく、
「ほれほれ!」
「あっ!ぐっ」
よそ見をしていた彩葉の顔面を突き、左右からの薙ぎ払いで彩葉をぽこぽこ叩く。
「そのスキン当てやすくて助かるわー」
「くっ、はっ」
「そのままで後悔しない?本気出そうぜ」
「…ぐ」
舐めプその2。
手加減して彩葉をぽこぽこ叩く。
そして、その不利な状況を解消するように提案する帝。
…ハンデがあるのは面白くないからね。
彩葉が立ち上がり、衣装を切り替える。
いつものラッキーガール狐少女だ。
いろPが着ぐるみを脱いだ〜!
『い…いろPが着ぐるみを脱いだ〜!』
『このアバターは!あの豪運の称号を持つツクヨミ内で1番運のいい少女ですよ!』
「やっぱ、彩葉じゃん」
「私のアバターなんで知ってんの」
「いや、ネットニュースにもなってたし」
「…ヤチヨのサインかぁ」
「元気そうで何より!」
「おかげさま…で!」
彩葉はお喋りしながら、帝に向かって飛ぶ斬撃をお見舞いする。
それに対して余裕で回避して見せる帝。
ひゅー、かっくい〜。
「お兄ちゃんも久々に会えてうれし〜」
「よしよししてやろうか?」
なんだこのメロい男。
よしよししてやる、とか素面で言う言葉じゃないだろ。しかも実妹に向かって。
「えっ、お兄ちゃん!?」
『おーっと衝撃の告白だ!!』
『帝といろPは兄妹だったー!?』
大袈裟な実況の声が会場にこだまする。
それに伴い会場にざわめきが伝播し始めた。
うん、わかる。
ヤチヨカップの覇を争ってるグループが兄妹で対立しているってどんな確率なんだよな。
さすがはラッキーガール。
ガキン、チンとお互いの武器をぶつけ合う音を響かせながらも会話は続く。
「そういや母さん気にしてたぞ。連絡くらい取りゃ良いのに」
「こっちにも順序ってもんがあるの!」
「うりゃ〜!うわああ」
後ろから襲いかかったかぐやを振り向くことなく金棒で受け止め、慣性のままに投げ飛ばす帝。
かぐや…弱すぎンゴねえ。
「それも母さんの教えだろ?」
「ふっ!」
「いちいち真に受けちゃうからギスギスすんの」
「はっ!」
「母さんは反抗待ちなんだから」
「知らん!口出さないで!はあっ!」
何か思うところがあったのか、彩葉の攻撃がより一層激しくなる。
彩葉に努力する才能があったから、母親からの無理難題もこなせちゃったのがねえ。
帝が金棒を地面に叩きつけ、瓦礫が飛び散る。
「わあ!」
「くっ!」
「もっとうまくやれよな!」
彩葉たちが瓦礫に行く手を阻まれる間に、牛鬼に向かって超加速する帝。あっという間に牛鬼が撃破されてしまった。
うーん、ウルトの吐き方が上手い。
ちゃんと牛鬼撃破のために計算してゲージ貯めてるのすげぇな。
ここまでの会話も時間稼ぎだったか。
「俺みたいに」
決め台詞と共にキュイン、とウインクを放つ帝。
きゃ〜〜〜!こっち見ないで〜〜〜!
『瞬殺〜!』
『最速出てます』
さてさて、ボトムレーンは…
「この辺…」
キリキリと弓を引き絞り、狙いを定める乃依。
「かな?」
乃依の放った鋭い矢が、竹林の合間を縫って風を切りながらヤチヨに迫る。
あぶな〜〜〜い!!!
ヒョオオオオオオオ…カィィィン!
ヤチヨは懐から取り出した扇子で矢を叩き折った。
扇子ガード!ヤチヨすげえ!
「げに恐ろしき狙撃能力…」
いたっ、いった!痛すぎるよ乃依ちゃーん!
カッコつけて扇子で矢を弾いたりしなきゃよかった!手が痺れるよー!
よく見ると扇子を持つ手が震えている。
し、しまらねぇ!
でもヤチヨのカッコイイ所もっと見てみたーい!
あいあい!かしこまり〜!
「普通に当てるのはムリっぽいな」
狙撃手は数射ごとに射撃位置を変えるんだよな。乃依も例に漏れず、場所を変えようと移動し始める。
「乃依ちゃん、そこだね?」
は?
「…は?」
乃依が乃/依になった。
ヤチヨは傘を回転させ、竹とんぼのように飛ばし、竹林ごと乃依の居た場所を切り裂いていた。
マジかよ!ヤチヨ鬼つええ!
このまま黒鬼全員ぶっ倒していこうぜ!
ラッキー!
矢が飛んできた方向に攻撃飛ばしたら乃依ちゃん倒せた!
ラッキーガール彩葉の加護がヤッチョにもついてる!
おい、運だけだったのかよ。
ふふん、運も実力のうちなのだよ?
『ボトムレーンのヤチヨ!竹藪に隠れていた乃依を撃破!』
『射撃後の移動の隙を狙われましたね』
その後、フリーになったヤチヨはボトムの牛鬼を撃破し櫓を占拠した。
ここヤチヨが勝つことあるんだ。
乃依の見せ場が…本当はヤチヨが負けてるんです!信じてください!
「乃依がやられた?雷、ボトムレーンに!乃依も向かってくれ!」
「わかった」
1回戦目は黒鬼が取るだろうな。
かぐやと彩葉が2人がかりでも帝に手も足も出てないからなあ。
ヤチヨのワンマンだとさすがに厳しいものがある。
「ヤチヨやるう〜!」
「私たちも頑張らないと」
あーあーあー、よそ見してると…
「いて!」
初狩りするのセコいぞ!帝!
まあ頭数減らすなら弱い方から倒すよなそりゃ。
「動きが直線!解釈一致!」
「どりゃ〜!」
かぐやがハンマーを振り回すが、大振りの武器が帝に当たるはずもなく避けられる。
そのカウンターに横薙ぎ一閃、
「ぐぇ!痛ぇんだけどマジ!」
かぐやが落ちた。
彩葉がそれを見て帝に斬りかかるが…先刻の鍔迫り合いが始まる。
もうこれ無理ぽ。
2対1はさすがのヤッチョでも厳しいよ〜!
ヤチヨはボトムレーンにフォローに入った雷と残機を使用して復帰してきた乃依にボコボコにされていた。
かぐやがヤチヨのフォローに行ければ良かったんだが、かぐやが櫓に飛んだ時にはヤチヨは落とされていた。
そのままの勢いで雷と乃依が天守閣を落とした。
『1回戦はトライデントを敷いた黒鬼が勝利!途中危ない場面もありましたが実力を見せつけました!』
『かぐやいろPチームも悪くな〜い!』
『でも強すんぎ!黒鬼!』
「ごめんね〜、ヤッチョがもうちょっと粘れたら〜」
「いやいや、ヤチヨは最強ですよ…」
彩葉が落ち込んでいる。
推しにいい所見せろ彩葉!
「ふっふっふ…」
そんな彩葉とは裏腹に空を見て悪役のような含み笑いをしているかぐや。
「ねえ、帝ってさー」
かぐやの奇策(過去の自分が使った隠し仕様をヤチヨが実装した)が来たね。
続きません
なんかヤチヨ勝っててワロタ
ぎえっ!は雷と乃依にボコられてる時にしました