蛇遣い座のオデッセウスが転生して今度はドンナになるようです   作:久保サカナ

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古いのを消して新しいのを書きました

皆さまの暇つぶしになれば幸いです

NDがあんな結末で終わった事に未だにむしゃくしゃしてる作者の八つ当たり作品です!

見切り発車です


プロローグ 

 

 

 

地上での神々の居住地、オリンポス山。

 

その頂上に1人の人間が立っていた。

 

癖のある銀の長髪を持つ美青年である、その身体は西洋の騎士を思わせる黄金に輝く全身鎧………女神アテナの加護を受けし黄金聖衣に包まれていた。

 

 

 

彼こそが女神アテナと、そして彼女と心を通わせた熱き血潮の少年達を守ってして「アテナの聖闘士の中でも史上最も崇高な聖闘士」と謳われた伝説の黄金聖闘士・蛇遣い座のオデッセウスその人である。

 

 

 

オデッセウスは本来ならば己の患者に、己の教え子達に、守るべき地上の人々に無限の慈愛を向ける瞳に敵意と不屈の戦意と小宇宙を燃やしてオリンポス山の湖を睨んでいる。

 

いや、湖というのは語弊がある、それは星の海………星雲であった、一つだけではなくこの三千大宇宙全ての星雲がここに渦巻いていた。

 

そう、ここには過去と現在と未来、全てが混在しているまさしく時間を超越した世界………刻の大神・クロノスの座す場所なのだ。

 

 

 

『誰か? 

 

時の静寂を妨げるは何者ぞ?』

 

 

 

荘厳な預言者の様な声が辺りに響く………常人では相対するだけで魂をすり減らすだろう、しかしオデッセウスは身じろぎ一つせず自ら名乗りを挙げた。

 

 

 

「我が名は黄道十二宮『蛇夫宮』が主、黄金聖闘士『蛇遣い座』のオデッセウス!!刻の大神クロノスに願い奉らん!!!」

 

『無礼な

 

疾く 去ね』

 

 

 

女神の盾(アイギス)ですら防ぎ切れぬ大神のプレッシャーがオデッセウスの身体を粉々に吹き飛ばした!

 

しかし、小宇宙を燃やしたオデッセウスは次の瞬間、己の身にオペを行った。

 

バラバラの肉片は一つに集まり、パズルのかけらが合わさる様に、先程と変わらない姿で其処に立っていたのである。

 

 

 

「オペ完了!我蘇生せり!!」

 

 

 

黄金聖闘士の中でも「医」を探求し、知り尽くしたオデッセウスによる肉体の超再生だ、たとえ聖闘士の中でも最大の威力を誇る技ギャラクシアン・エクスプロージョンの直撃ですら今のオデッセウスを殺し切れはしないのだ。

 

 

 

『ほう?

 

やるではないか

 

願いとやらを申してみよ』

 

 

 

オデッセウスに漸く興味を示した大神クロノス、しかし次の瞬間オデッセウスが発した言葉によってそれは驚愕に変わる。

 

 

 

「御身の命を弑し権能を奪いに参った、我らの世界を亡し、希望を地上より奪った事、我ら聖闘士は決して赦しはせぬ………覚悟召されよ!!!」

 

 

 

次の瞬間、周囲に響き渡ったのは嘲笑、神の身から見れば虫けら…いや、浮かんでは消える泥濘の泡がその身の程を弁えずに大言壮語を吐いたという事実が心底馬鹿らしくてしょうがないという嗤いであった。

 

 

 

『随分と訳の解らぬ事をほざく

 

余がいつ貴様らの世界を亡したというのだ』

 

「あなたはかつてハーデスに呪われたペガサスを救わんとする女神アテナを過去の聖戦に送り込んだ。その結果、アテナとペガサスはアポロン神に屈し、アテナは神格を奪われて聖闘士も聖域も消失した………人間は再び神々の玩弄物と化したのだ」

 

『その様な事もあったな

 

だが 神に弓引いたアテナとペガサスの自業自得ではないか』

 

「あなたがそもそも、アテナの我儘を叶え無ければ良かったことだ。それにあなたは知っていた筈だ………ペガサスこそがパンドラの箱の底の希望だと!!」

 

『………』

 

「ペガサスはどの時代でも『鍵』となる者、世界を救う『英雄』とは神にだけではなく世界からも信頼され愛される者。ペガサスが健在な限り人間には世界を救うという『奇蹟』が起きる可能性があった………それをあなたは気紛れで消し去った、故に私は全ての聖闘士の代表としてここに立つ!!!」

 

 

 

そして、オデッセウスはアスクレピオスの神杖………一振りであらゆる傷病呪を癒す神器………を目の前の大神を討つために取り出し、クロノスに突き付けたのだ。

 

その顔には地上の愛と正義を取り戻すという聖闘士としての不退転の決意があった、瞳には人間に理不尽を押し付け続ける邪悪に対する正しき怒りと憎悪があった。

 

 

 

「往くぞ!クロノス!!今こそ世界の打ち切り(デッド・エンド)に叛逆仕る!!!」

 

『半神(セミゴッド)

 

以下の 虫けら 

 

の分際で よく吠える』

 

 

結論を言おう。

 

オデッセウスは殺された。

 

その身を匹千切られ幾度となく宇宙にばら撒かれた。

 

その度に蘇生し、クロノスの前に立ち塞がり続けたが、ただそれだけである。

 

 

 

『愚か 無様 無駄 

 

何故 貴様ら人間は

 

いつもそうなのだ』

 

 

 

クロノスは呆れた様に喋りながらもオデッセウスを粉々にして行く、クロノスからすれば壊れず無限に遊べる玩弄物が転がって来たのと同然であるからだ。

 

だからこそ、オデッセウスの策謀に気付かなかった。

 

 

 

「フ…フフ………ここまで上手く行くとは思わなかったぞ」

 

『………?』

 

「昔、とある患者を診た。その男は私に教えてくれたぞ、『刻の大神の抱く弱点』をな」

 

『弱点だと?そんなものある筈が無い!!』

 

 

 

ギリシャに於いて時間とは2つある。

 

世界そのものに流れる「客観的な時間」ことクロノス時間、生物の各々に流れる「主観的な時間」ことカイロス時間。

 

そう、ギリシャには時間神がニ柱いるのだ、最も兄弟仲は悪いが。

 

本来ならばクロノスの方が圧倒的な力を持つ………この世界に於けるクロノスは時間神であり空間神だ、「全ての時間に同時に存在し、全ての空間に同時に隣り合わせている」………それこそがオデッセウスが聞いたこの神の弱点である。

 

クロノスは己の属する次元における時空連続体の中のあらゆる場所に同時に接近する事の出来る神だ、だがそんなクロノスにしても複数の場所に同時に存在することはたとえそれが僅か数カ所であろうとも不可能なのだ!

 

(これがカイロスならば「主観」を司るが故に分霊を作製出来ただろう)

 

だが、オデッセウスは違う。

 

彼には、神にすら匹敵する圧倒的な小宇宙、神話時代よりの邪神・アスクレピオスを己が内に封印し続ける超人的な精神、そして女神アテナより賜りし黄金聖衣があった。

 

本来ならば次元移動とは神にのみ許された御業、生身の人間には不可能である、肉体も精神も移動に耐え切れず切断・破砕される。

 

だが…唯一、人が次元移動を可能にする神器こそが黄金聖衣なのだ。

 

 

 

『まさか…!貴様が無抵抗に殺され続けたのは………!!』

 

「己の細胞と小宇宙をこの次元そのものの端から端までばら撒いた、全ては己を無限に増殖させるために!」

 

 

 

そう言うとオデッセウスは小宇宙を極限まで燃やし小宇宙臨界点を突破した、彼の意識は第八感(エイトセンシズ)を超え、第九感(ナインセンシズ)に至り………それだけに止まらず神ですら到達出来なかったために存在しないと言われていた領域、第十感(テンセンシズ)に到達したのだ。

 

すると彼の存在が一種の人間を超えた原始生物の如きものになり、急速に自己分裂し始めた、分裂したものが更に分裂を繰り返し、その物理的存在としての量が一挙に無限大に近い程まで増大した。

 

全てを統べる精神は一つのままでありながら、分身は何億と増え続けた………偏在意識を持った一つの霊が、何億何千万という個々の霊を統べているのだ

 

更に次の瞬間………オデッセウスの存在はクロノスの全時間存在に匹敵する時間領域に拡大したのだ。

 

そして、全ての次元のオデッセウス達は爆発的な大増殖に伴う破壊的な小宇宙………たとえ1人分の威力であってもハーデスの本体をエリシオン諸共ゆうに滅ぼせる………をアスクレピオスの神杖に装填、クロノスに向かって全力全開で神杖から小宇宙を発射した!!

 

 

 

「これこそが第十感に至りし我が奥義!………オピュクスオムニプレゼント!!!」

 

『ぐ あ あ あ あ あ ! ! ! 』

 

 

 

己の属する次元そのもの、全ての時間連続体から攻撃を受けたクロノスは耐え切れずに消滅した、しかし消滅する瞬間オデッセウスが手を伸ばしクロノスを「封神」したのだ。

 

オデッセウスの掌の中には金剛石の砂が落ち続ける小さな砂時計が握られている、何とも呆気ない最期である。

 

 

 

「これで良かったのですか、アテナよ」

 

 

 

無限の再生能力を持つオデッセウスといえど、ここまでの無茶をやらかしてはタダでは済まない、それに己の内に封印し続けている邪神も健在なのだ。

 

オデッセウスの前にはいつの間にか彼と同じく黄金の聖衣を纏い肩に梟を乗せた黒髪の男が立っていた、彼は恭しくオデッセウスに一礼をした。

 

オデッセウスと同じく第十感(テンセンシズ)に至り、あらゆる世界で無限に闘い続ける文字通りの修羅………山羊座のシュラである。

 

 

 

「あなたのおかげで世界は打ち切り(デッド・エンド)を脱した。星矢は救われ、世界はクロノスの支配から脱しエピソードGと呼ばれる世界線に収束して行くでしょう」

 

「ああ、私の最期の意地にも意味があった。これで世界は存続して行く………」

 

 

 

オデッセウスはシュラに砂時計を手渡すと静かに頭を垂れた。

 

 

 

「すまぬな、迷惑をかける。どうか、その神剣でこの身に宿るアスクレピオス諸共に介錯をしてもらいたい」

 

「我が師、山羊座の以蔵の師ならばあなたは俺の師も同然でありましょう。その望み、確かに承りました」

 

 

 

そして、その腕に宿る神剣を振りかぶる男は「何か言い残すことは?」と尋ねて来たため、オデッセウスは思い浮かんだ心情を吐露した。

 

 

 

「そうだな………もし、次の生があるならばアテナ………城戸沙織様に理解を示したい」

 

「理解、とは」

 

「神になりたい訳では無いぞ?何故、あのお方がたった1人の聖闘士を救うためにあの様な事をなさったのか………何故、神の身でありながら我ら聖闘士を同志でありかけがえのない友と呼んだのか………神の御心を推し量るのは不敬だがアテナに仕える者としてその御心に理解を示したいのだ」

 

「なるほど………来世であってもアテナを慮るとは、このシュラ、心より感服致しました。どうか良き来世を!」

 

 

 

そこでシュラの腕は振り下ろされた、オデッセウスの首は落ち、今度は再生することはなかった。

 

そして、オデッセウスの魂はアテナ………城戸沙織と邂逅することになる。

 

 

 

「あなたには最期まで私の尻拭いをさせてしまいましたね………すみません」

 

「謝りなさるな、アテナ。女神といえど過ちを犯さぬ者はいない………女神に仕えるのでは無く支える為に聖闘士は存在する、私の新しい持論です。反省しているのならばあなたはもう少しお淑やかに在りなさい、いつもあなたはお転婆が過ぎますよ」

 

「ふふふ…流石はオデッセウス、その陳言しかと受け止めました」

 

 

 

くすくすと年相応の少女らしく笑う沙織であった、そうして彼女は「あなたを来世に送ります」と言ってニケをオデッセウスの方に向けた。

 

 

 

「あなたには私と似たような立場………守られる少女の立場と心を体験してもらいます、しかしそれをどう受け止めるかはあなた次第ですよ」

 

「男であろうと女であろうと私の信念は不変です沙織様、病める者傷つく者呪われる者が居るのならば救う、それだけなのです」

 

 

 

そうしてオデッセウスは漸く来世に旅立ったのだ。

 

 

 

 





・オデッセウスはアテナが神格を奪われて星矢達も記憶を封じられた後も1人で戦い続け、敵対する神々を全て「封神」しておりクロノスが最期の相手でした。

・オピュクスオムニプレゼントのイメージはなのはさんのディバインバスターです、アレを多重偏在して一斉に放ちました、元ネタはタイタス・クロウ・サーガの主人公です。

・「封神」された神々はアーティファクトと化してシュラの聖剣達と同じくオデッセウスにその権能を振るう道具として扱われていました、現在は復活した聖域が管理しています。

・神々を「封神」する方法や時間神の倒し方を教えた患者は異世界人です、ぶっちゃけると鋼屋ジン先生のダイン・フリークスの鳴神千影くんです。


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