竜宮城営業中   作:神ショー

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世の中、頭の中の情景を文字を起こせる文豪たちはすごいなって。



暴走

 

 

 夜が明け、朝日が小さく顔をチラチラと覗かせる頃。

竜宮城の中にいるお客さんはステーキ大好きドラゴンだけとなっていました。

紅白ドラゴンでいいだけ騒いでいた客たちも閉店時間ともなると流石に帰ってしまっており、特にお子様連れの親子などは夜が更ける前には既にいません。

なんなら店前は暖簾を畳み閉店の札を下げていますので、残っていたらアオによって優しく叩き出されているところでしょう。

 

 当然ドライグも例外ではなく普段ならとっくに帰っている筈ですが彼女にはこの後、竜宮城にてやってもらおうとロロたちからお願いしていたことがありました。

そのためにわざわざこの時間まで待ってくれていたのです。

 

 

「さあ! やーってまいりましたドラちゃんによる自家発電! 今日も激しくなりそうです!」

 

「厭らしく聞こえるのやめてくださいね?」

 

「なあ旦那さま? あとで我らの部屋に行こうな? ドライグに触発されて我も発電させたくなってしまった」

 

「テメェぶっ飛ばしてやろうか!?」

 

「待ってください今発電”させたく”って言いました? ”したい”ではなく?」

 

「無論お前さまので我の子ども部屋を‪✕‬‪ ✕‬(チョメチョメ)───」

 

「はっ、ははは破廉恥なこと言ってんじゃねぇぞバカ!!」

 

 

 とうとう顔を真っ赤にしたドライグが両手を使ってアオの口を塞ぎましたが、号令を出していたルナにとっては全くこれっぼっちも遠慮することはありません。

なぜなら彼女の目的はドライグの可愛らしい場面をカメラに収めることにあり、ミオのカメラ捌きによって撮影されるための場面を作る必要があるからです。

竜宮城にドライグが残った『エネルギープラントに充電してもらう』目的も、彼女にとっては副産物でしかありませんでした。

 

 今のは中々珍しいモノが見れた。

そう胸の内で感じられた一場面をシャッターできたミオもホクホクです。

 

 

「とにかくさっさと終わらせてくるからな! いつものでいいんだな!」

 

「はい。いつもありがとうございます」

 

「はっ! そこのちんちくりんにゃ、こういう細けぇのは出来ねーからな。オレからしても役得ってやつよ」

 

「はぁ? 発電の前に貴様で発電の準備をしてやろうか?」

 

「だから破廉恥なこと言ってんじゃねぇ!!」

 

 

 ムラムラが止まらない頭ピンクドラゴンを無視して、ドライグはエネルギープラントのある部屋へと小走りで去っていきました。

こうなったアオは煩悩が祓われるまで悶々と欲望を垂れ流すラジオと化すため、頭の中をカスな情報で埋められたくなければ早々に退散するのが正解です。

ルナとミオもいつの間にか避難しており既に姿はありません。

つまり、逃げ遅れたのはロロのみなのです。

 

 

 ああ! なんということでしょう!

猛獣が獲物と定めて近寄ったにも関わらず、当人は自分が狙われているとすら思っていないのだから救いがありません!

情欲に塗れた視線を向けても気付かず、終いには「アオさん熱でもありますか?」などと自分にしか向けられない表情をして覗き込んでいるのですから、これはきっと自ら火に飛び行った玉兎に違いありません!

 

 

 静まれ、鎮まれ我───となんとか理性を繋ぎ止めていたアオの理性のタガが外れたのは、きっとこの時だったのでしょう。

長い前髪によって隠されているハイライトの消えた、しかしアオに対して驚くほど無警戒な信頼を見せる銀色の眼を見てしまったのです。

除夜の鐘でもかき消せない肉欲を蒼い眼に宿しながら、少し体調が優れない、という罠を仕掛けてしまったのも仕方ありません。

 

 

 

▶▶▶

 

 

 

「・・・・・・まあ、災難だったな。惜しいやつを失ったが、お前ら二人なら大丈夫だろ」

 

「ありがとうドラちゃん。でもステーキの味はちょっとだけ変わっちゃうかもだから、なるべく頑張るよ」

 

「お姉ちゃん偉いなあ。ならアタシはお酒の研究しようかな?家の書庫を漁ればなにかしらのレシピ出てきそうだしね」

 

 

「・・・・・・・・・いや、死んで・・・ない。ですか、ら・・・」

 

 

 昨日までの健康的な体は何だったのか。

いざ体調が死んでしまってから気付くもので、世の中で一番の宝物とは結局のところ健康なのだと知らされることになったロロ。

枯れ果てたミイラのようにすっかり痩せ細ってしまった彼女が、畳の座敷からゾンビのように起き上がり抗議の声をあげました。

ドライグたちはその声を聞いて茶番をさっさと片付けると、プルプル震えるロロと、その隣へと視線を向けます。

 

 

「すまない!本当にすまないお前さま!我とて我慢するつもりだったのだいくら理性が吹き飛び肉欲と情欲と性欲に心が染まり股間と脳が直結してしまっていたとしてもお前さまのことをしっかり把握していなければならなかったのに昨日の我はそれすら忘れて獣のようにお前さまを求めてなんという痴態をお前さまに見せてしまったのだと今では心の底から悔やんでいるのだがそれはそれとして昨日の弱りきったお前さまの姿が脳裏から離れてくれずちょっと今夜も危ういかもしれないがそれは許してほしいのだ我好みの魂をしているお前さまが悪いなこれはおや?ということは昨日の我の醜態は我ではなくお前さまの可愛らしさのせいか?そうかとうとうお前さまの可愛さは我の最後の防壁すら容易く崩せる領域になったのだな嬉しいぞこれで我の中に漂うお前さまへの愛を堪えずに済むのだと分かればそうだなこのまま二回戦へと突入するのも悪くないとなればまずはお前さまの精力体力を回復するところからだなでは腕によりをかけていざ参るッッッ!!!!」

 

 

 そう言って厨房へ向かったアオのことを双子と宿敵が協力してキレイに絞め落としたりといった些事がありましたが、ロロはそれどころでは無かったので屍が拾われることはありません。

むべなるかな。

いつの世も、己の欲に呑まれてしまった者から破滅するのは同じなのでしょう。

 

 





家庭菜園を初めてみたいなってずっと思ってるだけ。
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