遅刻してすみませんでしたぁ!
「お前さまよ。これもそうなのだが、最近のマンガでは転生先が幼女なのが流行りらしいな? それも大体は最強の存在が生まれ変わったり憑依したりが多い。これはお前さまの肖像権の侵害では?」
「そんな権利持った覚えはないですよ。第一、異なる性へ生まれ変わってみたいと思うのは誰でも興味を一度は持つものですので、不思議ではないでしょう?」
現在、営業前の店内にて仕込みや掃除を終わらせて暫しの休憩時間です。
ルナとミオの二人は商店街の皆さんのところへちょっとした買い出しに出かけていますので、今この店にいるのはアオとロロの二人のみでした。
畳に寝そべりマンガを読んでいたアオが、ふと思いついたことを口にしたのでなんとなくでロロが話題に乗っかる。
アオも本気の疑問というわけではなく、ただの話題として選んだだけのもの。
そんな他所からすればどうでもいいの一言で片付けられてしまう話題だって、この二人ともなれば十分な会話へと昇華されてしまうのです。
「それに何やら生まれ変わる幼女が銀髪ロリ多めではないか。人々が銀髪へ幻想性を持つのは分かる。それ故に強いロリという普通ありえない存在へより強い印象として銀髪であれと願うのだろう。実際我も白髪であるわけだが我の肖像権も侵害されているのか?───それとも、お前さまの趣味だったり?」
「悪いですか銀髪ロリっ娘最強モノ。どこかの誰かさんのお陰で、こっちはリアルで見れますし」
「・・・・・・」
アルビオン、突然の理性への攻撃をダイレクトに食らうッ!
しかし見事耐えきってみせた彼女ですが、どうやら肉体的にも無理をしていたのでしょう。
可愛らしい鼻から一筋の赤い線が滴りました。
「!? アオさん鼻血出てますよ! 大丈夫ですか!?」
「んはは、問題ないぞお前さま。ただ少し今は近くに寄らないでくれると我の理性としても助かる。とりあえずコレはティッシュでも突っ込んでおけば治る治る」
「なら良いですけど。アオさんが鼻血を出すなんて珍しいこともあるものです」
いったい誰のせいだと思っているのか。
それともわかった上で我を誘惑している?
いやこれは無自覚天然モノに違いないから手を出せば後々怒られるな。
前回、ロロが動けなくなるまでテンションを上げてしまったアオですが、その後ロロによって耐え難い逆襲がされてしまい地味に凹んでしまっていました。
その時に今後の己へ戒めとして残したのが、まず最初になんとしても理性を手放さないことだったのです。
最後の一線さえ越えなければアオ的にセーフなので問題ないと信じて疑っていませんでした。
「で、だ。それを言うなら、我からするとお前さまこそ転生最強ロリっ娘ではないか。褐色肌に黒髪ロングと来てメカクレにタレ目で決め手に三ツ目などと、お前さまは癖のデパートを目指しているのかと問いたいくらいだぞ?」
「・・・・・・三ツ目って癖に入るんですか?」
結構力強めに「うむ!」とうなづいたアオ。
彼女の言う通り、ロロという幼女はかなりの属性てんこ盛りでした。
前世男の今世女、つよつよ幼女、丁寧口調。
日焼けとは違う生来の褐色肌、腰まで伸びる濡羽色の髪と黄金のインナーカラー、目元を隠す前髪の奥には幾何学模様の銀眼があります。
そして何より最大の特徴と言えば、彼女の素顔を見た者ならば口を揃えるであろう額の第三眼でしょう。
瞳の中に渦巻銀河がある特徴的過ぎる極彩色の瞳は、見てしまえば最後終わりなき夢へ堕とされてしまう大変危険なものであるかもしれない、と本人は思っていますが怒りのあまり我を忘れなければ問題ありませんのでご安心ください。
「ここに一人いるのは確実だ。お前さまのおかげで我は自分の性癖が確立してしまったからな───いや、正直に言うならば、お前さまの全てが我の癖になった、というのが正しいのだが!」
「ちょっと何言ってるか分からないですね」
「なぜ何言ってるのか分からぬのだ!?」
夫婦揃って大好きな芸人のネタを混ぜつつ、アオは両手でロロの前髪を払いその素顔を晒しました。
ちなみにロロが素顔を前髪で隠しているのは特別な理由があるわけではありません。
目を見られたらアウトといった小さい頃のルナ的な事情は特に関係ありませんので、ただただ本人が恥ずかしがりというだけのことです。
「すべてがそうとは限らぬが、眼にはその者の輝きが現れる。何かに情熱を注いでいる者であればそれがより顕著だ。そういう者は澄んでいたり濁っていたりと万別だが、お前さまのような眼は他に見たことがない」
以前にも軽く話題にあがりましたが、ロロの両目にはハイライトがありません。
可愛らしい童顔やタレ目ということもあり一見すると優しそうな印象を与えますが、眼だけを見れば感情を読み取ることが難しいことが分かります。
アオが瞳の輝きを見て一喜一憂する超越者特有の変な一面を持っていることは世界的に周知されていることですが、そんな彼女が初めて全感覚を独占されたのがロロの眼でした。
「そう考えれば、我らが出会ったのは運命だったのだろう。全てを持つ我には唯一がない。なのにお前さまは唯一から全てを生める・・・・・・それは我にもドライグにもできぬことだ。んはは、奴よりも先にお前さまを見つけられたのが我にとって
「急にどうしたんですか。恥ずかしいのでやめてほしいんですけど?」
「なぁに、いつものようにただの気まぐれだ」
少しばかり名残惜しいのか、中々アオはロロの顔から手を離すことはなく、しばらくの間ずっとほっぺをモチモチしてからようやく離してくれました。
揉んでいたらいい感じに柔らかく癖になってしまうような感触だったため、今度から定期的にモチモチさせてもらおうと本気で思いましたが閑話休題。
マンガの続きを読みつつ愛しのロロへのだる絡みを満喫するという熟年夫婦の姿を、帰ってきた二人に見られた上でお店のSNSに上げられるまで残り五分です。
・・・・・・何書こうとしたか忘れました。