異世界転生   作:魔導科学

104 / 150
104

 

リリーさんに抱き締められた俺は「リリーさん?随分、大きくなられましたね?」と、声を掛ける。

 

「・・・リョウ、お姉ちゃんって言って」

 

「はい?えっ?そもそも、今は一体、どういう状況ですか?」

 

「・・・お姉ちゃん」

 

「はい。お姉ちゃん」

 

「・・・うん、カワイイ。今、汚いゴロツキ共が、この修道院を借金の形に、取ろうとしてる」

 

「で、何で俺は、子供の姿なんですかね?」

 

「・・・それは、分からない。でも、この姿も良い」

 

さっき、近くのプレイヤーに呼び寄せられて、他のプレイヤーの物語に転移したって、言ってなかったか?

 

「この話は、リリーさんの話ですか?」

 

「・・・そう、私がサイコロで出した」

 

「そうすると、呼んだのはリリーさんですか?」

 

「・・・私が転移した時は、誰かを呼ぶ様な話は無かった」

 

「そうなんですか?じゃ、他の誰かか?」

 

「・・・リョウ、これ掛けて『真実はいつも一つ!その名は、迷探偵コ◯ン!』って言ってみて」

 

そう言って、黒縁メガネを渡される。いっそ、その声優さんがユニットを組んで歌っていた、Wのつくガンダムの主題歌でも歌ってやろうか。

 

「ほとばしるリズムとエモーションを感じる。この胸の鼓動は・・・!」

 

「・・・!!リョウ、お願い、歌って」

 

そして何故か始まった、修道院でのお遊戯会と言うなの、ワンマンショー。

 

そう言えば、さっきリリーさんが借金の形にとか不穏な言葉を、口にして無かったっけ?

 

まぁ、取り敢えず歌い終わったら聴いてみよう。

 

「リョウは、この修道院の前に捨てられていたんです」と、修道服の老女がリリーさんに話している。

 

なるほど、そういう設定なのね。

 

「この子は、歌がとても上手で最近は『僕が大人になったら、アイドルになってお金を稼いで、みんながお腹いっぱい、食べれるようにするんだ!』なんて、言ってくれてるんですよ」

 

老女は、俺の方を見ながら微笑みを浮かべている。

 

えっ!

 

そうなの?

 

知らなかったよ!?

 

「・・・此処の子達は、みんないい子、リョウは更にいい子」

 

リリーさんの言葉が、非常にくすぐったい。

 

取り敢えず歌い終わり、リリーさんに話を聞こうとしたのだが。

 

「・・・アンコール。次は『ジャストなコミュニケーション』の曲を希望」

 

「分かりました。終わったら、話を聞かせて下さいね?」

 

「・・・お姉ちゃんは?」

 

「はい。お姉ちゃん、話を聞かせて下さいね?」

 

「・・・うん、いい子。ご褒美に、いっぱい話してあげる」

 

そんなこんなで、お望み通りあのWの主題歌の、アニメOP版の戦闘音が入っているバージョンを熱唱してみた。

 

「・・・やっぱり、あの重火器特化機体のガトリング音は素晴らしい」

 

「分かります!あの機体のガトリング音って、凄く燃えますよね!!で、先ほどの話を、お願いします」

 

「・・・お姉ちゃん」

 

「はいはい、お姉ちゃんお願い〜」

 

 

「・・・はい、は一回、でもカワイイから許す。話としては、此処に来たら、修道女が借金取りに絡まれてた、それを傍観してたら、チンピラに絡まれた」

 

「なるほど、サッパリ分かりませんね」

 

ジョ◯ョ風に言うと『あ・・・ありのまま今、起こった事を話すぜ!「俺は話を聞いていたのに、サッパリ理解が出来なかった。別に、難しい話をされた訳じゃ無いのに理解できない」 な・・・ 何を言っているのか、分からねーと思うが、俺も何を聞いたのか分からない。催眠術だとか超スピードだとか、そんなチャチなもんじゃあ、断じてねえ。もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ・・・』と、いう感じなんだけど?

 

「リリーさん、もうちょっと、くやしくお願いします」

 

「・・・詳しく?それとも、チクショウとか、クソとか言いながら?」

 

「申し訳ありません。詳しく、お願いします」

 

「・・・うん。じゃ、ちゃんとお姉ちゃんに、お願いして?」

 

その瞬間、俺の脳内では前世で聴き込んだ、例の『大きいお友達向けゲーム』の主題歌が再生されていた。

 

あの電波ソングの女王が、甘く『ねぇ、・・・しよ?』とねだるような、中毒性の高いあの名曲だ。

 

「・・・リョウ、どうしたの?」

 

「いえ、何でもありません」

 

まさか、おっきなお友達向けのゲームの主題歌を思い出してたなんて、言えるはずがない。

 

「・・・生意気いうのもオッケーだよ!寝坊をするのも全然オッケー!相談事ならスッキリばっちり、お姉ちゃんにまかせなさい!」

 

「ブッ!? ゴホゴホ!?な、何故そのフレーズを?!」

 

「……お姉ちゃんだから、分かる」

 

まさか、『ちゃんとしようよ』と窘める側のはずの『姉』が、あんな甘い声で誘惑してくる電波ソングを思い出してたなんて、言えるはずがない。

 

・・・というか、なんでリリーさんは俺の脳内BGMを完璧にトレースして歌詞で返してくるんだ!?

 

俺の脳内、この双六のシステムで生中継されてるのか!?

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。