異世界転生 作:魔導科学
奉行所に帰ると「ちょっと!彩刃さん!一体、何してくれたんですか?」と、煩い上司が喚き立てる。
「は?一体、何の事やら・・・」
「大黒屋から、雇ってる者が因縁をつけられたと、奉行所に訴えに来ました!困るんですよ!相手は、大名家に出入りしてる商人、もし大名家に話をされて事が大きくなれば・・・」
「・・・大変、申し訳ありませんでした」
「全く、彩刃さんがこうならない様にするのが、貴女の役目の筈ですよ?真毅村さん!」
「ちょっ」
「申し訳ありません!!以後、気をつけます!」と、カオリが文句を言う前に、大声で遮った。
「ふん!分かれば良いんですよ!!ですが、もし大名家から何かあれば彩刃さん、責任とって貰いますからね?」
俺は黙って、頭を下げる。
「・・・リョウ、アイツも消す?」
「カオリ、私怨で仕事してちゃ、この世から人が居なくなっちまうよ。それに、本当に消さなきゃならん奴を消さないと、何も変わりはしない」と、笑いながら返事をする。
「・・・そうね。大人になったわね、リョウ」
「それは、皆のお陰さ」
そんな会話の後、夕方なので、奉行所を出て家に帰る。
すると、カオリも一緒に着いて来る。
あれ?
あぁ、そっか。
屋敷が、同じ方角なんだな。
なんで同心を、八丁堀って言うのか?
それは、同心の屋敷が八丁堀に集まってたから。
まぁ、八丁堀以外にも、同じ様に同心が集まって住んでた所は、存在したらしいんだけどね。
「薄暗くなって来たな」
「そうね」
「丁度よく、提灯屋の露店があるじゃないか!買って行こう!」
「いらっしゃい。ある・・・じゃ、なかった、八丁堀の旦那」
瑞の店だったか。
「ところで旦那、大黒屋ってご存知ですか?」
「大黒屋か?・・・知ってるよ」
嫌な記憶しかないな。
「実は大黒屋の主人が、ウチから魔導提灯を買っていったんですがね。通常の値段よりも、値下げされて買われたんですよ。『お前の様な汚い露店で買ってやるだけ、有り難く思うんだな!』って」
「・・・カオリ、大黒屋を消すぞ」
「ちょっと!?リョウ?どうしたの?」
「瑞まで、馬鹿にしやがって!あの野郎、ぶっ殺してやる!!」
「リョウ?さっき自分で、なんて言ったか覚えてる?私の感動を、返せ!」
「主、私は大丈夫。因みに店主は、ブラック企業の課長だった男」
「よし!殺ろう!!」
「リョウ、それじゃ話が繋がらないし、仕事も受けて無いじゃない。それに、まだミリィさん達が、出て来てないわよ?」
「・・・分かった。我慢する」
「主、じゃ無くて、旦那偉い」
「そうね。リョウは、えらい子ね!」
「瑞、また来るよ。そうだ。遅くなる前に、珊瑚の様子を見に行こう」
「そうね。ピィちゃん、大丈夫かしら?」
長屋に着くと、ちょうど夕飯時。
「珊瑚は、此処か?珊瑚、居るか?」
「は〜い?パ、じゃなかった。八丁堀の旦那?どうしたんです?」
「くぅ〜、ウチの娘がとっても素晴らしい演技をしてる」
「リョウ、親バカね。でも流石、ビィちゃんね!ママも、鼻が高いわ!」
「えへへ、パパもカオリママも、大袈裟だよ」
「珊瑚ちゃん、お客さん?あれ、リョウとカオリさん?」
「ネアさん?」
「珊瑚ちゃんと、私は一緒に暮らしてるのよ」
「そうだったんですか?じゃ、他の人達は?」
「ミリィとマリーさん、リリーさんは芝居小屋で一緒。めぐりちゃん、瑞、ゴモリーは同じ長屋で暮らしてる。ユカさんとポポちゃんが、一緒に暮らしてるわね。リョウは?」
「私と一緒」
「何ぃ〜!」
「カオリママ?それは、ズルいと思う」
「オッホッホ!仕方無いじゃない。だって、私は同心でリョウの監視役よ?」
「むぅ~!」
えっ!?
一緒に住んでるって、俺もいま知ったよ?
「なんか納得いかないけどパパ、今度、一緒にデートしてね?ミリィさんのお芝居を、見に行きたいの。明日はマリーさんが、芝居小屋で演奏するって言ってたし」
「なら明日は休みだし、皆でミリィさんの芝居小屋に行くわよ?リョウ、いいわね?」
「はい、分かりました」
「ミリィさんのお芝居、楽しみね。ビィちゃん!」
断れる様な状態じゃ、ないよね。