異世界転生   作:魔導科学

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「本日は、お招き頂き、有難う御座います」

 

「うむ、苦しゅうない。面をあげよ」

 

スッと土下座から、姿勢を正すミリィさん達。

 

「ほほぅ!美しいな!のう?大黒屋」

 

「はい、仰る通りで御座います。お殿様」

 

此処は、大名屋敷。

 

其処に、大黒屋からミリィ一座が呼ばれて、大名屋敷で芝居を打つ。

 

「恐悦至極に存じます。御前で一仕事、仕りまする」

 

そう言って、ミリィさんが再度頭を下げリリーさんの蛇味線と、マリーさんの鉄笛の音色が響き渡り、死の狂宴が始まる。

 

離れの一室にて、大黒屋の手下共が酒を飲んでいる。

 

「しかし流石、大名家。料理も酒も美味いな!」

 

「そうだな!後は、女が居れば尚良しだな!」

 

「それは、お殿様が楽しまれた後じゃないか?」

 

と、下卑た笑いを漏らす。

 

「ちょっと、用足しに行って来る」

 

手下の一人が、部屋を出る。

 

その後ろから、静かに近付く影。

 

廊下を歩く手下の後ろに、音も無く近寄り、首筋に鉄串を差し込む。

 

手下は、声を上げることも無く崩れ落ち、後ろから抱き抱える様に、近くの部屋に連れ込んだ珊瑚が呟く。

 

「先ず、一匹」

 

 

 

 

「酒が足らねえな! ちょっと、頼んでくらぁ」

 

離れの部屋から、大黒屋の手下の一人が、のっそりと廊下へ出る。

 

チャリン・・・。

 

暗がりの向こうから、小銭が落ちたような涼やかな音が響いた。

 

「ん? 金でも落ちたか?」

 

欲に駆られた男が、誘われるように庭先の闇へと足を踏み出す。

 

その時、闇の中から簪を口に咥えためぐりが、音もなく姿を現した。

 

彼女が指先で簪の飾りを弾くと、再びチャリンと死の合図が鳴る。

 

めぐりは口元の簪を引き抜くと、逆手に握りしめ、無防備な男の胸元へ吸い込まれるように突き刺した。

 

「・・・!?」

 

「本当は、お前なんかに触れたくもないんだけどね。仕方ない・・・」

 

心臓を一突きされた男は、声も出せず一瞬で絶命し、泥のように崩れ落ちる。

 

その死体を見下ろし、めぐりは冷ややかに呟いた。

 

「ボクが触れたいのは、お兄ちゃんだけ・・・」

 

 

 

「おい?アイツら、遅くねぇか?」

 

「そうだな?迷子にでもなってるんじゃねぇか?ぎゃはは!!」

 

部屋の明かりが、フッと消え去る。

 

「おい!?明かりが消えたぞ!」 

 

「暗くて、何も見えねぇな!?」

 

廊下からゆっくりと、提灯の明かりが近付いてくる。

 

「お?良かった!」

 

障子がスッと開き、色白の美しい少女が立っている。

 

「おぉ!?女中さんか?可愛いねぇ!此方に来て、一緒に楽しもうぜ?」

 

「ぎゃはは!ソイツはいいな!」

 

少女は、魔導提灯の明かりを静かに消す。

 

「お?此れは、お楽しみって奴か?」

 

「おい!最初は、俺だ・・・ぎ!?」

 

魔導提灯の持ち手、左右から飛び出した長い剃刀の様な刃で、一瞬にして首筋を切られ崩れ落ちる二人。

 

「ウチの提灯と私は、お前ら如きが手に入れられる様な物じゃない。私を好きに出来るのは、主だけ」と、瑞が呟く。

 

 

 

 

「あ、さて!あ、さて!さては、南京玉すだれ!!」

 

大名の家臣達が集まる部屋で、ネアさんが大道芸を演じている。

 

「しかし、いい女だな」

 

「うむ、誠よのう?」

 

「おい、芸はもう良いから、此方に来て酌をせい!」

 

侍の一人が立ち上がり、ネアさんの手を引っ張る。

 

「ちょいと、伸ばせば?ちょいと、伸ばせば?魔導十手の出来上がり!」

 

その瞬間、手首を砕かれ、更に脳天を粉砕される侍。

 

「ぎぃ!?」

 

「おのれ!よくも!?」

 

「無礼討ちにしてくれる!」

 

「・・・屑どもが」

 

ネアさんが、南京玉すだれを伸ばして一気に振り抜く。

 

明かりを切り裂き、真っ暗闇になる。

 

「ぎゃ!」

 

「ぐはぁ!?」

 

「ぐぇ!!」

 

暗闇の中で、侍たちの断末魔の叫びが木霊する。

 

ネアさんが障子を開き、月明かりが部屋を照らす。

 

其処には、切り刻まれたり、撲殺された侍たちの死体。

 

「地獄送りの締めに、おめでたく打ち上げ花火とまいります!」

 

月明かりに照らされた美しいネアさんが、血の海の部屋に南京玉すだれで花火を作って見せる。

 

「これにて、南京玉すだれ終わり。どうも、ありがとうございました」

 

静かに障子を閉めて、部屋を後にするネアさん。

 

 

 

廊下を見回りの侍が、歩いている。

 

「・・・ちょいと?」

 

障子の向こうから、妖艶な女の声が聞こえる

 

「む?何奴?」

 

侍が、勢いよく障子を開く。

 

其処には、月光に照らされた美しい女の姿。

 

「そ、其処で何をしている?」

 

侍は、ゴクリと喉を鳴らし、辺りを見渡し後手に障子を閉める。

 

「いやねぇ、男って、そんなに単純なものだったかしら?」

 

女が、妖艶に笑い掛けて、侍の首筋に手を回す。

 

「でも、私が好きなリョウさんは、そんな単純じゃ無いの」と言って、手に持った手術刀で、首筋を切裂く。

 

飛び散る血飛沫を躱しながら、ユカさんが静かに障子を閉める。

 

 

 

他の部屋で見回りの仕事をしつつ、交代で休憩している侍たち。

 

「しかし、やけに静かだな」

 

「そうだな。そろそろ、見回りから帰ってくる頃な筈なんだが・・・遅いな」

 

「どれ、厠に行くついでだ。ちょっと見てくる」

 

侍が一人、部屋を出る。

 

後ろを静かに着いて行く、小さな影。

 

しかし、気配を感じ取り侍が後ろを振り向く。

 

「ねぇ、知ってる?人体の急所って、縦に並んでるんだよ?」

 

囁く様な声で、小柄な影は侍の水月に貫手を差し込む。

 

「ぐっ!?」

 

「喋っちゃ、駄目」

 

口元を片手で塞がれ、貫手を差し込まれる侍。

 

侍が事切れると、静かに障子を開けて、死体を降ろす。

 

「僕のご主人とお父さんは、とっても強いんだよ?君は、弱いね?」

 

クスリと笑いながら、ポポは静かに部屋を出て行く。

 

 

 

 

「おかしい!幾ら何でも、遅すぎる」

 

一人残された侍が、部屋から出てくる。

 

障子の内側に一人の人影があり、その人影が静かに脇差を抜く。

 

曲がり角で、待ち構えていた人影は、膝をつき脇差を構えて声を掛ける。

 

「おい」

 

「む?誰だ?」

 

侍が、曲がり角にやってくると同時に、構えていた脇差を突き出す。

 

「ぐっ!?」

 

「今まで散々、弱い者を虐げ甘い汁を吸って来た。けど此れで、年貢の納め時ね?」

 

カオリが脇差を捻り、侍の身体から刀を抜く。

 

 

 

 

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